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GUNSLINGER GIRL/相田裕

共有

著者: 相田裕
巻数: 14巻

相田裕の新刊
GUNSLINGER GIRLの新刊

最新刊『GUNSLINGER GIRL 13


出版社: アスキー
シリーズ: DC


GUNSLINGER GIRLの既刊

名前発売年月
GUNSLINGER GIRL 11 2009-07
GUNSLINGER GIRL 12 2010-04
GUNSLINGER GIRL 13 2011-04

GUNSLINGER GIRL』(ガンスリンガー・ガール)は、アスキー・メディアワークスの雑誌『月刊コミック電撃大王』に連載されている、相田裕の漫画。または、これを原作とするテレビアニメ・ドラマCD・コンピュータゲーム作品。略称ガンスリ

概要

イタリアを舞台に、「身体を改造した少女の殺し屋」を運用する対テロ機関「社会福祉公社」と、犯罪やテロによってイタリアを恐怖に陥れるテロリスト集団「五共和国派」との戦いを軸にしたガンアクション漫画。その舞台に合わせて、劇中にはヨーロッパ製の銃(SIG、ファブリックナショナルなど)や車両が多数登場する(詳しくは#登場する銃器や#登場する車両を参照)。

相田裕が自分の個人誌『JEWELBOX』で「GUN SLINGER GIRL」(当時のタイトルは“GUN”と“SLINGER”の間にスペースが入っている)として発表。その後、商業誌に場を移し連載中。2010年4月現在、単行本は第12巻までアスキー・メディアワークスの「DENGEKI COMICS」レーベルから刊行されている。

掲載誌『電撃大王』は、いわゆる萌え系の漫画誌であり、当作品も美少女が重要な役回りを果たす。しかし、美少女本人や、周囲の人々の様々な思いや信念を丹念に描いたり、現代のイタリアが抱える社会問題をフィクションを取り混ぜつつも深く扱うことによって、ストーリーに奥行きがもたらされている。

2003年に第1期のテレビアニメ化され、同年10月から翌年2月にかけて全13話がフジテレビ・CSで放映された。原作の2巻までのエピソードの順番を並び替え、エルザが登場するオリジナルエピソードを組み合わせ、コミック本編と整合性の取れた物語になっている。

また、同時期にプレイステーション2用のゲームソフトが全3部作で発売され、アニメのDVD-Videoはその特典として同梱された(1巻には5話分、2,3巻には4話分ずつ収録)。後にアニメ単体のDVD-BOXも発売された。

テレビアニメ第2期は2008年1月から3月にかけて全13話が放送された。同作では「ピノッキオ」編からのストーリーが描かれ、DVD-Videoとして販売も行われた。2008年10月に第2期の14・15話に相当するOVAが発売され、原作の28、29話が描かれた。

あらすじ

「少女に与えられたのは、大きな銃と小さな幸せ。」 単行本1巻帯

物語の舞台は架空の現代イタリアを中心としたヨーロッパ。イタリアは国内に地域間対立や思想対立を抱え、テロや暗殺などの暴力活動が絶えなかった。イタリア政府・首相府は、表向きには障害者への様々な支援を行う組織として公益法人『社会福祉公社』を設立する。しかしその実態は、身体に障害を持った少女たちを集め、身体の改造と洗脳を行い、反政府組織に対する暗殺をはじめとした超法規的活動を行わせる闇の面を持った組織だった。少女たちは、「義体」と呼ばれる人工の肉体と引き換えに、時に危険すら顧みられることなく銃を手に戦う運命を背負わされた。

登場人物

担当声優は左が第1期アニメ及びゲームのもの、右が第2期アニメのものである。なお、併記のないものは第2期には登場しない。

義体

1期生

ヘンリエッタ (Henrietta)
声:南里侑香 / 阿久津加菜
担当官はジョゼ。愛称はエッタ。リコと組で公社が完成させた3番目と4番目の義体。髪と瞳の色は茶色。純真無垢で礼儀正しいが、年齢の割に幼さが若干残る。聴覚が鋭い。
かつてローマに暮らす、7人家族の裕福な家庭で愛情を注がれて育てられていたが、自宅にて連続殺人犯が起こした一家殺害事件に遭う。殺された家族の隣で一晩中暴行を受け、瀕死の重傷を負う(その際、片眼、右手、左足を失っている)も唯一生き残る。病院に収容され一命を留めたものの自殺を望んでいた時に、素体を求めて病院を捜し歩いていたジョゼとジャンの目に留まり、公社に収容された。子宮を失っており、ホルモン補充療法を受けている描写もある。義体の訓練の一環でヴァイオリンを弾き、ジョゼにプレゼントされたカメラでの写真撮影、日記もつけるなど多趣味。自室はリコとの相部屋で、二段ベッドは上段を使っている。
ジョゼの方針で、1期生の中でも「条件付け」は軽く抑えられているが、軽過ぎる条件付けから問題を起こし、条件付け強化を迫られることもあった。ジョゼの身に僅かでも危険が生じると自制できなくなるなど、やや情緒不安定であるが、それを差し引いても彼女の評価は『優秀』。兄を盲愛する妹のようにジョゼに依存・傾倒し、彼の愛情を強く求め、独占欲も強いが、ジョゼに対し今一歩踏み込めないでいる。
物語の当初から義体化による条件付けの副作用が発現している。紅茶に大量の砂糖を入れる味覚障害、公社に来た当初にジョゼと金星を見た記憶が欠落していたり、冬の旅行のことを夏には忘れていたりという健忘症の描写があり、本人も「一年前のことを日記を見ても思い出せない」と自覚し、ジョゼの記憶を失うこと、自らの死でジョゼに貢献できなくなることを極度に恐れている。
タイトルのロゴに添えられているシルエットは、ヘンリエッタのものである。そのことから、ヒロイン格であると言えるが、物語が進むにつれ、ストーリーの本流からは外れる傾向にある。
リコ (Rico)
声:三橋加奈子 / 塩野アンリ
担当官はジャン。ショートカットのブロンドの髪と青い瞳。ファッションには無頓着で、通常はズボンを着用しボーイッシュな格好をしている。自室はヘンリエッタとの相部屋で、二段ベッドは下段を使っている。
CFS症候群による先天性の全身麻痺患者で、生まれてからずっと入院生活を行っていた。それが原因で両親の仲は悪化し、公社に引き取られる。義体化により11歳の誕生日に動く身体を手に入れた。義体になって初めて見たり触れたりすることが出来るようになったため、あらゆる日常に新鮮さを感じており、公社での生活を誰よりも自然に受け入れている。そのためかジャンに叱られたり、殴られることにさえ嬉しさを感じている。基本的に明るく好奇心旺盛だが、感情の起伏は少なく(喜怒哀楽の感情のうち、「怒」だけが抜け落ちた状態)、任務では無表情になる。また、条件付けで失うはずの義体化以前の記憶を持つ描写があり、自分の身体が再び動かなくなり、ジャンに見捨てられることに恐怖を抱いている。
ジャンには完全に仕事の道具として扱われており、「条件付け」は躊躇無く最も強く施されているが、却って良い結果になっているようでもある。
イタリアでは本来「リコ」という名前は男性名である末尾の母音が男性は「o」、女性は「a」となる。。ジャンの不自然な命名に驚かれることもあるが、「リコ」は男性名Enricoの短縮形であり、女性名にするとジャンの妹と同じ「エンリカ(Enrica)」になる。
トリエラ (Triela)
声:仙台エリ / 榎本温子
担当官はヒルシャー。公社が2番目に完成させた義体。褐色の肌と長い金髪の少女。登場する義体の中では唯一純粋なヨーロッパ系ではない。精神年齢が高く聡明で、他の義体の面倒見も良い。真面目でさっぱりした性格だが、実は非常に繊細。ヒルシャーに対してだけは素直になれず、独り苦悩を抱えている。イタリア語の他にドイツ語とフランス語を操るトリリンガルで、高い教養をも持ち合わせている為、他の義体の勉強では教師役を務めるほど。トリエラ自身はそれらをヒルシャーから教わっている描写もある。戦闘力も極めて高く、複数の義体で作戦を行う場合は突入役を担うことが多く、銃剣やナイフ類を扱い近接格闘もこなす。
1期生の中では年長組で比較的高身長のため、変装して成人女性として任務に就くこともある。服装は、プライベートでもネクタイとスーツが多い。その一方で少女のような柔らかい服装も望んではいるが、ヒルシャーにそういう服をねだることが気恥ずかしくて口に出せないでいる。ヒルシャーから時折贈られるテディベアを集め、名前をつけている。当初は白雪姫 (アニメ映画)に出てくる七人の小人の名前を名付けていたが、7体を超えてからは歴代ローマ皇帝の名前を付けている。義体の少女らの中では、唯一生理痛に苦しむ描写がある。自室はクラエスとの相部屋で、二段ベッドは下段を使っている。
ヒルシャーのある思いから条件付けが比較的弱いため、他の義体とは違って異論を持ち合わせ、全てを客観視するリアリスト且つニヒリストである。公社と義体についても客観的視点を持って認識しており、義体である自分の運命として死が迫っていることを受け入れている。単行本9巻頃から、健忘症や味覚異常などの障害が現れ始めた。
自分の過去にはあまり執着しておらず、「ポルノ・ムービーかスナッフ・フィルムにでも出演させられていたのではないか」と他人事のように語るほどだった。その素性は自らが語った通り、カモッラによるスナッフ・フィルムの撮影現場にチュニジアから拉致され、ユーロポール時代のヒルシャーがラシェルと共に救出した少女であることをマリオ・ボッシの口から語られた。時折ラシェルのことを夢に見て、「お母さん」と呼んでいる。ヒルシャーに助け出された結果、公社によって義体化されてしまったことを詫びられ、ヒルシャーの望みはただ一つ自分を生き長らえさせることだと知る。自分の存在がヒルシャーの生き方を縛っていると自覚し自分を責める一方、条件付けの副作用だと嘯いていた自分のヒルシャーに対する感情もまた純粋な愛情であると確信する。そして迫りくる寿命を精一杯にヒルシャーと共に生きることを決意した。
クラエス (Claes)
声:小清水亜美 / 水野理紗
担当官はラバロ。素体の頃の本名はフレッダ・クラエス・ヨハンソン(Freda Claes Johansson)。父親が大学教授だったため家には多くの書物があり、幼い頃から本が好きだったテレビ版のエピソード「約束」に出てくるクラエスのプロフィール資料より。クラエスの10歳の誕生日の写真と共に、父親が大学教授だったため家には多くの書物があった、そのため子供時代に本好きになった、本への興味を持たせるため両親が多くの本を贈り物として与えた等の記述がある。。公社に来た当初は、義体の扱いに慣れず、俊敏かつ精巧な動作が出来なかった。また、素体の頃は読書好きで眼鏡を着用していたが、義体化されたことで眼鏡を必要としなくなったと共に読書の習慣は無くなった。ラバロに義体の操作訓練の一環でイタリア北部各地に釣りに連れられた。ラバロから無為に時間を過ごす楽しみを教わり、大量の本があるラバロの自室を訪れたことから、再び読書を習慣とするようになる。自室はトリエラとの相部屋で、二段ベッドは上段を使っている。
ラバロの死亡により、「条件付け」の書き換えによってラバロの記憶は消去されたものの、担当官の変更は困難だったことから通常の義体としての運用が不可能なことが判明し、その代わりに従来義体全員で分担していた義体開発用の試験を集中的に課せられることになった。その結果、義体開発の進捗情況は早まったとのこと。アニメ版では銃器以外での戦闘を一通り行うが、原作ではほぼ無力。
ラバロから渡された素体時の眼鏡をレンズを換えて伊達眼鏡として使っている。ラバロが死亡する直前に、「眼鏡をしている時はおとなしいクラエスでいて欲しい」という命令ではない約束を交わした。ラバロの記憶は一切失っているものの、眼鏡をしているクラエスは銃を生理的に撃てず、眼鏡に触れられることも極度に嫌うようになっている。ラバロとの釣り旅行をした経験からか、自ら描く絵画は常に水辺の風景であり、湖を見ると(今のクラエス自身にとっては)理由もなく落ち込み涙を流してしまう。ただ、彼との「約束」だけは記憶を消された現在も覚えており、その約束の方が条件付けの縛りに勝っている。精神年齢が高く淡白な性格で孤独を愛し干渉を嫌うが、人付き合いは良い。音楽、読書を好み、菜園を作ったりと、義体の開発試験を行っている時以外は気ままな生活をしている。1期生の中ではトリエラと共に年齢は高く、化粧をすればハイティーン程度に見える。
アニメ版では、戦闘にあたって眼鏡を外す描写がある。また、クラエスには似つかわしくない大きなアナログクロノグラフウォッチを愛用している。ラバロが使用していた物と思われる。
アンジェリカ (Angelica)
声:寺門仁美 / 花澤香菜
担当官はマルコー。愛称:アンジェ。素体時の本名はアンジェリーナ。経営する町工場の運転資金に困った両親が保険金殺人を目論み、轢殺されかける。一命を取り留めたところを公社に回収され、公社で最初に完成した義体となる。本名にちなみアンジェリカ(天使の意)とマルコーに命名される。穏やかで優しい性格。最も古くからの義体であることから、義体の改造を繰り返され、投薬の量や方法も手探り状態だったため、義体の中で薬の副作用が最も発現し不安定で実戦に投入される機会は少なく、物語開始時点から入院がちだった。マルコーと過ごした記憶も障害によって断片的になり、その事実を直視できなかったマルコーからは次第に冷たく遇されていった。
末期には健忘症の傾向が激しくなると同時に、半年以上前の記憶をつい最近のことのように語ったり、義体になる前の記憶が夢や白昼夢として戻るなど、記憶と認識が錯綜した症状が見られた。五共和国派による官庁を狙った自動車による爆破テロが発生し、マルコーと共に警備を担当していたアンジェリカは自らの身体を盾にしてマルコーを護り、自分は重傷を負う。身体は修復されたが昏睡状態に陥り、脳の状態から「寿命」が近いことが判明する。技術部員のマリアンナには「覚醒は絶望的」と言われたが、マルコーが病室に入ってきた際に目を覚まし、マリアンナを驚愕させた。また、素体の頃に飼っていた犬の親友「ペロ」との対面で、一時的に過去の記憶を取り戻す。その後3日間眠り続け、最後に目覚めた時には記憶が完全に錯乱しマルコーのことすらも忘れてしまっていた。しかし、枕元で落ち込んでいるマルコーを元気付けるため、既に忘れてしまっていたはずの『パスタの国の王子様』の物語を最後まで語り聴かせた後、静かに息を引き取った。その遺体は公社敷地内の修道院跡に埋葬された。
エルザ・デ・シーカ (Elsa de Sica)
声:能登麻美子
担当官はラウーロ。愛称:エルザ。思いつめる性格で、他の義体達とは一切交わろうとせず会話もほとんどなかった。これは素体時からの性格とのこと。寮の部屋も1人で使っていたが、自室の荷物は何も無く、私物はラウーロの写真ただ1枚だけだった。その一方で能力は高く、ラウーロ自身も優秀だったことから、フラテッロとしては非常に優れていた。
エルザにとってはラウーロが全てだったが、彼からは単なる道具として扱われていた。その結果、永遠に手に入らないものを前に、本来有り得ないはずの義体による担当官との無理心中という悲劇的な結末に至ってしまう。この事件は、義体に懐疑的な作戦1課に知られないように、五共和国派による暗殺として処理された。
原作では登場した時点で既に死亡していたが、名前だけは第二話で登場している。アニメでは彼女の死に至るまでの「事件」が描かれた。ある任務でラウーロはエルザに独りで仕事をやらせるが、ラウーロは自分の自動車で待っているだけだった。エルザに任務完了の証拠写真を撮らせており、ラウーロは余ったフィルムを何気なく撮影して使い切ってしまう。そのときに偶然ラウーロが写っていた写真がエルザ唯一の私物で宝物となった。自室で任務を確実に遂行するために銃を磨くのに余念がない所にヘンリエッタが訪ねたが、エルザは担当官への愛情が足りないとヘンリエッタを責めるだけだった。後日、ヘンリエッタと共に任務を行うが、自分とは対称的なヘンリエッタとジョゼとの仲睦まじい会話を目にして動揺する。ラウーロはエルザの動揺に関心を持たず、エルザを任務から外してしまう。その直後のある晩、事件が起こる。
ベアトリーチェ (Beatrice)
声:なし / 伊瀬茉莉也
担当官は軽めな性格で、おしゃべり好きなベルナルド(声:なし / 中野裕斗)。愛称:ビーチェ。嗅覚が鋭い。ベルナルドが饒舌なのに対し、口数は少なく、無感情。情感が薄いことが本人の口からも語られている。マイクロUZIを使用。物語初期から登場するが、登場回数は少ない。ベネツィアのサン・マルコ広場の鐘楼に籠城するテロリストを排除する作戦で、トリエラと共に突入役に抜擢される。鐘楼外壁を登り展望台に到達し、展望台の制圧中に自爆用の500kgミサイル弾頭を発見。爆発前に窓から投げ捨てようと500kg弾頭を持ち上げたところを20mm対物ライフルで狙撃される。胸部を撃ち抜かれながらも自身ごと弾頭を捨ててトリエラを救ったが、爆発に巻き込まれて遺体も残らずに殉職した。

2期生

最初の計画では10体を予定され、一月で2体のペースで義体化が行われている。数体が完成し、義体棟で寮生活している描写があるものの、活躍が描かれているのはペトルーシュカのみである。

ペトルーシュカ (Petrushka)
声:なし / 坂本真綾
担当官はアレッサンドロ。愛称:ペトラ。機能強化目的義肢・サイバネティクス試験体XB11-01。外見は、担当官の意向でミドルティーンに設定されているが、「赤毛にだけはしないでくれ」というリクエストは無視され、意向に反して赤毛にされた。瞳は緑。素体の頃からの習慣で毎朝のストレッチを日課としている。また、条件付けに強い縛りをかけないという2期生のコンセプトにより素体の影響を強く受けている上、忠誠心により強制された気持ちではなく、サンドロに関する検査質問に「愛しい人です…」と答える様に強制ではない愛情を抱くなど1期生とは一線を画している。
素体の頃の名はエリザヴェータ・バラノフスカヤ。ロシアのボリショイ・バレエ学校に通い、一流バレリーナを志していた。愛称はリーザ。努力を惜しまない性格で、身長が低いことに悩んでいたが、芸術性と技術的には評価が高かった。脚の骨折が快気しないことから精密検査を行い、骨肉腫が判明し、医療技術の進んだイタリアに渡る。脚を切断され、絶望し病院の屋上から投身自殺をはかった。一命を取りとめたが、親の収入では治療費を払えないとして公社が収容し、義体に改造される。担当することになったアレッサンドロとは手術前に偶然出逢っているが、アレッサンドロはペトルーシュカがリーザであったことは知らず、ペトルーシュカも当然その出来事の記憶を失っている。
ペトルーシュカという名は、素体がロシア人と聞いたサンドロによってロシアバレエの有名な演目であり、人間になれない人形の苦しみを描いたペトルーシュカにちなんで命名された。
同人誌時代の『GUN SLINGER GIRL』にも登場していた。当時の名前は「ペトロシュカ」で、長い黒髪から『黒ペトラ』と呼ばれている。アンジェリカと印象が重なるため、当初キャストから外されていたことが著者によって明かされている。

ゲームオリジナル

ピア
声:田中小百合
担当官アーネスト。PS2版ゲーム三部作にのみに登場するオリジナルキャラクター。ヘンリエッタらより新しい世代の義体とされているため2期生の可能性があるが不明。担当官アーネスト(声:内藤玲)と共に公社から脱走、五共和国派への亡命を図る。

義体担当官

義体の運用と世話を担当する。担当する義体に命名する権利を持つ。担当する義体の条件付けや運用は、公社の命令に反しない範囲で裁量が与えられている。現在のところ全て成人男性である。

ジョゼッフォ・クローチェ: 声:木内秀信 / 三戸耕三
ヘンリエッタの担当官で、ジャンの3歳年下の弟。通称:ジョゼ。ヘンリエッタには妹のように接しているが、逆にそのことが自身の負担になっている面もあり、義体の運用や「条件付け」についてジャンと対立することもある。劇中では何度か髪形が変わっている。
元は軍警察(カラビニエリ)の憲兵隊に所属していた。中尉としてセルビア共和国での国連平和維持軍への参加に満足しており、妹をはじめ家族を疎ましく思っていたことからそれとは無縁の戦場が好きだった。セルビアの任務が終了した後は、中東や中央アジアへの派遣を望んでいた。しかし、有名人である父の子弟が戦死や捕虜になることで生じる社会への影響を望まない国防省の方針から、ジョゼにとっては不本意ながら帰国を命じられた。クローチェ事件で父・母・妹エンリカを亡くし、家族を疎ましく思っていたことを後悔し自暴自棄になっていたが、家族の復讐の機会を得たとしてジャンに引っ張られて社会福祉公社に転職した。
家を空けがちな両親、家族と言えど他人に興味を持たない兄に代わり、妹・エンリカの面倒をみていたことからエンリカに溺愛されていた過去があり、ジョゼもそれを受け入れていた様子。その一方でエンリカのことを重荷に感じてもいた。その後、ヘンリエッタの担当官になってからは無意識のうちにヘンリエッタにエンリカと重ねて見ている。「エンリカ(Enrica)」と「ヘンリエッタ(Henrietta)」は同じ由来をもつ名前である。
ジャン・クローチェ
声:宮本充 / 子安武人
リコの担当官。ラバロ死亡により担当官不在となったクラエスも担当する。ジョゼの3歳年上の兄。義体担当官のリーダーで、現場では無線で担当官への指示を行う。「条件付け」に対して何の躊躇いも無く、義体は仕事の道具とリコの前であっても公言し、彼女にも冷たく接している。仕事には厳しく、リコに対する体罰、拷問相手に過剰な暴力を振るうなど、目的のためには手段を選ばない冷酷な性格だが、6巻以降は以前よりも感情的になる場面が多くなっている。
第二次世界大戦のイタリアの英雄だった祖父に憧れ、法律家になることを薦める父の意見を押し切って18歳で陸軍士官学校に入校。5年後、士官学校を次席で卒業して23歳で中尉となり新任で軍警察カラビニエリの第一パラシュート連隊に本部付き情報参謀として着任した超エリート。連隊幹部からも幹部候補として嘱望されていたが、パラシュート連隊を踏み台に特殊部隊GISに転属を上官に対しても公言していた。家族にも関心が薄く、自分だけが可愛いと考えており、他人への愛情が薄いと自他共に認めていた。しかし、連隊の伍長だったソフィアと出会い、ソフィアの告白を受け入れて恋人となり婚約する。ソフィアのジャンに対する情愛は、ジャンの他人に対する情に変化をもたらしていた。ソフィアという新しい家族の存在が、バラバラだったクローチェ家の人々の関係をも好転させようとしたまさにその時、『クローチェ事件』が起こり父・母・妹とソフィアを亡くす。事件に前後して社会福祉公社が設立され、五共和国派に対する個人的な復讐を目的として福祉公社に籍を置くこととなる。
弟のジョゼとヘンリエッタの関係が、かつてのジョゼと妹エンリカの関係に重なっていることを密かに危惧している他、ジャン自身もエンリカに強いこだわりを持っており、6巻ではエンリカの幻影に向かって、激高しながら人間の弱さを認めるという場面もあった。
ヴィクトル・ヒルシャー
声:江原正士 / 松風雅也
トリエラの担当官。ドイツ人。本名:ヴィクトル・ハルトマン。元は欧州刑事警察機構(ユーロポール)児童虐待取締班に派遣されたドイツ警察の警官。ユーロポール時代に遭遇した事件(「カモッラの虐殺」)に大きな影響を受けており、それがトリエラとの関係に悩む一因になっている。生真面目な性格で、過度の条件付けにも反対しているが、これもまたトリエラとの関係を複雑にしてしまっている。父親に勘当されているが、母親は今でも彼のことを気遣っており、早くドイツに戻ってくるよう説得されている。母にはイタリアの役所に勤務していると話している。
ユーロポール時代に、単純な使命感で児童を対象にしたスナッフ・フィルムの暗部に介入し、足を洗いたがっていたカモッラ幹部のマリオ・ボッシから犯行の情報を得る。その頃知り合った同僚の監察医ラシェル・ベローと共にアムステルダムのスナッフ・フィルムの撮影現場へ上司に無断で潜入を行うが、少女への救急救命措置で一命を救ったラシェルは殉職してしまう。しかし昏睡から回復しない少女の治療のため、回復を期待していないオランダ警察から逃れるため、オランダの入院先からマリオと共に独断で最先端医療技術を持つと噂に聞くイタリアに少女を移送し、ユーロポールに背信した。この少女が後のトリエラである。素体を求めていた公社は彼女を受け入れたものの戦闘用に義体化してしまい、ヒルシャーは事実を知って激昂するも公社の機密を知ってしまったとして処刑を待つ身となる。ジャンにトリエラの身分と自身の命の保証の取引を持ちかけられ、公社が偽造した戸籍で公社に籍を置くことになった。ラシェルの遺言と自分の希望であるトリエラを生きながらえさせるため、トリエラとフラテッロを組む。
マルコー・トーニ
声:井上倫宏 / 矢尾一樹
アンジェリカの担当官。誕生日は1968年11月28日。パンテオンの警察官として勤務しており、フランカことカテリーナにパトリツィアを紹介され恋人となる。能力を認められ内務省治安作戦中央部隊(NOCS)に移籍するも、目の負傷による視力低下を理由にを解任され、一般の警察官勤務には飽き足らず退職する。友人のビアンキの紹介により社会福祉公社に入り、交通事故で重体だったアンジェリーナの担当官となった。注射を嫌がるアンジェリーナの気を紛らわすために即興で童話『パスタの国の王子様』を作り聞かせる。アンジェリーナが義体化されアンジェリカとして生まれ変わってからも、注射を嫌がるアンジェリカの為に童話の創作を続けるが次第に無理が出てきて、まだ仕事が無かった二課の課員を巻き込んで創作を続けた。当初はアンジェリカには熱意を持って接していたが、繰り返し施される「条件付け」の副作用により、教えたことを忘れてしまうアンジェリカを見て失望してしまった。根は真面目で明るいが、アンジェリカへの対応を含め何事に対しても強がって冷静と客観を装っている。公社の仕事の内容が部外秘であることからパトリツィアに真実を話せなかったため、重荷になりたくないと考えた彼女から離別を切り出されてしまった。
アンジェリカが寿命間近であることを知り、彼女の夢に出てくる犬がアンジェリーナだった頃に飼っていた犬であること、今は遠縁の親戚が飼っていることを突き止め、引き合わせる。アンジェリカのことで落ち込んでいるマルコーを元気付けるためにアンジェリカは、マルコーのことすら記憶から消えてしまっていたものの忘れてしまっていたと思われていた『パスタの国の王子様』をマルコーに語って聞かせ、そして息絶えた。
クラウディオ・ラバロ
声:堀内賢雄 / 同左
クラエスの担当官。小銃の暴発により脚を負傷し軍警察を退役したジャンの元上司。退役時の階級は大尉。未練がある軍警察に公社の力で復帰するため、ジャンの誘いで3年間だけという条件で担当官になった。
ジャンはラバロに義体の命名に男性名を助言していたが、本名のミドルネームを採用した。当初はクラエスに対し突き放した接し方をしていたが、射撃で7ヤード必中の課題を出して単独の訓練を指示したが、翌日にクラエスが一晩中雨の中で射撃を続けていたことを知り、愕然とする。義体の操作訓練という名目でクラエスを度々釣りに連れて行くようになる。ラバロはクラエスに対し「軍警察に復帰するため」・「お前には興味がない」と言い放つが、公社では教官と生徒の役割を演じる一方で、次第に娘に接する父のような愛情が芽生えている様子がうかがえる。
ある日、銃の扱いの未熟なヘンリエッタを射撃場に入れていたジョゼに対しラバロが制裁を加えたことで、それぞれの義体であるヘンリエッタとクラエスとが一触即発の状態になる事件が起きた。事件を未然に防ぐためとは言え彼女らの寿命を縮める条件付けを躊躇することなく行うジャンと対立し、社会福祉公社の実態をマスコミに公表しようとするが、その直前「ひき逃げ」に遭い死亡。その直前のクラエスとの別れ際にクラエスの素体時の眼鏡を手渡し、「眼鏡をしている時はおとなしいクラエスでいてくれ」との命令ではない約束をした。その際に自室の鍵も渡したことから、自分が公社により暗殺されることを予期していたと推測されるが、ひき逃げ犯人は明らかにされていない。
アレッサンドロ・リッチ
声:白石稔(ドラマCD)
ペトルーシュカの担当官。通称サンドロ。アレッシオ・リッピの偽名を名のる時もある。20歳無職の時分にロッサーナに見出された直弟子で、内務省スパイ養成所を経て公安部公安1課に所属。仕事では調査対象に近しい女性と肉体関係を作り情報を得ることを専門に行っていた。軽薄そうに振舞っているが、相手の本心を窺うため。相手の仕種や会話などからその人物の背景を見抜く抜群の人間観察能力を持つ。敵であろうと不必要に傷つけることを好まない。ペトルーシュカにはロボットではなくパートナーであることを望んでいる。
ロッサーナの私室を見た数少ない一人。ロッサーナを最も理解する人間として彼女の弱さも理解し、恋人となる。自らの人格の空白を埋めるため、あらゆる知識と経験を溜めていったロッサーナの姿を真似るかのように、アレッサンドロも知識を蓄えていく。その結果、彼の私室はロッサーナのそれと同じく倉庫同然のような状態になっていった。しかしある日突然、ロッサーナは失踪。裏切られたとの想いが残った。パートナーとなる義体(ペトルーシュカ)を構築する際、ロッサーナが赤髪であったため「赤髪だけにはするな」とリクエストしている。しかしそのリクエストは見事に裏切られることになる。
ラウーロ
声:津田英佑 / なし
エルザの担当官。自分に対して忠誠と愛情を注ぐエルザに対し何の感情も持たず、彼女を単なる道具として扱っていた。そんな彼の態度がエルザを追い詰め、エルザに無理心中で射殺される。原作では死体として登場し、その顔や人物像も不明のままだった。アニメ版では、そのシーンに繋がるエピソードも描かれた。公式な身分は、ローマ在住でエルザと親娘の商社マンということになっていた。

他の社会福祉公社職員

その他の作戦二課課員

設立当初は10名ほどの組織だった。人員も実績もなかったことで、義体の補助をする以外の仕事がなかったが、アンジェリカがジョルジョとアマデオの喧嘩を身体を呈して防いだことがきっかけとなり、仕事が回ってくるようになった。デスクワークの課員も、大規模作戦の場合は現場に出動するため、実務訓練も行っている。

ロレンツォ・ピエリ
声:家中宏 / てらそままさき
社会福祉公社作戦二課の課長。内務省SISDE(民生治安情報部)で対国内テロを担当していた。五共和国派を精力的に摘発しているクローチェ検事へのテロを警戒していており、クローチェ家の持つタオルミナの別荘でのバカンスで護衛作戦を指揮していたが、クローチェ事件の発生を許してしまう。社会福祉公社の設立で作戦二課に着任。その結果、クローチェ事件の主犯と目されたジャコモが首謀するサンマルコ広場の鐘楼事件では冷静を欠いてしまう対応になってしまった。
フェッロ
声:中川里江 / 同左
一般二課員のリーダーを務める女性。社会福祉公社設立以前からのロレンツォの部下。公社ではジョゼの作戦を補佐する場面が多い。無愛想だが、ただ仕事に厳しいだけだと予想する課員もいる。タイトスカートのスーツとネクタイを着用していることが多い。
プリシッラ
声:鈴木真仁 / 高橋まゆこ
作戦二課創設初期時からのメンバーの女性。アンジェリカには「愛の堕天使」と自己紹介していた。元財務警察(Guardia di Finanza)の警察官で、敵組織の経済面の分析を担当する。アンジェリカに自分を「プリシッラちゃん」と呼ぶようにさせているが、その記憶を失ったアンジェリカに対し命令として呼ばせている自分に嫌悪している。陽気な性格だが、不器用な生き方しか出来ない自分らが行き着いた公社で、公社の仲間の仲を取り持ったのがアンジェリカであるとして、アンジェリカに心を砕いている。また、薬切れを起こしたアンジェリカに手首を握り折られたことがあるが、アンジェに責任はないとして周囲に報告しないように要請していた。寿命が尽きるアンジェのために奔走する。
オリガ
声:尾小平志津香 / 加藤沙織
大柄なロシア人女性で、作戦二課創設初期時からのメンバー。愛称:オーリャ。ロシアの大使館勤務の諜報員だった。尾行を撒くのは日常茶飯事だったらしい。義体の少女たちをバレリーナにしたがっている。
アマデオ
声:前田剛 / 細谷佳正
赤毛で顎割れの色男。海兵隊出身で、作戦二課創設初期時からのメンバー。アンジェリカとの初対面で「愛の伝道師」と自己紹介した。ジョルジョとナイフを使うケンカをした制裁として、二人には解雇ではなくヘリフォード(英陸軍特殊部隊SAS本部がある)に「出張(過酷で有名なSASの選抜訓練に参加)」をさせられた。
ジョルジョ
声:下崎紘史 / 同左
陸軍出身、作戦二課創設初期時からのメンバー。二課の設立直後で仕事が無く苛立っていた時に、「義体の少女の世話をして給料が貰えていいじゃないか」と言うアマデオと口論となり、ナイフを取り出して喧嘩をしたことがあった。それを見たアンジェリカが身を挺して仲裁したことから、義体の効果が評価され二課に仕事を任されるようになった。オリガから『馬鹿ジョルジョ』と呼ばれるだけあり、直線的で前向きな男。
アルフォンソ
声:岩崎征実 / 渡辺秀雄
浅黒い肌。金髪をオールバックにし、顎ヒゲがある。任務で自動車の運転や自動車のチェックなどを行うことが多い。
ニハッド
声:土屋裕一 / なし
アラブ系の人種のようだ。キリスト教徒もしくはキリスト教圏の出身ではない。
マリオ
声:下崎紘史 / なし
内勤の課員。

作戦部

モニカ・マリア=ペトリス
声:赤土眞弓 / 吉沢希梨
社会福祉公社作戦部の部長を務める女性。作戦一課と二課を統括する。メッシーナ海峡横断橋会社のイザベラ・ダンジェロ理事長とは旧友。

作戦一課課員

ドラーギ
声:小村哲生 / 辻親八
作戦一課の課長。義体について否定的な見解を持っている。作戦二課を疎ましく考えており、二課を失脚させるように動くこともある。
ピエトロ・フェルミ
声:池田秀一 / なし
無精ひげを生やした男。エレノラとコンビを組む。ドラーギから指示を受け、エルザ事件を調査。調査結果を報告した後も、納得がいかずに休暇を取って独自に調査をする。ジャンによると、捜査員としてはなかなか優秀とのこと。少女を諜報や暗殺活動に使っていることに抵抗を感じている。
エレノラ・ガブリエリ
声:水野理紗 / なし
社会福祉公社作戦一課の若い女性課員。ラウーロとエルザの事件を調査。ピエトロとコンビを組む。マメな性格で、ピエトロに必要な下調べをいつもしている。

技術部

義体への改造、メンテナンス、技術開発を担当する。ほとんどが医師・医学博士である。

ベリサリオ
声:山崎たくみ / 真殿光昭
義体の条件付けを担当する。技術部の中心的な人物。4つの博士号を持っている。
ビアンキ
声:真殿光昭
フェルナンド・ビアンキ(Fernando Bianchi)。義体の精神面のカウンセリングを担当する。マルコーやパトリツィアの古くからの友人で、怪我により辞職して無職になっていたマルコーを自らの職場である福祉公社に引き入れた。

公安部

ロッサーナ
赤い髪(ロッサーナ)と呼称される公安部の伝説的な諜報員で、公社でもロッサーナと呼ばれ本名は不明。ローマのコロッセオで偶然アレッサンドロと出会い、人間観察能力を見込んで公安部に引き入れ、自ら師となる。アレッサンドロ以上に人間を観察し見抜く能力があり、別人になりすまし潜入工作をする能力にも秀でていた。任務の一環として恋愛とは無関係に肉体関係を結ぶこともあった。公安の中では個性を持たない「機械(マッキナ)」と呼ばれ、同僚からも距離を置かれていた。孤独を感じていたロッサーナを理解したアレッサンドロと恋仲になった。
仕事で肉体関係をもった男(政治家)との子を妊娠し、仕事に疲れていたことから中絶をせず、アレッサンドロにも知らせず密かに公社を離れてシエーナ県の農村(詳細なコムーネは明らかにされていない)に移り住み、産まれた娘をビアンカと名づけ公安部時代に私室に通っていた野良猫にもビアンカという名前をつけていた。育てながら隠遁生活を送っていた。逃亡後も居場所は公社の一部の幹部に知られており、時々仕事を名目的に請け負っていた。ビアンカの父親が政治信条を変更し北部分離派で力をつけてきたため、アレッサンドロとペトローシュカらの協力でビアンカと共に国外に逃亡した「交渉材料」としてロッサーナとビアンカの身の安全を確保するという意図がある
幼少時から自らの人格を空虚なものだと考えていたため、心の空白を埋めるべく膨大な知識と経験を身につけていった。そのため、自宅は各種の書籍などの資料で埋め尽くされた倉庫と化していたが、それでも満たされず、依然として空虚なままの自分を自嘲すらしていた。娘と暮らすことでようやく自分を得ることができた。
レスキリアン
社会福祉公社設立以前は内務省に所属しており、ロレンツォの部下だった。社会福祉公社の設立後、公安1課長に就任し、アレッサンドロ、ロッサーナのかつての上司となる。自身を「善良な個人であり、邪悪な組織人」と評する。
エンツォ
声:なし / 土屋大
公安部ローマ支局の課員。黒髪短髪で、髭が濃く剃り跡が青々している。娘はもう夜遊びを覚える年頃という中年男性。
荒事が得意な支部の課員が別件の爆弾テロを警戒して国立競技場の警備に動員されたことで、エンリコ逮捕の協力を二課に要請しジョゼと行動する。その後、ガニエ大佐の暗殺エピソードでも登場し、二課の作戦の後の後始末を愚痴っていもいる。
アルトマイヤー
声:なし / 土屋大
公安部ヴェネツィア支局の課員。ドイツ系で、ヴェネツィアでの居心地は良くないとのこと。情報収集が主で、実戦は苦手。逆に五共和国派の根絶やしに留まる事を知らないジャンに驚く。アニメ第二期に特別に登場するキャラクター。

五共和国派(パダーニャ)

アーロン・チチェロ
クローチェ事件の実行グループに近い活動家。その存在は政府も捕捉しており、サンドロ・ペトローシュカ組の内偵により公社が身柄を確保。拷問でも自白しなかったことから、廃人となる可能性が高い非抑制型自白剤を用いられて実行犯などの情報を訊き出された。
ルチャーノ
五共和国派の要注意人物リストB3011番。ルチャーノという名前は通称。物品調達係。ジャンらが来ていたビエモンテ州マッジョーレ湖で偶然居合わせた。クローチェ事件の担当検事を暗殺した犯人が湖の対岸のスイスに逃亡しようとしており、必要物資を手渡した。ジャンにより強引に身柄を確保された。
ピノッキオ
声:なし / 岸尾だいすけ・洞内愛(幼少期)
クリスティアーノに飼われている殺し屋の少年。トリエラと対等以上に渡り合った数少ない人間。少年の頃に地下室に監禁されており、クリスティアーノに保護されて育てられる。その恩を返すために殺し屋となる。初めての仕事で、殺人現場を標的の娘に見られてしまったことから、殺害。それがトラウマとなって少女を苦手とするようになった。高い身体能力と天才的な殺しの能力を持ち殺しの技術は一通り備えているが、その中でもナイフの扱いに秀でる。
トスカーナの中心地であるモンタルチーノに潜伏し、周辺ではピーノとの愛称で呼ばれていた。潜伏していた家屋に調べに入ったを公社作戦1課のコーエンを殺害。その後、フランカ・フランコが合流しに尋ねてくる。アウローラが家に忍び込んでしまったために捕らえられ、アウローラの救出で侵入してきたトリエラにフランコの援護もあり完勝する。しかし前述のトラウマ故に留めを刺すことが出来ずに見逃してしまう。
登場当初は感情表現の少ない無機質な青年だったが、フランカとフランコとの交流で、人間性を取り戻していく。クリスティアーノへの愛情からクリスティアーノの命令を無視してクリスティアーノ救出に向かい、二人は初めて親と子に近い関係であったことを確認し合う。しかし、雪辱に燃えるトリエラと再び死闘を演じ相打ちとなり絶命する。
クリスティアーノ・サヴォナローラ
声:龍田直樹 / うえだゆうじ
五共和国派の正統派派閥ミラノ派の中堅幹部。ミラノでは名士として通っている。サヴォナローラはジロラモ・サヴォナローラからちなんだ偽名と公社は考えている。ただの少し裕福なチンピラと自らを卑下しているが、イタリアへの侮辱だとして美術館や教会などでの襲撃や携帯電話を使わせないようにしている宗教や芸術など文化への理解者でもある。用心棒ジョンと共にピノッキオを育てる。ピノッキオに対して利用するだけの打算の関係だとしていたが、愛情をもって接していた。
五共和国派の中心だったミラノ派に失態が続き、他の派閥に主導権を取られかねない事態になった。そのためにミラノ派内部で責任のなすりつけが起こり、クリスティアーノにその役目を負わされて当局に売られた。クリスティアーノも自身も今までの失態の責任を感じてそれを受け入れ、一部を残して使用人を解雇し、屋敷で当局の手入れを待っていた。逮捕を担当したのが公社で、ただのチンピラではないと興味を覚えた作戦部長から殺さないで逮捕するように指示されていた。屋敷に戻ってきたピノッキオの説得で考えを変え、再起のために海外に逃亡することを決意しフランカたちと共に脱出を試みるも、車ごと崖から川に転落した。
ミラノ派幹部によるジョバンニ・クローチェ暗殺の指示には異論を持っていたが実行し、実行にエジプト政府に拘束されていた活動家ジャコモを救出し、依頼する。サンマルコ広場の鐘楼籠城事件の後、ジャコモがクリスティアーノを訪ねて来たが、クリスティアーノは全身不随となっておりブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)で会話などを行っていた。その姿を自ら醜態と称しており、それでもなおイタリアの未来を見届け、そして息子(ピノッキオ)と仲間(フランカとフランコ)の復讐の為だとしている。
ジョン・ドゥ
声:なし / 樫井笙人
クリスティアーノの用心棒兼殺し屋。自称:元CIAの工作員。暇なときは車の屋根の上で寝て、作戦中でも酒を手放さない。ピノッキオの暗殺技術の師匠でもある。ピノッキオのエピソードが始まる以前に抗争で亡くなっている。殺し屋になるなら情を捨てることを教えた。自分の分身をこの世に残すようなもので面白いとしていたが、しかし自身がピノッキオに殺しの技術を教えるのは愛情の一つであるともしていた。
なお「ジョン・ドゥ」は、アメリカで本名が明らかになっていない男性に対する便宜的な呼び名として用いられる名前でもある。参考:名無しの権兵衛、:en:John Doe
フィリッポ・アダーニ
声:西村仁 / なし
会計士。絵描きを志望していたが、絵の才能が無かったことと数学が得意だったことから父の仕事を継ぐこととなった。父は富豪ピリアツィ氏の経理を担当しており、脱税に加担して工面した資金を五共和国派のテロリストの活動資金になっていることを知る。しかし無賃乗車も駐車違反もしたことがない性格から告発を計画したが、刺客に殺されると予想してその前にフィレンツェもう一度訪れた。その情報を察知したジャンとリコがフィリッポに接触し、刺客に追われ銃撃を受けるも公社に保護される。
バルナバ
五共和国派のヴェネツィア派のサンマルコ広場の鐘楼の籠城事件で籠城した12名を率いる部隊のリーダー。開戦直後は鐘楼北側のジャンの居る時計台に小銃で攻撃を加えていたが、トリエラとベアトリーチェが南側を登壁していると報告を受けて駆け付け、ロケット砲でベアトリーチェを狙撃するが、トリエラの転機で失敗に終わる。自ら撃ったロケット砲弾の爆発で怯んだ隙にトリエラが展望台への突入を緩し、小銃に持ち変える隙にトリエラに胸部を撃たれて倒される。
グイド
五共和国派のヴェネツィア派のサンマルコ広場の鐘楼の籠城事件で籠城した部隊のナンバー2。巡航ミサイルの弾頭の無線起爆スイッチを与えられており、もしもの場合には自爆することになっていた。バルナバを倒したトリエラに小銃を向けて銃撃するが、それを躱したトリエラに接近され、短剣に持ち帰るもトリエラに剣で倒される。起爆スイッチを入れて絶命。
レオナルド・コンティ
声:なし / 高階俊嗣
雑誌記者で、福祉公社についてパトリツィアと調べていた。実は五共和国派の一員であり、それがマルコーに発覚した際、パトリツィアを人質にしたが、アンジェリカの活躍により逮捕された。
マンジェロ・マリノフ
声:なし / 上別府仁資
ローマのブローカー。活動家になりたいと志願してきたフランカに対し、フランコを紹介した。フランカはおじ様と呼んでいたが、血縁などは不明。公社作戦1課は彼を「あんなブローカー」と称していた。
ブルーノ
声:なし / 高瀬右光
死体を処理する掃除屋。殺人には関与しない。妻と息子アントニオがいる。この仕事に嫌気が差しているが、家族を養うために続けている。クリスティアーノの一派の下っ端が吐露したことで、公社作戦2課に身柄を拘束される。
ヴィンチェンツォ
声:なし / 前田武
ブルーノの助手。ブルーノの運転する防弾仕様のフェラーリに乗っていたところ、公社に襲撃され反撃しようと窓から身を乗り出したところをリコの銃撃を受けて死亡。
セルジョ・アイマーロ
声:なし / 水野広一
ウーゴ・カルシュマンという偽名で、5年前から誘拐の対象であったメッシーナ海峡横断橋を建設する企業のトップであるダンジェロ理事の警護担当していた。五共和国派の潜伏工作員。

フリーの活動家

ジャコモ=ダンテ
クローチェ事件の主犯で、ジャンとジョゼの復讐の相手。少年の頃からの活動家として名を知られており、18歳のときにイタリア北部のヴィチェンツァのアメリカ軍キャンプで起こした極左テロが最初だとされている。逮捕された翌年に拘置所から脱走。1993年に海軍のミサイル駆逐艦を攻撃。1999年には極右勢力の環境大臣の誘拐を主導したとされる。
理由は不明だが、ジャコモを護送していたエジプトの巡視艇ディムヤートが地中海を航行中に、海賊救難信号を発信した船舶に接近したところ巡視艇はピノッキオとジョン・ドゥに襲撃され、ジャコモは救出される。ジャコモは救出を望んではいなかったが、五共和国派の極右勢力の一人クリスティアーノ・サヴォナローラからジョバンニ・クローチェの殺害の依頼を受ける。クローチェ事件を起こした後、長らく逃亡してアフリカに潜伏していたが、新たなテロを引き起こすためイタリアへ舞い戻る。
過去に右翼でも左翼でも活動していたことから、当局は無政府主義者としている。しかしアレッサンドロは、才能の自己顕示の行動だと見ている。特定の思想を持たず、自分の目的は闘争そのものだとしている。目的の達成のためなら人種民族などに拘らない。リーダー性とカリスマ性を持っており、主義・主張を異とするも目的を同じくする者らを五共和国派の垣根を超えて各派を統べる。
アシク
ジャコモ=ダンテの右腕となる黒人活動家。五共和国派は黒人を差別しているが、ジャコモに対してアシクを使用する理由を訊かれたときにアシクは器用だからだと説明している。
フランカ
声:横山智佐 / 平田絵里子
「フランコとフランカ」として有名なフリーの爆弾テロリストの女。本名はカテリーナで、フラスカーティの農園なども営む裕福な家庭の生まれ。パトリツィアとは大学の友人同士で、当時ローマの警官だったマルコーを紹介した。冤罪で投獄された父を救い出すため、中途半端を嫌って大学を(休学ではなく)中退し、何度も裁判に挑んだが何も進展せず、父は不審な獄中死を遂げた。父親の名誉回復と政府への復讐、そして世の中を変えるために活動家となる。活動家になるに際しパトリツィアには事後にその経緯を明かした。活動に加わるために活動家に接触するも、たらい回しされた末に厄介払いでフランコを紹介された。フランコを訪ね、生きる情熱を失っていたフランコを焚き付けてコンビを組む。フランカの偽名は、爆弾仲間であるニノらにフランコが紹介した時に名前を訊かれ、フランコが咄嗟に名付けた。
クリスティアーノの依頼を受け、フランコと共に五共和国派に与することとなる。最初の依頼はスペイン広場での無差別爆破テロで使う爆弾の製造で、一般人を巻き込むのは自らの主義に反するとして偽物の爆弾を渡そうとするが、爆破計画が漏れたことで爆弾の引渡しは行われなかった。次にメッシーナ海峡横断橋の建設中止のための活動を指示され、クリスティアーノ子飼いの殺し屋ピノッキオと組ませられる。合流した三人は横断橋爆破を計画するが、公社など体制側の執拗な妨害に遭い、計画は難航する。度重なる失敗の責任を負わされたクリスティアーノが組織内で失脚することを知らされたフランカは、彼を救うため拙速ながら実験橋の橋脚を爆破しようとするが、ジョゼとヘンリエッタに妨害され不十分な結果に終わる。翌日、ピノッキオはクリスティアーノを助けに屋敷へ向かい、フランカとフランコは逡巡するが結局彼を追うことに決める。屋敷へ急行した二人は公社に捕まったクリスティアーノを門前で奪還して車に乗せ逃走を試みるが、アンジェリカに狙撃されて致命傷を負い、車ごと崖から川に転落した。生還したクリスティアーノによると死亡とのこと。
目的のためには手段を選ばない活動を良しとせず、無関係な人を巻き込まない主義に徹した。場合によっては他のテロリストに対し、依頼された爆弾の偽物を渡そうとしたり、当局に通報したりもしている。自分らを目撃した少女の殺害を提案したピノッキオを言い含めたり、負傷したピノッキオを気遣い手当てしたり、苦しんでいる妊婦