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HELLSING/平野耕太

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著者: 平野耕太
巻数: 10巻

平野耕太の新刊
HELLSINGの新刊

最新刊『HELLSING 10


出版社: 少年画報社
シリーズ: YKコミックス


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

Hanseimal #読んだマンガも人間性に影響するらしいのであなた人生のベスト10を教えて 真・女神転生デビルチルドレン サイボーグクロちゃん HELLSING 突撃!パッパラ隊 忘却の旋律 鋼の錬金術師 ドキばぐ 白竜 アクメツ 代紋(エンブレム)take2 暴力濃いめ
otona_manga_bot No.92 (順)次の文字列を順に選んで漫画「HELLSING」の登場人物のフルネームにしなさい⇒インテグラル→ファルブルケ→ウィンゲーツ→ヘルシング
souennkk 募)オススメの漫画 好み:シノハユ キルミーベイベー ドリフターズ 今日の5の2 藤村くんメイツ 大魔法峠 スパイラル H2 ひだまりスケッチ HELLSING Felice グラゼニ ※進撃の巨人、ワンピースなどの人気作、元々は別媒体だったものを漫画化したのは苦手です。
yandere_love20 【定期】好きなアニメ、1つでも被ったらRT→ HELLSING、星のカービィ、xxxHOLiC、魔法騎士レイアース、みつどもえ、勇者王ガオガイガー、幽☆遊☆白書、横山光輝 -三国志-、よんでますよ、アザゼルさん。、らき☆すた  #RTした人全員フォローする  #相互希望
leobladedcd HELLSINGマンガ全部そろえて外伝の小冊子も手に入れてドリフターズも買ってるんですよ!?!?!?

HELLSING』(ヘルシング)は、平野耕太による日本の漫画作品。『ヤングキングアワーズ』(少年画報社)に連載されていた。

概要

少年画報社の『ヤングキングアワーズ』誌に27号(1997年5月2日発売)から2008年11月号まで連載されていた。

主に20世紀末のイギリスを舞台とし、大英帝国の王立国教騎士団、通称「ヘルシング機関」と、これに所属するインテグラ、アーカード、セラスの3人を主軸に展開する吸血鬼と吸血鬼ハンターとの戦いを描いたバトル漫画である(但し、アーカードとセラスは吸血鬼でありながら吸血鬼狩りを生業としている)。「平野節」と呼ばれる作者独特の過激な台詞回しが大きな特徴。また、1944年のワルシャワを描いた外伝『THE DAWN』がある。

外伝『THE DAWN』は、現在6話まで存在しているが、連載していた『ヤングキングアワーズプラス』が休刊したため未完であり、単行本にも未収録となっている。

題名の「ヘルシング」はブラム・ストーカーの恐怖小説『吸血鬼ドラキュラ』の登場人物ヴァン・ヘルシング教授に由来し、ヘルシング教授の子孫が主人公の1人インテグラとされる。ただし、ヘルシング教授の名前の綴りは“Helsing”である。

作者本人の過去の作品からの登場人物(名前、外見問わず)の流用が多く、また、ナチスの残党やイスカリオテ機関などの設定の原型も同様に見られる。また、「HELLSING」のタイトルで、ストーリーもほぼ第1話に沿った作品が過去に『COMIC快楽天』の読み切りとして存在している(連載版との相違点は、アーカードが白木のクイを放つライフルを所持している、非処女でも吸血鬼になるといった設定の違いなど)。

2001年にゴンゾ・ディジメーションによってテレビアニメ化され、その後は2005年にサテライトによってOVA化される。

米国では、2003年から英訳単行本7巻が刊行され、2006年には大手出版業界関係とNBCの協力で行われる「クィル賞」の「読者が選ぶベスト本」ベスト・グラフィックノベル部門に『NARUTO -ナルト-』と並んでノミネートされた(受賞は『NARUTO -ナルト-』)。

また、日本でも2006年「日本のメディア芸術100選・マンガ部門」で22位に選ばれている。

ストーリー

20世紀末、英国では不可解な吸血鬼事件が頻発し、王立国教騎士団・通称「ヘルシング機関」がその対処にあたっていたが、ヘルシング本部が強襲されるなど多大な被害を受ける。一方、犬猿の仲であるヴァチカン及びその直属「イスカリオテ機関」と紆余曲折を経て協力関係を持ち、事件の黒幕が南米に逃れたナチス残党による組織「ミレニアム」だと知る。

ブラジルでの戦闘を経て、「ミレニアム」の正体が先の大戦末期にヘルシング機関が潰した「少佐」と呼ばれる男の部隊であると分かる。少佐は英国王室の会議で宣戦布告を行ない、その場にいながら少佐から無視されたイスカリオテ機関は、英国とミレニアムを共に潰そうと画策する。

そして、ミレニアムは1,000人の吸血鬼部隊を率いて再び英国本土を強襲、これに乗じたヴァチカン教皇庁の第九次空中機動十字軍3,000人も加わり、ヘルシング機関を合わせた三つ巴の大戦争が始まる。

登場人物

ヘルシング機関(王立国教騎士団)

大英帝国と英国国教会(プロテスタント)を反キリストの化物から護る為に組織された。その長はヘルシング家の当主が務めるため、通称ヘルシング機関と呼ばれる。本部もロンドン郊外にあるヘルシング家の屋敷である。

吸血鬼アーカードや若き日のウォルターなどが吸血鬼退治に当たるが、一般戦闘員も多く抱えていた。しかし、ヴァレンタイン兄弟による本部襲撃で、人員は数名を残して殆どが死亡。その後、ベルナドット率いる傭兵部隊を充ててカバーしている。

アーカード
声 - 中田譲治
圧倒的な強さを誇る吸血鬼。ヘルシング機関における化物に対する鬼札(ジョーカー)と表現される存在。物語開始時点では当主インテグラに使役されている。容姿は黒い長髪に長身の成人男性。サングラスをかけている。普段は赤いロングコートと大きな帽子が特徴だが、隠密行動の際には比較的現代的なスーツ姿になったこともある。
大英帝国女王に対しても対等に振舞う傍若無人な性格。インテグラの命令を受けて、吸血鬼でありながら吸血鬼狩りを行なう。吸血鬼なので主食は血液であるが、普段は輸血用パックにストローを挿して飲んでいるなどの描写が見られる。
武器には白い拳銃「454カスール カスタムオートマチック」と、黒い拳銃「ジャッカル」の二丁拳銃を用いる。人知を超えた強大な強さを誇るが、普段は『拘束制御術式(クロムウェル)』と呼ばれる封印をかけ力を制限されている。能力はほぼ一般の吸血鬼の設定に準じるが、今までに吸った血(命とも解釈できる)が膨大であるために超常の能力・不死性を持ち、特に不死性に関しては頭や心臓を潰されても死なないというほど。完全に彼を殺すには、彼が今までに吸った数十万、数百万ともつかない数の命をすべて殺し、その上で心臓を潰す必要がある。
100年前にある1人の女を求めてロンドンに侵攻するが、ヘルシング教授とその仲間達4人によって倒され、その後はヘルシング家に使役される存在となる。先代アーサーの時代に地下に封印されたが、ヘルシング家を継承したばかりのインテグラの血をその身に受けて復活し、現在に至る。
名前や描写、後述の回想などから、その正体はヴラド・ツェペシュであると思われる。かつては人間であり、一国の王として軍を指揮するも敗退し、敵に捕らえられる。処刑場に引き出されるに至っても尚自分の人生の結末を受け入れられなかった事で彼に魔が引き寄せられ、彼もそれを良しとした為に、処刑された瞬間に人間から吸血鬼になる。
怪物・化物としての狂気じみた言動が多く、戦うことを至上の喜びとしているかのように振舞う。敵を無慈悲に葬る冷徹な性格の一方で、茨の化物になったアンデルセンや吸血鬼化したウォルターに、「化物とは人間でいることに耐えられなかった弱い生き物である」というような言葉を述べるなど、人間に対してある種の憧憬の念を抱いており、化物を倒す事ができるのは人間だけであると考えている。自分がそうであるように、粛々と受け入れるべき結末に対しみっともなく足掻いた挙句に生き延びようとする事は、己の義務と責任を放り出す行為であると考えており、ナチス残党に対しても自嘲に近い不快感を覚えている。
第二次ゼーレヴェ作戦では、洋上の英国空母を乗っ取ったミレニアムの分隊を殲滅する為にロンドンを離れ、その間にミレニアム本隊のロンドン侵攻を許す。ほぼミレニアムと十字軍が存在するだけの壊滅状態のロンドンに帰還すると、インテグラの命により『拘束制御術式 零号』を解放し(自分の持っていた数百万もの命を総て解放する事。「死の河」とも呼ばれる)、瞬く間に戦局をひっくり返す。そして宿敵と認めたアンデルセンを倒し、若返ったウォルターも退ける。しかし、ロンドンを覆い尽す死者達から血を吸収した際、自ら命を絶ったシュレディンガーの血も取り込んだためにシュレディンガーの能力が付与され、自己を認識できなくなり消滅。その後何とか自らの身体を再構成し、30年の歳月を経て再びインテグラの前に姿を現す。
名前のアーカード(Alucard)ドラキュラ(Dracula)の逆綴りである。
インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング
声 - 榊原良子(幼少時:水橋かおり)
ヘルシング家当主。英国国教騎士団長で円卓会議の一員。長い金髪、褐色肌の眼鏡をかけた女性。通称インテグラ。アーカードの主人。
威圧的な人物で、よく葉巻を咥えている。物語の前半では非常時などに焦りや弱さをのぞかせることがあり、少佐からは「戦争処女(アマチュア)」と揶揄されたが、基本的に強靭かつ沈着な性格で、最終的な決断は全て自らの意思で下した。
最初のアンデルセンとの対峙や第二次ゼーレヴェ作戦下で見られるように、武器としては剣を使う。アンデルセンの一撃を受け止めたり、吸血鬼の首を落としたりと、腕は相当に立つようである。
10年前に父・アーサーの遺言で家を継ぐが、それを良く思わない叔父・リチャードによって命を狙われる。ヘルシング邸地下に追い詰められた際リチャードに撃たれたが、飛び散ったインテグラの血が偶然アーカードの封印を解くことになり、彼の主人となると同時に叔父を殺し、名実共にヘルシング家の当主となる。
第二次ゼーレヴェ作戦においては、その身柄を狙う武装神父隊にふてぶてしい態度で正面から臨み、その態度を面白がったアンデルセンに護衛されながらヘルシング本部へと向かう。アーカード到着、及びアンデルセンの死亡後には、少佐の招きを受けて、セラスと共にミレニアムの旗艦デウス・エクス・マキナに乗り込む。少佐との一騎討ちでは左目を銃撃され負傷するもこれを打ち倒す。
2030年には負傷した左目に眼帯を付けているが、ヘルシング家当主としては健在。一家が国の一機関を統括するのは時代遅れだとし、自分の死後は通常の国家機関とする意思を示している。
セラス・ヴィクトリア
声 - 折笠富美子
アーカードの眷族の女吸血鬼。元々は警官であったため、通称は「婦警」。金髪で胸が大きいのが特徴。後述のチェダース村事件の際にアーカードに血を吸われて吸血鬼化、ヘルシング機関員となる。
アーカードを「マスター」と呼び、基本的にアーカードの従者のような立場にいる。戦闘に関しては専用武器「ハルコンネン」、第二次ゼーレヴェ作戦下では「ハルコンネンII」を用いるが、警官時代の組み手や吸血鬼としての基礎能力による格闘戦なども行う。
見た目は美人であるが性格はどこか気弱で、吸血鬼であることに対しての気後れや戸惑いなどが見られる。そのためたとえ輸血用の血液であっても血を飲むことを拒否し、アーカードの行動にも付いていけないことがある。対して激昂すると並の吸血鬼やグールなど敵にならないような戦闘力や残虐性を発揮する。その素質はアーカードはもちろん、なぜかミレニアムのリーダー「少佐」も気付いていた。アーカードに「おっかなびっくり夕方を歩く奴」と言われるように、作中では人と吸血鬼の間を漂うような存在となっている。また、作品のコメディリリーフ的な役割も果たしている。
幼い頃、警官だった父親の命を狙った2人組の犯罪者に自宅を襲撃され、目の前で両親を殺された上、自身も瀕死の重傷を負う。孤独な幼少時代を過ごした後、周りの反対を押し切って警官となる。その後、吸血鬼の牧師が起こしたチェダース村事件に警官隊の一員として派遣されて瀕死の重傷を負うが、(処女であるため)血を吸われて吸血鬼になるかそのまま死ぬかの選択肢がアーカードによって与えられ、吸血鬼になることを選択した。表向きはチェダース村事件で行方不明ということになっている。
第二次ゼーレヴェ作戦ではベルナドットと共にヘルシング機関の防衛任務を負い、ゾーリンの部隊を迎え撃つ。ゾーリンとの戦いでは左腕を斬り落とされ、目を潰されるなどの瀕死の重傷を負うが、ベルナドットの遺言に従って彼の血を吸い、アーカードの眷属に相応しい吸血鬼として覚醒。ゾーリンを難なく倒しアンデルセンも感嘆するほどの存在となる。また切られた腕は不定形の黒い霧のような物に変えられるようになり(最終回では「影」と呼ばれている)、翼に変形して空を飛ぶなどの能力も得る。そして、インテグラと共に旗艦デウス・エクス・マキナに乗り込み、自分の中のベルナドットと協力しながら大尉を倒した。
2030年には不在のアーカードに代わって、かつての彼の様な位置にいる。切り落とされた腕は再生していないが、通常の腕と同じ状態を保てるようで不自由ではなさそうである。また、その影をヘルシング本部に張り巡らし、訪問中のイスカリオテのメンバーを監視していた。
ウォルター・C(クム)・ドルネーズ
声 - 清川元夢
ヘルシング家の執事。先代ヘルシング卿の頃よりヘルシング家に仕える老人。現在でこそ老成しているが、若い頃は口が悪く煙草も吸う「悪ガキ」であった。
「死神」の異名を持ち、かつてはヘルシングの先兵として吸血鬼狩りを行なっていた。得物は極細の鋼線であり、これを自在に操ることであらゆる物を切断し、時には編みこむことで銃攻撃すら防ぐ盾としても活用する。55年前の若き日にはアーカードと共にナチスの吸血鬼研究機関を壊滅させており、その際に現在のミレニアムの原型となる少佐の部隊と交戦している。
ヴァレンタイン兄弟がヘルシング機関本部を強襲した際は、セラスと共にヤン率いる武装したグールの軍隊を一掃する活躍を見せる。そして第二次ゼーレヴェ作戦では英国安全保障特別指導部本営の裏切り者を一掃し、インテグラを護衛してヘルシング本部へ向かう。その途中で因縁深い大尉と対面し、インテグラを逃がして自らはその場に留まった。その後、経緯は不明だが、アーカードと闘いたいという理由でミレニアム側に寝返り、余命幾許も無いというリスクを負ってまで、かなり無茶な吸血鬼化の施術を受ける。吸血鬼化し若返った際の能力は、高層ビルを切り倒し、由美江を瞬殺する等、老いた時とは比べ物にならぬ程で、アーカードとも互角に渡り合う。しかし、倒す寸前まで追い詰めながらも、無茶な施術のせいで身体維持に問題が発生し始めたことや、アーカードが再び血を吸い多くの命を取り込み始めた為、己の手でアーカードを滅ぼす機を永遠に失う。
アーカード消滅後、彼を自分で殺すことが出来ずに放心状態だったところをハインケルに狙撃される。一時、そのまま殺されることを受け入れようとしたが、幕引きのために旗艦デウス・エクス・マキナに向かう。そこで逃亡しようとしていた博士を殺すと、燃え尽きる飛行船と運命を共にして死亡。
いつからヘルシングを裏切っていたかについては詳細は不明。
ピップ・ベルナドット
声 - 平田広明(少年時代:五十嵐裕美)
ヴァレンタイン兄弟の襲撃によって壊滅状態となったヘルシング機関の兵の補充のために雇われた傭兵部隊の隊長。左眼の眼帯がトレードマーク。
10代前から傭兵を家業としている家の出で、父親も傭兵として戦死している。一見軽いノリの青年だが、後述のように優秀な傭兵である。危険な状況下でも、洒落っ気のある言動は忘れず、部下達からは慕われている。
主な武器はAK-74やコルトSAAなどの銃器。ブラジル編では混乱の最中、単独で敵司令部を壊滅させ、さらにアーカードの次の動きを読んでヘリの奪取を実施する。続く第二次ゼーレヴェ作戦下では、ヘルシング本部の防衛任務を負い、卓越した指揮で敵吸血鬼部隊に大打撃を与えるなど、傭兵としてその戦闘能力は非常に優秀である。
第二次ゼーレヴェ作戦下では、先述のように敵部隊に大打撃を与えるもののゾーリンの幻術によって一転、窮地に陥る。その後、ゾーリンとセラスの戦いの際にセラスを庇い致命傷を負う。自らの血を吸えとセラスに告げて死亡し、彼の血を吸ったセラスは本物の吸血鬼として目覚めた。その後、セラスの命と同化した状態となり、対大尉戦ではセラスに助言したり鼓舞したりし、最後に大尉に致命打となる「銀の差し歯」を打ち込んだ。
原型となったのは『COYOTE』の主人公ピップ・ボルナードだが、そちらでは眼帯は無く、アンデルセンと同じ銃剣を愛用武器としていた。
アーサー・ヘルシング
声 - 大塚周夫
インテグラの実父。先代ヘルシング機関当主。本編では故人。アイランズ卿とはオックスフォードの同窓生で盟友。
1944年、ナチスドイツ占領下のワルシャワに、アーカードと若き日のウォルターらを派遣し、ナチスの吸血鬼部隊及びアンデッド研究機関を壊滅させる。英国国教騎士団局長に就任後の1969年、対化け物用に使用するにはあまりに強力すぎる等の理由で、アーカードをヘルシング機関ロンドン本部地下に封印している。その20年後の1989年に死亡(死因は不明)。
外伝で登場した若い頃は、破天荒で大酒飲みの女好きという放蕩の青年であった。

大英帝国円卓会議

アーサー王伝説の円卓の騎士に倣い英国王室に忠誠を誓う政治家、貴族、軍人など12人の政財界の重要人物で構成された組織。インテグラもこのメンバーの1人。

ヒュー・アイランズ卿
声 - 水野龍司(TV版)/堀勝之祐(OVA版)
円卓会議議長で中心人物の老人。先代ヘルシング卿とはオックスフォードからの同窓で、アーサーと呼ぶなど仲が良かったと同時に、彼の余りに破天荒な性格に苦労していた。尚、少佐の宣戦布告時には「邪魔をしないでくれ若造」と軽くあしらわれている(OVA版ではカットされている)。
2030年には、彼の曾孫が後を継ぎ、円卓会議の一員として登場している。
シェルビー・M・ペンウッド卿
声 - 北川勝博(TV版)/広瀬正志(OVA版)
円卓会議の1人で英国海軍中将。第二次ゼーレヴェ作戦では英国安全保障特別指導部本営の将軍として本営を構える。人外の多い本作品において、最も端的に描かれた「人間」の1人である。
ヴァレンタイン兄弟による円卓会議強襲時には、弱音を吐きながらも拳銃を構え、円卓会議の一員としてヤンを迎撃する。ミレニアムのロンドン侵攻の際には「自分以外の者は全員脱出しろ」と震えながら発言するも、結果的には多くの部下達が任務を果たすために残ったことから、部下からは慕われていたことが伺える。
円卓会議の若いメンバーや一部の人間からは、円卓会議の中の内通者として疑われていたが、アイランズ卿など古参のメンバーからは「裏切る前に自殺してしまう」「無能だが男の中の男」と人格を高く評価され、本人も「私は無能かもしれんが、卑怯者ではないよインテグラ」と言っていた通り、裏切り者ではなかった。
第二次ゼーレヴェ作戦によってロンドンに侵攻した吸血鬼の武装親衛隊に部下達と防戦した。最期は本営内に突入してきた吸血鬼達を巻き込んで自爆、死亡。
回想シーンで幼少時のインテグラと対峙した際すらも気弱な面を見せたが、それ自体が笑いを誘う、基本的にコミカルなキャラクターだった。
2030年には、彼の孫が登場。やはり祖父と同様気弱な性格で、インテグラにヘリコプターの代金を要求され、断れずに泣いて逃げ帰った。
ロブ・ウォルシュ中将
円卓会議参議。アイランズ卿、ペンウッド卿とは共通の友人。老体だが眼光は鋭い軍人。
第二次ゼーレヴェ作戦では、女王の近衛隊としてロンドン郊外にいる。アイランズと共にヘルシング機関を信じ、ミレニアムへの対抗策である核ミサイル発射計画を遅延させていた。2030年には退役大将となり、円卓会議議長に就任している。

イスカリオテ機関(ヴァチカン法王庁特務局第13課)

ヴァチカンの法王庁特務局第13課、通称「特務機関イスカリオテ」。作中でヴァチカンには十二使徒の名を冠した12の課が置かれていることになっており、イスカリオテはその活動内容ゆえに秘匿され、表向きは存在しない13番目の課である。

裏切者イスカリオテのユダの名を冠し、ヴァチカンの保有する唯一にして最強の戦力であり、カトリックの地上における神罰の代行者として、悪魔、化物、異教、異端の殲滅を存在目的とする。英国国教会(プロテスタント)の守護者であるヘルシング機関とは対立していたが、第二次世界大戦末期に一部のヴァチカン関係者がミレニアムと関係があったことを知らせ、ミレニアムに対抗するために呉越同舟の共同戦線を張る。

ミレニアムのロンドン侵攻に乗じて英国を裏切り、第九次空中機動十字軍の召集及び第九次十字軍遠征「熱狂的再征服(レコンキスタ)」を発動。英国を再びカトリックの支配下に置くためにロンドンを強襲する。しかし、先遣の武装神父隊(アンデルセン)の命令拒否や、アーカードの「死の河」開放によって戦局が悪化し、総司令官のマクスウェルは死亡。アンデルセンにより第九次十字軍失敗が宣言される。結果、イスカリオテ機関及びヴァチカンは大半の戦力を失うこととなる。

2030年には間久部機関長の下で再編されている。

エンリコ・マクスウェル
声 - 田中秀幸(TV版)/速水奨(OVA版)早水リサ(OVA版幼少時)
イスカリオテの機関長。第九次十字軍を指揮した際に司教から大司教へ昇格。非常に傲慢な性格で、カトリックの絶対性を疑わない狂信者。
物語前半ではヴァチカン代表として英国との情報交換に顔を出した。かつてミレニアムを支援していた教会内部の背教者達の粛清も担当していた。第二次ゼーレヴェ作戦に際し第九次十字軍を率いて参入し、これまで手を組んでいた英国を裏切って、ロンドン市民に対する無差別な殲滅戦を行ない、当初彼を全く相手にしなかった少佐はロンドン侵攻時には一転して「やればできる子」と評価した。
妾の子として親に捨てられ、幼少期はアンデルセンの勤める孤児院で過ごす。そのため己を疎む全てを憎み、それらを見返すための上昇志向が強い。第九次十字軍の長及び大司教に昇格した際の台詞に、その気質がよく表われている。狂信者ではあるが、同じ狂信者であるアンデルセンには、その拠り所が「神」ではなく「神の力」だと看破され、後述の粛清を招くこととなる。
「死の河」開放後、劣勢に立たされる中でも変わらず進撃命令を繰り返したが、護衛ヘリを撃破され亡者の只中へ落とされる。守りの硬化テクタイト複合強化ガラスの壁もアンデルセンに破られ、亡者達の手で串刺しとなって死亡。
単行本の巻末に収録されている短編『CROSS FIRE』にも登場する。その頃の容姿は眼鏡や髪型などがインテグラに近いデザインだったが、キャラがかぶるため変更された。
アレクサンド・アンデルセン
声 - 野沢那智(TV版)/若本規夫(OVA版)
イスカリオテの神父。ヘルシング機関におけるアーカードの様な存在で、対化物用の鬼札と言われる。「聖堂騎士(パラディン)」「銃剣(バイヨネット)」「天使の塵(エンジェルダスト)」「殺し屋」「首切り判事」「リジェネレーター」など数多くの異名を持つ。また、作中アーカードが唯一「宿敵」と呼んだ人物である。
普段は温和で優しい神父で、孤児院に勤めている。子供達に慕われているが、その裏の顔はマクスウェルに輪をかけた狂信者であり、子供達の喧嘩を仲裁した際には「暴力を振るって良い相手は悪魔(バケモノ)共と異教徒共だけです」と述べる。なお同じ機関員であるマクスウェル、ハインケル、由美江などはこの孤児院の出身である。孤児院の子供達には深い愛情を注いでおり、マクスウェルとインテグラの会談が行われた美術館に「子供達を連れてこよう」と言った時には晴々とした笑顔を見せていた。
生身の人間でありながら生物工学の粋を凝らした「自己再生能力(リジェネレーション)」と「回復法術(ヒーリング)」により、たとえ頭を銃で撃たれても致命傷とならない。武器は大量の銃剣(銃に装着せずそのまま手に握る)で、単純に刀剣としての格闘以外にも投擲武器としても使用し、鎖に爆薬と共に括りつけて攻撃する「爆導鎖」などバリエーションがある。また聖書のページを護符のように利用し、結界を張ったり突然の出現・撤収を行なったりもする。
第二次ゼーレヴェ作戦の発動時、十字軍本隊に先駆け、武装神父隊を率いて英国に上陸する。マクスウェルの行動を「神ではなく神の力に仕えている」とし、自らの意志を以て独自行動を取る。最終的にアーカードの「死の河」によって十字軍が壊滅する中、マクスウェルに実質的なとどめを刺して殺し、第九次十字軍遠征失敗を宣言した。
その後、アーカードに闘いを挑み、ついには切り札として用意した聖遺物「エレナの聖釘」を自らの心臓に刺した。人間であることを捨て、棘の化物としてアーカードを追い込むも、最終的に心臓を握り潰され、地獄での再会をアーカードと約束した後死亡。塵のように消滅した。
短編『CROSS FIRE』にも登場するが、名前は英語風に「アンダーソン」になっている(ただし頬の傷が無く、所属も第3課「ヨハネ」になっている)。原型は『ANGEL DUST』(出版社により原稿紛失、未単行本化)の主人公で元殺し屋の神父アンデルセン。
ハインケル・ウーフー
声 - 斎賀みつき(OVA版)
単行本1~3巻に収録された短編『CROSS FIRE』に登場する、神父服を着たマニッシュな外見の女性。ほぼ同じ設定のまま『HELLSING』にも登場するが、こちらではほとんど男性であるかのように描かれている。「ぱふ」2005年12月号のインタビュー記事では作者によって「ふたなり」であることを匂わせる発言がされている(ただし冗談とも取れる表現)。厳格なカトリックは本来異性装を禁じているので、単に男性に変更された可能性もある。『CROSS FIRE』のドラマCDでも、言葉遣いが男らしく変更されている。
『CROSS FIRE』の設定では、高木由美子/由美江とコンビを組むイスカリオテの暗殺者。2人は依頼を受けると必ず任務を遂行するが、過激な言動から甚大な被害をもたらすため疫病神扱いされている。二挺拳銃で戦うガンマン。
『HELLSING』本編では単行本4巻頃からちらほら顔見せしており、6巻になって武装神父隊のリーダー的立場として正式に登場する。由美江がウォルターに殺された際は激昂して銃を取り出すも、大尉に頬を撃ち抜かれ、挙句に応急医療キットを渡されるという部外者扱いまで受け、大いに屈辱を味わう。その後、包帯を顔に巻いた状態でアーカード戦後の放心状態のウォルターを狙撃しダメージを与えるも、止めを刺す前に左の手足を切断され取り逃がす。
2030年には、かつてのアンデルセンのような立場となっており、ヘルシング本部を訪れた間久部に付き添いながら、同じくアーカードの立場にいるセラスと対峙している。外見はほとんど変化しておらず、大尉に撃たれた頬の傷も癒えていないため、まともに喋れていない。
名前の由来は第二次大戦中のドイツ空軍の夜間戦闘機・ハインケルHe219ウーフー。
高木由美子/由美江
声 - 甲斐田裕子(OVA版)
単行本1~3巻に収録された短編『CROSS FIRE』に登場するシスター。ほぼ同じ設定のまま『HELLSING』にも登場する。
『CROSS FIRE』の設定では、ハインケルとコンビを組んでいるイスカリオテの暗殺者。大人しい“由美子”と狂戦士の“由美江”の人格を持つ多重人格者であり、メガネの有無でどちらの人格が目覚めているかが解る(メガネ無しが由美江)。「島原抜刀流」の使い手で、武器は長尺の日本刀。なお、技の名前はいずれも第二次世界大戦中の日本の軍用機の名前から来ている。
『HELLSING』本編では、単行本6巻で先遣武装神父隊と共に登場する。島原抜刀流の使い手であることは変わらないが、メガネは最初からかけておらず名前も“由美江”としか呼ばれないので、多重人格者であるかは不明。言動も『CROSS FIRE』の時のように派手で傲岸不遜ではなく、やや気は短いがどちらかというと無口である。アンデルセンの亡骸を踏み躙ったウォルターに激昂して斬り掛かるも、逆に鋼線で刀ごと体を切断されて死亡。
『CROSS FIRE』での彼女の髪は直毛であるが、『HELLSING』ではウェーブヘアである。
間久部
2030年におけるイスカリオテの機関長。タレ目で顔には傷がある。
ヘルシング機関にやってきた際には、今なら制圧できるという部下の言葉を諌め、「500年待ったのだから、あと数百年待つのは訳ない」と、「第十次十字軍」を行なうべく野心を燃やしている。
原型は『進め!!聖学電脳研究部』の同名のキャラ。

ミレニアム

南米に逃れたナチス残党によって結成された組織及び軍団。「ミレニアム」とは千年王国という意味。「最後の大隊(ラスト・バタリオン)」と名乗ることもある。指揮官である「少佐」を除く1,000名の構成員全てが吸血鬼化した戦闘団(カンプグルッペ)であり、士官の中には「ヴェアヴォルフ」と呼ばれる特殊能力を持った幹部もいる。またSS大隊であるが、空軍、海軍の士官やSS降下猟兵の姿も見受けられる。さらに各所にスパイやシンパもおり、単なる捨て駒から重要拠点の制圧などの作戦行動を担う者まで様々である。

その前身は、大戦中よりヒトラーの命令「総統特秘666号」を遂行すべく結成され、「少佐」を筆頭に人為的な吸血鬼作成の研究を行なっていた独立部隊。永遠の命を餌に一部のヴァチカン関係者との協力関係の構築も行なっていた。戦中は成り損ないのグールしか作れず、それもヘルシング機関によって潰されるが、戦後に逃れた南米で研究を完成させる。

物語初期は、南米ジャブローの本拠地・豹の巣(パンテルシャンツェ)を拠点に、使い捨ての吸血鬼達を操り散発的に英国を襲わせてデータを集め、中盤より第二次ゼーレヴェ(あしか)作戦を発動してロンドンに侵攻する。ナチス亡き今は正規軍と呼べるものではないが、宣戦布告をするなどあくまで英国と対等関係での戦争行為を自負している。

少佐の意のままに動く軍隊であるが、その最終目的は判然としない(目的などの詳細は「少佐」の説明を参考)。

少佐
声 - 飛田展男(OVA版)
ミレニアムのリーダーで、眼鏡をかけた肥満体の男。作中では「少佐」「総統代行」「大隊指揮官」等の階級・役職名でしか呼ばれていない。
「目的のためには手段は選ばない」という『君主論』を引き合いに出した上で、「手段のために目的は選ばない」と称するほどの戦争狂。その言動の節々に戦争に対する狂気がある。作中ではアーカードを倒すことを目標に掲げていた。また相当な策略家で、自軍の損失を含めて全て計算通りに事を進めている。逆に射撃の腕はとてつもなく下手。
現在の身体はサイボーグであり、60年前と比べて外見上まったく老化が見られない。「人間」を「意思の生き物」と定義しており、それゆえ血液を介して他者と融合する吸血鬼の本質を憎み、これを否定する。たとえ見た目が「化物」のようであっても確固たる意思を持つ己は「人間」であるとしており、逆の存在である吸血鬼(アーカード)を人として倒すことを人生の目的とした。そのため、第二次世界大戦時にソ連兵に撃たれて瀕死になった際、アーカードのように生身の状態から吸血鬼になれる可能性があったのにもかかわらず、これを拒絶している。
第二次世界大戦中に「総統特秘666号」の特命を受け人為的吸血鬼研究を始めるが、1944年9月のワルシャワで研究機関をヘルシングに潰され、戦後は南米に逃れる。その後、形式上は上官にあたるナチス残党の大佐らが上層部に就き、自身はその下に従う立場であったが、第二次ゼーレヴェ作戦を前にこれを粛清し、名実共にミレニアムのリーダーとなる。
カバー裏などのオマケでは、キャラが一転して側近の大尉、博士と共にオタクと化しており、コミケに参加している。
原型となったのは『COYOTE』に登場する悪役キャラ、モンティナ・マックス。髪型・衣装は同じだがモンティナは痩身の青年で、「少佐」としてこの作品に登場した当初は、それほどの肥満体ではなかった。その続編である『ANGEL DUST』では、サイボーグ化され長髪長身の美形キャラとなって再登場している。『Hellsing』作中では本名は明かされず終いだったが、4巻41Pの背景の文字中や5巻表紙カバー裏側の身分証から、原型と同じモンティナ・マックスと考えられる。
大尉
襟を立てた黄色の熱帯用オーバーコートに規格帽という、北アフリカ戦線風の軍人。「大尉」としか呼ばれず本名は不明。寡黙で無表情(作中では台詞が一切存在しない)。 常に少佐の傍らにつき従う側近でヴェアヴォルフ筆頭。
サーベルと見紛う程の長銃身を持つモーゼルM712(メーターモーゼル)が愛銃。
正体は正真正銘の人狼(ヴェアヴォルフ)であり、ミレニアムの最高戦力とされる。巨大な狼そのものの姿になったり、霧のように身体の構造を変える事もできるものの、特殊能力より身体能力を駆使して戦う事が多い。
第二次ゼーレヴェ作戦では、ヘルシング機関へ向かうインテグラ達の車両に立ち塞がり、インテグラとウォルターを引き離した。その後、デウス・エクス・マキナ船内でセラス(及び彼女の内のベルナドット)と戦い終始優勢に進める。しかし、大戦中にナチスが収集した財産を保管した倉庫へ戦いの舞台が移った際、セラス(とベルナドット)により「銀の差し歯」(収容所で誰かの口から引き抜かれたもの)を心臓に撃ち込まれて死亡した。消滅する瞬間には(無言のままではあったが)、セラス曰く「楽しい夢を見た子供のような」笑顔を見せた。単行本の修正分では「銀の差し歯」は大尉が自らセラスに持たせた事になっている。
そもそも「ヴェアヴォルフ」とは彼1人を指す部隊名である。彼自身は他の人工吸血鬼達と違い、人工的に作られた存在ではない(既に絶滅したと思っていたアーカードは驚いている)。
原型となったキャラクターは、同作者の成人向け作品『砂漠の用心棒』のハンス・ギュンシュと推測される(4巻41Pの背景の文字中に名前が記載されている)。
博士(ドク)
声 - 中博史(OVA版)
吸血鬼製造などの研究を行なっているマッドサイエンティスト。作中では「ドク」としか呼ばれず本名は不明。少佐の側近。
いつも血塗れの白衣と多重レンズ付の眼鏡を身につけている。外見は、外伝『THE DAWN』の登場時より老化が見られない。ポケットに無線式発火装置の起爆等を兼ねた多機能コントローラーを2台ほど携帯し、ヤンの発火など部下の処断は彼が直接手を下している。ナチス時代から吸血鬼製造の主任を務めている。
少佐を怖れている節もあるが、彼に褒められるのが好きで指揮官として心底慕っている様子。外伝では手料理(ザワークラウトや腸詰など。特にザワークラウトは、キャベツから育てたらしい徹底ぶりである)を作って少佐をもてなしている。
少佐の死亡と前後して、自らの研究を続けるために脱出しようとするも、ウォルターに阻まれる。科学者として研究成果を世界に広めると主張し、ウォルターを発火させようとリモコンを出したところで片手片足を切断され、さらに落とされた機材(機材にウォルターの糸が絡んでいるのが確認できる)に潰されて死亡。
原型となったキャラクターは、同作者の成人向け作品『イカす総統天国』に登場したお抱え術士ベルクマンではないかと推測される。
シュレディンガー准尉
声 - 白石涼子(OVA版)
ヒトラーユーゲントの服装をした猫耳の少年。ヴェアヴォルフの1人。
性格は正に自由気ままな猫といった感じで、少佐にも平気で憎まれ口を叩く(少佐自身もそれを許している)。しかし、大尉にだけは弱い。
登場する度に銃で頭を吹き飛ばされているものの死ぬことは無く、何事もなかったかのように再登場する。また一瞬にして離れた場所に出現したり、あるいはゾーリンの時のように他者の思考の中に現われたりもする。曰く「僕はどこにでもいて、どこにもいない」。より具体的には「彼が自分自身を認識出来る状態にある限り(どこにでも)存在できる」という能力で、ヴェアヴォルフの中でも殊更に特異な能力である。その内容から量子力学で使われる「シュレディンガーの猫」を元にしていると思われる。
作中ではアーカードを倒すための少佐の切り札であり、アーカードが「死の河」で開放した数百万の命を自身の身体に戻す際に、自らの首を切ってその中に紛れ込み、彼の命と同化する。同化したアーカードにはシュレディンガーの能力が付与されたが、その幾百万という命の中で自身を認識することは不可能であるためにアーカードは消滅し、少佐の最終目的は達成された。
ゾーリン・ブリッツ中尉
声 - 沢海陽子(OVA版)
短髪で、右半身に奇怪な紋様を刻んでおり、右目が斜視気味の女吸血鬼。死神を連想させるような大鎌を武器にし、また幻術を行使する。ヴェアヴォルフの1人。
幻覚の発動時には右半身に刻まれた刺青が蠢くような感じとなり、自身が巨大化しているように見せたり怪我を負わせたような感覚を与えたりできる。さらには相手の記憶を汲み取った幻覚を見せることもできる(但し目に頼らない吸血鬼には効果が無い)。
第二次ゼーレヴェ作戦にて少佐の命を受け、斬り込み部隊を率いてヘルシング機関を強襲する。その後、一時苦戦を強いられるも幻術によって事態を打破してヘルシング邸に突入、ベルナドットの傭兵部隊を殲滅する。さらにセラスに対し心身共に致命傷を与えベルナドットを殺害するも、ベルナドットの血を吸って覚醒したセラスによって壁で頭を磨り潰されて倒される(頭の一部が辛うじて残るくらいまで削られ、巻末のおまけページでは「死因はもみじおろし」と称される)。少佐の待機命令に逆らい兵の大半を失った罰として見捨てられた形だが、彼女の独断専行もそれに対する少佐の処断も、少佐にとっては「戦の華」であった。
リップヴァーン・ウィンクル中尉
声 - 坂本真綾(OVA版)
長髪に眼鏡の女吸血鬼。旧式マスケット銃を武器に魔弾の能力を持つ「魔弾の射手」。ヴェアヴォルフの1人。
武器のマスケット銃でホーミング能力を持った銃弾を撃つことができ、さらにこれは対象に命中した後も運動能力を失わず1発で複数の獲物を仕留めることができる。この能力により、歌劇になぞらえた「魔弾の射手」の称号を少佐から与えられる(直接は知らないはずだが、「魔弾」のあだ名自体はヘルシング機関でも用いられている)。本人も気に入っている様子で『魔弾の射手』(の「狩人の合唱」)を歌っている場面が多くある。
作中では降下猟兵部隊を率いて英国海軍のインヴィンシブル級航空母艦「イーグル」を乗っ取り、甲板に赤いペンキで巨大なハーケンクロイツを描いて「アドラー」(ドイツ語で鷲を意味し、イーグルと同義)と改名、第二次ゼーレヴェ作戦直前の陽動作戦を行なう(もっとも、陽動役であることを彼女が認識していたかどうかは不明)。高速戦略偵察機改造の実験機・SR-71改を駆るアーカードに突入され、兵士達を皆殺しにされた上、自身のマスケット銃を心臓に突き立てられた上で彼に食い尽くされて倒される。アーカードに一方的に屠られたが、アーカードをロンドンから引き離すという最大目標は達成しており、少佐より「任務を果たした」としてミレニアム全軍が彼女に敬礼を捧げた。
アーカードの拘束制御術式零号開放時に、トバルカインと共に亡者の1人として復活し、最後の大隊と十字軍を攻撃している。
また、外伝『THE DAWN』の中で当時のアーカードと対峙しているが、怪物化した棺桶にチョップを食らった上に蹴飛ばされてKOされるなど、全くのギャグキャラ扱いとなっている(当時の階級はSS下級突撃隊指揮官=親衛隊少尉)。
トバルカイン・アルハンブラ
声 - 大塚芳忠(OVA版)
ペルシア的な風貌で「伊達男」の異名をとる吸血鬼。中尉。無限枚数のトランプ(カード)を武器とする。シュレディンガーの言葉によるとヴェアヴォルフではない。
「伊達男」の異名通りのいでたちで紳士的な言動を取るが、しばしば「Gooood」や「なぁぁぁぁめぇぇぇぇるぅぅぅぅぅなぁぁぁぁ!」など、間延びしたような話し方をする。武器のカードで傷つけられた傷は修復できない。
ミレニアムの情報を集めるためにブラジルにやってきたアーカード達を迎え撃ち、当初はアーカードと互角に戦うも結果は惨敗。アーカードに「血」から情報を引き出された挙句、体内に仕掛けられた無線式発火装置によって燃え尽きた。
アーカードの拘束制御術式零号開放時にリップヴァーンと共に亡者の1人として復活し、最後の大隊と十字軍を攻撃している。
ヴァレンタイン兄弟
声 - (兄)子安武人 / (弟)中井和哉(TV版)、高木渉(OVA版)
兄・ルークと弟・ヤンの吸血鬼兄弟。ルークは准尉。武装したグールの群れを率いて円卓会議中のヘルシング機関を強襲する。
ルークは白を基調としたイメージのジェントルで、ヤンは黒を基調としたストリート・ギャング風の青年。ヤンは瞬発力以外に目立った能力は見られなかったが、ルークは近距離で銃撃をかわす反射神経と常人の目では捉えられないスピードを持ち、アーカードからA級と評される。また、ルークは左腕に小型拳銃を仕込む用心深さも見せている。OVAでは青龍刀のようなナイフを持っており、迎撃に向かった兵士を複数でも一瞬で切り刻んでいる。
ルークは単身アーカードに挑み、彼にある程度認められて拘束制御術式の開放にまで及ぶ。「吸血鬼の持つ能力全てを備え、それ以上」と豪語していたものの、使い魔や修復能力など特に持たない人為的な吸血鬼であり、特殊能力も無いために瞬く間に追い込まれてアーカードを失望させることになり、最後は黒犬獣に喰われる。
ヤンはグール部隊を率いてヘルシングの構成員の殆どを殺害するも、セラスとウォルターにグール部隊を壊滅させられる。さらに、円卓会議の部屋に入り込もうとした際はウォルターの鋼線で右腕を切断され、部屋の前で円卓会議のメンバー達から容赦の無い銃撃を受ける。最後は仕掛けられた発火装置によって体が燃える中、「ミレニアム」という言葉を遺して灰と化す。
ルークは血を吸われた訳では無かったため、アーカードの拘束制御術式零号開放時には登場しなかったが、ウォルターとの戦いで黒犬獣が両断された際に再登場する。また、あくまでアーカードという存在になった訳ではなかったので、ウォルターに強制的に操られながらもミレニアムの構成員としてアーカードを攻撃する。しかしアーカードに血を吸われて同化し、ウォルターを出し抜くための囮として本当の最期を迎える。
TVアニメ版では設定が異なり、ロンドン暗黒街の顔役で、TV番組のスクープを通じて存在を知ったヘルシング機関を排除しようとした。その最期はほぼ原作に準じているが、ヤンは完全な焼身自殺である。
作者のお気に入りらしく巻末などのおまけ漫画「ルークとヤンの人情紙○○」(○○の部分は毎回適当な単語に置き換わる。また一番初めは人情ではなく人生だった)では主役を張っており、自作品・他作品のパロディから特別意味の無い適当な内容などで掛け合い漫才のようなことをやっている。最終巻のおまけでは「一番の事件は、こいつらの存在そのもの」とされている。
彼女
外伝『THE DAWN』に登場。1944年9月のワルシャワにおいて、全身を隙間なく包帯で巻かれた上、ベルトや鎖などで雁字搦めに拘束され吸血鬼の人工製造機関の研究所に幽閉されている。少佐らは彼女をヒロインと称し、彼女を模倣する事で吸血鬼を作ろうとした。
正体は『吸血鬼ドラキュラ』の登場人物ミナ・ハーカー。アーカード(=ドラキュラ伯爵)の血を唯一吸った存在であり、たとえ彼女が人間に戻ったとしても『吸血鬼ドラキュラ』の中でミナは、ドラキュラ伯爵に襲われ吸血鬼に成りかけるも、ドラキュラ伯爵が倒されると共に人間に戻っている。アーカードが生きている限り、その痕跡は彼女の奥底に残っていた。そこで少佐達は彼女を研究材料にし、彼女を模倣、即ちアーカードを模倣することで吸血鬼研究を発展させていた。
本編では、最後に博士の研究室に保管されていたところを再登場し、白骨化した死体としてその素性が明かされた。そしてミレニアムの壊滅と共に墜落炎上する飛行船の中で、彼女の死体も燃え尽きた。

その他

山守義雄
本編に一切登場しないが、単行本あとがきでのキャラクター紹介に毎回登場。東映配給の劇場版『仁義なき戦い』の登場人物である。天政会初代会長。
常に殴り描きのペンタッチで描かれる上、登場するたびに名前と肩書きの紹介が省略され説明文の内容が「身長50m以上、体重2兆トン」「ゲッターエンペラーが主食」などとエスカレートしていく(ちなみにゲッターエンペラーの大きさは冥王星も含めた太陽系に匹敵する)。単行本9巻の紹介文で「このまんがの主人公」とまで言われる存在である。

用語集

吸血鬼
文字通り人の生き血をすする存在。作中における吸血鬼の設定はほぼオリジナルに忠実で、不老不死の肉体と普通の銃弾では死なない生命力、常人をはるかに凌駕する怪力を持つが、日光を浴びる事が出来ず、銀の弾丸や祝福された武器に弱く、流水に触れる事もその上を越える事も出来ない。男の吸血鬼は「ドラキュラ」、女の吸血鬼は「ドラキュリーナ」と呼ばれる。
作中では、処女・童貞が吸血鬼に血を吸われた場合に吸血鬼になると定義されている(TVアニメ版では吸血鬼の自由意志で血を吸った相手を同胞にすることができるという設定)。ただし、アーカードはいわゆる「真祖」なので例外。ちなみに、少佐には「真祖」になる機会があったが、人間であり続けるために拒絶した。ミレニアムは人為的に吸血鬼を作り出すことに成功し、この場合には処女・童貞でなくとも吸血鬼になれる上、肉体を最盛期の状態に若返らせる事すら出来るらしい(原作では具体的な方法は明示されていない。TVアニメ版では吸血鬼化させるチップが登場する。作中に登場したミレニアムの元ドイツ国防軍の下士官によれば、「ヨボヨボのジイさんだった」との事だったとのことなので、その技術が確立されたのは最近であり、それまでは皆、70~80歳以上の老人であったことが示唆されている)。ただし、人為的な吸血鬼の場合には、たとえ血を吸った相手が処女・童貞であってもグールになってしまう。
アーカードやヴェアヴォルフなどにとっては日光や流水は致命的な弱点にはならず、そのような上位種はそれぞれに異なる超常の能力を持つ事がある。
本来の吸血鬼は、吸血された相手の存在を己の中に取り込む事が出来る。セラスのように取り込んだ相手と脳内で会話出来る者から、アーカードのように実体化させて使役する事が出来る者まで様々で、自分自身の命に加えて、取り込んだ人間の数だけ命を持つ事が出来る。ただし劇中においては、アーカードとセラス以外に、そのような能力を持つ吸血鬼は登場していない。
グール
グール以外にもアンデッド、リヴィングデッドなどと呼ばれる死者。作中では吸血鬼に血を吸われた者が非処女・非童貞であった場合(TV版では餌として血を吸われた場合)、人の肉を好んで喰らう食屍鬼となる。いわゆるゾンビ。グールに襲われた者もまたグールとなる。
生身の人間に対して強いとはいえ動きが鈍く、知能が低いために吸血鬼ほどに危険な存在たり得ない。またグールはその親と言える吸血鬼の支配下に置かれ、自由意志を持たない。そして、その吸血鬼が倒された場合には自動消滅してしまう(ミレニアムの人為的な吸血鬼の場合はこの限りではない)。また知能は皆無だが、銃器といった武器を操ることは出来る。
1944年9月の段階で少佐らによる人工吸血鬼製造の研究は、このグールを人為的に製造するところまで進んでおり、これを組織的に投入する事で戦線を混乱させようとした。また吸血鬼製造に成功した段階でもグール達を兵装させてグール部隊を作り、ヘルシング機関を強襲させて多大な被害を与えている。
ヴェアヴォルフ
「人狼」を意味する、ワーウルフのドイツ語読み。バルカン半島周辺に伝わる伝説の狼男で、しばしばヴァンパイアと同一視される。本作においては、アーカードと同様一般の吸血鬼を超えた特殊能力を持つミレニアムの幹部連を指す。リップヴァーン等は、他の吸血鬼のように全てが尖った歯をしているが、極端に日光を苦手としている描写はない。
元々ヴェアヴォルフとは、大尉1人にのみ使われる名称であった事が『THE DAWN』にて語られている。更に、大尉に関しては部隊名や称号ではなく、正真正銘、本物の人狼である。傷はたちまちの内に治癒し、半人半獣に姿を変える事も出来る。超スピードに超人的な反射神経、怪力を誇り、並の吸血鬼では相手にもならぬ程の戦闘力を持つ。宗教的なシンボルを恐れる事もなく、清められた武器も特別な効果を発揮はしない等、吸血鬼以上に倒し辛い存在だが、銀が体内に入ると即死するという唯一の弱点がある。吸血鬼以上に稀有な存在らしく、アーカードも殆ど目撃した事がないようである。
史実でも、ナチスがヴェアヴォルフ部隊を編成している。詳しくはヴェアヴォルフを参照。
拘束制御術式(クロムウェル)
アーカードに施されている能力抑制・制御のための封印。第3号・第2号・第1号、更に零号の4段階に分けられている(TV版では第5号もある)。
封印を開放するとアーカードは複数の眼や腕を持ち蝙蝠や狼に姿を変える不定形の姿となり、圧倒的な戦闘能力を誇る。また、航空機や空母といった無機物とも同化することができる。さらに零号を解くと自身が今までに血を吸った存在の全てを死者として召喚することが可能になり、その力は多大な軍事力を誇っていた十字軍とミレニアムを瞬く間にまとめて壊滅させるほど。作中では「死の河」とも呼ばれる。但し実行すると、アーカード自身(本体)に内包される命は1つとなり、最初のアンデルセンとの対決で見せた彼特有の不死性(首を切っても心臓を潰しても死なない)が失われるため、諸刃の剣とも言える。
封印と言っても、その開放の判断は基本的にアーカード自身に委ねられているが、零号は契約者であるインテグラの承認を必要とした。
黒犬獣(バスカヴィル)
アーカードの使役する使い魔の1体。
ブラックドッグ自体は、英国の民間伝承に登場する怪異である。『バスカヴィル家の犬』のモデルでもあり、地獄の番犬やあるいは使者のような存在だといわれる(en:Black dog)。
バレンタイン兄弟のヘルシング機関襲撃の際にルークを喰らう。その後、アーカードとウォルターの戦いにて召喚された際にウォルターに両断されて支配率が変化しルークが復活した。このことから、あくまでアーカードとは独立した存在と思われる。
.454カスール カスタムオートマチック
アーカード専用装備の白い拳銃。銃自体に愛称はつけられていない。形状から見て、現実に存在する銃であるLARグリズリーのようなコルト・ガバメントを原型にスケールアップしてマグナム弾を使用できるようにしたものと思われる。
全長約39cm、重量16kg。形状はジャッカルとほぼ同じ。ランチェスター大聖堂の銀十字を鋳溶かして作った.454カスール弾規格の爆裂徹鋼弾頭を使用。銃本体はモルゲンクルノデウム鉄鋼で作られており、硬くて頑丈。ジャッカルが登場する以前から使っており、ジャッカル登場後は二挺拳銃として併用する。場面によってはジャッカルより目立っている。
グール程度なら一発で破壊する(人間も当然一撃)という凄まじい威力を誇るが、回復能力を持ったアンデルセンに対しては威力不足だったと見え、後にジャッカルが作られる事になる。
ジャッカル
アーカード専用装備の黒い拳銃。正式名称は「対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル」。