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PandoraHearts/望月淳

共有

著者: 望月淳
巻数: 全24巻

望月淳の新刊
PandoraHeartsの新刊

最新刊『PandoraHearts 24



PandoraHeartsの既刊

名前発売年月
PandoraHearts 23 2015-06
PandoraHearts 24 2015-06

PandoraHearts』(パンドラハーツ)は、望月淳による日本の漫画作品。『月刊Gファンタジー』(スクウェア・エニックス)にて2006年6月号から2015年4月号まで連載された。略称は「パンドラ」スタッフブログ(2009年5月8日) 2012年7月29日閲覧。。『Gファンタジー』2005年1月号に掲載された読み切り『パンドラハーツ』を原案とした作品。読み切りは8巻収録。『不思議の国のアリス』、『鏡の国のアリス』等の童話をモチーフにしている。雑誌連載時の1Pのあらすじを「パンドラハーチュ」として毎回描き下ろしている。2013年6月現在で累計発行部数は480万部を突破している

2007年12月21日にフロンティアワークスよりドラマCDが発売された後、『Gファンタジー』公式サイトおよび、2008年12月号にてテレビアニメ化が発表され、2009年4月から同年9月まで放送された。

ストーリー

四大公爵家ベザリウス家の次期当主・オズ=ベザリウスは、15歳の成人の儀の最中に身に覚えのない罪によって、闇の監獄・アヴィスへと堕とされる。アヴィスの中に閉じ込められた彼はそこで「血染めの黒うさぎ(ビーラビット)」と呼ばれるチェインのアリスと出会い、彼女と契約を交わすことでアヴィスから脱出することに成功する。だがそこは、10年後の世界だった。ギルバート=ナイトレイシャロン=レインズワースザークシーズ=ブレイクらと再会したオズ。アリスの失われた記憶とは何か。そしてオズの罪とは何なのか。運命の歯車が動き出すーー。

登場人物

※担当声優はドラマCD / テレビアニメの順に記載。特に記述がない場合は、現段階では不明またはドラマCDの担当声優とする。なお、「-」はそれぞれに登場しなかったことを示す。

主要人物

オズ=ベザリウス
年齢:15歳。身長:164 cm。誕生日:12月26日。血液型:O型
声:皆川純子 / 同左
物語の主人公で、四大公爵家の一つベザリウス家の次期当主。
15歳の成人の儀の際にバスカヴィルの民によって身に覚えの無い罪を宣告され、闇の監獄・アヴィスに堕とされた。そこで血染めの黒うさぎ(アリス / ビーラビット)と呼ばれるチェインと違法契約を交わすことでアヴィスを脱出したが、時間の歪曲によって10年後の世界に降り立つ。その後は、自分がアヴィスに堕とされた理由である己の罪と、現実世界に散らばったアリスの記憶を探すために行動している。
女の子が大好きで、初対面のシャロンに心を射抜かれたり、花売りの貧しい女の子にホスト顔負けの台詞を言ったりと節操がない。
陽気でいたずら好きだが、従者かつ親友であるギルバートをいじめることが半ば趣味という腹黒少年。頭の回転が早く、大人びた一面も持つ。
血染めの黒うさぎ(ビーラビット)との契約の影響のせいか、時折力を暴走させ、鎌を振るう。
妹のエイダを溺愛している。母は幼い頃に亡くなり、父親からは何故か忌み嫌われていた影響で、親の愛に恵まれなかった。そのため、面倒を見てくれた叔父のオスカーを父親のように慕っている。
幼い頃、父親から「生まれてこなければよかった」と言われたことが心の傷となり、未来や周囲の人間に期待せず、全てを受け入れてしまうようになる。それが危機感のなさや自己犠牲的な言動に繋がっていたが、エリオット達との出会いやロッティの言葉で己の弱さに気付いてからは「自分」に眼を向け始めた。元々は、レイシーが作ったうさぎのぬいぐるみに魂が宿って生まれた存在。レイシーやアリスと接することで徐々に自我が芽生え、アリスによって「オズ」と名付けられた。後にジャックとの契約で黒うさぎ(ビーラビット)のオズというチェインとなる。やがてチェインとしての自覚を無くした魂が巻き戻しを続けるジャックの肉体に残り、現在のオズ=ベザリウスとして形成される。この真実を知って一度は己の存在を否定しかけたが、エコーやギルバートの言葉を受けて自分がそこにいることを肯定できるようになる。
アリス(血染めの黒うさぎ / ビーラビット)
声:田村ゆかり / 川澄綾子
年齢:不明。身長:150 cm。誕生日:7月20日。血液型:O型。
物語のヒロインで、オズと契約を交わした「血染めの黒うさぎ(ビーラビット)」と呼ばれるチェイン。
可愛らしい容姿とは裏腹に、凶暴かつ男勝りで欲しいものは強引にでも手に入れたがる自己中心的な性格だが、あれこれ考え込まないさっぱりした部分もあり、時折ツンデレな一面も見せる。小柄な体格に反した大食いで、肉類が大好物。
普通のチェインとは性質を異にしており、確立した人格を持っている上に人間を食べる必要がない。本来の姿は大鎌と鎖を武器とした巨大な黒いうさぎだが、普段はオズの体に負担をかけないようギルバートのチェイン・鴉(レイヴン)に力を制御されているため、黒髪の少女の姿をしている。失われてしまった自分の記憶を探すためにオズと違法契約を交わし、アヴィスからオズ達がいる世界へとやって来た。
ギルバートを「ワカメ」「海産物」、ブレイクを「ピエロ」などと呼ぶ。契約からオズを自分の所有物だと認識しているが、オズがエイダと再会した時に嫉妬したりもした。
本来はアヴィスで生まれ落ちた人間の少女で、アヴィスの意志とは双子の姉妹に当たる。100年前のサブリエではレヴィやオズワルドらと共に暮らしており、普段の男勝りな口調はオズワルドの口調を真似たもの。まだぬいぐるみだったオズを友達としてとても大切にしていた(しかし物理的な扱いはオズの回想曰く「いろいろと酷い」)。
サブリエの悲劇にて、ジャックとの契約で虐殺を強いられるオズ(ビーラビット)を救うため、ジャックをアヴィスの意志に干渉させないために、自ら喉を切って絶命。直後にオズの力を奪い取って自身が黒うさぎ(ビーラビット)となる。
しかしアヴィスの意志の記憶を砕いた影響で自身も記憶を失い、奪った力と黒うさぎとしての自覚だけが残ったために、血染めの黒うさぎとして力を行使していた。
ギルバート=ナイトレイ
声:小西克幸、坂本梓馬(小) / 鳥海浩輔、坂本梓馬(小)
年齢:24歳オズが記憶を失くしたギルバートに対して「お前はオレの従者だから1個年下だ」ということでオズが決定したもの。。身長:182 cm。誕生日:2月5日。血液型:B型。
オズの親友であり忠実な従者。二丁拳銃を武器として使う。愛称はギル。猫とピーマンが苦手。
幼少時、記憶を失くし傷だらけで倒れているところをベザリウス家に保護され、使用人となった。出会った当初はオズのことを主人(マスター)と呼んでいたが、オズがそれを禁じたために以降は「坊ちゃん」、再会後は「オズ」と呼んでいる。オズがアヴィスに堕とされてから、彼を救うためベザリウス家と敵対するナイトレイ家の養子になる。パンドラに加わってナイトレイ家の所持するチェイン・鴉(レイヴン)を手に入れ、10年間オズの帰還を待ち望んでいた。現在は首都レベイユ郊外で一人暮らしをしている。彼が愛用している帽子は、エイダからの贈り物市場で帽子を盗まれた際、丹念に洗って干して、しばらく被れなかったという裏設定がある。
自分の身を顧みないオズを常に見守り、時には盾となり続けてきたが、彼が「ギルに寄りかからなくて済むように」と変わっていくにつれ、自分だけが取り残される恐怖心を覚えるようになる。
10年間で性格は様変わりしたが根の部分は変わらず、オズやシャロン、ブレイクからは今でも弄られており、ヘタレと称されることもある。酒が入ると泣き上戸になる。
かつてはヴィンセントと共に100年前の時代を生きており、二人で放浪していたところをジャックに保護された。魂の残滓となった彼と対面して「自分がジャックの従者だったのではないか」と思うようになるが、実際に彼を従者としていたのは、バスカヴィルの民であると判明した二人を引き取ったグレン(オズワルド)であった。
元々はオズワルドの後継として次のグレンを受け継ぐはずだったが、レイヴンを継承する儀式が中断されたためにグレンとはならず、契約の資格のみを保有し続けてきた(ナイトレイの実子達がレイヴンと契約できなかった理由は、この資格保有によるもの)。
シャロン=レインズワース
声:堀江由衣 / 花澤香菜
年齢:23歳(外見年齢13歳)。身長:157 cm。誕生日:4月13日。血液型:B型。
レインズワース家の令嬢。パンドラに属している正規の契約者。契約の影響で体の成長が13歳で止まってしまっている。
どんな時でもゆったりティータイムを楽しむマイペースな性格で、オズが一目惚れするほどの美少女だが、オズに負けずと劣らない強かで腹黒い一面も持っている。酒が入るとサディストな女王様キャラとなり、アニメ版ではより過激な演出がなされている。
ロマンス小説が好きでありながら、挿絵のキスシーンを直視出来なかったりと、恋愛に関してはピュアな一面も見せる。
常に携帯しているハリセンはレインズワースに代々伝わる道具であり、日々の鍛錬の中では音速を超えることも。シャロンの場合、主にブレイクに対して使う。その実ブレイクのことを慕っており、幼少時の名残でたまに「ザクス兄さん」と呼ぶこともある。
アリスのことは妹のように思っているようだが、その強引さからアリスには恐れられている。
ブレイクの「いかにもお嬢様好みのショタ少年」等の発言から、ショタコンとみられる節もある。
契約しているチェインは、一角獣(エクエス)。主に偵察や謀報活動に使っているが、戦闘能力もなかなかのものであるらしい。
ザークシーズ=ブレイク
声:関俊彦 / 石田彰
年齢:39歳(外見年齢24)。身長:177.5 cm。誕生日:9月30日。血液型:A型。
レインズワース家の使用人であるが、使用人としての仕事内容は不明。シャロンと同じく、パンドラに所属している正規の契約者である。50年前アヴィスに堕ちた際、アヴィスの意思に左目を奪われ、それを前髪で隠している。愛称は「ザクス」。
「エミリー」と名付けられた人形をよく肩に乗せており、よく腹話術で会話をしている。
つかみ所のない飄々とした性格で、慇懃だが人を食ったような物言いをする。奇矯な言動が目立つが、それは演技で、本来は忠誠心に厚い生真面目な人物であり、シェリーやシェリルに対しては良識のある態度で接する。前へと進めないオズやギルバートをさりげなく後押ししており、作者曰く「厳しいパパ」。昔から甘いものが好きだったが、現在のようなキャラになる以前は人前で甘いものを食べることを躊躇っていた。しかし今ではお菓子を持ち歩くなど、極度の甘党であり、飴を噛む癖がある。
本名をケビン=レグナードといい、50年前「赤眼の亡霊」と恐れられていた違法契約者であった。二度の契約を重ねているために肉体への負荷が蓄積し、視力低下を始めとした諸症状が現れているものの、周囲の気配や音を頼りに戦闘をこなすなど傍目には衰えを感じさせない(オズやレイムなど一部の人物には勘付かれている)。

ベザリウス公爵家

オズ=ベザリウス
主要人物の項を参照。
ジャック=ベザリウス
声: - / 小野大輔
年齢:25歳。身長:180 cm。誕生日:1月19日。血液型:O型。
下級貴族だった約100年前のベザリウス家の三男(妾の子)で、オルゴール職人をしていた。
レイシーに出会う前はホームレス同然の生活をしていたが、レイシーと出会い生きる希望を与えられた。それ以来、レイシーに執着している。(レイシー曰く「自分を愛しているわけではなく、その瞳には何も映していない」)
オズと同じ金髪・エメラルド色の瞳を持ち、容貌も似ている。明るく女好きな性格で、ベザリウス家の子孫のオズやオスカーと通じるところがある。
現在では貴族達の間で「サブリエの悲劇」を止めた英雄として語り継がれており、後のベザリウス家の隆盛に大きく貢献した。
アリスの記憶の中に魂の断片として存在していたが、現在はオズの精神に宿っており、有事の際にはオズを乗っ取ることもある。アリスがその場にいないにも関わらず黒うさぎの力を引き出すなど、謎の多い人物である。
グレン=バスカヴィルとは親友であり、バスカヴィル家と親交のあった数少ない人物だった。アリス達の正体や、グレンを殺した苦悩を綴った手記を、当時のバルマ公に託している。
勘の鋭い人からは、その異質な人柄から「静なる水」に例えられる。本人は自分を見透かされているように感じ、その表現を好まない。
「黒うさぎのオズ」の契約者。
エイダ=ベザリウス
声:徳永愛 / 福原香織
年齢:18歳。身長:166 cm。誕生日:6月2日。血液型:A型。
ベザリウス家の長女でオズの実妹。おっとりとした性格で、少々天然なところがある。オズとオスカーに溺愛されている。10年前はダイナという猫を飼っていたが、現在はスノウドロップ(白猫)とキティ(黒猫)の2匹を飼っている。オズが10年間の時を越えたため、再会した時にはオズよりも年上になっていた。
幼げな顔に似合わず豊満なスタイルで、ロッティを越える巨乳である。曰く「その胸は凶器」。
国内屈指の名門校・ラトウィッジ校に在学しており、風紀委員を務めている。
エリオットに嫌われているが、エイダ自身は、エリオットのことをいい人と認識している。一方で学内でエリオットが自分の飼い猫と戯れている様子を目撃して可愛いと感じている。
ヴィンセントに好意を持っており、彼に何を言われても一途に慕っているが、そのことをオズやオスカーに話せていないため、彼らの気を激しくもませている。
アヴィスへと落とされた兄を救う手掛かりを求め、黒魔術等を調べていく内にオカルト好きになってしまい、幾つもの禍々しいオカルトコレクションを秘密部屋に隠している。これについてはさすがのヴィンセントもかなり引いている。
オスカー=ベザリウス
声: - / 梅津秀行
年齢:45歳。身長:190 cm。誕生日:5月22日。血液型:O型。
オズの叔父で、経緯は不明だが、ベザリウスの現当主を務めている。ベザリウスの扉の鍵を所有しており、妻の指輪に宿らせている。
オズやギルバートにとっては父親代わりであり、オズの成人の儀も執り行った。陽気で庶民的な性格で、ブレイクとも仲が良い。ヴィンセントに苦手意識を抱いている。チェスが滅法弱く、一度も勝ったことはない。
妻がいたが、体が弱く出産の際に亡くなっている。無事の出産となるよう願いを託していたカメラは使われずに長年しまわれていたが、オスカーが主催したお茶会で初めて使用された。オズのことは「大切な息子」と思っている。
サラ
オスカー=ベザリウスの妻。平民の出で、オスカーがお忍びで街に来た時に出会った。
体が弱かったため出産時に母子ともに亡くなっている。
ケイト
声: - / 久川綾
ベザリウス家のハウスキーパー。オズがアヴィスへと堕ちた10年後も変わらずベザリウス家に仕えている。
ザイ=ベザリウス
声: - / 大川透
オズの父親。オズを疎み滅多に会うこともなく、その存在すら受け入れなかった。オズの幼少時代はベザリウス家の当主であったと考えられるが、成人の儀以降はその行方も動向も不明である。
10年後の姿で、サブリエでオズ達と再会するが、オズには全くの関心が無いように振舞った。オズをアヴィスにおとした張本人であり、10年前からバスカヴィルの民と手を組んでいる様子がみられる。エイダにもきつく当たるが、愛している。オズを無視するのは、オズの躯がジャックのものだと知っているため。
ベザリウス家の所有するチェイン・グリフォンの契約者である。
レイチェル=セシル
オズとエイダの母親。ザイ=ベザリウスの妻。エイダを産んで間もない頃に亡くなっている。馬車で事故にあったとされるが、ナイトレイ家の人間により殺されたものと噂されている。

ナイトレイ公爵家

ギルバート=ナイトレイ
主要人物の項を参照。
ヴィンセント=ナイトレイ
声: - / 福山潤、大浦冬華(小)
年齢:23歳(自称)。身長:177 cm。誕生日:9月23日。血液型:B型。
ギルバートの実弟で、彼と同じく100年前からやって来た人間。愛称はヴィンス。ニンジンを苦手としている。
15年前に傷だらけで倒れているところを四大公爵家の一つナイトレイ家に保護され、養子となった。元はサブリエでギルバートと共に暮らしており、「サブリエの悲劇」によってアヴィスに堕ち、アリスの部屋の崩壊に巻き込まれ現在に脱出する。
右目がワインレッド、左目が金色のオッドアイで、幼少時代はその紅眼から「禍罪の子」と称され、迫害されて育った。その影響か、穏やかな物腰に反して冷酷かつ意地の悪い性格で、ギルバート以外には滅多に心を開かないブラコン。
従者のエコーに対しては、自分の傍に置いて人形の様に可愛がる風もあるが、「使用人」という枠を越えて彼女の人権を無視した様な命令や行動が度々見られる。また、鋏でぬいぐるみを切り刻む等の歪んだ性癖を持っている。一度気を許した相手にはとことん尽くすタイプ。100年前、自分とギルバートを救ってくれたジャックには、異常なほどに懐いている。また、グレンとして目覚めたリーオにもかなり気を許している。
ナイトレイ家で過ごしている間冷たい仕打ちを受けていたが、唯一ギルバートとヴィンセントに好意的に接していたエリオットだけは好いていた。
バスカヴィルの民と繋がっており、四大公爵家が持つ扉の鍵を狙っている。エイダに近付いたのも、ベザリウスの鍵を持つオスカーに対しての人質にするためであったが、エイダの一途さに心が揺らぐこともある。
契約しているチェインは、眠り鼠(ヤマネ)。気を抜くとすぐその力にあてられ、所構わず寝てしまう。また、二重契約者であり死刑執行人(ディミオス)の違法契約者でもある。
エコー
声:広橋涼 / 同左
年齢:16歳(自称)。身長:160cm。誕生日:6月11日。血液型:AB型。
ヴィンセントを主とする従者。身体能力が高く、袖に隠した暗器を使いこなす。常に無表情・慇懃な口調で話し、機械的に行動する。
生まれた時からナイトレイ家に仕えており、現在はヴィンセントの傍にいるが彼自身にはあまり良い感情を持っていない様である。命令には絶対服従であり、ヴィンセントにどんな仕打ちをされても受け入れているが、実際彼女自身は、彼のことを「ウザイ」と思っている。
感情表現に乏しく、オズに出会うまでは「楽しい」という感情すら理解していなかったが、彼の影響を受け、少しずつ自分の意志を持ち始めるようになり、ヴィンセントの命に逆らうこともでてきた。フィリップを追っている時、オズに「無関心でなければそれはもう無関係ではない」と言われたことで、その考えに共感し、シャロンの命を救った。
生きた証を忘れぬために、分刻みで個性的な日記をつける記録魔。オズ曰く「観察日記」。
オズのヒロインのうちの一人でもある。オズに好意を持っている様子が見受けられ、アリスに嫉妬しているような描写もみられる。オズからは、「エコちゃん」と呼ばれており、その度に、「エコーです。」と言い返すパターンがお決まりになっている。
二重人格者であり、ツヴァイ(ノイズ)と同一人物である。本人曰く「エコーは使い捨ての人格」らしい。
エリオット=ナイトレイ
声: - / 野島裕史
年齢:16歳。身長:172 cm。誕生日:8月8日。血液型:A型。
ナイトレイ家の嫡男で、ギルバートとヴィンセントの義弟。はねた前髪と八重歯、左目の泣き黒子が特徴。ラトウィッジ校に従者のリーオとともに通っている。愛称はエリー。
幼い頃からナイトレイ家の人間だということで中傷されており、「ナイトレイ家の誇り」に執着する傾向がある。
ベザリウス家を良く思っていないのは、父であるナイトレイ公爵からベザリウスへの憎しみを忘れるなと教育を受けていたからである。実兄姉らと違い、養子であるギルバートとヴィンセントの事もナイトレイ家の一員として見ている。それゆえに、家を出、オズの従者を自称するギルバートには反発しがちだが、義兄として慕っている風もある。
曲がったことが嫌いな直情型の性格で、「自分を軽視するものに他人を守る資格はない」という、オズとは対照的な信念を持つ。短気で口が悪く素直になれない所がある。エイダ曰く「優しくて頼りになる人」、リーオに言わせれば「聡いのに馬鹿」である。
オズと同じく「聖騎士物語」の大ファンであり、出会い頭にオズの好きなキャラクターを批判したため、初対面時はオズとは仲が悪かった。また、オズの事をベザリウス家の人間であるからと言って表面上は嫌っていたが、少しずつ心を許し始め、友人となった。
パンドラ一強い男と称されているブレイクに憧れており、これまで剣の勝負を挑んではその度に負かされている。ブレイクからは「沸点の低いお坊っちゃん」として認識されている。
家族の反対を押し切り、対等な友として孤児であるリーオを従者にした。ユラ邸での首狩り騒動時に、自分がハンプティダンプティと契約していたことを思い出し、オズ達に背負わせず、全てを引き受けるべくチェインを否定し、誇り高き最期を迎える。
リーオ
声: - / 渡辺明乃
年齢:16歳。身長:163 cm。誕生日:10月25日。血液型:AB型。
エリオットの従者。黒髪のボサボサ頭に丸眼鏡(伊達)が特徴。ナイトレイ家が運営する孤児院「白き天使(フィアナ)の家」の出身。
のんびりとしてマイペースな性格で、客観的かつ公平な視点の持ち主。剣や銃の扱いは不得手。公正かつ適切なアドバイスで常にエリオットをフォローしているが、エリオット曰く「すぐキレるし狂暴」。
興味の範囲が広く、知的好奇心も旺盛。娯楽小説から難解な学術書まで、読書傾向もジャンル不問の読書家。独学だがピアノが上手く、エリオットと連弾することもある。
エリオットのことを心から尊敬しており、彼のためならば、例えそれがオズや自分であっても殺せるとオズに話し、またその際、自分がすべての元凶ならばオズの手で殺すよう頼んだ。グレンの魂の継承者で、幼い頃から歴代グレンの声が聞こえ、黄金の光が見えていた。エリオットの死後、眼を隠すことをやめ、髪を切る。忠誠を誓ったヴィンセントと、アヴィスの意志を消し去ることを決心する。
グレンの魂の封印が解けた際、体の所有権をオズワルドに奪われる。
バーナード=ナイトレイ
四大公爵家の一つであるナイトレイ公爵家の現当主。
パンドラでの会議中、突然の黒うさぎ(アリス)とオズの襲来にも怯まなかった勇敢な心の持ち主。足が不自由である。
エリオットの実父であり、またギルバートとヴィンセントの養父にあたる。
ザイ=ベザリウスと親しい関係にあるらしく、サブリエに居たエリオットの保護を依頼した。
100年前に失われたナイトレイ家の誇りを取り戻すことに執念を燃やし、その一環としてチェインの研究のため実験施設として「白き天使(フィアナ)の家」を設立し、またアヴィスの情報をえるため、バスカヴィルやユラと繋がっていた。
実子であるエリオットの命よりもチェインの研究を優先し、家族が皆死んでも自らの保身しか頭になかったため、激昂した首狩りに首をはねられる。
フレッド=ナイトレイ
エリオットの実兄。首狩り事件の最初の被害者。
養子のギルバートが鴉との契約に挑むことを疎み、叔父とともにギルバートを殺害しようとしたため、首狩りに首を刎ねられ殺される。
クロード=ナイトレイ
エリオットの実兄。首狩り事件の被害者。
養子であるギルバートとヴィンセントを快く思っておらず、ギルバートが鴉(レイヴン)と契約した際も反発していた。
弟のアーネストと共にギルバートとヴィンセント、そしてリーオの殺害を企て、首狩りに首を刎ねられ殺害される。
アーネスト=ナイトレイ
エリオットの実兄。首狩り事件の被害者。
兄のクロードと共にギルバートとヴィンセント、そしてリーオの殺害を企て、首狩りに首を刎ねられ殺害される。
ヴァネッサ=ナイトレイ
エリオットの実姉。男勝りなきつい性格。黒髪のベリーショートで、常にズボンを着用している。
エリオット以外の兄弟がみな首狩りに殺され、エリオットまでもが殺されることを何よりも恐れている。それ故エリオットさえ生きていればいいとリーオを軽視し、「殺してやる」と叫んでしまい、その言葉に反応した首狩りに首を刎ねられ殺害される。
ヴァーニス=ナイトレイ
エリオットの母親。
ユラのカルト教団の信者であり、アヴィスに世界を落とすことこそが救いだと信じ込み、儀式のためリーオを殺そうとした。そしてその光景を見た首狩りに首を刎ねられ殺害される。

レインズワース公爵家

シャロン=レインズワース
主要人物の項を参照。
ザークシーズ=ブレイク
主要人物の項を参照。
シェリル=レインズワース
年齢:不明。身長:160 cm。誕生日:11月26日。血液型:B型。
シャロンの祖母で四大公爵の一つであるレインズワース公爵家の現当主。ルーファス=バルマ公爵とは幼なじみで、ルー君と呼んでいる。足が不自由で、従者のふりをしたバルマ公が車椅子を押していることが多い。
契約しているチェインは梟(アウル)。黒い翼を持つチェインの一つである。
シャロンと同じく、いつも穏やかな笑顔を浮かべているが、なかなかに強かで腹黒い性格である。ハリセンを常に隠し持っている。ハリセンには巷で人気の脱力系熊・ジャン太さんストラップをつけており、ミーハーな所が見受けられる。ブレイクの事を「ザッ君」と呼び、シャロンやブレイクのことを優しく見守っている。愛読書は、シェリーやシャロンと同じく「シルヴィお嬢様と駄犬達」。
シェリー=レインズワース
シャロンの母。大らかな人柄で、ブレイクは彼女に救われて以来、忠誠を誓っている。愛読書は「シルヴィお嬢様と駄犬達」。回想でしか登場しておらず、素顔も明かされていない。幼い頃から体が弱く、既に亡くなっている。

バルマ公爵家

ルーファス=バルマ
声: - / チョー(幻影)、内田夕夜
年齢:67歳。身長:176 cm。誕生日:4月1日。血液型:B型。
四大公爵家の一つであるバルマ公爵家の現当主。バルマ家はもともとは何代か前にかの国からやってきた外来貴族。丸々と太った奇矯な性格の老人の姿で公の場に現れるが、それはチェインの力でつくりだした幻である。四大公の中では最年長であるが、チェインとの契約の影響で外見の成長は20代で止まっている。情に流されない合理的かつ冷徹な人物で、「知識は力」を信条とする情報収集マニア。己のために利用できるものは全て利用するような人物で、シェリルの孫であるシャロンにも容赦しない。ブレイクの過去や、ギルバートが失敗した禁煙の回数(8回)など、重要な事から些細なことまで、非常に膨大な数の情報を有している。だが、知識はあくまで目的ではなく手段らしい。
契約しているチェインは愚鳩(ドードー)、幻覚を作り出す能力を持っており、黒い翼を有するチェインの1つ。シェリルには頭が上がらないが、今でも結婚したいと思っている。
レイム=ルネット
声: - / 諏訪部順一
年齢:26歳。身長:185 cm。誕生日:7月9日。血液型:O型。
バルマ家の使用人でブレイクの友人。100年前にバルマ家に付き従いかの国よりやってきた外来貴族・ルネット伯爵家の第二子。パンドラではある程度責任のある立場にいることが言動から窺え、周囲からの信頼も厚い。生真面目な性格故にいつもブレイクやオスカー、ヴィンセントに振り回されている。動揺するとかけている眼鏡を拭き始める癖がある。
とある事情(バルマ公がシェリルへ宛てて書いたラブレターの返事をもらうこと)から過去にレインズワース家に2年間使用人として仕えていたことがある。
契約しているチェインは三月ウサギ(マーチヘアー)。バルマ公の命により、その能力はブレイクにすら隠していた。
アーサー=バルマ
100年前「サブリエの悲劇」に遭遇した頃のバルマ公爵家の当主。
ジャックから依頼を受け、彼の肉体を5つに引き裂いてグレンを封印したとされる。
「サブリエの悲劇」について手記を残したが、バルマの屋敷内に厳重に隠した。難解な暗号で記されたその手記には、友・グレン=バスカヴィルを殺したことへのジャック=ベザリウスの懺悔がつづられていた。
ミランダ=バルマ
アーサーの妹。100年前、ヴィンセントにアヴィスの扉の開き方を教えた張本人である。
サブリエの悲劇が起こる直前、グレン(オズワルド)と立ち話をしている。
死後、アヴィスで後にヴィンセント=ナイトレイと契約する死刑執行人(デイミオス)に変貌。
カルム=ルネット
レイムの祖父。
ルーファスの従者をしていたが、とある事件でその仕事が出来ない状態となり、従者をやめた。

バスカヴィルの民(バスカヴィル家)

グレン=バスカヴィル
「サブリエの悲劇」の首謀者とされている、バスカヴィル家の当主。バスカヴィルの民にとっては絶対的な存在であり、また不滅の魂を持ち、肉体を何度も替えながら生き続けている。魂が引き継がれた後の肉体は、アヴィスの力が染み込んでいるため、チェインと化す。
鷹獅子(グリフォン)漢字表記は18巻から。鴉(レイヴン)梟(アウル)愚鳩(ドードー)黒竜(ジャバウォック)の5体のチェインと契約し、またその5体を次の器に移すことで魂を引き継ぐ。
レヴィ
声: 櫻井孝宏 / -
先々代のグレン。常ににこやかで明るく軽薄な性格だが、同時に情も薄く残酷である。不変のバスカヴィルの歴史に石を投げ入れようと、アヴィスを人の手で掌握するための実験を行った。
アリスの父親。白アリスに宿ったアヴィスの核を、『アヴィスの意志』と名付ける。オズワルドにグレンを引き継がせた後、器はハンプティダンプティとなった。ジャックにバスカヴィルの城への抜け道を教えた人物であり、また実験の続きをジャックに託した。
オズワルド
声: 谷山紀章 / 同左
年齢:不明。身長:184 cm。誕生日:3月10日。血液型:A型。
サブリエの悲劇の首謀者とされている先代のグレン。生真面目で物静かな性格。ジャックとは深い親交があり、笑顔をみせるなど心を許していた。しかし、サブリエでの大虐殺を行った後、ジャックによって殺された。
レイシーの実の兄であり、グレンを引き継いだ後、禍罪の子である彼女をアヴィスへと堕とした。その償いのためか、レイシーと入れ替わりに現実世界へとやってきたアリスの世話をたった一人でしていた。オズの懐中時計の曲、レイシーを作曲した。
ギルバートを次の器にするため従者として傍に置き、穏やかな関係を築いていた。
リーオ
ナイトレイ公爵家の項を参照。
ロッティ
声: - / 豊口めぐみ
年齢:不明。身長:164 cm。
本名はシャルロット。ロッティという愛称は、100年前、ジャックが初対面の時につけたもの。
バスカヴィルの民の一人で、100年前のサブリエで暮らしていた。活発で物怖じしない性格だが現実主義者であり、主の命を遂げるために手段を選ばない冷酷な一面も持つ。一人称は「私」または「おねェさん」であり、オズやヴィンセントに対して名前を呼ぶときは「坊や」と付けて呼ぶ。
グレン(オズワルド)に並々ならぬ敬愛の念を抱いており、100年以上経った現在でもその行方を捜していた。また、グレンの魅力について長々と語るため、ジャックから「ストーカーみたい」と言われた。
オズワルドがグレンを引き継いだ後、グレン本人に初めて見る顔と言われていることから、オズワルドのグレン就任後にバスカヴィルとなったことがうかがわれる。
サブリエの悲劇の直後アヴィスに堕ち、4年前に現実世界に戻ってきた。
契約しているチェインは黒獅子(リオン)漢字表記は11巻帯より。
現在の主人であるリーオには、複雑な想いを抱いている。
ツヴァイ
声: - / 広橋涼
年齢:不明。身長:160 cm。
血を好む残忍な性格で、成人の儀の時からオズを執拗につけ狙う。
その正体はエコーのもう一つの人格であるノイズで、ヴィンセントの事を非常に好いている。エコーのことを単なる「反響音」と称し、軽視している。
契約しているチェインはドルディー
一人称は「ボク」。子供っぽく残虐な面があり、上の命令を無視して独断行動することもある。そのため、謹慎になることがあったが、謹慎と言うよりはエコーの中で精神的に監禁されていたといえる。
ファング
声: - / 近藤孝行
年齢:不明。身長:189 cm。
バスカヴィルの民であり、大剣を操る剣士。普段の態度は紳士的で、常にロッティやリリィを気遣っている。顔に掘られた入れ墨は、タグと共にリリィのものを真似ている。好きなものはたそがれること。
ロッティ達と共にユラの屋敷へ封印の石を探しに行き、ブレイクとの戦闘の末、死亡。
契約しているチェインはトーブ。ハーチュでは悲惨な絵を披露している。
ダグ
声: - / 白熊寛嗣
年齢:不明。身長:202 cm。
ロッティ、ファングと共に行動しているバスカヴィルの民の一人。顔にはリリィをまねて、ファングと対に刺青が彫ってある。無口だが薬草、毒草に造詣がある。絵がうまい。
リリィ
年齢:不明。身長:139 cm。
バスカヴィルの民の一人。幼い少女であり、顔には魔の入れ墨を彫られている。子供らしく明るく無邪気な性格だが、それゆえに人殺しに罪悪感をもたない。一人称は「私」で、ぞんざいな男口調で話す。
「サブリエの悲劇」が起きた100年後にバスカヴィルの所有する扉から現代にやってきた。
出身地は、エボーシェ村。ひどく貧しく、体の弱かったリリィは家族から能無しと疎まれてきた。あげくの果てには、「魔の入れ墨」を顔に無理矢理彫らされ、村から追放された。森で息絶えかけた瞬間、金色の光が身体の中へと入り、バスカヴィルとなった。
ユラ邸での騒ぎでレイムを捕らえた際、お互い'役立たず'同士として、レイムに懐いた。
契約しているチェインはバンダースナッチ
レイシー
声:川澄綾子 / -
誕生日:1月17日。血液型:O型。
ジャックにとって大切な存在だった女性。この世の全てに絶望していたジャックを見つけ、彼の唯一の希望となる。オズワルドの実の妹である。オズワルドが作曲したオルゴールの曲名も彼女の名前から取られた。
明るく自由奔放な性格で、常識に左右されない強い意志を持つ。
禍罪の子であったため、グレンとなった兄にアヴィスに堕とされた。オズ達が発見したベザリウス家にあった墓は彼女のものである。
アリス達の母親。レヴィに持ちかけられた実験に、アヴィスの底にいる「誰か」が一人でなくなるのならと合意し、彼の子を孕み、堕されたアヴィスでアリス達を産み落とした。
人殺しを厭わない残酷な面もある。降り注ぐ血を楽しげに浴びる様子は娘のアリス(アヴィスの意志)を彷彿とさせる。
ギルバート=ナイトレイ
主要人物の項を参照。
ザイ=ベザリウス
ベザリウス公爵家の項を参照。
ヴィンセント=ナイトレイ
ナイトレイ公爵家の項を参照。

アヴィス(永遠の監獄)

アヴィスの意志(アリス)
声: - / 川澄綾子(うさぎ:柚木涼香)
年齢:不明。身長:150 cm。
現在のアヴィスを創り上げていると考えられている、核と呼ぶべき存在。
自らを「アリス」だと名乗っており、容貌もアリス(黒うさぎ)と瓜二つ。しかし髪や瞳の色などは真っ白で、対照的な色彩の容姿を持つアリス(黒うさぎ)とは双子の間柄。純粋無垢な性格をしている。アヴィスの意志としての彼女は、記憶や認識がひどく混乱しており、感情表現に脈絡がない。破壊したチェインから降り注ぐ血のようなものを見て綺麗と発言するなど、狂気じみた残酷な面を見せる。
100年前にはバスカヴィルによる幽閉生活の中でも、アリス(黒うさぎ)と精神内で会話をしたり、その身体を通じて現実世界を見にくるなど、姉妹仲は良好だったようだ。またその折、ジャックと出会って交流を深めるにつれて彼を慕うようになる。幼少時代のギルバートとヴィンセントにも面識があるが、特に自分を苛めるヴィンセントのことは激しく嫌っている。
元々アヴィスには核はあれど、それが意志を持つことは考えられず、あってはならないとされていた。しかし彼女が生まれたことでアヴィスは闇に覆われ、チェインは荒ぶるようになったという。彼女自身も内に宿ったアヴィスの核に精神を侵されており、「大事なものも大事でなくなってしまう」と自分の狂気に怯えている。50年前アヴィスに堕ちてきたブレイク(ケビン)の左目を奪った際には、わずかに正気を取り戻し「アヴィスの意思でいたくない」という願いを伝えた。

チェイン

血染めの黒うさぎ(ビーラビット)
アリス
主要人物の項を参照。
オズ
アリス(血染めの黒うさぎ)と同じく、大鎌と鎖を武器とする巨大な黒うさぎの姿をしている。オズの正体であり、100年前にアリス達の友達だったぬいぐるみのひとつ。
大鎌で様々なものを斬り裂き、現実世界の形を留める鎖をも断ち切るほどの力を持つ。二つの世界をつなげたいというジャックの願いからアヴィスの意志の力でチェインとなり、ジャックと契約を交わした。
アリス達が誕生する前からアヴィスの核の最も近くにあり、他のチェイン達とは一線を画す性質を持っている。
チェシャ猫
声: - / 山口勝平
年齢:不明 身長:173 cm。
元々は100年前、幽閉されていたアリス(アヴィスの意志)にとって唯一無二の友であった黒猫。
アヴィスの意志を守るために人型をかたどるチェインへと姿を変えた。猫であった頃にヴィンセントの手で両眼を奪われていたが、チェインとなった後、アヴィスの意志によりブレイクの左眼を与えられた。当時のアリスの記憶から作り出されたアヴィスではない特別な空間に留まり、その記憶のもっとも深い部分を守っていた。
そのため契約者の存在を必要とせず、黒うさぎと同じく特別なチェインとされている。曰くアヴィスの意志の狂信者で、アヴィスの均衡を侵すものをよしとせず、黒うさぎを排除しようとした。ブレイクとの戦闘で、空間の崩壊と共に消滅したと思われたが・・・。
モチーフは「不思議の国のアリス」に登場する「チェシャ猫」。黒アリスが苦手。
鴉(レイヴン)
ギルバートと正規契約したチェイン。巨大な鳥の骸骨に、無数の鎖と漆黒の巨大な翼を纏った姿をしている。
ナイトレイ家が所有するチェイン。
能力は明らかになっていないが、ギルバートは鴉を使って血染めの黒うさぎ(ビーラビット)の力を封印している。
ユラの屋敷でバスカヴィルと交戦時、蒼炎を発生させる。
モチーフは「鏡の国のアリス」に登場する「大ガラス」。
一角獣(エクエス)
シャロンと正規契約しているチェイン。漆黒の体に、紫の陽炎のような鬣をもつ馬の姿をしている。空間を操る能力を持っており、影と影とを結び、移動可能な穴を作る。しかし、契約者本人の移動はできない。
モチーフは「鏡の国のアリス」に登場する「一角獣」。
イカレ帽子屋(マッドハッター)
ブレイクと正規契約しているチェイン。帽子とマントを身に着けた闇でその中央には大きな目が一つある。アヴィスに関わる全ての力を否定して消滅させる力を持つ、チェインを殺すために生まれたチェイン。
モチーフは「不思議の国のアリス」に登場する「帽子屋」。
梟(アウル)
実在する梟と同じサイズだが、いざというときは巨大化するらしい。無音の闇を作りだす能力を持っている。
レインズワース家が所有するチェイン。
三月ウサギ(マーチヘアー)
レイムと正規契約しているチェイン。帽子を被ったウサギの姿をしている。能力は「契約者を仮死状態に近い状態にすること」であり、戦う力を持たない。更に仮死状態にするだけで契約者の傷の治癒まではできない。
モチーフは「不思議の国のアリス」に登場する「三月ウサギ」。
愚鳩(ドードー)
くちばしが大きく、鋭く曲がっている。幻覚を作り出すことができる。
バルマ家の所有するチェイン。
モチーフは「不思議の国のアリス」に登場する「ドードー」。
白の騎士(アルブス)
声: - / 酒巻光宏
ブレイクがケビン=レグナードであった頃に違法契約していたチェイン。
アヴィスの意志に歯向かおうとしたブレイクを攻撃するが、「ブレイクとの会話を邪魔された」ことに怒ったアヴィスの意志によって壊された。
モチーフは「鏡の国のアリス」に登場する「白の騎士」。
眠り鼠(ヤマネ)
ヴィンセントと正規契約したチェイン。
ヴィンセントは度々このチェインの力にあてられ、突然眠りだしてしまう事がある。相手の頭部に数秒触れると相手を眠らせる事が出来る。
モチーフは「不思議の国のアリス」に登場する「眠り鼠(ヤマネ)」。
黒獅子(リオン)
ロッティと契約を交わしているチェイン。王冠を被った獅子の姿をしている。
モチーフは「鏡の国のアリス」に登場する「ライオン」。
ドルディー
声: - / 櫻井浩美
ツヴァイと契約しているチェイン。体を拘束されている女性のような姿をしている。対象の内にドルダムという別人格を作り、操る能力を持つ。
モチーフは「鏡の国のアリス」に登場する「トウィードルダム」。
バンダースナッチ
リリィと契約しているチェイン。尻尾を複数持った黒い大きな犬の姿をしている。
モチーフは「鏡の国のアリス」に登場する「バンダースナッチ」。
鷹獅子(グリフォン)
ザイ=ベザリウスと契約を交わしているチェイン。四大公爵家の一つ、ベザリウス家の所有するチェインで、当主の証でもある。
アヴィスと空間を繋ぎ、人をアヴィスへ引きずり込むことができる。
モチーフは「不思議の国のアリス」に登場する「グリフォン」。
黒竜(ジャバウォック)
グレンと契約を交わしていたチェイン。現在はリーオと契約を交わしている。
モチーフは「鏡の国のアリス」に記述されたナンセンス詞「ジャバウォックの詩」に登場する。
ハンプティダンプティ
フィアナの家の子供達と、エリオットと違法契約したチェイン。
己の分身を作り上げ契約者を増やすことで刻印への負担を分散、つまりは契約者を増やせば増やすだけ刻印の針の進みを遅くすることが出来る。ナイトレイ家の孤児院である「白き天使の家」では、悲しみをなくすおまじないと称して多くの子供にこのチェインと違法契約、記憶の改竄をさせていた。先代達のグレンがチェインと化した姿で、グレンの魂を護ろうとする特性がある。
首狩りだと思われていたが、実は首狩り(死刑執行人・ヴィンセント)の模倣犯。先々代のグレン・レヴィの成れの果てである。
モチーフは「鏡の国のアリス」に登場する「ハンプティ・ダンプティ」。
死刑執行人(ディミオス)
ヴィンセントと違法契約をしているチェイン。
フレッド=ナイトレイとその叔父を殺した際、死刑執行人の影を見た者の証言から「首狩りの女王(クイーン・オブ・ザ・ハート)」と呼ばれるようになったチェイン。
その正体は死んだミランダ=バルマである。
モチーフは「不思議の国のアリス」に登場する「ハートの女王」。
マッドベイビー
声: - / 園部好徳
オズがアヴィスに堕とされた際に襲われたチェイン。人の記憶を盗み見て弄ぶ。アリス(黒うさぎ)に倒された。
モチーフは「不思議の国のアリス」に登場する「赤ん坊」。
蟲(グリム)
声: - / 大原崇
ウィリアムと違法契約を交わしていたチェイン。幼虫に人の手が生えたような醜い外見を持つ。尻尾を振りまわして戦う。
モチーフは「不思議の国のアリス」に登場する「芋虫」。
トランプ
声: - / 相馬幸人
最も低能な部類のチェイン。いつくかの種類がいる。
モチーフは「不思議の国のアリス」に登場する「トランプ」。

その他

フィリップ=ウェスト
声: - / 比嘉久美子
貴族だったが家が没落し、父親と二人暮らしをしていた。母親は亡くしている。イジメを受けていたところをオズに助けられた。
後にナイトレイが運営する「白き天使(フィアナ)の家」に保護されたが、ハンプティダンプティと違法契約させられ、父の死を忘れてしまった。フィリップをアヴィスに堕としたくないと思ったオズから、父の死を告げられ、ハンプティダンプティを破壊された。
ウィリアム=ウェスト
声: - / 置鮎龍太郎
フィリップの父親で、蟲(グリム)の違法契約者。一度パンドラに捕らえられるが脱走し、オズの説教で更生しかけるも、ヴィンセントによって射殺される。
イスラ=ユラ
誕生日:9月3日。血液型:A型。
バルマ家の故郷(かの国)の人間。権力者の息子であるため、パンドラも下手に手を出せない。バルマ公と同じく情報収集が趣味(バルマ曰く「同属」)であり、またジャック=ベザリウスの熱烈なファンである。
封印の石を屋敷に所有しており、オズ達はその有無を確かめるため、オズの社交界デビューという名目でユラの屋敷に潜入した。
杭に蛇が絡みついたようなシンボルの小さなカルト教団のトップ。教団で「サブリエの悲劇の再来」がこの世の救いと説いてきたが、彼自身はそのことを全く信じておらず、単にサブリエの悲劇を再来させようと信者を利用していただけだった。
圧倒的な未知を前に笑って逝きたいと発言したり、サブリエの悲劇を「美しい眺め」と発言したり、常人とはかけ離れた感性の持ち主。その狂気からサブリエの悲劇を再現しようとし、オズの激しい怒りを買う。だが皮肉にも崇拝するジャックの手で、圧倒的な未知を前に死ぬという願いは叶えられる形となり笑いながら絶命した。
リータス
カリオン地方の外れの屋敷に住む、術者の末裔の老人。封印の石を護っている。封印の石を黒うさぎの力を持つ者以外に渡してはならないと教えられていた。
残りの時間をマリーのために使いたいと思っていたが、首狩り(ヴィンセント)に遭い死亡し、封印の石も破壊された。
マリー
幼い頃村人の手により森に捨てられた少女。リータスに拾われて以来は彼の手足となるべく長年尽くしてきた。糸鋸を武器として戦う。
首狩り(ヴィンセント)に遭い、死亡。
シンクレアのお嬢様
声: - / 櫻井浩美
ケビン=レグナードが仕えていたシンクレア家の令嬢。ケビンが過去を改竄したため、一族共々亡くなる。

用語

チェイン
アヴィスで生まれた生命体の総称。そのほとんどが異形で、蟲(グリム)やトランプなど亡霊のような姿をしている。人間に「過去を変えることができる」と契約を持ちかける。人間に勝手に取り憑くことはない。
中でもビーラビット(血染めの黒うさぎ)は最も危険な存在の一つとされている。
黒い翼を持つチェインは、アヴィスとオズ達の住む世界を行き来できる能力を持つ。
契約(けいやく)
異世界の生物であるチェインは、こちらの世界で存在を安定させるために人間と契約を交わす。
契約には、パンドラが考案した正規の方法による契約と、アヴィスに堕ちた人間やアヴィスから出てきたチェインに契約を持ちかけられた人間が勝手に行う違法契約の2つがある。
稀に契約の影響で体の成長が止まってしまう者がいる(シャロン、ブレイク、ルーファスなど)。しかし姿が変わらない分それだけの負担が体にかかっているため、不老不死という訳ではない。
契約者(けいやくしゃ)
チェインと契約を交わした人間のこと。違法契約者には胸に時計の形をした印が現れ、時間が経つにつれて針の位置が移動する。刻印の針が一周してしまうとアヴィスの最下層に堕とされる。過去を変える力を得ようとする違法契約者は、契約したチェインにタイムリミットが来るまで人間を食べさせ続けなければならない。
アヴィス
「大罪を犯した者の所へアヴィスからの使者が来て、恐ろしい場所に連れて行かれる」と闇の牢獄として言い伝えられているが、実際には牢獄とは相違なる「壊れたおもちゃ箱」のような空間。踝の辺りまで液体で覆われている。アヴィスの意志によって作り上げられている異世界で、チェインを産み出す母胎とも考えられている。
時の狂った空間で、脱出できても元の時代に戻れるとは限らない。グレンは、あらゆる時と繋がり、それを支配しえるアヴィスを、世界の縮図のようなものだと考えていた。
アヴィスの意志が産まれるまでは、金色に輝く美しい世界だったという。現在では、アヴィスの使者であるバスカヴィルでさえも、正確に時を渡ることができない。
パンドラ
表向きは国直属の治安維持機関だが、実際は四大公爵家によって作られたアヴィスの研究、またはそれにまつわる仕事を解決する機関。構成員は全て貴族もしくはその従者。アヴィスの意志を欲している。
主要人物のオズ、アリス、ギルバート、ブレイク、シャロンを始め、公爵家の人間の殆どが所属もしくは関係を持っている。
四大公爵家(よんだいこうしゃくけ)
100年前に起こった天変地異以前から続く4つの公爵家。国直属の治安維持機関パンドラを作りあげ、各々の家がアヴィスへの扉と特別なチェインを所有しており、その存在により今の地位を約束されている。オズ、シャロン、エリオットは正式な血族であり、ギルバート、ヴィンセントは養子である。
ベザリウス家、ナイトレイ家、レインズワース家、バルマ家で構成されている。100年前にバスカヴィルから奪ったアヴィスの扉をそれぞれ保持している。
ベザリウス家はサブリエの悲劇のジャックの活躍以降で出世し、一方でナイトレイ家は100年前の裏切りの嫌疑をかけられていることから、光と闇の様な関係だとされている。オズの母親を殺したのがナイトレイ家だとも言われているが、真相は明らかになっていない。
バスカヴィルの民(バスカヴィルのたみ)
パンドラと敵対する組織で、アヴィスの意志を欲している。ある理由からオズをアヴィスへ堕とした。「紅き死神」、「アヴィスの使者」などの異名を持つ。全員がフード付きの赤いマントを着ている。強力な違法契約者の集団。
その正体は約100年前に四大公爵家によって倒されたバスカヴィル家の者たちであり、「サブリエの悲劇」の際にアヴィスに落ちたがその後脱出している。
本来は自由にアヴィスを介して時を渡れるが、アヴィスの意志が誕生してからは、正確に時を渡ることができなくなった。
バスカヴィルはアヴィスに選ばれた使者であり、血のつながりはない。
個人差はあるものの、驚異