リベロ革命!!/田中モトユキ
著者: 田中モトユキ
巻数: 1巻
最新刊『リベロ革命!! 1』
『リベロ革命!!』(リベロれぼりゅーしょん)は、田中モトユキによるバレーボール漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)において、2000年4号より2002年18号まで連載された。全111話、全13巻。
あらすじ
背は低いがバレーボールの実力は一流の幹本要は、名門藤原学園のスカウトを受けるが、レシーブ専門のポジションリベロでのスカウトであることを知り話を蹴る。さらに背の低い要のレシーブ以外の実力を認めない藤原学園を倒すために、藤原学園に次ぐ実力を持つとされる私立青海高校に入学する。
だが、そこで要が見たものは、砂浜にネットを立てただけというあまりにも貧弱な施設とやる気のない部員達。さらに、藤原学園に次ぐ実力を持っていたのは実は“県立”青海商業高校で、“私立”青海高校のバレー部は万年1回戦負けの超弱小校であることを知らされ、要は愕然とする。
しかし、それでも打倒藤原学園を諦めない要の姿に、当初はやる気がなかった部員達も影響を受け、猛練習に励む……。
登場人物
青海高校
男子部は、要が入部するまでは、5年連続1回戦敗退の弱小チームだった。しかし、要が加わったことがきっかけで、後に3年生が抜けた後の新チームでは、練習内容も雰囲気もガラリと変わり、いつしか県内の強豪で高校日本一のチームでもある藤原学園に匹敵するほどの強豪に成長する。
一方、女子部は前からの強豪であるが、県内王者である多田浜女子高校に幾度となくその座を阻まれている。
- 幹本要(みきもと かなめ)
- 本作の主人公で、「打倒・藤原学園」を目指す熱血直情少年。先輩に対しても生意気とも取れるぐらい歯に衣着せない言動が多いが、筋が通っており、いかに自他共に厳しく、本気でバレーボールを愛し、常に真剣に取り組んでいるのかが伺える。青海高校1年生で背番号6。中学時代はセッター対角(いわゆる「スーパーエース」)で、159cmという身長ながらずば抜けた跳躍力を持ち、高い打点を誇る。藤原でリベロとしてスカウトされるが、リベロはレシーブしかできないという理由でスカウトを蹴る。青海高でも途中まではセッター対角としてレシーブも積極的に拾い孤軍奮闘気味の活躍をするが、新チームの編成で「このチームで勝つため」の最善の策として自らがリベロになることを決意する。「未来が見えているのでは?」と思わせるほどの洞察力を持ち、試合の勝敗を察知したり、常軌を逸したスーパープレーをやってみせる。
- なお、田中モトユキの後の作品「最強!都立あおい坂高校野球部」第154話中に、日本代表のリベロに選出されたと思われる新聞記事が掲載されている。
- 小沢俊彦(おざわ としひこ)
- 青海高校2年生で背番号4。ポジションはレフト。身長180cm。ニックネームは「トシ」。赤く染めた髪の毛が特徴で、不器用な性格。中学時代はエースだったが、とある出来事で一時期バレーボールを諦めかけていた。しかし、要からの檄で奮起し、新チームでは要に変わりエースとなる。
- 羽生透(はぶ とおる)
- 青海高校2年生で背番号5。ポジションはレフト。身長179cm。女好きのお調子者で、一度勢いに乗ると立て続けにポイントを取ることも。当初はバレーに対してそれほど熱心ではなかったが、要の影響を受けてから急成長を遂げ、小沢と共に攻撃の中心を担う。ジャンプサーブが得意。
- 沖田総一郎(おきた そういちろう)
- 青海高校2年生で背番号2。ポジションはセンター。身長184cm。一部の女生徒達からは「総サマ」と呼ばれる。小沢とは中学時代からの同級生。自惚れ屋のナルシストだったが、要の入部以来努力する事の大切さを学び、次第に熱血キャラに変貌を遂げる。3年生退部後の新キャプテンに任命され気合を入れて坊主頭になる。
- 金子正起(かねこ まさき)
- 青海高校3年生で背番号1。ポジションはセンター。身長187cm。要が入部した当時のキャプテン。年齢不相応なまでに老け顔で、周囲からは「オッサン」と呼ばれる。
- 円博士(まどか ひろし)
- 青海高校3年生で背番号3。ポジションはセッター。身長175cm。ニックネームは「メガネ君」。要が入部した当時の副キャプテン。ジャンクフードが大好き。
- 宮森一馬(みやもり かずま)
- 青海高校1年生で背番号8。ポジションはセンター。188cmの長身で、性格は穏やか。中学時代は長身にもかかわらず控えで、青海高校でも「楽しくバレーができればいい」という理由で入部したが、要に触発され猛練習に励むようになる。3歳年下の妹がいる。
- 黒木貴志(くろき たかし)
- 青海高校2年生で背番号1。ポジションはセッター。身長182cm。ニックネームは「タカ」。攻撃的で我の強い性格。父親の仕事の都合で2年次より青海高校に編入。1年の頃はバレーの名門校・西唱高校のレギュラーだったが、ある出来事がきっかけで退部を余儀なくされる。青海高校入学後もバレーからあえて距離を置くが、要と出会い再起を決意する。名前の由来は、千葉ロッテマリーンズの黒木知宏。
- 黒木康志(くろき やすし)
- 青海高校1年生で背番号3。ポジションはセッター。身長180cm。黒木貴志の弟。ニックネームは「ヤス」。兄とは対照的に大人しい性格。高い素質を持ちながらもバレーをやろうとしない兄・貴志に対して複雑な感情を抱いていたが、兄の入部に伴い打ち解ける。
- 篠原舞子(しのはら まいこ)
- 青海高校1年。ポジションはレフト。身長180cm。ニックネームは「イコ」(間が抜けていることから、名前の「まいこ」から「ま」を取ったもの)。性格は天然だがバレーの実力は確かで、将来を嘱望されている女子バレー部のエース。要に対して反感を持っていたが、次第に前向きで懸命な姿に心を魅かれていく。
- 小坂遼子(こさか りょうこ)
- 青海高校2年。ポジションはセッター。身長168cm。女子バレー部の新キャプテン。部員達の将来を第一に考えて行動するキャプテンで、部員達からも全幅の信頼を寄せられている。名前の由来は、元千葉ロッテマリーンズ(現東北楽天イーグルス)の小坂誠。
- 美雪(みゆき)
- 青海高校女子バレー部のレギュラーで、ポジションはリベロ。苗字は不明。ショートカットで小柄。青海女子IDバレーの中核を担う存在。
- 智恵(ともえ)
- 青海高校女子バレー部のレギュラーで、ポジションはレフト。苗字は不明。いつも美雪と2人でイコをからかっている。
- 深見(ふかみ)
- 青海高校3年。要が入部した当時の女子バレー部キャプテン。弱くてやる気もない男子バレー部を軽んじていたが、要入部後の男子バレー部の変貌ぶりを目の当たりにして一定の理解を示すようになる。
- 岸本徳男(きしもと のりお)
- 青海高校生活指導教諭。当初は要の存在を快く思っていなかったが、後に男子バレー部顧問に就任。PC-8801時代から慣れ親しんだパソコンの技術を駆使し、チームにIDバレーの導入を図る。諸積のコーチ就任まで実質的な指揮も執った。なお、ママさんバレーの薫さん(後述)の旦那さんは小学校時代の恩師で、現在でも頭が上がらない。
- 諸積直子(もろづみ なおこ)
- 青海高校バレー部コーチ。およそバレー部のコーチとは思えない派手な服装と化粧が特徴。ぶしつけで無神経で無鉄砲な性格だが人望は厚い。元実業団の選手。名前の由来は、元千葉ロッテマリーンズの諸積兼司。
藤原学園高校
高校バレー界全国屈指の強豪校。全国大会の優勝経験も豊富で、練習試合ではあるがVリーグのチームに勝ったこともある。
- 神成称(かなり しょう)
- 藤原学園高校1年。ポジションはリベロ。身長183cm。要の最大のライバル。大杉監督の熱烈なスカウトを受け藤原学園に入学後、リベロに転向し才能が開花。中学時代に壮絶な過去を背負ってから感情を表に出さないようになるが、インターハイ予選で要率いる青海高校と対戦し、再び闘争心を呼び起こされる。
- 江口剣介(えぐち けんすけ)
- 藤原学園高校2年。ポジションはレフト。身長192cm。強烈なスパイクを持つ藤原学園のエースアタッカー。プライドが高く、藤原のスカウトを蹴った要を目の仇にしている。後輩である神成のやり方に反発して青海に1セット取られるぐらいに戦況を悪化させてしまうが、その1セット取られた事を受け神成と和解し、藤原を勝利に導いた。
- 福浦篤史(ふくうら あつし)
- 藤原学園高校1年。ポジションはセッター。身長182cm。意外性に富むトス回しが持ち味で、突拍子もない行動と発言を行うチームの問題児。未来が見えているかのようなスーパープレーを見せるアスリートを「TYPE-X(タイプ・エックス)」と勝手に呼んでいる。名前の由来は、千葉ロッテマリーンズの福浦和也と元千葉ロッテマリーンズの吉田篤史。
- 大杉平次(おおすぎ へいじ)
- 藤原学園高校バレー部監督。素質ある選手達をまとめ上げる高校バレー界の名将。神成の才能に惚れ込み、彼を自宅に住み込ませている。要をリベロとして藤原にスカウトするも蹴られてしまい、彼を憎むが、神成がその少年と熱い接戦を繰り広げているのを見て要を好敵手と認めるようになった。
多田浜女子高校
県内一の女子バレー強豪校で、青海女子バレー部の全国大会出場をことごとく阻んできた。国体で優勝したこともある。
- 橋本芽依(はしもと めい)
- 多田浜女子高校1年。ポジションはレフト。高校1年にして全日本入りも噂される超高校級アタッカー。名前の由来は、千葉ロッテマリーンズの橋本将と元千葉ロッテマリーンズのデリック・メイ。
- 鏑木理沙(かぶらぎ りさ)
- 多田浜女子高校2年。ポジションはセッター。同い年で同ポジションの小坂を強烈にライバル視している。
萩岡高校
物語序盤、青海高校との練習試合での対戦相手。県内でも2、3回戦止まりの実力だが、このチームを相手に善戦した事で青海高校は自信を深めていく。
- 木島誠(きじま まこと)
- 萩岡高校2年。小沢と沖田とは中学時代の同級生で、同じバレー部だった。小沢とは浅からぬ因縁がある。実力は中学時代は未熟だったが、高校に入ってから練習を積み重ねて自信をつけてきた。
岩間工業高校
インターハイ予選2回戦での対戦相手。
- 矢野(やの)
- 岩間工業高校バレー部のレギュラーで、ポジションはセッター。チームの中心で、県内ではそれなりに名の通った選手。
塔陽工業高校
秋季新人大会1回戦での対戦相手。校名はかつての実業団バレーの名門チーム東洋工業をもじったものと思われる。ヒップホップやラップなどの音楽を好む選手が多く、レシーブ守備を捨てて、破壊力のあるサーブとスパイク、力で強引に押さえ込むブロックなどのパワープレイで点を奪う極端なチーム。
- 久村(ひさむら)
- 塔陽工業高校バレー部のレギュラー。普通の会話もわざわざラップで行う珍妙な選手だが、スパイクは強烈。
豊原高校
秋季新人大会2回戦での対戦相手。小柄な選手ばかりだが、粘り強いバレーを展開する。岸本曰く「幹本が6人いるみたい」とのこと。
- 山本(やまもと)
- 豊原高校バレー部のレギュラー。インターハイ予選での藤原学園戦の要のプレーに心酔し、要の当時のプレースタイルを目標とするが、要がリベロに転向した事を知り……。
河徳高校
秋季新人大会で岩間工業高校を破ってベスト8に進出、青海高の準々決勝の対戦相手。
- 石井純(いしい じゅん)
- 河徳高校バレー部のレギュラーで、190cmを超える大柄な選手。当初はその巨体を持て余していたが、セッター・小野との秘密特訓で強烈なスパイクを身に付ける。ただし、気心の知れた小野以外とのコンビネーションはイマイチらしい。涙もろい性格。名前の由来は、元千葉ロッテマリーンズの石井浩郎。
- 小野恭生(おの きょうせい)
- 河徳高校バレー部のレギュラーで、ポジションはセッター。共に特訓を続けてきたエース・石井に全幅の信頼を置く。石井と同じく、他の選手とはコンビネーションが合わないらしい。名前の由来は、千葉ロッテマリーンズの小野晋吾。
青海商業高校
青海高校と名前が似ているがこちらは“県立”。県内の高校バレー界では有力校の一つで、藤原学園を相手にセットを奪ったこともある。秋季新人大会準決勝で青海高校と対戦。
- 平井(ひらい)
- 青海商業高校バレー部のレギュラー。同じ「青海」の名を冠する“私立”青海高校を一方的に敵視し、しきりに挑発を繰り返すが、試合では終始圧倒され、最後は小沢のスパイクを顔面に喰らって派手に吹っ飛ばされる。典型的なやられ役キャラ。名前の由来は、元千葉ロッテマリーンズの平井光親。
ママさんバレー
- 高嶺あやめ(たかみね あやめ)
- 元全日本女子の名セッターで、現在は全日本の強化委員を務める。20年前は「ワイルド・セッター」(野性の司令塔)という異名を持っていた。ユースの選考でインターハイ予選に訪れた際に要のプレーを見てその才能に惚れ込み、以後要にママさんバレーチーム・八隅クラブの監督を任せたり、青海高校男子バレー部のコーチに諸積を紹介するなど、要および青海高校バレー部の面々に深く関わっていく。通称「あやっぺ」。
- 花山薫(はなやま かおる)
- ママさんバレーチーム・八隅クラブのメンバー。チーム最年長の48歳。レシーブの上手さには定評があり、要のリベロ転向を決意させるきっかけとなった人物でもある。民生委員を務める夫を持ち、あやめとも旧知の仲。
- 江崎真紀(えざき まき)
- ママさんバレーチーム・八隅クラブのメンバー。28歳。チーム一の長身で、元々はチームのエースアタッカーであったが、要の方針によりセッターに転向する。
- 若井紀子(わかい のりこ)
- ママさんバレーチーム・八隅クラブのメンバー。24歳。生後5ヶ月の長女を持つ若奥様。
- 渡瀬理香(わたせ りか)
- ママさんバレーチーム・八隅クラブのメンバー。30歳。5歳になる長男がいる。
- 日南子(ひなこ)
- ママさんバレーチーム・八隅クラブのメンバー。ラブホテルを経営する夫を持つ。
- 孫平(そん ぺい)
- 元中国女子代表チームのエースで、身長205cm。日本人男性と結婚して現在は日本に住んでおり、ママさんバレーチーム・小泊アタッカーズのメンバーとして八隅クラブの前に立ちはだかる。元中国女子代表の名選手郎平をモデルにしていると思われる(ただし、郎平自身は日本人との結婚も日本への永住もしていない)。
- 柴田浪子(しばた なみこ)
- 元全日本女子の選手で、「伝説の名レシーバー」と言われている名選手。あやめと共に、ママさんバレーチーム・チーム湯川の一員として八隅クラブの前に立ちはだかる。会話の最中に突然英語を使うのが特徴。通称「柴っちゃん」。
関連項目
- 健太やります! - 1989年から1994年に同じ週刊少年サンデーで連載されていた満田拓也のバレーボール漫画。背が低い主人公、女子バレー部に実力で劣る男子バレー部など、一部で本作との類似性が見られる(ただしこの作品の連載当時はリベロのルールは存在しなかった)。