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海の闇、月の影/篠原千絵

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著者: 篠原千絵
巻数: 11巻

篠原千絵の新刊
海の闇、月の影の新刊

最新刊『海の闇、月の影 第11巻


出版社: 小学館
シリーズ: 小学館文庫


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

kimotohirotada 【オススメ】海の闇、月の影|篠原千絵 このコミックがオススメ! http://t.co/4yf5NTNh @comic_cmoa #comic #manga
UNrf @happy_no_yokan 今日は〜ちはやふるというマンガに熱中してました(^_^;)10月からアニメ化されるみたいです☆少女マンガはあまり読まないのですが、篠原千絵作品は別格☆「海の闇、月の影」懐かしいですね…。
Rutilekirameki 海の闇、月の影 このコミックがオススメ! http://t.co/Xbi1cEB via @comic_cmoa #comic #manga #漫画 #solma
kmkm509 @dai_6800872 自分は古いけど、『海の闇、月の影』ってホラーな少女漫画が好きよ。

海の闇、月の影』(うみのやみ、つきのかげ)は篠原千絵の漫画作品、およびそれを原作としたOVA作品。

『週刊少女コミック』(小学館)で連載されていた。コミックスは全18巻(文庫版全11巻)、イメージアルバム、イラスト集も発売された。

ストーリー

仲の良い双子の姉妹・小早川流風と流水は陸上部の先輩である当麻克之に同時に恋をしたが、克之が選んだのは流風だった。双子といえど、違う人間である二人はいつかは別々の道を歩まなくてはいけない。これが最初の一歩だと二人は感じた。

送別会としてキャンプに出かけた女子陸上部の面々は、雨宿りで入った古墳の中で壁が崩れた途端に異臭を感じて倒れる。皆が息絶えていく中で、双子だけが生き残った。

古墳の中には現在では考えられないような、感染したものに超能力を与えるウイルスが蔓延していた。他の部員はそのウイルスが原因で死亡したが、双子はウイルスに適応できたために生き残れたのだった。体質は全く同じとはいえ、感染時の双子の心境には天と地の差があり、失恋による激しい悲しみと流風への微かな嫉妬を感じていた流水は、ウイルスにより負の感情を増幅させられて残忍な性格になってしまい、超能力を使って克之を我が物とするため流風を殺害しようとするようになり、更に自身の血によって他人をウイルスに二次感染させることで他者を自由自在に操る力を身につけ、流風に罠を仕掛ける。流風はそれに対する免疫抗体を体内に持つようになったと判明し、流風は克之と共に流水と対抗する決意をする。

克之の父からの連絡によってイギリスより来日したジーン・アルバート・ジョンソンは、天才的な頭脳でウイルスを分析、自ら感染、改造し、新たな能力をつくって様々な人間を実験台にした。そして彼は一つの薬をつくる。それは流風の血を混ぜれば流水に操られている者を正気に戻せ、流水の血を混ぜれば既に流風の抗体を受けた者をも感染させられるというものだった。その薬の処方せんは5枚に分けられ、ジーンの創った新たな能力を持つ者たちに受け継がれた。

人々の正気を取り戻そうとする流風と克之、克之が服従せざるを得ない権力を手に入れようともくろむ流水は、争いながら、時には協力しながら、新たな能力者たちと出会い、それぞれの愛憎が絡んで行く。

登場人物

主な登場人物

小早川 流風(こばやかわ るか)
声:荘真由美
陸上部に所属する高校生。少し内気な性格だが、流水と同じくらい、あるいはそれ以上の激情家な一面もある。流水とは双子の姉妹で、他に流衣子という姉と両親がいる。
高校入学当時から一つ年上の当麻克之に流水と共に惹かれており、第一話の冒頭で電撃告白される。
古墳でウイルスに感染後、宙に浮く能力・物体を通りぬける能力・流水の感染に対する抗体(唾液や血液がそれに当たる)を持つ。能力は月の満ち欠けに比例し、満月の時は力が最強で、新月の時は地面から少し浮く能力はあるが物体をすり抜けることは出来ず、普通の人とあまり変わらない。(抗体は出る)
克之のことはずっと愛し続けているが、彼女を突き動かすのは最後まで「流水とウイルス感染以前の生活に戻りたい」というものであり、一番想っているのは流水のことの様にも見える。
小早川 流水(こばやかわ るみ)
声:佐久間レイ
流風とは双子の姉妹。同じく陸上部に所属する。
姉であるためか、流風よりは少し活発な性格だが、それほど大差はない。料理の腕は流風より上らしい。原作には超能力者になる以前の流水は殆ど描かれてはいないが、克行曰く流風と見分けがつかないほど、本当はいい子であったとのことである。
流風と共にウイルスに感染したが、今まであまり大差もなく似た生活を送って来た双子の2人を正反対の人間に分けたものは、克之の流風への告白である。
ウイルスに感染後、流風に対する負の感情がウイルスによって増幅され、克之を手に入れるためなら殺人をも厭わなくなり、流風の命を狙う。能力の強さは流風と互角だが、唾液や血液を媒介にウイルスを感染させ、相手を意のままに操る流風とは異なる能力を持っている。新月の時は流風同様能力は殆ど影を潜めるが、ウイルス感染は月に関係なく感染させることが出来る。
世界征服を狙い、手始めにダムに自分の血液を流し込み一つの街を丸ごと乗っ取るというような所業に出る反面、感染前の優しい性格も残っており、睡眠薬なしには眠る事ができないほど精神を消耗している。また流水の殺人場面が非常に多いが、殺人する度に一番傷ついているのは自分だと後述の水凪薫に本音を告白している。終盤では一人でいる時に、自分を元の自分に戻してもらえるなら能力などいらないから誰か助けてほしいと、序盤、中盤では考えられないような切実な本心を見せている。
当麻 克之(とうま かつゆき)
声:関俊彦
双子より一つ年上の先輩。県下随一のスプリンターでインターハイ優勝候補。美男子でもちろんモテる。大勢の女性の中から流風を選んだ理由は語られないまま。
彼だけが流風と流水の見分けが外見だけで出来る。流水曰く、まず流風を見分け残った方が流水であるとのこと(ただ読者側にはちゃんと流水と流風の顔の描き分けがされているので、すぐにどちらか分かるようになっている)。
映像化も多数の大河小説家の父と、専業主婦の母、中学生の弟を持つ。
双子たちの能力バトルに巻き込まれながらも、流風を愛し続ける。能力者たちと対等に戦うために、何時の間にか無免許運転も銃の使用もお手のものとなった。
ある意味すべての事件の元凶でもある。作者曰く、克之が流水を好きになったとしても双子の名前が逆になるだけで、ストーリーは変わらないとのこと。
ジーン・アルバート・ジョンソン
双子と同じウイルスに意図的に感染し、双子を超える強大な能力を手に入れた、金髪碧眼の美しい外国人男性。
本名はジーン・ヨハンセン。生まれはフィンランドの東の外れのカレリアと呼ばれる場所。カレリアは一卵性双生児の出生率が80%を超える地域で、ジーンは1度は双子になりかけた受精卵が再結合した結果生まれた子供で、そのためかIQ270の超人的な頭脳を持ち、超能力も二人分ある。双子と同様の能力を持つが、能力が月齢に影響される事もない。自身には感染作用も抗体もないが、流水が感染させた者を操る力は当の流水以上。しかし、一つの体に二人分の能力が宿るためか、長時間能力を使いつづけていると肉体に負担がかかり、一時的に視覚に障害が生じる。
流水・流風の見分けは行動等で出来ているようである。ただ二人の行動がいつもと違えば見間違えることもあるようで、克之のように一瞬で見分けられてはいないようである。
かつてソ連領となったカレリアから亡命し、二度と帰れない美しい故郷を双子達に見せたいと願い、世界征服を目指す。双子共に愛しており、一時的に流水と手を組み肉体関係をも持った。一方で流風も愛していて、双子二人共手に入れたいと願う。
両親と双子の妹達(アイノとエーダ)は亡命の際射殺された。叔父(父の弟)と伯母(母の姉)の息子で従弟にあたる双子の兄弟・イアンとクリスとは髪の色こそ違うが三つ子のようにそっくりな顔をしている。
最期は流水を殺されたと勘違いした流風の攻撃を受けて致命傷を負い、乗っていた船と共に海中に没した。その直前にウィルスの治療薬の処方箋を五つに分けて日本各地に散らばせた。

処方箋に関わる者たち

ジーンの創った新たな能力を与えられた者は、双子と同じく、宙に浮く・物体をすり抜けるなどの能力を持つ。ただし感染作用・抗体は持たず、能力が月齢に影響される事もない。

真琴(まこと)
可愛らしい幼稚園児の女の子。ジーンにより創られた新しい能力を与えられた人物の一人で、物体をすりぬける応用で人物や物を物体にめり込ませる能力を持つ1人目の能力者。また埋め込まれた物を引きぬく事もできる。ウサギの人形にコットンテールと名づけ、いつも持ち歩いている。両親はペンション「スオミ」を経営しており、ペンションを始めてから両親があまり構ってくれないのを不満に思っている。
幼さ故に人を殺す罪悪感を持たず、気に入らない事があるたびに人々を岩や壁にめり込ませ殺害し、遂には両親すら殺してしまう。後に流風、克之と和解し処方箋を渡す約束をしたが、直後に流風になりすまして現れた流水に連れ出され、溺死させられてしまう。
水凪 薫(みずなぎ かおる)
大学生の青年。真琴と同じく自分を浮遊する応用で、人物など様々な物を浮遊させ高速で移動させることも出来る2人目の能力者。バイク事故の際に入院した病院で、知らぬ間にジーンに能力を植えつけられた。その事を自覚しないままサイコキネシスに目覚め、まだ制御不能なその力で家族と婚約者を殺してしまう。自分に能力を与えたジーンと、能力の母体である双子を憎み、双子やその周りの人々に危害を加えていく。
愛する人への行き場のない思いを抱えるという共通点により流水に惹かれるようになり、一緒に暮らしてみないかと流水(と見間違えた流風)に打ち明ける。流水も行き場のない思いを受け止めてもらえるだろうかと、一瞬薫と一緒に暮らそうかと思ったようであり、克之一筋でジーンへは全く動かなかった流水の気持ちを一瞬でも動かした。身につけているピアスは、婚約者へ贈るはずだった婚約指輪につけるために買ったルビーを加工したものである。処方箋を克之に渡そうとするが(実際は処方箋ではなく処方箋のヒントのおみくじ)、流水に奪われ、下水道に逃げる彼女を追いかけるが、彼女の策略に嵌められて地下鉄の隧道に出てしまい、走ってきた電車に撥ねられて命を落とした。
椎名 今日子(しいな きょうこ)
克之の先輩で、現在は医学生。自らの体を切り離し瞬間移動・浮遊させ、遠方への人間にでも攻撃できる能力を持つ3人目の能力者。双子と対等に渡り合うために自ら望んでジーンから能力を得た。克之とかつて交際していて、卒業によって関係が自然消滅してからも克之を想い続けており、その克之が双子のいざこざに巻き込まれた事を知り、嫉妬もあって双子を憎むようになる。
最後は大雨で増水した川に転落した流風を助けようとする克之の背後に切れた電線が倒れてくるのを庇って感電し、流風に「克之はあなたの為に命を落とす」と言い残して息を引き取る。その際、克之の写真を入れたロケットに密かに処方箋を隠し、流風に託した。
森尾 真由夏(もりお まゆか)
足の不自由な旧家のお嬢様で、少しばかりわがままなところがある。自分の足がコンプレックスであり「シンは私の足を笑わないもの」と言って、家で愛犬のシンの相手ばかりしている。流風と流水は当初彼女が能力の持ち主だと思っていた。そのため、流水に襲われ殺害されてしまう。
シン
真由夏の飼い犬。凛々しく主人に忠実で、人懐っこいが犬嫌いの双子には避けられている。
ジーンにより様々な動物を操る能力を与えられた4人目の能力犬。目の前で真由夏を殺されて、双子を殺害しようとするが、騒ぎを聞きつけた近所の住民に銃で撃たれて怪我を負ってしまい、それを介抱してくれた流風にだけは心を許し、以後ともに行動をする。
イアン・ヨハンセン
クリスチャン・ヨハンセン
ジーンの従弟に当たる双子。今までの処方箋を持つ4人の能力を全て持ち合わせ、流水が感染させた人間を操る能力はジーン同様流水以上である、5人目(6人目)の最強の能力者。シンを操る事が出来たり(シンの能力同様)ビルを破壊させられる程である(水凪薫の能力同様)。両親がジーンの両親とそれぞれ一卵性の双子であるため、髪の色以外はジーンとそっくりの容姿をしており、ジーンを殺した流風と流水を憎み、殺して真珠に加工しジーンの死んだ海に沈めようと命を狙う。イアンは物珍しさからか、少なからず流風の方に執着していた。流水・流風達とは違い、二人とも性格は似ている様だが、より細分化するとイアンは激情家でクリスは冷静なタイプの様である。

その他の登場人物

当麻夫妻
克之の両親。父は作家で、母は専業主婦。流風が流水に殺されそうになっている時に家に匿ってくれた優しい両親である。しかし克之の家に忍び込んだ流水にすぐ殺されてしまう。克之の父によりジーンは双子の存在を知ることとなる。
当麻 隆(とうま たかし)
克之の弟の中学生。流風から抗体を貰うも、ジーンの作った薬を流水が実験したため、感染者となってしまう。
野々村 士郎(ののむら しろう)
椎名今日子の母方の従兄。検察庁に勤める検事。処方せんを集めて感染した人々を元に戻そうと願う克之に協力する。
小早川夫妻
流水と流風の両親。序盤で早々流水に感染させられ流風の命を狙う。
登場人物がほぼ流水や能力者によって殺されていく中で、最終回まで殺されることはなかった数少ない2人。しかし感染が最終回まで元に戻ることはなかった(最終回後にジーンの薬によって元に戻ったと思われる)。
小早川流衣子(こばやかわ るいこ)
流水、流風の4つ年上の姉で、両親と共に流水に感染させられ、流風を襲う。
流水より操る能力が強いヨハンセン兄弟に拉致され、悲壮な死を遂げる。彼女の死が流水と流風を一時団結させるきっかけとなる。

補足

  • 本作は、7対3の割合で流風ファンよりも流水ファンの方が多かったという。
  • 原作者の今までに発表した漫画の中でも、殺人シーンや死ぬ描写が非常に多いのが特徴である。
  • 本作が終わり、原作者の次作の蒼の封印が連載中の少女コミックで、克行と流風のウエディング姿の手に流水の遺影を持った絵柄のテレホンカードが全員プレゼントで応募可能だった。

OVA版

1989年10月14日に発売された。全3巻。

スタッフ

  • 企画:原田宗一郎、浅賀孝郎、高橋豊
  • プロデューサー:伊藤靖浩、浅野恵、沢登昌樹、蔭山康生
  • 協力:小学館週刊少女コミック
  • 監督:出崎哲
  • 脚色:吉川惣司、水出弘一
  • 絵コンテ:冨永恒雄、四分一節子
  • 演出:山口頼房
  • キャラクターデザイン:四分一節子
  • 作画監督:小林ゆかり、杉野昭夫
  • 美術監督:谷村心一
  • 撮影監督:岡崎英夫
  • 音響監督:藤山房伸
  • 音楽:原田宗一郎
  • エンディングイラスト:篠原千絵
  • 制作協力:マジックバス
  • 制作:ビジュアル80
  • 製作:バンダイ、鎌倉スーパーステーション、ムービック

エピソードリスト

  • 第一章・甦る呪い
  • 第二章・悪夢の予感
  • 第三章・運命の対決