絶園のテンペスト/城平京 彩崎廉 左有秀構成 ...

『絶園のテンペスト』（ぜつえんのテンペスト）は、原作・城平京、構成・左有秀、作画・彩崎廉による日本の漫画作品。『月刊少年ガンガン』（スクウェア・エニックス）にて2009年8月号より連載されている。ジャンルはファンタジー。

あらすじ

ある日、魔法使いの姫君が、魔法が使えない無人島に閉じ込められた。またある日、一人の少年が復讐のために魔法使いと契約した。復讐と魔法が織り成す前代未聞の戦いが始まる。

ひふみ、ゾロアスター、グノーシス、阿修羅等、ストーリーの元に黙示録がある。

登場人物

滝川吉野（たきがわ よしの）

本作の主人公。ごく普通の高校生だったが、友人である真広の魔法を利用した復讐劇に巻き込まれる。

覚悟を決めた時は非情な手段を取ることも辞さない冷静な少年だが、普段は温和で優しい性格である。いつも同じ、「明日、遅れたら許しません」という約束のメールを見ている。周りには、真広を含めて彼女がいることを隠していた。

妹を殺した犯人を捜す真広をやや冷めた様子で見ており、時折「明日」が来ることはないと胸中で呟いている。

エヴァンジェリン山本に銃を突き付けられていたところを助けられて、真広と再会する。真広にある程度の説明を受け、用心のために魔具を分けてもらい、魔法が使えるようになる。

真広たちには隠してエヴァンジェリン山本と手を結び、魔具もいくつか分けている。関節が外れてしまった世界で、何かを探そうとしている。

不破真広（ふわ まひろ）

本作の主人公（単行本2巻の表紙裏での彩崎廉の言葉より）。妹を殺した犯人に復讐するため、葉風と契約し、魔法の力を得た少年。その内容は「手を貸す代わりに魔法で妹を殺した犯人を見つける」こと。本人としては「ついで」で世界を救うことも目的としている。

妹の愛花とは義理の兄妹であり、本人はきちんと自覚していなかったが、彼女に恋をしていた。

吉野に彼女がいることを人づてで知っているが、それが誰かをまだ知らない。自己中心的で狡猾、目的のためなら非情な面もあるが、正反対の吉野とはなぜか馬が合い、親友である。

不破愛花（ふわ あいか）

ある日、唐突に殺された少女。

真広の妹。吉野とは仲が悪かったが、実は兄に吉野と付き合っていることを隠すためだった。

真広とは義理の兄妹であり、彼の気持ちにも気づいており、「自分とどうなりたいのか」と尋ねてもいた。義理であるからなのか、一度も真広のことを兄と呼んだことがなく、呼び捨てだった。

彼女を殺害した犯人は未だ捕まっていないが、鎖部一族の人間が関与している模様である。悲劇であるハムレットの引用をよく用いていた。

エヴァンジェリン山本（エヴァンジェリン やまもと）

自称無職の28歳。親しい人からはフロイライン山本と呼ばれているらしい。魔法による異変を探るため、真広を狙う。

やや胡散臭い人。拳銃を持ち歩いている。他に協力者がいる模様。

魔法使いと敵対している。情報統制を行う立場の者ともつながっているようである。左門たちの儀式場に国防軍を配置した。

鎖部一族

鎖部葉風（くさりべ はかぜ）

魔法使いの姫君。鎖部一族歴代最強の魔法使い。同族から邪魔者とみなされ、樽詰めにされ、魔法の使えない無人島に島流しにされた。しかし、彼女が流した瓶詰めのメッセージを偶然真広が拾ったことで、2人は契約する。自身が隠していた魔具を通し、真広に魔法を行使させる。

はじまりの樹に祝福されており、かなりの幸運に守られているはずで簡単には死なないはずなのだが、すでに死んで骨となっていることになっている。

また、はじまりの樹と彼女の存在のほうが、世界にとっては危険であるという。

鎖部左門（くさりべ さもん）

鎖部一族の魔法使い。絶園の樹を蘇らせるため、葉風を無人島に閉じ込めた。

葉風なき現在は儀式を執り行い、一族を実質的に指揮している。台詞中や事あるごとに堅実と称されるなど、自他ともに認める超堅実家。

鎖部夏村（くさりべ なつむら）

鎖部一族の魔法使い。果実の調査のため左門から派遣された。儀式の際はエヴァンジェリン山本、星村潤一郎と対決。一族の中で最も秀でた力を持つと言われ、槍を得物としている。

星村潤一郎（ほしむら じゅんいちろう）

先代鎖部家当主・鎖部麻耶に育てられた少年。戸籍上、鎖部一族の人間だが実際に鎖部の血は流れておらず、魔法使いではない。そのため（他の要因もあるようだが）鎖部家では中立的な立場に位置し、ある種の影響力がある。葉風曰く「妙に勘がよく、嘘をついたり、裏切ったりしない」人物。

葉風の指示で預けていたとっておきの魔具を受け取りに吉野たちは彼のもとへ向うが、そこで葉風の遺影とともに彼女の死を知らされる。

魔法使いではないようだが、麻耶に仕込まれた柔術を体得しており、左門によれば達人の腕前を誇るという。夏村の魔法による防御フィールドに干渉し、簡単に地面に転がすことができる。

一族で孤立しがちな葉風にとって、兄のように親しく接していた事もあり、あの人だけは絶対に裏切らぬと絶大な信頼を寄せている。そのため、吉野からは葉風の初恋のような人と思われている。

冷静で前述の通り勘が鋭いが、意外と女性好きな一面もある。

鎖部哲馬（くさりべ てつま）

鎖部一族の魔法使い。はじまりの樹を守る結界部隊の指揮を執る。

用語

はじまりの樹

葉風ら鎖部一族が神のごとく崇める大樹で、「創造」の力を司り世界を生み出した。

世界を創造する中途において絶園の樹と争い、深く傷ついたことから現在は眠りについているが、なお世界の条理を支配しており、魔法使いたちに「魔法」の力を貸し与えている。

絶園の樹（ぜつえんのき）

はじまりの樹と対をなす大樹で「破壊」の力を司る。

世界が創造される中途においてはじまりの樹と争い、敗れたことから、その体は「果実」と言う形に分割され、封印されている。

果実（かじつ）

世界各地に散らばるという巨大な果実。外見は眼球の付いた菠蘿のようなもの。

すべての果実がひとところに集結すれば、絶園の樹は蘇るという。

黒鉄病

魔法（まほう）

はじまりの樹が供物と引き換えに与える奇跡。

身体強化や結界と言った、常識では測れない現象を引き起こすが、はじまりの樹の特性上、直接破壊につながる魔法は存在しない。

捧げられる供物が、より複雑で高度な人工物、文明の産物であればあるほど、授かる効果は高い。

樹に捧げられた物品は瞬時に塵と化し、消滅することから、近代以降の鎖部一族にある危惧を抱かせることになる。

対となる絶園の樹が復活すれば、破壊の魔法を行使することも出来るらしいが……。

魔具（まぐ）

魔法の力を封じた道具。何ら知識の無い一般人でも魔法を行使できるが、使用回数は限られる。

真広らは葉風が緊急に備えて蓄えておいたものを利用し、魔法使い相手に互角の勝負を演じた。

書誌情報

• 城平京（原作）・左有秀（構成）・彩崎廉（作画） 『絶園のテンペスト』 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックス〉、既刊2巻（2010年7月22日現在）
  1. 2010年2月22日初版（同日発売）、ISBN 978-4-7575-2795-9
  2. 2010年7月22日初版（同日発売）、ISBN 978-4-7575-2935-9

外部リンク

• ガンガンNET | 絶園のテンペスト