HOME > コミック > 自殺島

自殺島/森恒二

共有

著者: 森恒二
巻数: 7巻

森恒二の新刊
自殺島の新刊

最新刊『自殺島 7


出版社: 白泉社
シリーズ: ジェッツコミックス


自殺島の既刊

名前発売年月
自殺島 1 2009-08
自殺島 2 2010-01
自殺島 3 2010-06
自殺島 4 2010-11
自殺島 5 2011-04
自殺島 6 2011-09
自殺島 7 2012-03

自殺島』(じさつとう、Suicide Island)は、森恒二による日本の漫画作品。『ヤングアニマル』(白泉社)にて、2008年22号より連載中。年現在、単行本は3巻まで刊行中。

あらすじ

主人公セイは自殺未遂を繰り返した末に、「生きる義務」を放棄した意思を示す書類にサインをする。病院のベッドの上で意識を失ったセイは、目が覚めた時、自分がまだ生きており、そして自分と同じ未遂者達が周囲に何人もいる事に気付く。そして、ここが自殺を繰り返す"常習指定者"が送り込まれる島・"自殺島"である事を知る。その直後、未遂者達は飛び降り自殺をする瞬間と死に損ねた者のおぞましい姿を目の当たりにし、一時自殺することを踏みとどまる。"死ねなければ生きるしかない"彼らのサバイバルが始まる。

概要

日本近海の孤島を舞台に、政府によりこの島に送りこまれた自殺未遂常習者達が、命の意味と向き合いながら生きていく物語である。作中では、食糧を確保するため登場人物達が狩猟採集をする姿が描かれており、前作『ホーリーランド』と同様に作者の経験を交えながら図解付きでサバイバルに関する説明がなされている。

この作品中の日本は、国民はIDによって政府に管理されており、そのIDが剥奪されるという事は日本国民としての権利と義務を失う事を意味している。凶悪犯罪が増加し、また自殺者が急増しているが彼らを支援し立ち直らせるための予算が不足してきている等、現実の日本よりもさらに社会情勢が悪化している事が示唆されている。

登場人物

島の人々

セイ
本作の主人公。自殺未遂の常習者。物語開始当初は20歳。オーバードラッグとリストカットによる自殺未遂を繰り返し、「生きる義務」を放棄した「常習指定者」となる。その後、意識を取り戻した時、他の常習指定者達と共に自分が見知らぬ孤島に放置されている事に気付く。
学生時代に出会った先輩の青山から弓矢の事を教わり、その知識を基に試行錯誤を重ねながら自作の弓矢を完成させる。その弓を使って狩猟をするようになり、それを通じて命の意味を再認識していくようになる。
トモ
常習指定者の1人。長い髪を後ろで束ねている。セイと仲が良い。過去に沖縄で暮らしていた事がある。
リョウ
常習指定者の1人。未遂者とは思えぬ程、活力に満ちた青年。グループのリーダー格となり、皆を引っ張る。
かつて同棲していたエリという恋人を交通事故で亡くし、それ以来、彼女の元へ行く事ばかり考え、彼女を亡くした交差点で何度も自殺を試みたが、それでも死ねなかったという過去を持つ。
自分の死に場所を自分で決めたいという思いから本土への帰還を望み、自作の筏で有志と共に本土へ戻ろうと試みたものの、哨戒していた巡視艇に筏を破壊された。なんとか島に帰り着くものの、それからは心を閉ざし、1人で漁をしていたが、セイの説得で再びグループに戻ってくる。
スギ
常習指定者の1人。眼鏡をかけた青年。本名は杉村。自殺島の事を知っていた。グループの中でも頭が良く、知恵袋的な存在となる。塩を採る際に塩田を提案し、リョウが筏で本土へ戻ろうとしたときには自作の方位磁針を彼に渡した。
カイ
常習指定者の1人。セイが自殺未遂をした後に送致された施設で出会った青年。セイより1歳年上。冷静な視点で物事を見据えている。リョウと共にグループの指導者となるが、他のメンバーとは一線を引いた態度が多い。農作物による食糧の確保を目指している。
イキル
セイが狩猟のパートナーとして飼う事にした子犬。元は山奥に1人で潜み暮らしていた男が飼っていた犬の中の1匹。
タナカ
常習指定者の1人。初めて漁をする前日に皆で協力することに期待を抱いていたが、その夜、電気コードで首を吊って自殺してしまった。
ボウシ
常習指定者の1人。髪を長く伸ばし、常に帽子をかぶっている男性。自分の名前を嫌っているため、「ボウシ」と名乗っている。当初は肥満気味の体型だったが、次第にやつれていく。人に誇れる物が何も無く、セイを「持たざる同志」と呼んでいた。
ケン
常習指定者の1人。仲間と共にセイを襲い、肉を奪おうとした男。この島で生きようとするセイの姿を見て改心し、セイの理解者となる。元は港側のグループにいた。
吉村
常習指定者の1人。セイを襲い、肉を奪おうとしたが、夜の山中で恐怖にかられ、パニックに陥って大怪我をする。自分のしようとした事を悔やみ、セイに謝罪しようとしていたが、その前に怪我が元で死亡する。
青木
常習指定者の1人。セイを襲い、肉を奪おうとしたが失敗。グループに逃げ戻った後、セイを孤立させるべく、真相を捻じ曲げて皆を扇動しようとするが、嘘が発覚し逆に自分が孤立する。居場所が無くなったことに怯えていたが、「何者か」に自殺を促された後、翌朝に縊死体となって発見される。
ミノル
常習指定者の1人。実家は農家で、経験を活かして農作業に従事する。
ユミ
常習指定者の1人。本土では看護師をしていた。怪我人が出た際に看病をする事が多い。
ナオ
港側のグループからセイ達のグループに移動した女性。自称「癒し担当」で、この島で売春をして生活してきた。挑発的な服装で、島にいる他の女性達とは違う雰囲気を持つが、多くの未遂者達と同様、手首にリストカットの痕がある。
サワダ
港側のグループのリーダー。グループに所属している人間達からは怖れられている。

その他

青山 英子(あおやま えいこ)
セイと同じ学校に通っていた女生徒。弓道部部長で図書委員。セイに弓矢の事を色々教える。
教師との許されない恋愛に苦悩し、ある日投身自殺する。
エリ
かつてリョウと同棲していた恋人。出会う以前は寂しい環境にあったらしく、リョウとは「似た者同士」だった。3年ほど生活を共にしたが、ある日バイクで2人乗りをして走行中、交差点で居眠り運転の車と衝突し、死亡した。
今でもリョウは彼女を想い続けており、彼女の死はリョウの度重なる自殺未遂のきっかけとなった。

自殺島

何人もの自殺未遂の常習者達が送り込まれた孤島。家屋や廃校舎、生活物資等、かつて住民がいた形跡があるが、従来の住民は既に残っていない様子である。家屋の中には何体もの白骨死体が残されており、山中にも自殺したと思われる死体が発見された。
政府の人間によって立てられたと思しき看板に、この島に送り込まれた者達はIDを剥奪されて、国民としての権利と義務を失った事と、この島と周囲の近海1km以内より外に出る事を禁じる旨が書かれている。
自然に囲まれており、多くの草木や動物が生息し、食用に適した果実等も自生している。天敵がいないためか、鹿の数も多く、猪による農作物の食害も発生している。
狩猟のために山に入ったセイが出会った男の話によると、この島はかつては凶悪犯達が送り込まれ、お互いに殺し合いをした「無法島」であったという。

単行本

  1. 2009年8月28日発売 ISBN 978-4-592-14621-6
  2. 2010年1月29日発売 ISBN 978-4-592-14622-3
  3. 2010年6月29日発売 ISBN 978-4-592-14623-0

外部リンク