こばと。 6
『こばと。』は、CLAMPによる日本の漫画作品。及び、それを原作とするテレビアニメ。
概要
漫画作品は、角川書店『月刊ニュータイプ』2006年11月号より連載中。単行本はカドカワコミックス・エースから、既刊4巻・続刊中。かつては、『こばと(仮)』として、小学館『月刊サンデーGX』で連載していた。
テレビアニメは、2009年10月から2010年3月まで、NHK BS2でテレビアニメが放送された。2010年3月29日から同年9月20日までNHK教育テレビで地上波初放送となる再放送が実施された。さらに、2010年10月3日からNHKデジタル衛星ハイビジョンで衛星2度目となる再々放送が開始された。1年間に3度、同じ内容を放送するのは珍しい。
世界観は同じCLAMPによる以前の作品『Wish』と共通である。アニメではそれにとどまらず、『こばと。』と『Wish』の2作が原作となっている。ただし、『Wish』の登場人物の出番が増えるくらいで、『Wish』のエピソードはほとんど使われていない。
タイトルロゴ表記は、「こばと.」のようになっているが、活字では「こばと。」が正しい。ただしアニメではロゴも「こばと。」となっている。
あらすじ
ある一軒のアパートに、とある目的のために奮起する少女が1人やって来た。彼女の名前は、花戸小鳩(こばと)。彼女の目的は、行きたい場所へ行くため、人間の傷付いた心を癒し、その傷ついた心の塊(コンペイトウ)をビンに詰めそれを一杯にすること。
お目付け役の話すぬいぐるみ・いおりょぎと共に、傷付いた心を癒そうとするも、極度の世間知らずで天然ぼけな性格のこばとは、失敗続きでいつも「いおりょぎ」に怒られてばかりであった…。
そんなとき、「よもぎ保育園」の園長・沖浦清花と保育士の藤本清和に出会い、そこでアルバイトをすることになる。ぶっきらぼうで無愛想な態度をとる藤本に当初は反感を抱いていたが、彼の秘めたる優しさを知る内に、次第に藤本に心惹かれるようになる。
登場人物
「声」はアニメ版における担当声優。
主要登場人物
- 花戸 小鳩(はなと こばと) / こばと
- 声 - 花澤香菜
- 主人公の少女。フルネームは「花戸小鳩」だが、下の名前だけのときは、ほとんどの場合(「小鳩」ではなく)「こばと」となっている。
- 天然ボケで極度の世間知らずな性格の持ち主。彼女の持つ常識は何故かちぐはぐしているが、天界と異界の戦争(後述にて表記)に巻き込まれた影響で記憶と知識を失ったのが原因。誰に対しても常に敬語で話す。特技は歌うことだが、絵はかなり下手(藤本に描いた動物の絵を、「謎の生命体」と称された事がある)。重度のドジっ娘なため、何もない所で転んではいおりょぎに怒られている。
- 素性が一切不明で、作中でも一番謎の多いキャラクター。頭部に重大な秘密があるらしく、常に帽子か幅広のヘアバンドを被っており、屋内でも外さない。
- 元々は人間界で普通に暮らす人間だったようだが、天界と異界の戦争の際に生じた亀裂から漏れた戦いの余波を浴びてしまい、命を落としかける。しかし、いおりょぎが恋した天使が自分を巡る争いに巻き込まれたこばとを救う為、こばとの魂の代わりとなり彼女の時間を止めた。それによって現在、「生きてもいないし死んでもいない」どっちつかずの状態になる。「行きたい所」があり、そこへ行くため、人々の傷ついた心を癒し、それで得られる傷ついた心の塊(コンペイトウ)をビンいっぱいに集めようと、自分と天使が本当に死んでしまうタイムリミットまで日々奮闘する(当人はまだタイムリミットの事を知らない)。前述の通りの天然な性格だが、危なっかしくもその飾らないまっすぐな心が時として人を癒す。現在は、園長の清花を癒すためによもぎ保育園で雑用の仕事をしており、保育士の藤本のキツい言動に最初は反感を覚えるも、次第に彼に好意を抱き、遂には完全に彼への想いを自覚した。現在は、自らの願いと藤本への想いの間で板挟みとなっている。
- アニメ版
- 常に帽子をかぶっているのは頭上の王冠状の光を隠すため。飲食はしない(原作では、初期に食事のシーンがある1巻第4話p.52)。初登場時に上空から舞降りて来たかのような表現がされる。「人間界とは別の不幸な出来事」で死んだ「どの世界にも属さない、どの命でもない曖昧な存在」で、「好きな人の傍に時を越えて生まれ変わること」を願って「どこぞの偉いさん(神)との契約」により生まれ変わりのチャンスを得るため、この世界にやって来たのであった。しかし、契約内容よりも藤本の傍にいることを望んだため、ビンを期日までに満杯にできず消滅させられてしまうところだったが、こばとを強く想う藤本の心でビンが満杯になり、消滅は免れた。だが皮肉にもその結果、契約どおり「行くべき所」へと旅立ち、この世界からも人々の記憶からも消え去った。しかしその後(おそらくは「好きな人の傍に生まれ変わる」という願いどおりに)、この世界に生まれ変わり藤本と再会を果たした(転生後も容姿は殆ど変わっていないが、髪に赤みが掛かったような感じになっている)。再会の時点では、藤本を覚えていなかったが、藤本からコンペイトウを受け取り、藤本の演奏で歌を歌った事を契機に記憶を取り戻した。
- いおりょぎ / 五百祇(いおろぎ)
- 声 - 稲田徹
- こばとと共に行動している、青い犬のぬいぐるみ。吹き出しの台詞はすべて隷書体で書かれている。
- こばとのことを「どばと」と呼んだり、鋭い牙での噛み付きや、口から火炎や光線を吐くことを得意とする突っ込み役。原作初期やアニメではほぼ毎回こばとを採点し、頬に毛筆で点数を書く。的確に評価してくれるが、自分が酷い目に遭った時などは容赦無く減点する。こばとと違い、この世界の常識は一通り知っている。
- ぬいぐるみの姿のため、人目があると自由に動き回れない。酒が好物で、直ぐに飲みたがり、食い意地も張っている。
- 性格はかなり横暴で短気(昔の彼を知る者からにしてみれば、往時より丸くなった模様)。しかしこばとのことは大切に思っており、彼女に害を加える者には容赦しない。それ故、度々こばとに手を出そうとする銀生とは、険悪な雰囲気になる事が多い。
- 元の姿は、異界の王族「五百祇」。その昔、『橋』の上で行われる天界・地界の代表者達との話し合いをすっぽかしていた時に出会った1人の天使を手に入れるために、天界に戦争を仕掛けたが敗北した。その天使がこばとを救おうとして死にかけているのを防ぐ為、そして天使が己の命を懸けて救おうとしているこばとを助ける事を神に膝をついてまで懇願し、その願いを条件付きで聞き入れられた後は、戦争を起こした刑罰として神によって今の姿に変えられ、天使を救う為の一環としてこばとの願いを叶える手助けをすることとなった。ときおりシルエットなどで描かれる、長い角を持ち炎を身にまとった獣か獣人第18話、第23話、第30話、第32話が以前の姿と思われる。
- アニメ版
- 今の「いおりょぎ」という名前の由来について、こばととの初対面の時に「五百祇」という名前を彼女が上手く発音出来ず、「いおりょぎ」で定着してしまったという設定。最終話では、こばとが転生し藤本と再会した後も異界には戻らず、ぬいぐるみのまま彼女を見守りつづけている。
- 公式ガイドブック『Happy Memories』では、第20話に登場した異世界を旅する一行の一人、「黒鋼」(同CLAMPの『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』のメインキャラクター)と同じ魂を持つ異世界の同一人物という記述がみられる。
- 藤本 清和(ふじもと きよかず)
- 声 - 前野智昭 / 木村亜希子(7歳)
- よもぎ保育園の保育士。眼鏡をかけた長髪の青年。園の借金返済のために園で働きながら、洋菓子店「チロル」や街中にある屋台など、あらゆる場所でアルバイトをしている。千歳の経営するアパートの、こばとの隣の部屋に住んでいる。
- 無愛想で取っ付き難い態度が目立つが、根は優しい青年であり、園児達より慕われている。元々は、孤児で、7歳の頃に先代園長(清花の父)に引取られ育てられた。清花の父と清花に恩を感じ、園が借金を抱えてからは弁護士志望で通っていた大学を休学し、保育士の仕事とバイト三昧の日々を送りながら園を支えている。親に捨てられた孤児である為、それが関係して他人には中々心を開かない。
- こばととの初対面が最悪だったのと、園の現状による猜疑心で彼女に対してあまり好意を抱いていなかったが、次第にこばとをいじり倒すキャラクターになる。それと同時に、こばとや清花の園に対する真摯な思いを徐々に認めつつある模様。昔から清花に好意を抱いており、彼女が沖浦和斗とのよりを戻したいと願ってもそれは変わらない反面、彼女を騙した沖浦和斗に対しては当然の如く強い敵愾心を抱いている。
- アニメ版
- 最終話では、こばとが消えた後に、部屋に一粒だけ残されていたコンペイトウの力でこばとを思い出すが、自分以外の人間が誰もこばとを覚えていない事実を思い知らされた上に、彼女が別の世界に行っただろうと琥珀から聞かされ落胆する。しかし、何年も後に弁護士事務所で働くようになってから、仕事先でこばとの生まれ変わりに再会し、こばとが記憶を取り戻した際には初めて名前で呼んだ。
- 余談だが彼のかけている眼鏡は一見つるのない鼻眼鏡にみえるが実は普通の眼鏡である。これは作画の都合上、横からのアングルでつるが眼にかからないように省略されたもので、眼鏡を外し机の上に置かれた場合はちゃんとつるが存在している描写がある。
よもぎ保育園関係者
- 沖浦 清花(おきうら さやか)
- 声 - 折笠富美子
- よもぎ保育園で働いている保育士兼園長で、こばとを雑用担当のバイトとして雇う。眼鏡をかけ、左の目じりに泣きぼくろがある。
- 温厚で優しく、本来ならば素性の知れないこばとを何の抵抗もなく受け入れた懐の広い人物。その反面頑固な所もある。昔、近所の男子生徒と喧嘩しても自分からは決して謝らず、それどころか箒を振り回して追い回したこともあったらしい(藤本談)。藤本とは10年来の付き合いで、彼の持つ本当の優しさの一番の理解者。元夫の沖浦和斗とは、騙されていたと知っても尚よりを戻すことを望んでおり、籍も戻していない。
- アニメ版
- 沖浦和斗の本心を藤本から聞かされた後によりを戻したようで、最終話でよもぎ保育園を再建している。
- 俊彦(としひこ)
- 声 - 渡辺明乃
- よもぎ保育園の園児。両親は離婚しており、現在は母子家庭である。
- 母親が「仕事にかまけて子供の面倒をみていない」と周囲から陰口を叩かれていたが、こばとに母親を褒められたことで心を癒され、それ以来こばとに好意を抱いている。俊彦自身は仕事も自分の面倒もこなす母親を心から好いている。
- アニメ版
- 最終話では義男・満里奈と共に制服を着て学校に通っている。
- 義男(よしお)
- 声 - 城雅子
- よもぎ保育園の園児。俊彦と2人、または満里奈を加えた3人でよく登場する。
- 満里奈(まりな)
- 声 - 真堂圭
- よもぎ保育園の園児。ツインテールを赤い玉の髪飾りで留めている。
- こばとの元気がないの見兼ねて、こばとに四葉のクローバーで幸せになるようにと四葉のクローバーを探す。なかなか見つからず皆と逸れ疲れて寝てしまうが、最後で四葉のクローバーが見つかった。
『ちょびっツ』からの登場人物
そのように魂を同じくする者同士の関係は「異世界の同一人物」。
- 三原 千歳(みはら ちとせ)
- 声 - 桑島法子
- こばとが住むアパートの管理人。前作『カードキャプターさくら』からの三原千春と関係は不明。
- 『ちょびっツ』では、夫・三原一郎と死別後旧姓に戻し「日比谷千歳」として登場するが、『こばと。』では夫は存命2巻第11話p.22(ただし未登場)で三原姓のままである。アニメ版『ちょびっツ』での声優は井上喜久子。
- 三原 千帆(みはら ちほ)
- 声 - 中島愛
- 千歳の娘で、双子の姉。
- 『ちょびっツ』では、三原一郎が作ったパソコン(人間型の機械)「フレイヤ」で、アニメ版での声優は田中理恵。設定変更に伴い、フレイヤとは違い普通の耳になっている。
- 三原 千世(みはら ちせ)
- 声 - 中島愛
- 千歳の娘で、双子の妹。服装以外の容姿は(アニメ版では声も)姉と同じ。
- 『ちょびっツ』ではフレイヤの妹のパソコン「エルダ」(記憶を失う前のちぃ)で、アニメ版での声優は田中理恵。耳については千帆と同様。
- 植田 弘康(うえだ ひろやす)
- 声 - 樋口智透
- こばとの2つ目のバイト先・洋菓子店「チロル」の店長。童顔なせいで若くみえる。
- アニメ版『ちょびっツ』での声優は上田祐司。
- 大村 裕美(おおむら ゆみ)
- 声 - 豊崎愛生
- 洋菓子店「チロル」の店員。
- 『ちょびっツ』では居酒屋「よろこんで」の店員で、アニメ版での声優は豊口めぐみ。
『Wish』からの登場人物
- 琥珀(こはく)
- 声 - 斎藤千和
- 天界の天使。性別は無く、水を操る能力を持つ。天界では重要人物で、いおりょぎとは以前から互いの名前を知っていた。
- 琇一郎の恋人で一緒に暮らしている。性格はこばとに負けず劣らず天然ボケである。
- こばとのお膳立てで琇一郎と遊園地デートに行くことになるが、元から幸せであったためにコンペイトウは現れなかった。2人で遊園地に行く話は『Wish』にもあるが、『Wish』では観覧車に乗っているときは琥珀の姿が変わっているなどの相違がある。
- ドラマCD版『Wish』での声優は小西寛子。
- 栩堂 琇一郎(くどう しゅういちろう)
- 声 - 成田剣
- 琥珀の恋人で同棲している外科医。琥珀の台詞で言及されるのみで、姿も描かれない。
- 琥珀によると、琥珀と一緒になってから5回生まれ変わっている。琥珀の言葉から、『Wish』の琇一郎と同一人物ではなくその生まれ変わりであることが示唆される『Wish』では琥珀と琇一郎は初対面のように描かれている。また、『こばと。』4巻第32話での「既に天界には帰れない身」「罰はもうずっと前に終わっている」という琥珀の言葉は『Wish』の後であることを示唆する。。
- ドラマCD版『Wish』での声優は一条和矢。
- アニメ版
- 清花が疲労とストレスで倒れた時に彼女を診察した。最終話では、かなりの年月が経っているにもかかわらず存命で(『Wish』では琥珀と出会って間もなく死亡している)、やはり琥珀と共に暮らしている。
- うしゃぎさん
- デフォルメされたウサギの姿をした「天界からの使い」。宙に浮かび、花などに姿を変えたメッセージを手に持っている。いおりょぎに伝えるのはいつも悪い報せである。可愛らしいファンシーな外見に似合わず、意外と手厳しい性格である。
- 普通の人間には見えない3巻第22話p.62。にもかかわらず、うしゃぎさんそっくりののど飴のイメージキャラクターがいたので、いおりょぎや玄琥は不思議がっている。
- なお、『Wish』では「『うしゃぎ』さん」と二重鉤括弧付きで呼ばれるが、本作では単なる「うしゃぎさん」である。
- アニメ版
- アイキャッチで踊っている。
『XXXHOLiC』からの登場人物
- おばあちゃん
- 声 - 滝沢久美子
- 占い師のおばあさん。アニメ版『XXXHOLiC』での声優は谷育子。
- こばとが「お手伝い」に押しかけた家の住人。小鳩やいおりょぎの正体をある程度は知っているようで、こばとの「願い」が変わるかもしれないと予言した。
- アニメ版
- 上記のエピソードはカットされ、母親から預かった孫の赤ん坊を子守していた。赤ん坊が泣いて困っていたが、こばとの子守歌で赤ん坊は泣きやんだ。こばとはこれでテストに合格しビンを手に入れた。
- また後のエピソードで、こばとが拾った子猫「ミルク」を引き取った。
- 四月一日 君尋(わたぬき きみひろ)
- 声 - 福山潤
- アニメ版にて、銀生がバイトでバームクーヘンを配達した先の青年。声優はアニメ版『XXXHOLiC』と同じ。
その他の人間界の登場人物
- 堂元 崇(どうもと たかし)
- 声 - 神谷浩史
- 藤本の大学の同級生。藤本とは中学からの付き合いで、「清和」と呼んでいる。
- よもぎ保育園の事情についても熟知しており、藤本が園の為にバイト三昧なのを知った上で大学への復学を促しているが、当の藤本からは多少煙たがられている。
- アニメ版
- 第7話で登場し、自身の他者への優しさが結果的に偽善となっているのではないかと悩んでいた所を、こばとに癒された。最終話では医者として働いている。
- 沖浦 和斗(おきうら かずと)
- 声 - 三木眞一郎
- ヘビースモーカーで黒いスーツの青年。保育園の地上げを企てるヤクザで、清花の以前の夫。
- 清花の父親を、慈善企業だと騙して莫大な借金を負わせた。よもぎ保育園を閉鎖し、土地を担保に圧力を掛けている。外見こそ華奢な青年だが、何かしらの護身術を会得しているようで、腕っ節の強い藤本を軽くあしらえる程である。
- アニメ版
- よもぎ保育園に目を付け借金を背負わせたのは、彼の父親(組織での役職は会長)で、よもぎ保育園を執拗に閉鎖させようとしていたのも父親が本格的に動き出すのを防ぐため、ひいては清花を守るためであった。最終話では、園児の描いたふたりの絵や清花が結婚指輪をはめていることからよりが戻り、保育園運営に協力しているのが窺える。
- 宮田(みやた)
- 声 - 森伸
- 沖浦和斗の配下のヤクザ。沖浦の指示で保育園に嫌がらせをしていた。
- 再登場時は盲腸(虫垂炎)を患い倒れている所をこばとに発見され、藤本の手引きにより救急車で病院に運ばれた。以降はその事を恩に思い、こばとに礼をする為よもぎ保育園を訪れ、彼女の「沖浦に会わせて欲しい」という頼みを聞き入れた。
- アニメ版
- 保育園の前で倒れている所を発見され、こばとや堂元の手引きで病院へ運ばれる。その恩義から、その後は保育園に手荒なことはしなくなった。
- 原作とはビジュアルに若干の違いがある。
人間界以外の登場人物
- 銀生(ぎんせい)
- 声 - 浪川大輔
- 猫に似た姿のいおりょぎの知り合い。両目の周りに傷があり、右目に眼帯をしている。
- いおりょぎの真の姿と決着をつけることを望んでいる。 玄琥曰く「やつ(いおりょぎ)が起こした騒動と関係ねぇ」4巻第29話p.52が、いおりょぎを追って人間界へと赴いて来た。
- 嘗ていおりょぎに拾われ、銀色の目をした生き物であることから「銀生」と名付けられた。性格は表面上はクールかつ無愛想だが、育ての親(いおりょぎ)に似たのか感情を行動で表すタイプで、分かり易い。また、根は子供っぽく、常識があまりない一面も。いおりょぎに対しては、愛憎入り混じった複雑な感情を抱いており、異界にいた頃から育ての親とも言えるいおりょぎ以外からの施しは基本的に受けなかったり、いおりょぎの邪魔をする者がいればすぐに始末しようとしたり(いおりょぎは面白がって放置)、自分以外の人間がいおりょぎを貶すと怒ったりする。そのいおりょぎへの執着心の強さから玄琥に「五百祇べったり」などと評された(銀生本人は強く否定)。こばとのことは、「いおりょぎが異界へ帰れない元凶」として快く思っていない。
- アニメ版
- こばとといおりょぎの前に姿を現し、ビンを奪い、壊そうとするなど、こばとへの敵愾心が原作より強調されている。
- 現在は、玄琥のバームクーヘン屋でアルバイトとして働かされているが、手先が不器用なので包装の仕事に悪戦苦闘している。意外に恥ずかしがり屋。
- 玄琥(げんこ)
- 声 - 小山力也
- いおりょぎの知り合いで、かつては異界の貴族だった。いおりょぎが起こした天界との戦争のとばっちりを受けて熊の姿に変えられる。それ以降は「くまのバームクーヘン屋」というバームクーヘン屋を営むことを強制されているが本人は満更でもなく、寧ろバームクーヘン作りを非常に楽しんでいる。
- 登場済みの異界の住人の中では良識のあるほうで、いおりょぎ・銀生より年上4巻第29話p.53。昔からいおりょぎや銀生の横暴・暴走・非常識っぷりには手を焼かされているも、銀生がバイトに入ってからは彼の扱いに手慣れてきており、銀生が言う事を聞かない場合はいおりょぎを引き合いに出す事で言う事を聞かせる、という方法を駆使している。
- 情報収集能力に長けていて、よもぎ保育園の現状や沖浦和斗と清花の関係などの情報を少ない時間で調べあげた。
- 瑞祥(ずいしょう)
- 声 - 吉野裕行
- 玄琥の使いの者で(いおりょぎ曰く、「玄琥の所の下っ端」)、天界との戦争に関わった罪で小鳥の姿にされた。帽子をかぶったような頭をしている(頭部の羽から連続的に変化しており、帽子ではなく頭の一部のようである)。
- 玄琥が調べ上げた情報をいおりょぎに伝えるなど、メッセンジャー的な役割も担う。一言多いのが玉に瑕で、そのせいでよくいおりょぎの怒りを買う。主人の玄琥同様、いおりょぎや銀生の横暴さやわがままには手を焼いている。
- 天使(本名不明)
- 天界で最も美しい心を持ち、その歌声で天使の卵を孵すという役割を担う筈だった、琥珀の後任の天使。こばとと同じ魂を持つ、所謂異世界に存在するもう1人のこばとであり、外見はおろか天然な性格まで同じ(いおりょぎには「若干頭が弱い」と評された)。
- 「橋」の上で行われる三界の話し合いに出席した際にいおりょぎ(当時は五百祇)と出会い、彼から想いを寄せられるようになり、彼女自身もまた五百祇を愛する。不運にも自分を巡る天界と異界の争いのとばっちりを喰らう形となったこばとを救う為、現在はこばとの魂の代わりとなって彼女の中にいる。最初は天使自身もこばとと同様に五百祇の名前を上手く発音出来ず「いおりょぎさん」と呼んでいたが、こばとの魂となってこばとの中に消える際に初めて「五百祇さん」と呼ぶ事ができ、自分も彼が好きだという想いを伝えた。
クロスオーバー
『こばと。』の舞台(世界)は、他のCLAMP作品のキャラクターが以下のように多数登場する(巻数は初出場巻)。
巻 | オリジナル作品 | 登場人物 |
---|---|---|
1 | ちょびっツ | 千歳、植田、裕美 |
すき。だからすき | ひなた、麻生 | |
ANGELIC LAYER | みさき、珠代 | |
xxxHOLiC | 壱原侑子の知人の占い師 | |
2 | ちょびっツ | エルダ(ちぃ)、フレイヤ(ただしいずれも人間の千世、千帆として) |
3 | カードキャプターさくら | 木之本桃矢 |
Wish | うしゃぎさん | |
4 | カードキャプターさくら | クロウ・リード(イメージ画のみ) |
xxxHOLiC | 壱原侑子(イメージ画のみ) | |
Wish | 琥珀、紅榴、翡翠、黒燿(琥珀以外はイメージ画のみ) |
登場人物以外では、『ちょびっツ』から洋菓子店「チロル」とアパート「ガブ・城ヶ崎」が登場する。『ANGELIC LAYER』の企業「Piffle Princess」はコンビニとピザ屋として登場する。『カードキャプターさくら』の「ペンギン大王」はビール会社のロゴになっている。
アニメ版では、
話 | オリジナル作品 | 登場人物 |
---|---|---|
17 | xxxHOLiC | 四月一日君尋(店主を継いだ後)、黒モコナ |
20 | ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE- | 小狼、黒鋼、ファイ、白モコナ |
22 | カードキャプターさくら | 木之本桃矢 |
用語集
- ビン
- こばとが傷付いた心を集めるのに必要不可欠なアイテム。こばとによって誰かが心を癒されると、自動的に「傷ついた心」がコンペイトウ表記はアニメ第2話サブタイトルよりの形となりビンの中に入る。
- アニメ版では原作よりもサイズが一回り小さくなっている(それとは逆にコンペイトウは大きくなっている)。
- コンペイトウは原作では(アニメ版でも最初は)「傷ついた心」と呼ばれているが、アニメ版ではいおりょぎが「まるで人を傷つけてまわるみてえ」だと指摘し、「コンペイトウみたいだから」コンペイトウと呼ぶことにした。
- 天界・地界・異界・人間界
- この世界「人間界」と3つの異世界。天界には神が統べる天使たちが、地界には魔王が統べる悪魔たちが存在し、異界には「異主(こととぬし)」を王とするいおりょぎたちのような者が存在する。人間界に住む人間だけが異世界の存在を認識していないが、人間の中にも稀にわかる者がいる。
- いおりょぎたちが住んでいた異界は、不可侵が原則のそれぞれの世界の中でも、天界と地界を行き来できる『橋』と交わるのが12年に一度なこともあり、天界と地界の争いに関わることは本来ならばほとんどない。その『橋』の上では、天界と地界が一季ごとにお互いの世にとって重要事項を話し合って決める機会が設けられている(異界の場合は橋が交わる12年に一度だけ参加する)。
- 天界・地界・人間界は『Wish』からの登場だが、異界は『こばと。』での新設定である。『Wish』では世界が天界・地界・人間界の3つしかないかのように描かれているが、これは異界が交わるのが12年に一度という設定で説明される。なお、「異界」という言葉自体は、『xxxHOLiC』で「異世界」の同義語として使われたことがある。
出版物
単行本
- 第1巻 2007年12月26日発売 ISBN 978-4-04-713998-5
- 第2巻 2008年4月26日発売 ISBN 978-4-04-715058-4
- 第3巻 2008年12月26日発売 ISBN 978-4-04-715146-8
- 第4巻 2009年12月26日発売 ISBN 978-4-04-715363-9
ノベライズ
- こばと。(1) 空から来た少女 2010年4月15日発売 ISBN 978-4-04-631092-7-C8293
- こばと。(2) たったひとつの願い 2010年7月15日発売 ISBN 978-4-04-631110-C8293
その他
- こばと。2010カレンダー 2009年11月18日発売 ISBN 978-4-04-715363-9
- TVアニメ「こばと。」CHARACTERS COLLECTION 2010年2月24日発売 ISBN 978-4-04-854454-2
- TVアニメ『こばと。』公式ガイドブック Happy Memories 2010年5月28日発売 ISBN 978-4-04-854491-7
テレビアニメ
2009年10月6日から翌2010年3月23日までNHK BS2で全24話が放送された。また、NHKオンデマンドやアニメNewtypeチャンネルでネット配信もされた。2010年3月29日から同年9月20日までNHK教育テレビで再放送された。
スタッフ
- 原作 - CLAMP「こばと。」「Wish」より
- 監督 - 増原光幸
- アニメーション監修 - 浅香守生
- シリーズ構成 - 横手美智子、大川七瀬
- キャラクターデザイン - 加藤裕美
- 美術監督 - 上野秀行
- 色彩設計 - 大野春恵
- 撮影監督 - 棚田耕平
- 編集 - 木村佳史子
- 音響監督 - 中嶋聡彦、三間雅文
- 音楽 - はまたけし
- プロデューサー - 小林潤香、柴田裕司、中野朗子、武智恒雄、青木絵理子、二方由紀子、原田由佳
- アニメーション制作 - マッドハウス
- 製作 - こばと。を守る会
主題歌
- オープニングテーマ
- 「マジックナンバー」
- 作詞 - 坂本真綾 / 作曲・編曲 - 北川勝利 / ストリングス編曲 - 河野伸 / 歌 - 坂本真綾
- エンディングテーマ
- 「ジェリーフィッシュの告白」(第1話 - 第19話)
- 作詞 - 岩里祐穂 / 作曲・編曲 - 宮川弾 / 歌 - 中島愛
- 「わたしにできること」(第20話 - 第23話)
- 作詞・作曲 - 宮川弾 / 歌 - 中島愛
- 「あした来る日〜桜咲くころ」(第24話)
- 作詞 - 新居昭乃 / 作曲・編曲 - はまたけし / 歌 - 花澤香菜
- 挿入歌
- 「あした来る日」(第1話・第8話)
- 作詞 - 新居昭乃 / 作曲 - はまたけし / 歌 - 花澤香菜
- 「黄色いひまわり」(第10話・第15話・第21話)
- 作詞 - 未浦愛子 / 作・編曲 - はまたけし / 歌 - 花澤香菜 with こどもたち
- 「あした来る日〜いちょうの木の下で」(第13話)
- 作詞 - 新居昭乃 / 作曲 - はまたけし / 歌 - 花澤香菜、斎藤千和
- 「あした来る日〜雪の降る街で」(第19話)
- 作詞 - 新居昭乃 / 作曲 - はまたけし / 歌 - 花澤香菜
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 総作画監督 | 放送日 (NHK BS2) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第一話 | …願う少女。 | 大川七瀬 | 浅香守生 増原光幸 西田正義 | 高橋知也 | 小林明美 | 田崎聡 | 2009年10月6日 |
第二話 | …コンペイトウの輝き。 | 横手美智子 | 西田正義 | 鈴木卓夫 | 宍倉敏 片山みゆき | 2009年10月13日 | |
第三話 | …雨の贈りもの。 | 吉田玲子 | 立川譲 | 櫻井邦彦 小林明美 キムビルガン | 2009年10月20日 | ||
第四話 | …青葉のときめき。 | 池田眞美子 | 西田正義 | 牧野吉高 | 片山みゆき | 2009年10月27日 | |
第五話 | …ホタルのやくそく。 | 山田由香 | 伊藤智彦 | 井野真理恵 薗部あい子 馬場充子 | 2009年11月10日 | ||
第六話 | …小さな かくれんぼ。 | 吉田玲子 | 中山奈緒美 | キムミンソン | チャンギルヨン チョウォンヒ | 2009年11月17日 | |
第七話 | …やさしいひと。 | 横手美智子 | 大久保富彦 | 細田雅弘 | 小山知洋 阿部恵美子 | 2009年11月24日 | |
第八話 | …こねこの子守歌。 | 池田眞美子 | 佐山聖子 | 高橋知也 | 高田晴仁 小林明美 加藤やすひさ キムビルガン | 2009年12月1日 | |
第九話 | …夏の記憶。 | 平見瞠 | 鶴岡耕次郎 | 立川譲 阿部恒 浅香守生 | チャンギルヨン キムドンシク | 2009年12月8日 | |
第十話 | …オルガンと少年の日。 | 山田由香 | 高橋亨 | 櫻井邦彦 小林明美 | 2009年12月15日 | ||
第十一話 | …探偵 花戸小鳩。 | 吉田玲子 | 松尾衡 | 則座誠 | 菅井翔 | 田崎聡 高田晴仁 | 2009年12月22日 |
第十二話 | …銀色の瞳。 | 山田由香 | 佐山聖子 | 鈴木卓夫 | 片山みゆき | 田崎聡 | 2010年1月5日 |
第十三話 | …天使と守り人。 | 横手美智子 | 小島正幸 | 渡邉こと乃 | キムクムス 薗部あい子 | 2010年1月12日 | |
第十四話 | …黄昏の探しもの。 | 平見瞠 | 宮繁之 | キムミンソン 佐藤雄三 高橋知也 | キムドンシク チャンギルヨン キムテジョン キムポギョン クオンヒョクジョン | 2010年1月19日 | |
第十五話 | …秘めたる祈り。 | 池田眞美子 | 佐藤雄三 | 中川聡 | 加野晃 | 田崎聡 小林明美 桜井邦彦 | 2010年1月26日 |
第十六話 | …謎の生命体。 | 吉田玲子 | 伊藤尚往 | 高田晴仁 キムクムス | 田崎聡 | 2010年2月2日 | |
第十七話 | …謎の生命体、2号。 | 水島努 | 伊藤智彦 | 田中智也 | 菅野智之 小山知洋 | 2010年2月9日 | |
第十八話 | …木枯らしのぬくもり。 | 山田由香 | 宮繁之 | 牧野吉高 | 福永純一 金子匡邦 | 田崎聡 高田晴仁 | 2010年2月16日 |
第十九話 | …ホワイトクリスマス。 | 吉田玲子 | 中村亮介 | 櫻井邦彦 キムクムス | 田崎聡 | 2010年2月23日 | |
第二十話 | …旅をするひと。 | 大川七瀬 | 高橋亨 | キムミンソン 佐藤雄三 渡邉こと乃 | キムドンシク チャンギルヨン キムテジョン | 田崎聡 阿部恒 | 2010年3月2日 |
第二十一話 | …春の足音。 | 池田眞美子 | 立川譲 | 則座誠 | 菅井翔 | 田崎聡 櫻井邦彦 キムクムス | 2010年3月9日 |
第二十二話 | …さよならの日。 | 横手美智子 | 高橋亨 | 中山奈緒美 | 高田晴仁 薗部あい子 井野真理恵 | 田崎聡 | 2010年3月16日 |
第二十三話 | …こばとの願い。 | 浅香守生 | 浅香守生 高橋知也 | キムクムス 細井美恵子 薗部あい子 井野真理恵 | 2010年3月23日 (2話連続) | ||
第二十四話 | あした来る日…。 | 平見瞠 | 増原光幸 | 増原光幸 渡邉こと乃 | 桜井邦彦 高田晴仁 小林明美 |
コンペイトウを得た相手
話数 | 登場人物 | 声優 |
---|---|---|
2 | 俊彦 | 渡辺明乃 |
3 | 田所むつみ | 井上麻里奈 |
5 | 森颯太郎 | 松本保典 |
7 | 堂元崇 | 神谷浩史 |
8 | 三原千帆 | 中島愛 |
三原千世 | ||
9 | 水橋なつき | 川澄綾子 |
森川ゆきの | 福圓美里 | |
11 | 大村裕美 | 豊崎愛生 |
13 | (イチョウの木) | |
14 | 啓太 | くまいもとこ |
16 | ※ | |
21 | 沖浦清花 | 折笠冨美子 |
沖浦和斗 | 三木眞一郎 | |
23 | 藤本清和 | 前野智昭 |
※アニメではコンペイトウの描写はないが、原作ではバザーのときに(誰からかは不明だが)6個のコンペイトウを得ている。
放送局
放送地域 | 放送局 | 放送期間 | 放送日時 | 備考 |
---|---|---|---|---|
日本全域 | NHK BS2 | 2009年10月6日 - 2010年3月23日 | 火曜 20時00分 – 20時25分 | |
NHKオンデマンド | 2009年10月7日 - | 水曜 20時00分 更新 | 10日間有料配信 | |
アニメNewtypeチャンネル | 2009年10月17日 - | 土曜 12時00分 更新 | 第1話のみ無料配信 第2話以降は有料配信 | |
NHK教育テレビ | 2010年3月29日 - 2010年9月20日 | 月曜 19時25分 – 19時50分 | ハイビジョン放送 | |
NHK BShi | 2010年10月3日 - | 日曜 9時25分 – 9時50分 |
映像特典
『はじめてのこばと。』は、DVD限定版各巻収録の映像特典ミニフラッシュアニメ。ミニ小鳩といおりょぎのボケツッコミな内容。
DVD
- 第1巻 2010年1月29日発売 KABA-6701
- 第2巻 2010年2月26日発売 KABA-6702
- 第3巻 2010年3月26日発売 KABA-6603
- 第4巻 2010年4月23日発売 KABA-6604
- 第5巻 2010年5月28日発売 KABA-6605
- 第6巻 2010年6月25日発売 KABA-6606
- 第7巻 2010年7月23日発売 KABA-6607
- 第8巻 2010年8月27日発売 KABA-6608
- 第9巻 2010年9月24日発売 KABA-6609
- 第10巻 2010年10月22日発売 KABA-6610
- 第11巻 2010年11月26日発売予定
- 第12巻 2010年12月24日発売予定
出典
外部リンク
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