ゲームセンターあらし 第16巻
ゲームセンターあらしの既刊
名前 | 発売年月 |
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ゲームセンターあらし 第14巻 | 1983-06 |
ゲームセンターあらし 第15巻 | 1983-09 |
ゲームセンターあらし 第16巻 | 1983-11 |
ゲームセンターあらし 第17巻 | 1983-12 |
『ゲームセンターあらし』は、すがやみつるによる日本の漫画作品。『月刊コロコロコミック』(小学館)にて、1978年から1983年まで連載された。小学館の学習雑誌各誌でも連載、もしくは掲載された。1982年には、シンエイ動画制作・日本テレビ系放映でアニメ化されている。
作品誕生のいきさつ
最初に『あらし』を描く機会があったのは1978年秋で、『ブロックくずし』を題材にした漫画を編集部を企画した時、アマチュア無線やマイコンをやっていたすがやに白羽の矢が立つ。担当編集者から「先生のオリジナル漫画は、どれも主人公がいい子で大人しい。この作品は『仮面ライダー』みたいに描いてほしい。最後は主人公に空中回転してほしい」と言った。すがやは「テレビゲームは座って遊ぶもの」と思い、抵抗があったが「テレビゲームなど所詮ブームで、『あらし』で終わるだろう。ならムチャでもいいか」とやけくそになり『ライダー』の新作を意識して、および牛次郎・ビッグ錠の名コンビによる『包丁人味平』『釘師サブやん』などの職人対決漫画を意識して、読みきり一本目を描いた。締め切りまで10日もなかったが編集者が「取材に行こう」と、アシスタントと共に新宿歌舞伎町に繰り出し、一万円札を全て百円玉に替えてテレビゲームをやりまくったとの事。
一本目を発表後「コロコロ」に連載したのは、すがやから企画を出したモータースポーツ漫画『F1キッド』で、主人公がいい子であり、人気はいまいちだった。
次に1979年春、『ウルトラマン』シリーズを総集した増刊が出た際、ウルトラマン以外の漫画を2本載せる事になり、このうち1本を『あらし』にしたいとの事で、当時ブームだった『スペースインベーダー』で読みきり二本目を描いた。すると人気投票で全体の8割の票を集めるトップとなり、急遽『F1キッド』を終了させ、本誌で『あらし』を連載する事になる。てんとう虫コミックスにはこの二本目が、最初の話として収録されている。
連載後もすがやは「これは『ライダー』だ」と言い聞かせて描いたが、アクションシーンにも違和感がなくなるどころか、大胆で非現実な話をうまく描くことができた。この『あらし』の好調ぶりで、すがやは「やっと漫画家として自らを認めた」と語っている。
概要
テレビゲームの攻略を題材とした当時としては画期的なテーマの少年漫画であった。
初期はタイトル通り、ゲームセンターで『インベーダーゲーム』の対決をしたりするもので、100円玉を投げ入れる技をあらしが見せたりしていたが、小学生がゲームセンターにたむろして不良化するという現象が問題になっており、劇中でもあらしが行きつけのゲームセンターに出入りできなくなるという展開になってしまう。駄菓子屋の店頭のミニ筐体でのバトルや、ゲーム大会・二枚目でお金持ちのライバルであるさとるの家のパーティーでの巨大『ギャラクシアン』など、初期の数話を除いては結局ゲームセンターで対決する話はなくなり、舞台も徐々に荒唐無稽になってゆき、スケールアップしていった。
とんでもない秘技(必殺技)もこの作品の売りであるが、最初のうちはゲームに必須な動体視力を鍛えるなど現実的なものであったが、次第にエスカレートし、「月面宙返り」や、スティックを高速で操作することでプレイヤーのキャラクターが敵からの攻撃を潜り抜けるという「炎のコマ」 、静電気でゲーム機の電子回路に干渉して異常動作を発生させて有利に導く「エレクトリック・サンダー」 などが登場。これらは実現可能かどうかはさておき、一応ゲームに役立つ理屈がつけられていたが次第に派手だけどよくわからない状態の「レインボーバズーカ」や、一生に一度しか使えないとして編み出したが何度も使っていた「スーパーノヴァ」など、理由付けもゲームプレイとの関係も無い技が頻出。一般レベルから逸脱し、それに伴い話のスケールも拡大して、核戦争の危機や異次元からの侵入者をゲームによって解決するにまで至った。
また、この作品のもう一つの売りでもあった実在のアーケードビデオゲームでの対戦も、後半は「戦車ゲーム」などかなり適当でよく分からないゲームで戦うことになり、ゲーム内容よりも派手な舞台や敵キャラクター、秘技への依存が高くなってくる。これはすがやによると、新作ゲームに登場するキャラや設定が記号的なものから、どんどんゲーム独自の世界観が加味されたものになってしまい、『あらし』固有の非現実な世界を描きにくくなったためだという。
単行本はてんとう虫コミックスで全17巻が発売。2000年に大田出版より復刻版が刊行。読み切り一本目は設定がその後の連載時とは若干異なる事や、編集者に原稿を貸した際に紛失してしまった為、てんとう虫コミックス版には未収録で太田出版版では校正刷りを元に収録。また、『別冊コロコロコミック』の長編との並行連載の関係で、執筆・雑誌掲載順に収録されておらず、一部ストーリーに辻褄の合わないところがある。
『月刊コロコロコミック』が、『ドラえもん』を核とした雑誌から、現在の少年向け対決物路線に軸足を移していく道筋を付けた作品の一つである。
第28回(昭和57年度)小学館漫画賞受賞。
派生作品など
- 派生作品として、あらしのキャラクターを使ってPC-6001でBASICプログラミングを解説する『こんにちはマイコン』という漫画解説本刊行。
- 2002年『トラウママンガマガジン』(英知出版)で『ゲームセンターあらしA』を連載するも、掲載誌の休刊(全3号)により全3話で終わる。
- 同年12月より刊行されている『MSX MAGAZINE』永久保存版シリーズには『MSXPLAYerあらし』として新作が発表されている。
- 2003年に発行された別冊宝島のムック『「ゲーセン」最強読本 永久保存版名作ゲームBEST100』では、新作を描き下ろしている。
- i-revoゲームのホームページではゲームセンターあらしの最新作と冠した「あらしでわかる!i-revoゲーム」を掲載。
- 2007年8月、『ゲームセンターあらし』の続編である『サラリーマントレーダーあらし』を『コミック・ガンボ』で連載開始。その後、掲載誌の休刊で未完結のままで終了してしまった。2008年4月、『サラリーマントレーダーあらし』は翔泳社のwebマガジン『MONEY(マネージン)』で再連載開始。掲載誌の休刊で未掲載だった「幻の第10話」も掲載した。
ストーリー
基本的な筋は、主人公石野あらしが、ゲームセンターやゲーム大会を舞台に、全国、全世界から集まるライバルたちと熱戦を繰り広げるというものである。
登場人物
声優はアニメ版のキャスト。
- 石野あらし:声 - 間嶋里美
- この漫画の主人公。前歯の出っ歯と大会優勝の記念品で常に頭にかぶっている赤いインベーダーキャップがトレードマーク。読み切り・連載当初は当時流行していた「アポロ17号キャップ」を被っていた。運動神経も勉強もからきしダメでだらしない性格。しかしテレビゲームに関しては天才的な腕を誇る。初期段階ではゲームセンターにたむろする仲間がおり「あにき」と呼ばれていたが、さとると一平太がこれに変わっていった。大の風呂嫌いだが、そのたまった垢で命拾いした事も。出っ歯はダイヤモンドよりも硬く、初期の歯は実は乳歯で永久歯に生え変わるエピソードもある。月面宙返りなどの際、出っ歯でバランスを取っている。後半のエピソードでは、単に硬いだけでなく、抜けた(射出した)出っ歯を神経をケーブルとして遠隔操作できるようになった。インベーダーキャップは、初期はタイトーの実在のビデオゲーム『スペースインベーダー』のドット絵そのものだったが、中盤から著作権への配慮からか、目が星型で出っ歯がついたインベーダーキャップに生まれ変わる。このインベーダーキャップは旧・新ともに実物が作られ、『コロコロコミック』誌上で読者プレゼントされた。またアニメの放送時にはキャラ商品として通常の赤色、夏向けの白色のキャップが販売された。ちなみにアニメ版では最初から新キャップを被っている。
- 基本的にすがや作品の主人公は大文字さとるのような二枚目タイプだったが、本作では「これまでにない主人公を」ということで、いくつかデザインされた候補の中から出っ歯でブタ鼻の「一番醜いもの」が編集者によって選ばれた。色もデザイナーが臨時に塗ったものがコロコロコミックの表紙になってしまったため、そのまま正式採用になった。別冊宝島876 「ゲーセン」最強読本
- 名前の由来は競走馬イシノアラシ。
- 大文字さとる:声 - 山田栄子
- 中学生。最初のあらしのライバル。家柄が良くハンサムで、IQ300の天才でスポーツも万能という抜け目の無い少年。プログラミングの腕を誇り、スーパーコンピュータ級のマシンを操る。あらしに敗れ、その後は友人となる。基本的に真面目な少年だが、あらし達とつるむ様になってからは随分と軽い性格になり、巨大なハンバーガーを皆で食い散らかすなど三枚目キャラになっていった。ゲーム馬鹿でしかないあらしと一平太を、頭脳と財力でサポートする事も多い。三段リーゼントという髪型が自慢だが、ときどき髪の毛がなくなってしまう話があり、そのときは同じ髪型のカツラを被っている。読み切り版では四段リーゼントである。一時アメリカにゲーム留学をしたこともある。さくら子という従姉妹がいる。他のゲーム戦士との対決では、必殺技を持たないがゆえに劣勢を強いられるケースが目立ったが、終盤ではあらしの「炎のコマ」を使いこなせるようになっていた。一番尊敬する人はビル・ゲイツ。別冊コロコロコミック「ビル・ゲーツ物語」
- 月影一平太:声 - 緒方賢一
- 少年をカツアゲしてゲームに熱中していた中学生。実は多数の手下を持つ大番長である。あらしと勝負して敗れ、その後はあらしと友情を持つようになった。プライベートでは人形を沢山収集し、寝る時はネグリジェだったりと少女趣味。
- 石野ブラシ:声 - 羽佐間道夫
- あらしの父。秘密諜報員。多忙でほとんど家にいないが、実はあらし以上のゲームの腕前を持つ。秘技も、炎のコマ、ムーンサルト、真空ハリケーン撃ち、グレートタイフーンは作中の描写から使えるらしいことがわかる。ただし、レインボーバズーカやスーパーノヴァについては記述がなく、超スケールの秘技は使えないようだ。ゴキブリが大の苦手。諜報員でありながら武術などはからきしダメ(あらし談)。
- 石野ガラエ:声 - 峰あつ子
- あらしの母。太っていて、息子には厳しい肝っ玉。あらしの焼けた帽子の灰を使い、徹夜で新たなインベーダーキャップを作った。文部省の差し向けたエージェント「インベーダーウーマン」となって、秘技ノーブラボイン打ちであらしを苦しめた事もある(しかしゲームばかりで将来が心配な息子を思いやっての行動であった)。初期はインベーダーウーマンの正体ということもあり、登場時は常に顔に影がかかったように隠れていたが、中盤以降何の説明もなく普通に登場するようになる。すがやみつるによると影にするのを「忘れていた」ようだ。
- 石野とんがらし:声 - 堀絢子
- あらしの弟。生まれながらにして天才的な知能と勘とゲームの腕前を持っている。兄同様前歯が出っ歯だが1本だけ。弱点はおもらしで、どんな秘技をかけている最中でも、おしっこを漏らしてしまうとただの赤ん坊に戻ってしまう。炎のコマ、ムーンサルトは生まれてすぐに使えるようになり、あらしが特訓して身につけた真空ハリケーン撃ちも難なく使用し、また、精神力の賜ではあったがスーパーノヴァさえ使用したことがある。
- ナンドー会長:声 - 永井一郎
- デーモン社の会長。異常に大きいハゲ頭に青白い顔、小柄な容姿でいつも緑色のスーツを着ている。あらしの帽子を奪いたいがためにゲームで勝負を挑むが下手。アニメオリジナルキャラクター。原作には「納戸博士」というキャラがおりモデルとなったと思われるが、容姿は似ていない。変装が得意。「納戸博士」の名前は、原作で一緒に登場した「安藤」や「能登」と合わせて、それぞれ論理素子のNAND、AND、NOTから来ている(作者HPより)。
- エリカ・能登:声 - 高島雅羅
- ナンドー会長の美人秘書。変装が得意で、プログラマーでもある(あらしからはプロ(の)グラマーと勘違いされる)。スタイルも抜群であらしに初見で胸をいきなり触られたり、成り行きで裸になったりなど、どちらかというとこの作品のお色気担当。アニメオリジナルキャラクターで、原作での納戸博士の助手「能登」がモデル。
- 松本すみれ:声 - 横沢啓子→松原雅子
- あらしの同級生。あらしの通う学校ではアイドル的存在。原作では1回きりの登場で、名前も「山口聖子」だった。
- 銀八先生:声 - 安原義人
- あらしの坦任の先生。ネーミングは当時人気のドラマ『三年B組金八先生』。短足・ガニ股で、あだ名は「インベーダー足」「赤いタヌキ」。あらしとは小学校以来の付き合いである。あまりに成績が悪いあらしにゲームを止めさせようと、5日間かけてデスマッチを挑む。血マメが潰れるほどの特訓を積んだその執念は、生徒への愛ゆえのものだ。最後にはあらしのゲームの情熱を思い知り、自ら負けを認めた。
- 日本で一番えらい人
- 時の総理大臣、大平正芳をモデルにした人。実はゲーム好きなのだが、えらいために(首相であるため?)、ゲーム好きを公言することができず、一平太を誘拐同然にしてあらしを誘い出し、ゲームの勝負を挑んだ(当時はテレビゲームは不良の遊びとされ、一般人は好きと公言できない雰囲気があった)。「あー、うー」が口癖なので正体はバレバレだった。
- ドクロ大帝:声 - 富田耕生
- 本名不明。秘密結社「ネオ・ドクロ党」の総帥。あらしを誘拐してゲームを挑み、強力な秘技「超空間ブラックホール」であらしを追いつめた。しかしあらしがグレートタイフーンで対抗したため、自らの技をパワーアップし、その結果あらしと共に超空間に引きずり込まれそうになる。その際、あらしを庇って自らは異次元空間に消えた(後に再登場する。ただし再登場は原作のみで、アニメでは1回きりの登場)。
- プリンセス・コブラ
- ドクロ大帝の娘。父親があらしに殺害されたと誤解し、勝負を挑む。父親の秘技を強化した「グレートブラックホール」を放つが、あらしのグレートタイフーンとの共鳴によって、父親と同様超空間に引きずり込まれてしまう。そこで父親に再会し、あらしへの誤解を解くと共に、協力して元の世界に戻った。
- 山嵐大作:声 - 広瀬正志
- 中黒にしか見えないような小さな山の字を用い、半ばあらしの名前を騙った「ゲームセンター 山 あらし」名義のゲーム道場を開いて金儲けをしていた悪党。あらしの炎のコマ、ムーンサルト、エレクトリックサンダーをコピーして一度は簡単にあらしを破る。しかもインベーダーキャップをあらしから奪い、精神錯乱にしてしまう。その後、山嵐の師匠によって真空ハリケーン撃ちを覚えたあらしと再戦、惨敗し、道場も壊されてしまう。その後はインベーダーキャップを燃やしたり、あらしとライバルとの戦いに乱入して邪魔をしたりと、嫌がらせを繰り返した。それなりの実力の持ち主だが、その行動のためにあらしとの友情が芽生えることはなかった。
- ハンス・シュミット
- 10歳にしてミュンヘン工科大学の入学試験を満点で合格した天才児。テレビゲーム世界一決定戦で決勝戦まであらしと戦い続けたが、実体戦車ゲームであらしを撃つつもりがそれを庇った一平太に命中。怒り狂ったあらしの体当たり攻撃に冷静さを失い、地雷原に飛び込んで敗退した(生きていた)。その後、A国の誤射した核ミサイルの撃墜作戦にあらしと共に加わり(あらしはA国の要請、シュミットはS連邦の要請による)、見事に全弾撃墜した。以後はあらしの良き親友となる。連射をする時、腕がカギ十字になる。
- 氷雪之助
- 大雪山で眠っていた剣士。人間ではないようである。ゲームのことを全く知らず、パックマンを白魔の使いと勘違いし、ゲーム機を一刀両断した。その一撃であらしの最高得点を軽々と破り、それを雪之助の挑戦と受け取ったあらしは対戦を挑む。しかし、秘技「雪華の舞」は強力で、グレートタイフーンさえ破り、あらしを返り討ちにした。あらしは敗北の証としてインベーダーキャップを渡すが、「ゲームに命をかける奴は馬鹿だ」としてキャップを踏みにじった。あらしはゲーマーのプライドを取り戻すために山に篭り、レインボーバズーカを編み出した。リベンジ戦の前半では天候によってレインボーバズーカが使えず再びあらしは敗れそうになるが、グレートタイフーンによって雲を散らしてついに技を発動、雪華の舞を破った。雪之助は素直に敗北を認め、また、あらしにとってはゲームへの情熱が重要なものであることを認めた(自分自身ではその情熱を理解できないと思っていたようであるが)。その後、あらしのピンチの時に助太刀に現れている。
- アーサー・ジュニア:声 - 石丸博也
- ハリウッドの映画スターで大金持ち。超ハンサムである。メロン王女の結婚相手を決めるゲーム大会で、決勝戦まで残った。ハンサムかつスマートな外見からは想像できないほどパワフルな秘技(「スペースシャトル」)を使う。しかし実力もありスマートな外見を持つにも関わらず、その戦い方はダーティであり、秘技であらしの出っ歯を抜き、出血への恐怖によってあらしの戦意を挫こうとした。あらしは出血をものともせず戦ったが、出っ歯無しでは技が不完全であり、水魚のポーズによって神経を集中しながら秘技を使わなければならず、苦戦した。しかし、水魚のポーズの精神集中によって奇跡的に出っ歯が生え(抜けた出っ歯は乳歯だった)、バランスを取り戻したあらしには歯が立たず、秘技もあらしに破られ大敗した。
- ホーク鷹野
- 翼を背負った謎の人物であり、その翼によって空を飛ぶこともできるらしい(あるいは氷雪之助同様、人間ではないのかもしれない)。ゲームの腕は超一流であり、あらしが一度は敗れた山嵐大作をも簡単に撃破した。フェアな勝負精神の持ち主で、あらしに秘技抜きの勝負を提案していたが、その後、あらしが特訓で片目になると(ミツバチに瞼を刺され、眼帯をしていた)、そのハンデを考慮し、今度はあらしに秘技ありの勝負を提案した。正義感も強く、アマゾンではたくさんのゲーマー仲間を救っている。
- ラム・ロム兄弟
- 巨大なゲーム(コントローラが人の大きさくらいある)であらしと対決した双子の兄弟。名前の由来は「RAM」「ROM」のコンピュータ用語。この名前を聞いたあらしは「アグネス・ラム」のような色っぽい女性をイメージしたがごつい男だった。
- 余談だが、キャラデザインは意外にも『女犯坊』のオマージュである作者ブログより1。また、彼らとの対決はあらしが必殺技を一切用いず、運動神経と持久力のみで勝利を収めた稀有な回でもある。
- 剣野玉三郎
- 棺桶にインベーダーゲームを入れて街中を引いて歩き、賭けゲームで生計を立てている少年。「1勝負1000円、勝った者には1万円!」と書いた張り紙をしている。秘技はケン玉昇り竜。
秘技(登場人物別)
- 石野あらし
- 水魚のポーズ
- ヨガのポーズを取ることで精神統一を図る。
- 炎のコマ
- コマを素手で回転させる特訓によって会得。レバーを超スピードでコントロールし、コンピュータを超える動きを発生させる。
- エレクトリックサンダー
- 腕をすり合わせる摩擦により電気を発生、コンピュータを狂わせる技。
- グレートタイフーン
- スーパーノヴァ
- 「一生に一度しか使えない」技。
- 真空ハリケーン撃ち
- 月面宙返り(ムーンサルト)
- 不安定な飛行船でのゲーム対決で登場。アップライト筐体で逆立ちでプレイすることで筐体と一体化し、その発展技として誕生。小学館の写植のガイドラインに沿ってか、漢字部分のみにルビがかかっていたため、「ムーンサルトり」と読む読者もいた。
- レインボーバズーカ
- 大回転イナズマ返し
- インベーダーコンチェルト第一番
- 必殺UFO落とし つるぎの舞い
- コスモアタック
- 出っ歯神経リモコン
- 月面きりもみ急降下
- 太陽風コロナ撃ち
- マンダーラ
- スペクトル分身撃ち
- 水魚のポーズ
- 大文字さとる
- 水魚のポーズ
- 月影一平太
- 水魚のポーズ
- 炎のコマ
- 月面宙返り(ムーンサルト)
- エレクトリックサンダー
- 石野とんがらし
- 炎のコマ
- 月面宙返り
- 真空ハリケーン撃ち兄弟パワー
- レインボーバズーカ兄弟(ブラザー)アタック
- インベーダーウーマン
- ノーブラボイン打ち
- 秘技ボインしばり
- ハンス・シュミット
- 鈎十字急降下(ハーケンクロイツ・ダイビング)
- ドクロ大帝
- 超空間ブラックホール(真空ハリケーン撃ちを凌ぐ強力な技)
- ツインブラックホール(両腕に一つずつブラックホールを発生させる強化版)
- 亜空間惑星大直列(グランド・クロス)(原作のみ使用)
- 銀八先生
- 月面宙返り六段
- 山嵐大作
- 炎のコマ(あらしのコピー技)
- 月面宙返り(あらしのコピー技)
- エレクトリックサンダー(あらしのコピー技)
- 山嵐電撃吹雪拳
- バミューダトライアングルアタック
- スフィンクス返し
- 氷雪の助
- 雪華の舞(グレートタイフーンを破った強力な技)
- プリンセス・コブラ(ドクロ大帝の娘、原作のみ登場)
- グレートブラックホール(父親の超空間ブラックホールのパワーアップ版)
作中に登場したゲーム
- ブロックくずし
- スペースインベーダー
- ギャラクシアン
- ギャラクシーウォーズ
- バルーンボンバー
- パックマン
- ムーンクレスタ
- クレイジークライマー
- ラリーX
- ニューラリーX
- トランキライザーガン
- ドラキュラハンター
- ドンキーコング
- スクランブル
- 平安京エイリアン
- ミサイルコマンド
- クイックス
- スペースシーカー
- ワープ&ワープ
- マンホール、ジャンジ、パラシュート(ゲーム&ウォッチ)
- ゲーム電卓
- ゼビウス
- レッドタンク
- ディフェンダー
- ルート16
- スペースパニック
- アタックモグラ
- 『バルーンボンバー』登場の際は「そんなゲーム知らないぜ?」「新製品のホヤホヤだからな!」というやりとりがある。これはすがやがタイトーの工場を見学した鬨、まだ発売されていない新作ゲームを漫画に登場させた事によるもの。しかし取材から雑誌の発売までタイムラグがあり、掲載時には『バルーンボンバー』は既に流通していた。
テレビアニメ
1982年4月5日から同年9月27日まで全26話。放送局は日本テレビ系。放送枠は月曜日19:00 - 19:30。
制作はシンエイ動画で、当時藤子不二雄アニメの製作のみに特化していた為、「シンエイ動画初の藤子アニメではない作品」として話題になった実際には前身のAプロダクション時代に何作か藤子アニメではない作品も制作している。しかしアニメーション制作の実作業は土田プロダクションが仕切っており、シンエイ動画は主にプロデュースなどで関わっている。
しかし、作者のすがやみつる自身は「アニメ化であらしは終わった」と発言し、アニメ化には非常に反対していた。そのひとつはテレビによる知名度とファン層の拡大である。作者は作品のファン層を小学校高学年をターゲットとしていたが、アニメ化により幼年児達にも受ける内容にしなければならなくなった。その反面それまでの高学年読者達に受けるネタが考えられなくなってしまい、連載寿命が縮んでしまったと述べた。あらしは国民的なメジャー作品向きでは無く駄菓子屋路線なインディー作品だと述べていたメディアファクトリー『いよいよ最終回! 名作マンガは、こうして終わる! 』(2002年) ISBN 4105392057。
当初の放送予定期間は1年(全52話)で、放送開始時に新聞の番組紹介でも「全52話」と放送予定回数も明記されたが、当時裏番組に人気番組『クイズ100人に聞きました』(TBS系)や本作と同じ小学館の雑誌で原作連載されていたアニメ『あさりちゃん』(テレビ朝日系)などがあったため、本作は視聴率的に苦戦し予定期間の半分・2クール(半年・26話)で終了した。
アニメ化決定当時『あさりちゃん』は小学館の学習雑誌(『小学●年生』)と『コロコロコミック』に連載されていたのだが、本作と重なる時間帯枠となったため、『コロコロコミック』での連載が打ち切られて学習雑誌のみの連載に戻った。この時間帯決定はかなり急な話だったらしく、打ち切られた号の翌号で『あさりちゃん』の休載についての知らせと編集部からのお詫びの言葉が掲載された。結果論であるが、この一件は東映アニメーションと契約してしまったことで打ち切られた『あさりちゃん』が登場する『コロコロコミック』のTV-CFもオンエアされてしまう失態もあり、小学館の『コロコロ』と学習誌間の内部の連携の悪さを露呈する形になってしまった。
概ね、原作のエピソードを踏襲している。アニメのオリジナルストーリーは最終話『あらしの敵はあらし!?』のみ。但し、アニメのオリジナルキャラであるナンドー会長、エリカ・能登、松本すみれがほぼ毎回登場してストーリーに絡んでくるため、話の流れが原作と異なっているものも多い。更にアニメの放送時に玩具メーカーの「エポック社」がメインスポンサーだった関係で、あらし達が対戦するゲームにエポック社の『パクパクマン』等の電子ゲームがいくつか使われている。実在のゲームを題材に使っているための著作権の影響か、過去CS放送では何回か放送されているが、2009年現在DVD・ブルーレイ化は行われていない。
テレビ放送前年の1981年に約1分間のパイロット版フィルムが同じくシンエイ動画の作画で製作された。ラスボスがスーパーコンピューターという内容で、TBSの『おはよう700』の時間帯の『コロコロコミック』のCMとして合計3回放送された。基本的に同じ内容だが、3回の放送でのあらしの台詞が少しずつ異なっている。登場するのはあらしのみで、声は本放送と同じく間嶋里美が担当した。単なるCMであるにもかかわらず、当時の本作の人気を受けて放映の時間帯を誌上で告知するなど大々的な宣伝がされている。
キャラクターデザインは、原作に登場しているキャラクターは大まか原作を踏襲しているが、一平太のデザインが原作では白いインベーダーマークのシャツだが、アニメでは黄色いシャツに赤い色の○(まる)のなかに漢数字の「一」を描いたものに変更されている。
スタッフ
- 原作:すがやみつる
- 企画:吉川斌
- プロデューサー:武井英彦(日本テレビ)、児玉征太郎(シンエイ動画)
- 音楽:馬飼野康二
- 撮影監督:金子仁
- 録音監督:浦上靖夫
- 美術監督:高野正道
- 美術設定:工藤剛一
- 作画監督、キャラクター設計:岡迫亘弘
- チーフディレクター:小華和ためお
- 演出助手:河合佐知彦→関上和男
- 原画:アニメR、ネオメディア、じゃんぐるじむ、渡辺一、小島秀一、興村忠美 他
- 動画:スタジオムサシ、ネオメディア、亜細亜堂、風プロダクション、スタジオルック、ジャイアンツ
- 色指定:西香代子
- 特殊効果:スタジオ2001
- メカニックデザイン:竹内昭
- 動画検査:河田章子
- 仕上:イージーワールド、スタジオロビン
- 背景:アトリエローク、スタジオジャック
- 撮影:東京アニメーションフィルム
- 彩画:スタジオロビン
- 効果:松田昭彦(フィズサウンドクリエイション)
- 整音:中戸川次男
- 編集:岡安肇、小野寺佳子、小島俊彦
- 録音制作:オーディオプランニングユー
- 制作担当:小平正夫
- 文芸進行:川口亘
- 制作デスク:渡辺明
- 制作事務:樋口玲子
- 制作進行:駒嵐正巳、山本茂樹、二川喜久男
- 録音スタジオ:APUスタジオ
- 現像:東京現像所
- 制作協力:土田プロダクション
- 制作:日本テレビ、シンエイ動画
主題歌
- OP『ゲームセンターあらし』
- 歌:水木一郎/作詞:すがやみつる/作曲、編曲:馬飼野康二
- ED『おいら熱帯低気圧!』
- 歌:間嶋里美/作詞:すがやみつる/作曲、編曲:馬飼野康二
サブタイトル
放送日 | 話数 | サブタイトル | 脚本 | コンテ | 演出 |
---|---|---|---|---|---|
1982年 4月5日 | 1 | ビッグコンピューターをやっつけろ!! | 吉川惣司 | 小華和ためお | 原田益次 |
4月12日 | 2 | 超秘技!!炎のコマ | 原田益次 | ||
4月19日 | 3 | 出たぞ!!必殺ムーンサルト | 安藤豊弘 | 小華和ためお | |
4月26日 | 4 | 恋のハートがゲームに燃える | 山崎晴哉 | 岡迫和之 | |
5月3日 | 5 | 恐怖の誕生パーティー | 吉川惣司 | 黒川文男 | |
5月10日 | 6 | 爆走!!恐怖のブルートレイン | 安藤豊弘 | 北原健雄 | |
5月17日 | 7 | 激痛!!虫歯エイリアン | 吉川惣司 | 岡迫和之 | |
5月24日 | 8 | 男の勝負だ!!サイの目河原 | 山崎晴哉 | 谷田部雄次 | |
5月31日 | 9 | 短足インベーダー銀八先生 | 石崎すすむ | ||
6月7日 | 10 | 生きかえったドラキュラ | 吉川惣司 | 岡迫和之 | |
6月14日 | 11 | やったぜ!!真空ハリケーン撃ち | 山崎晴哉 | 北原健雄 | |
6月21日 | 12 | 謎のチョコレートを追え!! | 吉川惣司 | 岡本達也 | |
6月28日 | 13 | なぜか気になる超ボイン | 山崎晴哉 | 岡迫和之 | 河合佐知彦 |
7月5日 | 14 | カサブタ谷の怪物 | 吉川惣司 | 葉住英二 | 原田益次 |
7月12日 | 15 | ブラックホールから抜け出せ!! | 山崎晴哉 | ||
7月19日 | 16 | あらしの出っ歯が抜けた!! | 岡迫和之 | ||
7月26日 | 17 | とんがらし誕生! | 吉川惣司 | 小華和ためお | 河合佐知彦 |
8月2日 | 18 | 大逆転!!サーフィンゲーム | 中原朗 | 岡本達也 | |
8月9日 | 19 | ハンバーガーはもうたくさん | 山崎晴哉 | 原田益次 | 河合佐知彦 |
8月16日 | 20 | 怪奇!のろい屋敷 | 吉川惣司 | 岡迫和之 | 岡本達也 |
8月23日 | 21 | 夏だ!ゲームだ!合宿だ! | 山崎晴哉 | 葉住栄二 | 河合佐知彦 |
8月30日 | 22 | ねらわれた天才さとる | 吉川惣司 | 岡本達也 | |
9月6日 | 23 | とんがらしを救え! | 山崎晴哉 | 葉住英二 | 河合佐知彦 |
9月13日 | 24 | 天国からのSOS(前編) | 吉川惣司 | 小鹿英吉 | 岡本達也 |
9月20日 | 25 | 天国からのSOS(後編) | 小華和ためお | 河合佐知彦 | |
9月27日 | 26 | あらしの敵はあらし | 山崎晴哉 | 岡本達也 |
単行本
- てんとう虫コミックス『ゲームセンターあらし 全17巻』小学館
- 小学館コロコロ文庫『ゲームセンターあらし(傑作選) 全3巻』小学館
- My First BIGコロコロ30周年シリーズ『ゲームセンターあらし 戦え!ゲーム戦士あらし編』小学館
- 『ゲームセンターあらし(完全復刻版)全4巻』太田出版
- トラウママンガブックス『ゲームセンターあらし対マイコン電児ラン+こんにちはマイコン完全版 全1巻』英知出版
ゲーム
- PSソフト『ノベルズ〜ゲームセンターあらしR〜』発売:株式会社ヴィジット 標準価格:5,800円(税別)
1999年に発売。ジャンル:サウンドノベル
- 短編ノベルゲームが複数収録されたオムニバスソフト。表題作は他のタイトルをプレイしてポイントを稼がないと遊ぶことができない。内容は原作の最終回でゲーム伝道のために宇宙に旅立ったあらし達が、地球に一時的に戻ってくるというもので、ポリゴン等の新技術が導入された地球のゲームの進歩に驚くシーンがあった。
その他
- エピソードの一つ「ゴキブリ大作戦」は、すがやが『仮面ライダー』を描いていた頃、猛多忙で下宿の自分の部屋に帰る暇もほとんど無いのに、部屋の明かりだけは24時間つけっ放しにしていたため、冬になって下宿じゅうのゴキブリがすがやの部屋に集合してしまい、バルサンで駆除したらゴキブリ(すがやによるとチャバネゴキブリ)がチリトリに山盛り3杯分もいた…という実話をヒントにしている(すがや公式ブログより)。
関連項目
- こんにちはマイコン
- アーケードゲーマーふぶき:作者/吉崎観音 - 劇中に、インベーダーキャップをかぶった出っ歯の「謎の人」というがキャラ登場する。この声を演じた古谷徹は、あらしの声を演じた間嶋と夫婦である。
- サラリーマントレーダーあらし - 『ゲームセンターあらし』の続編。
- ギャラクシーウォーズ - スーパーファミコン版のパッケージにあらし風の少年が描かれており、ゲーム中に自機を左右に激しく動かすと「炎のコマ」を使える裏技がある。
脚注
外部リンク