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ダイ・ソード 2

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ダイ・ソードの既刊

名前発売年月
ダイ・ソード 1 1993-12
ダイ・ソード 2 1994-04

轟世剣ダイ・ソード』(ごうせいけんだいそーど)は、長谷川裕一の漫画作品である。

『マップス』などと並ぶ作者の代表作の1つで、主人公・百地王太はじめ中学生550人が学校ごと剣と魔法の異世界「泡の中央界」へ飛ばされる冒険ファンタジー漫画である。

雑誌連載時の経緯

現代人が何らかの理由で「剣と魔法の異世界」へ飛ばされるというシチュエーションの漫画やアニメは数多い。ところがこれらの作品の多くは異世界へ赴くのは1人あるいは少人数である。そこで長谷川は「大人数が異世界へ飛ばされる」作品企画を構想し、前々から売り込んではいたのだが編集者になかなか理解されず実現には至っていなかった。

1992年10月、角川書店でお家騒動が勃発しメディアワークスが角川から分裂する形で設立された。この影響で当時角川が刊行していた「月刊コミックコンプ」はメディアワークスが新たに立ち上げた「月刊電撃コミックガオ!」に多くの漫画家・編集者が移籍してしまい壊滅状態にあった。そんな中で角川が白羽の矢を立てた内の一人がこの当時既に『マップス』で知られていた長谷川だったのであり、1993年3月号にて『ダイ・ソード』(この時点ではまだ「轟世剣」はつかない)が連載開始となる。しかし、急場しのぎ的な体制であった同誌は翌年の1994年10月号をもって休刊、ACT20で打ち切りとなる。

このまま未完で終わるのかと思われたが、徳間書店の「月刊少年キャプテン」に移籍して1995年1月号より『轟世剣ダイ・ソード』と改題し連載再開の運びとなった。この頃の長谷川はこれに前後して学研の「月刊コミックNORA」で『マップス』の連載終了直前、角川が新たに立ち上げた「月刊少年エース」創刊号より『機動戦士クロスボーン・ガンダム』を連載開始という状態であったため、一時的にではあるが3誌同時連載をしており、翌1995年は『マップス』は一応終了したものの、全編単行本描きおろし作品『飛べ!イサミ』と平行になる。

「キャプテン」での連載は順調に進んだが、元々他誌から移籍した作品であるという事情もあり、1996年に同誌編集部は新作への切替を打診、そこで単行本第6巻相当まででとなる1996年9月号のACT41で雑誌連載を打ち切り、最終巻である第7巻を書き下ろし1997年1月に刊行することとなる。 なお、「キャプテン」は同月発行の1997年2月号をもって何の予告もなしに突然休刊したが、第7巻が描きおろしとなったのは前述の理由によるものであり休刊とはまったく関係がないが徳間版の後半の単行本が入手困難な理由の一因ではある。

あらすじ

1993年(講談社漫画文庫版では某年と表記)1月25日午前8時36分、全校生徒550名とともに校舎ごと消滅した九江州(くえす)中学は、異世界「泡の中央界」に飛ばされた。それは白き常魔の国テルテ・ウィタスと北国との争いの中で行なわれた、「ダ・イスォウド(主たる者の力)」争奪戦に巻き込まれたためであった。北国の軍勢の真っ只中に出現した九江州中学校舎は奇怪なモンスターの襲撃にさらされる。その混乱の中、百地王太はダイソード(ダ・イスォウド)の封印を解き学校を守ることに成功する。テルテ・ウィタスの魔法使い、ユーリナ・タ・カラから事情を聞いた百地王太、千導今夜ら九江州中学一行は元の世界に帰るためテルテ・ウィタスを目指す。

登場人物

九江州中学

メインキャラの名字に漢数字が含まれているものが多いのは「メイン・クラスのキャラとして使うつもりの者の目印」であるためコンプコミックス版単行本一巻より、金子は当初1話限りのキャラと考えていた。

百地王太(ももち おうた)
主人公。九江州中学1年B組のサッカー好きの少年。ユーリナの導きでダイソード(ダ・イスォウド)のソウル・マスター(神の武器の搭乗者はソウル・マスターと呼ばれる)となる。他の神の武器(ゴッド・フォース)との戦いを通じダイソードと心を通わせ初めに立ちし者との最終決戦までダイソードとともに戦う。
千導今夜(せんどう こよい)
九江州中学の生徒会長。定期入れにアニメキャラクターのブロマイドを入れている程のアニメ好き。ダイソードのことを「サイバトロンかと思ったらモビルアーマーだわ」と評した(自律型かと思ったら搭乗型だったと言いたかったらしい)。大人が全滅した九江州中学のリーダーとなる。その企画・立案能力はジオナス王と対等に渡り合うほど。物語の進行とともに王太に恋心を抱く。
一峰ゆうじ(かずみね ゆうじ)
九江州中剣道部部長。今夜に片思いをしていたため何かにつけて今夜のそばにいた。決戦後はツボカといい仲になり、泡の中央界に残った。劇中ではツボカが名をユージと呼んでいた以外に漢字表記が出てこなかった。
二葉春夏(ふたば はるか)
九江州中学2年D組。校内で一番魔法ののみ込みが早かったため海辺国の海底洞窟探検に駆り出される。その後ヨゴの召喚者の一人として活躍した。ファンタジーは苦手でヘッセなどが好きらしい。当初は気の弱い性格だったが、旅を続ける内に姉御肌な性格になっていき、いつしか十勝を尻に敷いていた。
十勝力(とかち ちから)
九江州中学3年E組。自称実戦格闘技部キャプテン。いわゆる不良であり番長的存在。海辺国に着いた九江州中学で千導会長退陣派のリーダーとして反乱を起こす。その後は和解し、王太に力を貸す。ナマクラに乗って神の武器とも戦った。洞窟探検後春夏に惚れる。
七瀬咲笑(ななせ さきえ)
今夜の親しい女友達。後に生贄として北国に女生徒の大半が誘拐されたときに巻き込まれ今夜とは離れ離れになった。北国に囚われながらも2キロ太ったという楽天的な性格。生贄候補の女生徒たちの実質的リーダーだった。
金子良雄(かねこ よしお)
王太の友人。女生徒とともに北国にさらわれ、タ・カラ発掘の強制労働に従事させられていた。おかげで腕力・生活力ともアップし北国獣人兵を殴り倒せるほどになった。後に『クロノアイズ』にも登場、高校では同作の主人公・西郷大樹の同級生となる。
梶原(かじわら)
2年の男子。初めて泡の中央界に九江州中学が出現したときに王太とともに戦った。下の名前は不明。
林譲治(はやし じょうじ)
3年A組の男子。コ・ズーの襲撃により女生徒を中心とした大半が誘拐された後、九江州中学が残り195名でテルテ・ウィタスへ向かうか、北国へ向かうかを話し合った際に、会議の結果を問わず仲間たち7人と相談し女生徒らを救いに行くと発言した。彼の発言後九江州中学は全員一致で北国に仲間の救出に向かうことになる。北国の城に潜入するチームの一員ともなった。
五郎丸(ごろうまる)
九江州中学の女子生徒。コ・ズーに誘拐されなかった数少ない女生徒。催眠魔法を得意とする。下の名前は不明。
仲島英児(なかじま えいじ)
自称九江州中学商い部の男子。実家は仲島ストアーであり本人も自分に不利な取り引きはしたことが無いと豪語する根っからの商人。秘密のお宝を使って海辺国での戦いに地元漁民や海辺国兵士を参加させた。

泡の中央界

ユーリナ・タ・カラ
白き常魔の国、テルテ・ウィタスに生まれた少女。高い魔力を有しており、テルテ・ウィタスでも1、2を争うほどであった。多くの亜人の存在する泡の中央界でも異質な存在であり、普段は隠しているが背中に羽があり空を飛べる。自分の意志によって身体を非実体化できる。実は聖杯のタ・カラの一部。
ジオナス
海辺国ジトの王。九江州中学の存在を知り、北国および神の武器に反旗を翻す。今夜の行動力に惚れたらしい。かつてはガブ・マオリと1人の女性を争った。
ガブ・マオリ
ボビー族の名工と呼ばれる人(?)物。ペンギンのような姿をしているが完全に人語を解する。同じペンギン状のボビー族とは微妙に種が違うらしい。ヒレ状の手で発明をするためにマニピュレーターがわりの篭手をはめている。大賢者デクショナリを妻に持ち、タ・カラの研究をしながら神の武器を作り出そうとしていた。そのため鉱物資源を求めて熱き島、アナ島に住んでいた。
ウ・ツボカ・ズラ
ガブ・マオリとデクショの孫。ボビー族の血を4分の1受け継いだ少女。鳥類の能力を持っているため風を読む能力が発達している。ガブ・マオリの作品No.37、シャイニィのメインパイロット。ペンギン姿に変身できる。決戦後一峰と結ばれたらしい。ちなみに名前の元ネタは食虫植物のウツボカズラである。
シズク
聖杯の滴と呼ばれた美貌の女性神官。カラの隠れ里と呼ばれるタ・カラを崇拝する人々の村でタ・カラ神殿の第一神官を務めていた。その身体には神の武器の文様が刻まれ、3万3千年前の戦いの歴史を伝えている。実はタ・カラの一部でありタ・カラの創天の鍵パーツそのもの。
クルリ
シズクの小姓を務めるタ・カラ神殿の巫女見習い。
デクショ(デクショナリ)
元カラの神官。北方の大賢者とも呼ばれる。20年前(劇中時間)北国の地下牢のさらに400メートル下の石牢に部屋ごと生き埋めにされ、そのまま生きながらえていた。神の復活をめぐる戦いの余波で幼児化して復活した。ツボカの祖母。
15賢者
テルテ・ウィタスの賢人たち。300年に一度のダ・イスォウドの封印の弱まる時期を利用して北国の侵略を止めようとした。異界の門を開き、泡の中央界と地球とを結ぶことができる。ガ・バリュオーグの侵略に備えて国と国民全体を石に変えてやりすごそうとした。
初めに立ちし者
泡の中央界における神のような存在。3万3千年前に一度ダイソードの反乱によって泡の中央界から去った。その実体は非常に小さな精神体のようなものらしい。いつかはわからないが生まれ、呪詛の言葉から泡の中央界をつくったとされる造物主。しかし生き物が増えることを良しとせず、常に混乱と破壊をもたらすように仕向けてきた。神の武器はそのために作られたものであり、3万3千年前のダイソードの反乱以降はダイソードのみをその役に当てていた。その身体は他の生命体(生贄の処女)によって形作られており、半人半馬の骸骨のような姿をしている。戦闘時には四足の下半身部が二つに割れ翼状になり悪魔のような姿になった。両手はカニのはさみのようでとても神の武器を扱えるとは思えない。壁画や神像で8本(五本指)の腕を持つ姿に描かれていた。
冬の鳥
3万3千年前にダイソードと心を通わせた男性。タ・カラの結界によって守られた小さな村で平和に暮らしていたがそのことに気づいた初めに立ちし者に命じられたド・ライアムとガ・バリュオーグにより殺される。このことがきっかけでダイソードが反乱を起こすと初めに立ちし者によってサンジュオウにされた。

神の武器

初めに立ちし物(以降は神と呼称)によって作られた、巨大人型兵器。神が中央界で争いが絶えないように作り出した存在で、各自固有の召喚アイテムと専用の座席を頭部に持ち、召喚アイテムを手にした者に資質があった場合召喚「ソウルマスター」として頭部のコックピットに収納し意のままに動くよう設計されている。

確立された自我による自立活動、固有の戦闘能力に加え、人型とビースト形態と武器形態に変形が可能で(例外あり)、魂の器(後述)やコ・ズーによって武器として使用可能。それぞれ変形体にあわせた「神の~」という二つ名をもつ。製造工程・材質・内部構造などは一切不明(「泡の中央界」では判明していたが、九江州中学側(読者)には明らかにされていない)。「泡の中央界」(中央界と省略)の人間の魂を人格として封じ込められており、性別が存在するが一例を除き本来の記憶は消えている。

時に協力しあい、時に敵対するなどをして人間と敵対していたが、3万3千年前におきたダイソードの反乱を境に、各自の心の中に変化が生じている。なお、時間さえ立てばカラの力を必要とせず破片状態からでも復活は可能。

神の剣 ダイソード(ダ・イスォウド)
王太と並ぶ今作の主人公。ダ・イスォウドとは主たる者の力という意味で額に召喚アイテムとなる剣を持つ。タ・カラとは以前から交流がある(作者・読者・ついでにその他公認のカップル)。
神の武器として自らの使命を当然の事と受け止めていたが、3万3千年前に冬の鳥との交流で人間らしい心に目覚めた事で自らの存在に疑問を抱き、神に戦いを挑んだ。結果として神に敗れ封印される。その再「300年に一度、封印が弱まった際に封印を解いた者に7回だけ力を貸す」という契約をかけられる。以降、王太が現れるまで歴代のソウルマスターによって戦争の道具として使われてきた(召喚者はその力を思うがままに使えるが、その強力すぎる力をもてあまし自滅することが多かった)。契約の証として、両腕に一本ずつ鎖が埋め込まれている(応用武器として使用可能)。
7つの魔法が使え、剣から人型と飛竜型に変形する。召喚時以外は寝てばかりいる(曰く退屈)。王太がマスターとなってから次第に自我意識を自覚し始め、契約の鎖を引き抜き「己の意志」で神を打ち破った。最終決戦時に復活した神に敗れてバラバラにされるものの、テルテ・ウィタスで用意されていたダイソードの複製用工房と大賢者デクショ、名工ガブ・マオリら協力によりサンジュオウのパーツと合わせて再生された。これにより緑だった体色が銀に変わった。サンジュオウのパーツの残りで鍛えられた剣を持ち、王太とともに初めに立ちし者を倒した後はカラを待ち続けている。
契約についての条件
  • ソウルマスターが召喚呪文を唱え登乗した後、召喚席から出るか、意識が喪失するまでを一回とする(睡眠もこれに当てはまる)
  • ソウルマスターが選ばれた時点で召喚アイテムはソウルマスターの付属物となるのでアイテムを直接所持せずともダイソードの召喚が可能(他に当てはまるかどうかは不明)
神の斧 ガバリオーグ(ガ・バリュオーグ)
ダイソードを除く神の武器のリーダー的存在。ガ・バリュオーグとは狩り取る者という意味。顎に召喚アイテムとなる斧を持つが、他の武器が自身と同じ形のミニチュアだったのに対し、ガバリオーグはなぜか両刃の斧が召喚アイテム(ガバリオーグは片刃の斧になる)。斧から人型と四足獣型に変形する。魔法は持たず、力は神の武器中でもっとも強い。
北国の王コボスによって3万3千年ぶりに目覚めさせられる。しかしダイソードとは異なり、人の下僕になるように定められていなかったために自身の野望に目覚めた。ガバリオーグを操っていると思われたコボス王は既に死亡していた。他の武器を目覚めさせ、神の復活をもくろんだが、それが自らが神になろうとしたのか、それとも初めに立ちし者による暗示だったのかは不明である。
神の三叉矛 ド・ライアム
矛から人型と海竜型に変形する。額に召喚アイテム、顔に座席があるはずだが未登場。人型になった時の大きさは神の武器で一番小さい。
使い魔を用いて人の心の隙をつくのが常套手段であり、3万3千年前にもタ・カラの結界をつかさどっていた宝石を村人に盗ませ、冬の鳥の村が壊滅する原因を作った。12の魔法を持つがあまり大きな技は無い。
神の盾 ヨゴ
盾から人型とカニ型に変形する。回復・防御系の魔法を4つ持ち、最も防御力が高い。古風な話し方をするのが特徴。防具である為戦闘能力は低め。
3万3千年前の戦いで敗れたことに納得せず、復活したダイソードと再度、刃を交えるが敗れる。だがそのダイソードの強さに感服して、以降は大きな味方となる。召喚回数に限りのあるダイソードと違い、かなり九江州中学の役に立った。二葉春夏が主なソウル・マスター。
神の篭手(ガントレット) コ・ズー
またの名は「銀のコ・ズー」。人型から篭手と虫型に変形する。ヨゴと共に防具である為、単独での戦闘能力はそうとう低いものの、46種類の攻撃魔法を使いこなし、召喚獣をも操る神の武器唯一の魔法特化(魔法使い)として登場。身体を半分に分けて両手分の篭手になるが、体を半分失っても自我が保たれていたりなど(ただし物事は半分忘れる)どのようにして両方の身体を制御してるかは今ひとつはっきりしない。篭手であるので物を掴め、神の武器を実際に武器として振り回すことができる。
非常に人間くさい性格であり、コメディタッチな役割でもある。敵にしてはどこか憎めないキャラであり、仲間内では好かれている模様。後にブロンブルと相思相愛になったりした。召喚アイテム、座席ともに劇中未使用。
神の星型鉄球(モーニングスター) ブロンブル
神の武器のうちでもかなりイレギュラーな存在で、他の神の武器が3つの姿しか持たないのに対し、人型、鉄球、柄付き鉄球、トゲを触手として伸ばしたモンスター型と4つの姿を持つ。鉄球の殻の内側には土偶のような姿が隠れており、一見してはまったくわからないが女性である。何時からかわからないが、コ・ズーに片思いをしており、登場時に堂々と宣言するものの、本人の手前では言い出せずにいた。
モンスター型の時に火を吐くなど基礎能力以外これといった力はないが、コ・ズーから習った地震魔法のほか、物体縮小魔法を用いて敵の体内に飛び込み、そこで巨大化して破壊するという戦い方をする(使用できるのはこの二種のみ)。額にある召喚アイテムは鉄球のような宝石のような形で判別しづらい。座席とともに劇中未使用だが、身体を伸縮させる戦法から非搭乗タイプの可能性もある。
神の聖杯 タ・カラ
神の武器同士の争いを永遠のものとし、世界に混沌と破壊を与え続けるために永遠の中立の立場であり、治癒と再生の魔法を与えられている女性。聖杯なのは中立の立場である為、武器でも防具でも無い事から。聖杯型から、上半身のみ人型に変形する。他の武器は人型以外の攻撃形態をビーストモードと呼ぶが、タ・カラだけは聖杯部分を羽根状に広げた場合に完全な人間型になるのでフェアリーモードと呼ばれている。額に召喚アイテムとなる聖杯をもつが、座席ともども未使用。
再生の力を持つため、どの武器よりも早く人の心に目覚め、物事を深く考えるようになる。ダイソードとは以前から心惹かれる物があり、個人的に行動を共にする事が多かった。冬の鳥の村を結界で守って破壊と混乱から救おうとしていた。3万3千年前の戦いでは真っ先に自らダイソードの刃にかかる事で、他の武器の回復を止めている。
神の武器のうちでもっとも早く復活したタ・カラは、再び自分の復活の力が初めに立ちし者に使われることを恐れ、自身を本体と鍵と精神の3つに分け、鍵はタ・カラ神殿の巫女、精神は羽を持つ人間として隠し続けてきた。そして人々に神の再来を伝え、その備えとなるように自身のデータを残した。こうした努力によってタ・カラは崇拝の対象であり、専用の神殿や神官が存在している。
紆余曲折の復活の後、傷ついたダイソードを復活させるが回復の力をせき止めることができず、他の武器に力を使わせまいと自爆した。
神の刀 サンジュオウ
3万3千年前に誕生した、もっとも新しい神の武器。刀から人型と竜型に変形する。両手を刃に変える、口(?)から矢を吹く(その内側には座席があるのだが…)、傘状の頭部パーツから刃を出して手裏剣のように投げる、など8つの神の武器の内、最も攻撃力が高い。傘の部分に召喚アイテムの刀がありACT.44で王太がダイソードの召喚剣を修復する際に使っている。
3万3千年前の戦いで他の武器が敗れる最中、新たな武器として神の前に現れ、ダイソードを倒し、封印に追い込んだ。その心は冬の鳥であり、以前の記憶を保ったまま神の武器となった為その魂は氷のように冷え切っており、ダイソードを倒すことだけを喜びとしている。
現代でのダイソードとの戦いの際は自分の座席に拉致した今夜を乗せて人質代わりに使った。ダイソードに敗れたことで自分の中の思いに決着をつけ、元の心を取り戻すが、復活した神に完全破壊される。神が中央界を石化させようとする中で、ダイソードの破片とともに新たなダイソードとして生まれ変わるが、冬の鳥としての意識は消えてしまった。
新しい神の武器
神が復活した際に出現させた剣。同型が多数現れている。飛竜型に変形してダイソードとサンジュオウを襲ったが、ヤラレ役だった。ダイソードを倒した後にこの武器を用いて破壊と混乱を続けようとしたらしい。人型は登場せず。

魂の器(ソウル・ヴェスル)

ナマクラ
神の武器に似せて作られた人型武器。モンスターの多い泡の中央界で自衛戦力として作られている。あまり強くないとユーリナが評していたが、2台がかりとはいえド・ライアムの突進を抑えこむくらいはできた。九江州中一行は海辺国から2台購入して十勝などが使用している。
シャイニィ
ガブ・マオリ作の魂の器。ナマクラと違い変形と自律行動が可能。変形はかなり大胆で、頭部を支点に体が真っ二つになり鳥型になる。コクピットは左右の胸にあるが、操縦席は回転しないらしく居住性は非常に悪い。タ・カラ神殿に残された神の武器のデータをもとに作られているために、ユーリナが搭乗すればある程度タ・カラの復活の力を使うことが可能。

補足事項

  • 本作は「大人数が学校ごと異世界へ飛ばされる」というシチュエーションから『漂流教室』(楳図かずお)と比較されることがあるが、同作とはかなり異なり基本的に明るい雰囲気で展開する作品である。
  • ダイソードの変形ギミックは実際に立体化すると再現するのは不可能なものであり、作者も心残りだとコメントしている。また、ダイソード同様の「巨大な剣」というモチーフは長谷川がシナリオ原案を担当したコンピュータRPG『グランディアII』(ゲームアーツ)にも登場している。
  • シャイニィのデザインは後の作品『クロノアイズ』に登場するペルセディアの原型となった。
  • 作者の命名には語呂合わせが多いことは良く知られており、本作ではユーリナ・タ・カラ=「有利な宝」(復活アイテム)、大賢者デクショ=「Dictionary」(カラの記憶を読み解くための辞書)、コ・ズー=「Wizardry #2 - Knight of Diamondsに登場するKOD'sガントレット」などが指摘されている。
  • 作者の発行した同人誌『長谷川裕一ひとりスーパーロボット大戦 大外伝』によれば、泡の中央界と元の世界の時間速度差は約8000倍であり、本作本編終了の3年後に泡の中央界では2万4000年が経過している。また、そこから逆算すると、3万3000年前の戦いは元の世界での約4年強前であり、さらに九江州中学が元の世界に再出現したのが30分後である事から、本編での冒険は4000時間≒166日間であったものと推測される。

単行本

現在はいずれも絶版。

  • コンプコミックス 全2巻(角川書店・未完)
    1. 1993年12月10日初版・ISBN 4047130443
    2. 1994年4月25日初版・ISBN 4047130516
  • 第2巻はACT12まで掲載であり、「コミックコンプ」連載分の途中までしか刊行されていないことになる。
  • 少年キャプテンコミックススペシャル 全7巻(徳間書店)
    1. 1995年5月15日初版・ISBN 4198300739
    2. 1995年6月10日初版・ISBN 4198300755
    3. 1995年7月10日初版・ISBN 419830078X
    4. 1995年8月15日初版・ISBN 4198300836
    5. 1996年4月25日初版・ISBN 419830131X
    6. 1996年11月25日初版・ISBN 4198301492
    7. 1997年1月20日初版・ISBN 4198301565
  • 講談社漫画文庫 全4巻(講談社)
    1. 2003年11月12日初版・ISBN 4-06-360659-7
    2. 2003年12月12日初版・ISBN 4-06-360660-0
    3. 2004年1月9日初版・ISBN 4-06-360661-9
    4. 2004年2月10日初版・ISBN 4-06-360662-7

脚注