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ハートのアリス 3

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|- | colspan="2" style="padding: 0;"| {| class="infobox bordered collapsible innercollapse autocollapse" style="width: 100%; margin: 0;" ! colspan="2" style="text-align: center; background-color: #ccf;"| ゲーム |} |- | colspan="2" style="padding: 0;"| {| class="infobox bordered collapsible innercollapse autocollapse" style="width: 100%; margin: 0;" ! colspan="2" style="text-align: center; background-color: #ccf;"| 漫画 |} |- | colspan="2" style="padding: 0;"| {| class="infobox bordered collapsible innercollapse autocollapse" style="width: 100%; margin: 0;" ! colspan="2" style="text-align: center; background-color: #ccf;"| 小説 |} |- 『ハートの国のアリス〜Wonderful Wonder World〜』(ハートのくにのアリス ワンダフルワンダーワールド)は、2007年2月14日にQuinRoseから発売されたパソコン用女性向け恋愛アドベンチャーゲームで、不思議の国のアリスをモチーフとしたシリーズ第一作目。本項目ではシリーズの全体に加え、ハートのリメイク版である『アニバーサリーの国のアリス〜Wonderful Wonder World〜』(アニバーサリーのくにのアリス ワンダフルワンダーワールド)、全体のファンディスクの『おもちゃ箱の国のアリス〜Wonderful Wonder World〜』(おもちゃばこのくにのアリス ワンダフルワンダーワールド)、ハート限定ファンディスクの『ハートの国のアリス〜Wonderful Twin World〜』(ハートのくにのアリス ワンダフルツインワールド)の詳細についても扱う。

概要

当初はこれまでのQuinRose作品とは別レーベル「QuinRose UnderGarden」制作の作品として発売されたが、スタッフはQuinRoseと共通。QuinRose初のシミュレーション要素やRPG要素のない、ノベル形式アドベンチャーゲームであり、同社一の看板長寿作品となった。シナリオは五月攻。原画はひめりんごひめりんご本人はblogにて「2008年2月付近から一切関与していない」と明言しているが、QuinRoseサイドからの発表はないであったが、『新装版』と『ツイン』は『ダイヤの国のアリス』から原画担当を交代した藤丸豆ノ介。ハートはプロトタイプよりPS2とPSP、ボリュームアップ版である『アニバーサリーの国のアリス』、またそのPSP移植時にタイトルを改めた『ハートの国のアリス〜アニバーサリーVer.〜』など、移植やリメイク版の発売がシリーズ中最多の作品でもある。

PC版では推奨動作環境のバグ問題でユーザーから多くの問い合わせを受け、公式サイトでパッチが提供されている。が、このパッチで修正してもスチルコンプ不可能・パソコン停止などのバグが一部に残り、2012年6月現在も、完成されたパッチの公開・配布には至っていない。

シリーズ作品一覧

最新作を除く、これまでの全作はサブタイトルが〜Wonderful Wonder World〜で統一されていたため、本項目では記載を省略。サブタイトルが違うもののみ、その都度記載する。

ハートの国のアリス
アリスシリーズの1作目。ハートのボリュームアップ版であるアニバーサリーの国のアリスは、PSPでの発売時からタイトルを改めている。新装版では更にアニバーサリーをボリュームアップし、全てのイラストを藤丸豆ノ介により一新。また、副題に〜Wonderful Twin World〜と付けられたツインはハート限定のファンディスク。
  • PC 2007年2月14日発売
  • PS2 2008年9月18日発売 販売元:プロトタイプ
  • PSP 2009年7月30日発売 販売元:プロトタイプ
  • アニバーサリーの国のアリス PC 2010年3月14日発売
  • ハートの国のアリス〜アニバーサリーVer.〜 PSP 2011年7月28日発売
  • 新装版ハートの国のアリス PSP 2013年10月31日発売
    • iOS 2014年3月13日配信開始
    • PSVita 2014年4月ダウンロード対応開始
    • Android 2014年5月2日配信開始
  • ハートの国のアリス〜Wonderful Twin World〜 PSP 2014年5月29日発売
    • PSVita 対応予定
クローバーの国のアリス
シリーズ2作目。前作『ハート』で来訪した世界に残った主人公が、日々を過ごしていた所から始まる『ハート』の続編。
  • PC 2007年12月25日発売
  • PS2 2010年4月15日発売 販売元:プロトタイプ
  • PSP 2011年3月31日発売
  • 新装版クローバーの国のアリス PSP 2014年12月18日発売
ジョーカーの国のアリス
シリーズ3作目。主人公が『ハート』で残った世界にて、『クローバー』の引っ越しを経験した後からスタートする『クローバー』の続編。一部ファンブックでは、“パロディディスク”と解説されている。
  • PC 2009年10月31日発売
  • PSP 2011年10月27日発売
ダイヤの国のアリス
シリーズ4作目。『ハート』、『クローバー』、『ジョーカー』を経た主人公が、これまでとは少し違う異世界の“過去”の時間軸―“ifの世界”である新天地―“ダイヤの国”へ飛ばされてしまう、『ジョーカー』の続編。本作より原画は藤丸豆ノ介となり、以降発売の全ソフトの原画を担当するようになる。本シリーズとしては初めて副題に変更が加えられた〜Wonderful Mirror World〜(ミラー)は、ダイヤと同じ国・設定を舞台にしながらも、種々の違いが見られる別バージョン。
  • PSP 2012年12月20日発売
  • PSVita 2014年5月22日対応開始
  • ダイヤの国のアリス〜Wonderful Mirror World〜 PSP 2013年7月25日発売
    • PSVita 2014年6月19日対応予定
おもちゃ箱の国のアリス
ハートからジョーカーまでのキャラクターを総動員したファンディスク。
  • PSP 2011年12月22日発売

colspan="5" style="text-align:center"|主人公の時間(過去→未来)
各時間軸ハート
(新装版)
アニバーサリー
クローバー
(新装版)
ジョーカーダイヤ
ミラー
ツイン
おもちゃ箱

ストーリー

自宅の庭で昼寝をしていた主人公は、二本足で走る“白ウサギ”―ペーター・ホワイトによって、不思議な世界に連れ去られてしまう。辿り着いたのは住人全てが何かしらの武器を携帯し、銃撃戦が日常茶飯事という、メルヘンなようでメルヘンではない世界―“ハートの国”。白ウサギから無理矢理に“ハートの小瓶”の中の謎の薬を飲まされ、元の世界に帰れなくなった主人公は「この世界は夢だから、覚めるまで楽しめばいい」と開き直り、行動を開始する。

アニバーサリー

基本的な流れや舞台などは、『ハート』と同じく設定されている。ただ、プレイヤーが序盤で選んだ滞在地所属のキャラクターとのみ、主人公が恋愛してきた『ハート』に対し、『アニバーサリー』と『新装版』では途中から滞在地外のキャラクターを選ぶことが可能となり、滞在地が同じだった時とはまた別の恋愛関係が発展するという“非滞在ルート”が、各キャラクターに大体3つずつ作られ、大幅な追加要素となった。

ツイン

『クローバー』とはまた別の、恋人になったキャラクターとのその後を描いたハート限定のファンディスク。開始時には既に主な住人とは友人関係となっている。しかし、なぜか帽子屋屋敷には見覚えのない門番―“ハンプティ”と“ダンプディ”がおり、本人達は勿論、主人公以外の住人は誰1人として違和感を持ってはいないという。そんなある日、主人公は住人達全てを少しずつ狂わせる“嵐”が間もなく到来すると知らされる。

おもちゃ箱

本作と同社の別作品―『魔法使いとご主人様』の2つの世界観の設定で、各キャラのシナリオを楽しめるファンディスク。本作のアナザーストーリー―原作バージョンではジョーカーの国で暮らす主人公が、ある理由から突然滞在地を長期離れ、仮滞在地から恋人であるキャラクターと接することになるという番外編。もう一方―学園バージョンでは、『魔法使いとご主人様』の舞台―“シンフォニア高位魔法学校”の世界に『ジョーカー』までの登場キャラクターを置き換えて展開する、パロディ作品。

登場人物

一部キャラクターの詳細は、初出のクローバーの国のアリスとダイヤの国のアリスを参照。

アリス=リデル (Alice Liddell)
声 - 釘宮理恵(劇場版アニメ・一部ドラマCDのみ)
年齢:特殊なので設定せず / 血液型:A型 / 身長:160cm前後
主人公。名前は変更可能。
勝気なしっかり者で行動力もあるが、卑屈なリアリスト。元の世界では中流の裕福な育ちながら、家庭を顧みなくなった学術関係者の父、姉―ロリーナ(その他の項目参照)や白い飼い猫―ダイナと同居する自宅から、公立校に通っていたという一風変わった少女。放課後は友人の紹介である出版社でバイトしていたこともあり、異世界でも率先して職を求める働き者。母の死後、妹―イーディス(その他の項目参照)共々自らを両親に代わって育ててくれたロリーナを慕う一方、初恋相手で一時は恋人にもなった家庭教師が、やがて惹かれたロリーナには見向きもされなかったという過去から、ロリーナを完璧視して複雑なコンプレックスを抱えている。ピアノやチェスの嗜みもあるが、主な趣味は読書(推理モノなどやや俗っぽいジャンルの小説)で、恋愛モノや詩集は苦手。
背を覆う長いストレートヘアに、ハートが1つ付いた大きめのリボン。普段着用している青と白のエプロンドレスは、姉の好みに合わせた服装なので嫌いではないものの、シンプルが好みな自身のものとは異なっている。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは一転、幼いころの母との死別や家族構成に変わりはないものの、家族仲は良く、至って円満。悩みといえば、義務教育の終了を間近に控えながら未だ定まっていない進学先であった。が、久々に突如襲来した幼馴染みのストーカー―ペーター=ホワイトにより、雲上の名門校―“シンフォニア高位魔法学校”入学の切符をもたらされる。限りなく黒に近い手配だと知りつつも、全寮制に否定的だったロリーナの説得に十分な一流校であったことから遂に入学を決意し、シンフォニアでの生活を始める。

主な役持ち

この世界において、顔がハッキリと誰にでも見え、高い戦闘力や身体能力・特殊技能を持つ、数少ない特権階級のキャラクター。皆フルネームとは別に通り名か、それに変わる役職名を持つ(詳しくは作中用語の項目参照)。また、『おもちゃ箱』の学園バージョンではキャラクターが本編で愛用している武器はほぼ全て、杖に代わって魔法使用を助けるマジックアイテムの1つ―魔法媒体であり、特に銃器は引き金を引くだけで呪文の詠唱なく魔法を撃ち出せる改造品とされている。

ブラッド=デュプレ (Blood Dupre)
声 - 小西克幸
年齢:26〜29歳(便宜上) / 血液型:B型(便宜上) / 身長:185〜190cm
登場作品:ハート&アニバーサリー&新装版&ツイン、クローバー&新装版、ジョーカー、おもちゃ箱、ダイヤ&ミラー、劇場版
広大な領地を有するマフィア―“帽子屋”ファミリー(領土の項目参照)のボス。主人公の元恋人である家庭教師そっくりの容姿と声だが、内面はセクハラ内容の多いややオヤジな発言が目立つ冷静沈着な策士と、大違い。女性に人気が高く、非常に気紛れで我儘な様子は、希少な読書仲間の主人公には「お嬢様みたい」と評されている。退屈と面倒、そして腹心の“三月ウサギ”―エリオットの強要から、「オレンジ色の食物」―にんじんやそれを使った料理が視界にすら入れたくない程に大嫌い。赤薔薇と紅茶をこよなく愛し、夜のお茶会が趣味。“ハートの女王”―ビバルディの実弟であることは極秘事項なため、姉とは帽子屋屋敷の薔薇園でのみの密会。
肩まで無造作に伸ばされた黒髪に、碧の瞳。薔薇やトランプマークで、奇抜かつ派手に飾られた帽子がトレードマーク。急場には瞬時に、薔薇付きのマシンガンへと変化するステッキを常に持ち歩いている。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、シンフォニアの不良のほとんどが集まるとされる寮―“帽子屋寮”の“寮長”を務める学生。結束堅い帽子屋寮の、絶対のルールとして君臨するカリスマ。しかしならず者のトップを自称してはいるが、どこか貴族的な整った顔立ちをしている。
エリオット=マーチ (Elliot March)
声 - 最上嗣生
年齢:23〜26歳(便宜上) / 血液型:A型(便宜上) / 身長:195〜200cm
登場作品:ハート&アニバーサリー&新装版&ツイン、クローバー&新装版、ジョーカー、おもちゃ箱、ダイヤ&ミラー、劇場版
“三月ウサギ”の通り名を持つ、帽子屋ファミリーのNo.2。大罪人として“監獄”(作中用語の項目参照)に投獄されていた所を脱獄させたブラッドを盲目的に敬愛し、絶対服従を誓っている。その短気さから、考える前にまず銃を撃つという、自他共に認める危険な男。だが、仲間や一度気に入った者には無類の好意を示す素直な性格で面倒見も良いため、周囲からは双子の門番―ディーとダムの上司でありながら、保護者扱いされている。食事は常に大好きなにんじん料理やにんじん菓子のみで、にんじんスティックも大好物ながら、にんじんそのものは嫌いと宣っている。
逞しい体格で、常にベルトに挟んだ愛用の銃は、フリントロック式。紫掛かった青い瞳に、肩まで波打つオレンジ掛かった金髪からは立派な黄茶のウサギ耳が生えているものの、ウサギであることは完全否定で“ブラッドの犬”を自称している。ウサギ耳の手触りの抜群さや性格の健気さから、主人公に虐げられることが稀にある。クローバーの国ではウサギの姿を見かけることもある。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、帽子屋寮の“副寮長”を務める学生。本編同様のブラッドの懐刀として、寮長業務の多くやルール違反者への制裁などの荒事を、嬉々として代行している。
トゥイードル=ディー、トゥイードル=ダム (Tweedle Dee,Tweedle Dum)
声 - 福山潤(2役)
年齢:13〜16歳(便宜上) / 血液型:AB型(便宜上) / 身長:155〜160cm
登場作品:ハート&アニバーサリー&新装版、クローバー&新装版、ジョーカー、おもちゃ箱、ダイヤ&ミラー、劇場版
“血まみれの双子(ブラッディ・ツインズ)”の二つ名を持つ、“帽子屋屋敷”(領土の項目参照)の雇われ門番達。子供特有の無邪気さと、相手を傷つけることに喜びを見出す残忍な性質を持ち、猟奇的な所業を遊びとして好む。そのため、身長より大きなトランプマーク付きの愛用の斧(二人で色違いの短銃にも変化)以外にも、多数の刃物を屋敷内の自室にコレクションしており、その点でチェシャ猫―ボリスとは気が合い、領地を超えた遊び仲間。年上の主人公を「お姉さん」と呼んで慕い、暇さえあれば子供であることを盾に甘え、遊んで欲しがる。クローバーの国からは時折大人の姿になることがある。
青い服と瞳で休暇にこだわり、ハキハキ喋るのがディー。ピンクがかった赤い服と瞳でお金にこだわり、のんびりした口調なのがダム。時折カラーコンタクトで目の色まで変える“とりかえっこ”で人をからかえるよう、髪型や色違いの服などをわざとお揃いにしていたりするため、見破るのは至難の業。当人達も、主に「双子」と呼ばれるなどの一緒くたの扱いこそ2人が同等の証だとして、敢えて見分けられないよう努めている模様。背の低さを気にしており、長身のエリオットを上司にも関わらず「馬鹿・ひよこウサギ」と罵る。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、帽子屋寮の警備を務める双子。主人公にとって年齢的には年下に当たるので可愛がってはいるが、入学順的に上級生に当たる。“ツインズ”の通称で、エリオットとの追い掛けっこ中の破壊行為や、ボリスとの箒レースによる校内暴走などでも有名な悪戯好きの問題児。しかし青年の姿への変身魔法を難なく成し遂げてしまう、天才児でもある。
ビバルディ (Vivaldi)
声 - 甲斐田裕子
年齢:29〜32歳(便宜上) / 血液型:B型(便宜上) / 身長:165〜170cm
登場作品:ハート&アニバーサリー&新装版&ツイン、クローバー&新装版、ジョーカー、おもちゃ箱、劇場版
“ハートの城”(領土の項目参照)の艶やかな“ハートの女王”で、ハートの国では“ゲーム”の“主催者”(作中用語の項目参照)でもある美女。“ハートの王”―キング(その他の項目参照)も健在ではあるものの、城における実権はほぼビバルディが握っている。斬首刑好きで気分屋、傍若無人でヒステリックな性格。お気に入りの主人公には寛容に接し、女友達や玩具と遊ぶ少女のような幼気さで好いてくれる。可愛いぬいぐるみ集めの趣味や自室を知るのは、極一部の者のみ。幼くして役持ちとなり城へ上がった為、ブラッドが実弟であることを知る者はほぼ皆無ながら、大の紅茶派で、他の花は認めない程に赤い薔薇の生花を好むのは同じ。そのため、自身の香水や風呂でも薔薇を愛用し、大好きな赤に染まる夕方以外の時間帯は機嫌が悪い。そして何よりも猫好きでボリスのことを大変可愛がっている。しかし、ネズミは嫌いでピアスのことも嫌っている。
常に手にしている、ルビーが嵌められハートをあしらった錫杖を、稀に短銃や斧などに変化させ使うこともあるが、滅多に自ら戦うことはない。左の口元に黒子、鎖骨の下に真っ赤なハートのタトゥーがあり、グラマー。が、近年はお年について敏感になっているらしく、「オバサン」や「厚化粧」などの単語は逆鱗。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは生徒の代表組織―“自治会”の会長と、自治会室を構える寮―“赤薔薇寮”の寮長を兼任する研究生。その高貴な美貌と堂々たる風格から“赤薔薇の女王”の二つ名で多くの崇拝者を持つが、実はこちらでも正真正銘の某国の女王。
ペーター=ホワイト (Peter White)
声 - 宮田幸季
年齢:18〜23歳(便宜上) / 血液型:A型(便宜上) / 身長:175〜180cm
登場作品:ハート&アニバーサリー&新装版&ツイン、クローバー&新装版、ジョーカー、おもちゃ箱、ダイヤ&ミラー、劇場版
ハートの城の宰相を務める“白ウサギ”。主人公を自分の居る世界に引き入れるべく、強制的に穴に連れ込んで薬を飲ませた張本人。極度の潔癖症により他者は全て雑菌扱いなので、大好きな主人公以外には触れることさえ許さない。顔も地位も金回りも良いが、主人公へは偏った無償の愛を過多に注ぎ続けて付き纏っており、人の意見に聞く耳を持たず、他者への言動が常に殺意剥き出しの突飛なものに終始していることから、いつも「ストーカー・電波ウサギ」と主人公の不興を買っている。しかし根は無垢で、やや夢見がちな乙女思考の持ち主。常に敬語。
チェーンでたすき掛けにした大きな数字表記の金時計は、戦闘時に主に拳銃に変化させるが、細剣にすることも可能。服装の至る所にある釦の意匠も金時計で、丸眼鏡を常用している。会合時の正装では、金時計の文字盤も花柄になっている。真っ赤な瞳に、髪も肌も雪のように真っ白で、スラリと伸びたウサギ耳の存在を主人公に嘆かれるほどの美々しい容姿だが、それとは対照的な狡猾さから陰では“黒ウサギ”と囁かれている。また、同じ服装をした二足歩行の膝丈サイズのウサギ姿へも、任意で変身可能。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、主人公の幼馴染み。愛する主人公との学園生活を夢見るあまり、自らが在籍するシンフォニアへの主人公の入学を、グレーゾーンな手段で整えてしまう。自治会の“書記”と赤薔薇寮の副寮長を兼任する明晰さでクールビューティとして名高い潔癖症の優等生だったが、主人公の入学後はやはりストーカーになった為、日々周囲を呆然とさせている。業務をサボりがちなビバルディやエースに代わって働く、自治会の貴重な働き手。
エース (Ace)
声 - 平川大輔
年齢:23〜26歳(便宜上) / 血液型:O型(便宜上) / 身長:185〜190cm
登場作品:ハート&アニバーサリー&新装版&ツイン、クローバー&新装版、ジョーカー、おもちゃ箱、ダイヤ&ミラー、劇場版
ハートの城の軍事責任者だが、自室に辿り着くのも難しいほどの迷子癖から常時テント生活な、アウトドア派の“ハートの騎士”。鍛錬と称し、出会うたびに双子やナイトメアの補佐官―グレイに手合わせを申し込んでは厄介がられているが、それだけに剣術の腕は抜群。勧んでトラブルに突っ込んでは「俺ってツイてないんだ」と笑って済ませ、「騎士だから」で全てを片付けようとする、反省皆無なトラブルメーカー。爽やかな好青年風の一見通り、素で毒を吐く性格の黒さを一切隠さず振り撒く、裏表のない性格。
『ハート』『アニバアーサリー』ではハートの騎士の役割(作中用語の項目参照)を嫌い、“時計屋”―ユリウスの親友・部下としてその手伝いをしていると本人は述べている。が、この世界の“役人”の1つ―“処刑人”(作中用語の項目参照)を兼務しており、その起点に関わるユリウスについては時に余人には計り知れない狂気を見せる。ジョーカーの国では監獄の処刑人役もしている。
真っ赤なロングコートに、常に携帯しているのはハート柄の金色の鞘に収めた大剣だが、騎士としてのこだわりなだけで、銃器にも変化可能。鳶色の髪に、赤い瞳。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、主人公の上級生に当たる赤薔薇寮の学生。魔法使いながら体術にも優れ、その強さで日々学園の不正を取り締まる役員―自治会の“風紀委員”を務めるが、よくペーターをおちょくっては乱闘騒ぎを起こしたり、学園の器物を破壊している。また迷子癖も相変わらずで、全寮制の学園にも関わらず常にテント生活を送っている。
ボリス=エレイ (Boris Airay)
声 - 杉山紀彰
年齢:16〜19歳(便宜上) / 血液型:B型(便宜上) / 身長:170〜175cm
登場作品:ハート&アニバーサリー&新装版&ツイン、クローバー&新装版、ジョーカー、おもちゃ箱、ダイヤ&ミラー、劇場版
“チェシャ猫”の通り名を持つ、“遊園地”(領土の項目参照)の居候。見た目は猫耳と尻尾の生えた快活で人当たりの良い青年だが、周囲の認識もその性格も猫そのものであり自由奔放。ナゾナゾが大好きで主人公にもよく出すが、答えをはぐらかすこともあり、対応は気紛れ。改造・銃(ガン)オタクで、常用の短銃以外にも大量の銃をコレクションしている自室は、全く原型を留めていない改築を無断で施したもの。帽子屋の双子とは感覚も趣味も近く、仲の良い友達。ピアスには食欲や嗜虐心を刺激され、よくナイフとフォークを手に追い掛け回している。
髪・耳・尻尾、さらにはお気に入りのファーや愛用のハンドガンに至るまでショッキングピンク。全体的に、瞳と同じ金色の鎖の付いた首輪やピアス・指輪などアクセサリーを多用している。ヘソ周りや目の下には、黒い三角のタトゥーがあるが、左目を開くことはない。露出度の高い服装が多いが、会合時や真夏でもファーは手放さないのがポリシー。
物事に固執しない性格から、引っ越しのたびに方々に弾かれており、『ハート』と『ジョーカー』では遊園地、『クローバー』では“森”、『ダイヤ』や『ミラー』では“駅”に勝手に住み着いていた。扉を媒介に空間の切り貼りが出来る能力により、お気に入りの遊園地の自室だけその時々の滞在地と繋いでいるが、領主の居る領土内で大きく力を行使するには事前許可が必要。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、主人公のクラスメイト。要領と面倒見の良さは相変わらずで頼りになる反面、自身が寮長を務める寮―“遊園地寮”の至る所に仕掛けられた傍迷惑なトラップの数々は、ほぼ全てがボリスの改造。ツインズと並ぶ説教常連組。
メリー=ゴーランド (Mary Gowland)
声 - 堀内賢雄
年齢:32〜35歳(便宜上) / 血液型:O型(便宜上) / 身長:190〜195cm
登場作品:ハート&アニバーサリー&新装版&ツイン、ジョーカー、おもちゃ箱、劇場版
ハートの国の遊園地オーナーにして、“侯爵”。音楽をこよなく愛し、バイオリンを始めとした楽器を何かというと人前で演奏したがるものの、その腕はからっきしという壊滅的な音痴。本人は音楽による数々の凶行も、自身の演奏が素晴らしいからだと信じて疑わず、改善の意志はないことから周囲には「騒音公害・超音波兵器」として畏怖されている。普段は温厚で、主人公にとっては実の父親よりも父親らしく感じさせる包容力は、居候のボリスにはおっさんと弄られている。だが、いつもは恥ずかしさのあまり周囲に「ゴーランド」と呼ばせているフルネームをからかわれると、どんな装甲も貫通するよう改造されたライフルへとバイオリンを変化させて攻撃してくる。豹変は短時間しか続かず、すぐにいつもの気さくで飾り気のない性格に戻る。
普段は青い目に丸眼鏡を掛け、栗毛色の髪は襟足だけ三つ編み。構造がデタラメなバイオリンは、音楽家としてのプライドから決して肌身離さない。どの服装にも、音符の模様やピアノの鍵盤など、音楽をモチーフにした意匠がある。
『クローバー』の引っ越しではハートの国に取り残されて消えていたものの、『ジョーカー』では遊園地ごと復帰し、ボリスや遊園地滞在時の主人公だけでなく、ピアスの面倒も見るようになる。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは現代魔法史の教師で、主人公のクラス担任。その性格により、教職員ながら遊園地寮に自室を構えているため、寮監も兼ねている。包容力に溢れた教師として生徒には慕われているが、演奏の腕前は本編同様となので遊園地寮の音楽室には誰も近付かず、ゴーランドの占有スペースとなっている。
ユリウス=モンレー (Julius Monrey)
声 - 子安武人
年齢:28〜31歳(便宜上) / 血液型:A型(便宜上) / 身長:190〜195cm
登場作品:ハート&アニバーサリー&新装版&ツイン、ジョーカー、おもちゃ箱、ダイヤ&ミラー、劇場版
ハートの国の中立地帯―“時計塔”(領土の項目参照)の主。通称は“時計屋”だが、“葬儀屋”とも揶揄されている。主人公以外に任意で時間帯を変更でき、全住人の命である“時計”(作中用語の項目参照)を修理する役割と時間の管理を担う、この世界で唯一無二の番人であり職人。仕事以外で塔から外出することはほぼないという、根暗で厭人家の仕事中毒人間。当初は主人公のことも厄介がっていたが、次第に態度を軟化させ、不器用ながらも励ましたり素直に照れるようになる(ツンデレ)。自分より不幸な人間を見ると幸せになるため、エースとは友達。作中では少数派である珈琲党の代表格。
青い目に青髪を後ろで一纏めにしたロングヘアで、左の耳飾りを始め、随所にローマ数字表記の金時計のアクセサリーを装着。黒の半縁眼鏡の着用は、仕事中のみ。時折手にしている工具(スパナ)は、戦闘時に小銃に変化する。
『クローバー』の引っ越しではハートの国に取り残されて消えていたものの、『ジョーカー』では“クローバーの塔”(領土の項目参照)のメンバーとして復帰。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、不正を取り締まる学園所属の組織―風紀委員の“委員長”と、教職員専用寮を経て生徒寮になった寮―“塔”の生徒を纏める寮長を兼任する研究生。お堅い塔でも屈指の真面目人間で、よく塔の奥の研究室に篭っている。研究内容も、魔法に全てを丸投げしがちなルーンビナス国内にあって、手作業がほとんどな機器の修繕であることから、偏屈扱いされている。
ナイトメア=ゴットシャルク (Nightmare Gottschalk)
声 - 杉田智和
年齢:25〜28歳(便宜上) / 血液型:B型(便宜上) / 身長:175〜180cm
登場作品:ハート&アニバーサリー&新装版&ツイン、クローバー&新装版、ジョーカー、おもちゃ箱、ダイヤ&ミラー、劇場版
異世界で主人公が眠っている時にのみ夢へ現れる、夢を司る“夢魔”。モチーフの不思議の国のアリスに従えば、通り名は“芋虫”になるのだがそれを嫌がり、“蓑虫”を自称している。常に浮遊し、他人の心を読み、夢を自在に変化させる能力を持つ。大量の吐血を繰り返す程に病弱だが、注射や薬の苦味を嫌って通院も投薬も徹底して拒否し、煙草も常用していることから、完治の見込みはない。そのため、本人はひたすら自分を「神秘的でカッコイイ・偉い」と信じ込むナルシスト振りだが、主人公にはすっかり「ダメ男」認定されている。
灰色の瞳に銀髪と全体的に色素が薄く、常に身に着けている眼帯の下の右目は役割上、決して開くことはない。不健康さが祟って、唇は常に紫掛かっている。モノトーンの服装が多いが、ポケットにはいつも薄紫のスカーフを飾っている。
『ハート』『アニバーサリー』では主人公会いたさと逃走癖から夢に閉じこもっていたが、グレイに夢から引き摺り出されてしまった『クローバー』以降は、引っ越しで主人公が“クローバーの国”へ移って来た事で現実でも会えるようになる。が、子供っぽさやサボり癖に拍車が掛かっており、トカゲの補佐官―グレイに多くの職務を代行させている。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、塔の保健室に常駐する学校医。塔の教職員管理者でありながら、あまりの病弱さと仕事嫌いで、常にグレイに世話を焼かせている。高度な空間魔法を難なく操る、魔法使いとしても医師としても有能な人物だが、実は初級の魔法がほとんど使えないと噂されている。
グレイ=リングマーク (Gray Ringmarc)
声 - 中井和哉
年齢:28〜31歳(便宜上) / 血液型:A型(便宜上) / 身長:185cm〜190cm
登場作品:クローバー&新装版、ジョーカー、おもちゃ箱、ダイヤ&ミラー
クローバーの塔のナイトメアの補佐官で、“トカゲ”の通り名を持つ。ナイトメアの業務の補佐・代行や護衛に留まらず、介護まで率先して看ている苦労人。料理音痴である。唯一の救いまともに作れるのはココアだけ。そして可愛いもの好きである。ダイヤの国では若かりしグレイが出ており、当時はナイトメアを殺そうとする暗殺者であった。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、塔の使用人の統括者―“執務官”。その立場以上に、親身にナイトメアの世話を焼いては補佐している。優秀な魔法使いでありながら、いつもの短剣を使った戦闘などの体術にも何故か優れている。
ピアス=ヴィリエ (Pierce Villier)
声 - 保志総一朗
年齢:16〜17歳(便宜上) / 血液型:AB型(便宜上) / 身長:165〜170cm
登場作品:クローバー&新装版、ジョーカー、おもちゃ箱
『クローバー』の引っ越しで森に現われた、“眠りネズミ”。トボけた言動と好き嫌いを素直に示す性格であどけなさが目立つ反面、帽子屋ファミリーの現役構成員として拷問や死体・現場の後処理を担当する“掃除屋”の職で重宝される残忍さも持つ。「ちゅう」と言って主人公にキスをしたがる。ネズミだからかチーズをこの良く愛し、好きになったものには直ぐに「ちゅう」と言いキスをしたがったり囓ろうとする。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、遊園地寮に在籍する主人公のクラスメイト。いつまで経っても自寮内のトラップに引っ掛かる間抜けさ=純真さなど、召喚士としては傑出した才能を覗かせているものの、興味の有無に激しく左右される紙一重な性格が祟り、大量のネズミを自身の影から出して操る―「お友達召喚」にしか、現在その力は発揮されていない。
ジョーカー (Joker)
声 - 石田彰
年齢:24〜27歳(便宜上) / 血液型:AB型(便宜上) / 身長:185〜190cm
登場作品:ジョーカー、おもちゃ箱、ダイヤ&ミラー、劇場版
エイプリル・シーズンと共に森にやって来た、“サーカス”の団長と“監獄”の所長を兼任する役人。その二か所に現れるあまりに違い過ぎる2人組が、全く同じ顔で同じように互いをジョーカーと呼び合うことから、主人公には口調の柔らかい方を「ホワイトさん」、腰の仮面としてちょっかいを掛けて来る口の悪い方を「ブラックさん」と呼び分けられるようになる。ジョーカーは誰かに殺されることはない。撃たれても死ぬことはない。ジョーカーが死ぬにはジョーカー自信が自分を殺すしか方法はない。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、学園の用務員といわれている神出鬼没な人物。趣味でフラフラと学園をうろついては、主人公と出会う。黒のとんがり帽を被っているのが、ブラックさん。
クリスタ=スノーピジョン (Crysta Snowpigeon)
声 - 小林沙苗
年齢:26〜29歳(便宜上 / 大人時)、10〜12歳(便宜上 / 子供時) / 血液型:O型(便宜上) / 身長:165〜170cm(大人時)、140〜155cm(子供時)
登場作品:ダイヤ&ミラー
『ダイヤ』では主催者である“ダイヤの城”(領土の項目参照)のたおやかな“ダイヤ(白)の女王”。なんでも凍らせ、瞬時に粉砕も出来る能力を持ち、大人姿と子供姿を気分次第でころころと変えて現れる。珍しいものは凍らせてコレクションにしたがっている。ナイトメアと主人公をコレクションに入れようとする。
シドニー=ブラック (Sidney Black)
声 - 鳥海浩輔
年齢:18〜23歳(便宜上) / 血液型:A型(便宜上) / 身長:175〜180cm
登場作品:ダイヤ&ミラー
ダイヤの城で宰相を務める“黒ウサギ”。クリスタや主人公を始め、周囲に常に嫌味ばかりな毒舌家のツンデレ。黒好きが高じて白が大嫌いなため、ペーターに激しい対抗意識を燃やしている。彼の目はオッドアイになっており本人曰く嫌いで治そうとしているらしい。
ジェリコ=バミューダ (Jericho Bermuda)
声 - 小山力也
年齢:30〜35歳(便宜上) / 血液型:O型(便宜上) / 身長:195〜200cm
登場作品:ダイヤ&ミラー
“ドードー鳥”の通り名を持ち、ダイヤの国の美術館の館長であり、墓地の墓守頭でもある、帽子屋ファミリーと対立するマフィアのボス。既に別の軸にいる大多数のジェリコが死んでいることから、先がないことが確定的―“死人”(作中用語の項目参照)。『ミラー』では主催者でもあるため、コーカス・ゲームの開催も取り仕切っている。
ハンプティ (Humpty)
声 - 岡本信彦(2役)
年齢:20歳そこそこ
登場作品:ツイン
“狂った卵(マッド・エッグズ)”や“狂った双子(マッド・ツインズ)”と通称されている、帽子屋屋敷の門番の片割れ。もう1人の門番であるダンプティとは容姿・年齢・行動パターンなど全てが違うが、双子とされている。しかし偶に2人揃うと、自身達が卵であることや、何でも卵関連に持ち込む話題が尽きぬ程、ダンプティとは仲良く大好きな塀の上で語り合っている。本人達はもちろん周囲にも長年の帽子屋屋敷の門番として、ハートの国に主人公が連れ込まれて以来の付き合いであると認識されている。が、主人公には双子の基礎的なパーソナルデータ以外の、共に過ごした思い出がないので違和感だらけ。それにより主人公には、パートナーとして自らに最も相応しい美しさを兼ね備えていると感じて積極的に好意を口にしているものの、からかわれていると取られており本気にされてはいない。美しいものに目がなく、自分が大好きという大変なナルシストで、自らを「この世で最も美しい卵」と豪語している。そのため、何かというと人目を集めようとしたり、注目を浴びていないことにキレる度に騒動を起こすので、確かに美青年ではあるものの、領民には敬遠されている。いかにも軟派な風情で誰にでもフランクな物言いだが、率直過ぎて馴れ馴れしくもあり、派手好き。
襟足だけ肩下まで伸ばされた髪は、左の一房だけ白いメッシュが入っている。軍服風のジャケットや帽子・パンツ・編み上げブーツはダンプティと揃いだが、色違い。下の黒いシャツの胸元は開け、青紫のスカーフタイも緩く巻いているだけで、着崩し気味。割れた卵のトップが付いたペンダントは、卵のモチーフを中央に配した両刃の巨大な斧になるが、ハンプティの美意識としては金色の銃の方がお気に入りで、斧を携帯しているのは上司命令。また、卵のモチーフには目がない。
ダンプティ (Dumpty)
声 - 岡本信彦(2役)
年齢:〜16歳
登場作品:ツイン
ハンプティと並び称されている、帽子屋屋敷の双子の兄弟門番。ハンプティの激しい性格や言動を、大好きな“不気味さ”と捉えて好いているが、双子だからといって同じである必要はないと互いに考えており、別々の人間としてそれぞれの個性を尊重している為、仲は良いが基本的には別行動。一見するとハンプティよりも品行方正かに見えるが、実はオカルト寄りなマッドサイエンティストで、自室に併設した研究室でよく怪しい実験に耽っては爆発騒ぎや人体実験などの騒動を起こす。外見年齢の割りにやや表情に乏しく、飾り気のない言動で自己主張はハッキリとする性格から、主人公には真面目だが妙に落ち着き払った印象を与えている。しかしハンプティの不気味さを見たいがために、何かとハンプティを焚き付ける発言をすることは多い。所属的には敵対しているが、ボリスと仲が良い。
ハンプティより青味掛かった髪は、右の一房だけ白いメッシュが入っている。色違いのジャケットや帽子・パンツ・編み上げブーツだが着崩しているハンプティとは対照的に、赤紫のスカーフタイなどをきっちり身に着けている。卵のモチーフを中央に配した両刃の巨大な斧が、右耳に下げた割れた卵のピアスになった時には、無意識に指で弄ぶ癖がある。
解放を強く望む者の夢に、手足の生えた大きな卵の姿でハンプティと共に現れて、自身達も卵から孵して貰うべくそれを手助けする役割を持つ。それにより“王座”を目指すよう、夢で主人公を騒々しく追い立てる。

その他

ロリーナ=リデル (Rolina Liddell)
声 - 神田みか
登場作品:ゲーム各回の回想、劇場版
リデル家三姉妹の長女で、母親亡き後のリデル家でその代わりとして、大方の家事をこなす。一般でいう華やかな女性ではないが、読書家で心理学などの学術書にまで通じ、ピアノも嗜む、主人公にとっては優雅さや女らしさ・知性・教養と全てを併せ持った淑女そのものの、憧れでありコンプレックスの元でもある姉。『ハート』『アニバーサリー』『新装版』冒頭では、本シリーズのモチーフである不思議の国のアリスを読んでいる。
主人公と同色の長い髪をカールさせており、脇だけ縦ロール。紫のドレスと揃いの帽子を着用。
イーディス=リデル (Edith Liddell)
声 - たなか久美
登場作品:『ハート』『アニバーサリー』『新装版』の回想にのみ登場。
リデル家三姉妹の三女。敢えて公立校へ通っていた主人公とは対照的に、一般的な例に倣って寄宿制学校の寮で生活している為、自宅でロリーナと同居していた主人公とは離れて暮らしていた。ロリーナに懐いていたことから、主人公とは互いに一歩引いて接してはいたが、無邪気で子供らしい素直な妹。
肩まで伸ばした、主人公と同色のストレートヘア。年が近いからか、おっとりとした風情のロリーナより主人公寄りの顔立ち。
キング / ハートの王 (King)
登場作品:ハート&アニバーサリー&新装版&ツイン、ジョーカー、劇場版
ハートの城の王で、この世界には稀な人の良さ気な初老の男性。その影の薄さから、度々存在を忘れられるだけでなく、ペーターとエースにさえぞんざいに扱われている。城における実権はほぼビバルディが握っており、滅多なことでもなければ口出しも出来ない。が、ビバルディ、ペーター、エースのサボった分をほぼ肩代わり出来る程に、実は有能な人物。ビバルディと対になっているのは役職上だけのことで婚姻の事実はなく、互いに複数の愛人が存在する。ちなみにクローバーの国の会合服を着ている際は年齢が少し若くなっているようだ。
『おもちゃ箱』の学園バージョンでは、某国の女王―ビバルディの実夫として本国に残って統治しつつ、せっせと手紙やプレゼントを贈っているもののビバルディは受け取りを拒否。結果、送付物は全てブラッドへと回されて溜まる一方で、圧縮魔法を掛けた上にクローゼットの増築をしても追い付かないという惨状となっている。

作中用語

役持ち
顔がハッキリと誰にでも見える、特権階級のキャラクター。時間(一時間単位)を表す存在でもあるため、一国に出現するのは、その時の攻略対象キャラに城の王(キング)を加えた12名。その顔触れで何の国になるか決まるのが一般的な状態とされており、一国に15名が出揃った『ジョーカー』は、エイプリル・シーズンの特殊性によるものとされている。現在までに登場済みの21名以外にも多数存在するとされており、その総勢は24名との説もあるが、昇格なども含め詳細は不明。役持ち同士は既定の順番に従って、定期的に出会っては撃ち合う(銃撃戦を行う)必要がある。
『クローバー』以降、未登場ながら話題に登る役持ちや、作品には登場しないが既に主人公と知り合いの役持ちは、「引っ越しで他国に居る」との扱いになった。
役無し、顔無し
この世界において役持ちからはもちろん、当人達すら「替えがきく」としてその生死を軽視されている大多数の住人。顔がぼんやりとしか見えず、時間の分や秒を表す存在として個ではあまり認識されないので、見分けを付けたり、それぞれを別人扱いして個性を尊重しようとする主人公の思考は、とても希少なもの。
余所者(よそもの)
この世界における、異世界からの来訪者のこと。従って、別世界から連れ込まれた主人公を指すことになる。実際に来訪することは非常に稀で、主人公と出会うまで実際に余所者と会った記憶のある住人はいなかったので、「この世界の者に愛されるべくやって来た者」「この世界の住人に愛されやすい者がやって来る」と伝えられていたのは知識の上だけでのことであった。住人達に比べると戦闘力・身体能力の面では劣るが、心臓を持つことでその生死には換えが効かず、この世界のルールに縛られない(役割が要らず、催し物への出席が免除される)唯一の人間なので、住人達にとっては気に掛けずにはいられない存在。領主達は対面時に直感的に判別することが可能。
領主 / 主催者
各領土を統治する役持ち―ビバルディ、ブラッド、ゴーランド、ユリウス、ナイトメア、ジョーカー、クリスタ、ジェリコ(『ダイヤ』『ミラー』参照)のこと。更に『ハート』『アニバーサリー』『新装版』『ツイン』でのビバルディ、『クローバー』でのナイトメア、『ジョーカー』でのジョーカー、『ダイヤ』でのクリスタ、『ミラー』でのジェリコは、中でも特に重要なゲームの主催者である。領主達は自領では好きなルールを作ることができ、どこの出入り・遠視も可能でほぼ無敵を誇り、自らの力だけで時間帯を変えられる。その反面、他領主を招いてのイベントの定期開催や、そのイベントでしか基本的には時間帯を変えられない、他領では大きく力を削がれるなど、他の役持ちよりルールの制約も多い。
『ミラー』からは、主催者はあくまで役持ちの顔触れ次第で決定されるもので、必ずしも国名=主催者が治める領土名ではなくなった。
役割、役目
この世界の全住人の身分、職種、特殊技能、一部の相関関係(例:ビバルディとハートの王)のこと。「全てはカードを配られるように」個人に選択権はない絶対的なもので、転職や変更は「ゲームを下りる」と表現され、決して有り得ない。それによりどんなに職務をサボろうと降格・解雇はないが、ビバルディを始め「昔は顔無しの子供だった」との発言がチラホラあることからすると、昇格することはある。が、領土争いの終了や前任者の死亡によるものなど、かなり特殊な条件下でのことらしい。
ゲーム / ルール
ハッキリとした主なゲームは、領主達による領土争い。しかし住人曰く、この世界を成り立たせる、全住人にとっての生きる意味がゲームであり、この世界の住人はゲームなくしては生きられず、その継続にルールが必要。従って、領土争いの決着以外、住人達が口にするゲームには勝者はなく、領土や役割によってゲームにもルールにもバラつきがあり、またルール全てを厳守する必要はない。が、ルールによっては破ることで多大なペナルティを被るものもあるらしいが、結局明確なルールブックなどは存在しないため、詳細は不明。
時計 / 残像 / 役人 / 死人
この世界の住人達には皆、心臓として時計が入っており、心音ならぬ針音を刻んでいる。ロボットではないので、心臓以外の肉体の構造は同じであり、一般的な死亡レベルのダメージを受けた住人は時計が壊れて死ぬが、遺体は一定時間の後に核―時計を残すのみとなる。この時計が時計屋の手に渡れば修理が成され、同じ役や能力を持つ者として再生されることから、「誰でも替えがきく」と住人達には認識されている。が、かつての人物を蘇生する訳ではないため、人格や記憶は修復されず、全くの別人になってしまう。それにより、稀に修理を是としない住人も存在するが、時計を修理不能な状態にする破壊や隠匿は、大罪である。自身の時計の修理を待つ間、壊れた時計を時計屋の元に運ぶ影だけの存在―“残像”や、時計を修理不能にしたなどの罪人への制裁と隠匿された時計の探索・強奪を負う役―“処刑人”、罪の意識を忘れられずに罰を願う住人―罪人を収監するジョーカーら“役人”によって、時計の循環が管理されている。
また多重構造であるこの世界では、役持ちは他の軸に“少しずつ違うが、根本は同じ自分”という、時々の選択肢により分離していった複数の自分が存在している。その自分達がそれぞれ別の事情であれ半数以上死亡してしまうと、時計の破壊とは別の、ループから外れる“絶対の死”が確定してしまう。死を待つばかりとなる半数以下の生き残りは“死人”と呼ばれる。
引っ越し
『クローバー』より登場した、唐突に発生する地殻変動。基本的に4〜5つの領土で構成されている国で、突然領土単位でランダムに土地が入れ替わり、別の国になってしまう。その際の役持ちの顔触れにより、国名が変わる。一見するとただいくつかの国が存在しているだけに見えるが、実はこの世界は多重構造(パラレルワールド)になっている。時間の流れは一定しておらず、引っ越しで飛ばされる先は別国なだけでなく過去の場合もあり、しかもこれまでとはやや違った流れ―別の軸の場合もある。『ダイヤ』からのこの設定により、『ダイヤ』と『ミラー』は主人公の選択により分岐した別々の軸との扱いとなった。
エイプリル・シーズン
『ジョーカー』の“エイプリル・シーズン(嘘つきの季節)”では、天候・気候が安定しており時間以外は変化がない世界に、領土ごとに四季が訪れる。どこに何の季節が訪れるかは、ランダム。シーズン中は主人公のような余所者は、冒頭以降の季節感がハッキリする“季節の固定”が起こると、シーズンが終わるまではジョーカーを通さねば領土間を移動出来なくなる。
クレイジー・ストーム
『ツイン』で“嵐”や“風が来る”と呼ばれる、珍しい現象。時間が狂った世界の歪みの皺寄せらしいが、詳しいメカニズムはこの世界の住人達にも分かっていない。嵐が到来すると、主人