史記 9
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『史記』(しき)は、横山光輝による歴史漫画作品。『ビッグゴールド』(小学館)に、1992年(創刊号)から1997年にかけて本編が、1998年から1999年(休刊号)にかけて「史記列伝」が連載された。単行本は全16巻(文庫版は全11巻)が同社から発売されている。
概要
時は漢時代、漢に仕える太史令司馬談の子として生まれた司馬遷は学問に優秀で、35歳で出世街道に乗ることが出来た。そのとき、漢時代は絶頂期を迎え、7代武帝は封禅の儀式を行い、父・司馬談もその儀式を調査し参加していた。だが、父が病に倒れ、封禅の儀式には参加できなかった。司馬談は死ぬ間際に司馬遷に対し、遺命として「太史令になり後世まで語り継がれる賢人や名君の記録を残してくれ」と頼み、この世を去った。
司馬遷は遺言を聞き入れ、太史令となり太初暦を完成させた。だが、友人の李陵が匈奴との戦いで援軍無く矢尽きて匈奴に降ったことを擁護したため、武帝の怒りを買って牢獄に入れられ、死刑か大金を納付するか宮刑を受けるかを選択させられた。父の遺言を守るため、司馬遷は宮刑を受けて生き延びた。
武帝は司馬遷を宮刑にしたことを気にし、中書令に任命する。司馬遷は宮廷の書物が自由に見られることから、『史記』をつづり娘に託し、父の遺言を果たした。
司馬遷は最後に「あとは後世の評価を待つだけだ」と語った。
史記との差異
司馬遷の『史記』との差異が随所に見られる。
- (横山版)斉の湣王が蘇代に命じて燕を内乱状態にさせた。
- (司馬遷)湣王は燕が内乱状態となったのに乗じて軍を進めただけで、内乱状態に陥らせてはいない。
- (横山版)衛の呉起が、魯の君主の元公に仕えていた頃、斉が魯を攻めた際元公の疑いを晴らすため、斉出身の妻と離縁させ、帰国させた。
- (司馬遷)呉起は魯の大夫の讒言を聞き、名誉を守るために妻を殺害して二心がないことを示した。
- (横山版)秦の政が外国人追放令を出したために投獄された韓非に対し、李斯は拷問を受け生き恥を晒すのであれば自害したほうが良いとして毒薬を渡した。
- (司馬遷)李斯は韓非を疎んじていたために韓非を自害させている。
巻
1 | 覇者への道 | 司馬遷、管仲、重耳 |
2 | 復讐を誓った人々 | 伍子胥、夫差 |
3 | 悲劇の改革者 | 西門豹、呉起、孫武、孫臏、商鞅 |
4 | 奇謀詭策 | 楽毅、田単、孟嘗君 |
5 | 秦の脅威 | 藺相如(刎頸の交わり)、白起(長平の戦い)、范雎 |
6 | 乱世に生きる | 平原君、春申君、信陵君、呂不韋 |
7 | 若き支配者 | 呂不韋、李斯、荊軻 |
8 | 始皇帝 | 王翦、始皇帝、趙高 |
9 | 天下大乱 | 陳勝(陳勝・呉広の乱)、項羽、劉邦、李斯 |
10 | 秦 滅亡 | 項羽、劉邦(鴻門の会) |
11 | 劉邦東進 | 韓信、陳余(彭城の戦い) |
12 | 四面楚歌 | 韓信(井陘の戦い)、陳平、項羽(垓下の戦い) |
13 | 呂后君臨 | 韓信、蕭何、呂雉 |
14 | 劉氏攻撃 | 陳平、周勃、袁盎 |
15 | 漢大帝国 | 晁錯、周亜夫(呉楚七国の乱)、冒頓単于、中行説 |
列伝 | 予譲、聶政、朱家、郭解、郅都、寧成、王温舒、杜周 |
関連項目
- 項羽と劉邦 (横山光輝)
- 三国志 (横山光輝)