HOME > コミック > 地球へ…

地球へ…/竹宮惠子

共有

著者: 竹宮惠子
巻数: 3巻

竹宮惠子の新刊
地球へ…の新刊

最新刊『地球へ… v.3



地球へ…の既刊

名前発売年月
地球へ… v.1 2003-03
地球へ… v.2 2003-04
地球へ… v.3 2003-05

地球へ…』(テラへ…)は、竹宮惠子が「月刊マンガ少年」(朝日ソノラマ)に1977年1月号から1980年5月号にかけて連載した全4部構成のSF漫画作品。及び、派生作品のタイトル、総称。

概要

当初は3回で終了する予定でスタートした中公文庫コミック版・第1巻のあとがきを参照。が、第4話で一旦第1部が完結。その後、断続的に第4部まで3年半にわたり連載が続いた。竹宮は夢に見た“涙を流すナキネズミ”のイメージを元に第1部を描き、初期構想では第1部のみの短編にするつもりだった。

マンガ少年に最終回が掲載された直後にアニメ映画版が公開され、話題を呼んだ最終回掲載は1980年5月号、アニメ映画公開は1980年4月26日。。単行本化の際には、雑誌掲載の原稿に加筆、修正がなされた。第4部においては大幅な修正が行われ、S.D.の解釈などが雑誌掲載時と異なっている。

1978年度星雲賞コミック部門、第25回(1979年度)小学館漫画賞少年少女部門を受賞。1995年には文庫化し、2006年の時点では10版まで出版されている。2007年4月には新装本が出版された。ラジオドラマ版(1979年)、アニメ映画版(1980年)、テレビアニメ版(2007年)がある。

あらすじ

現代から遠く離れた未来―S.D.Superior Dominance:特殊統治体制、西暦3千数百年)の時代。

科学の発展により文明が高度化し、ワープ航法によって宇宙へ旅立つことができるようになった時代、「人類が地球を窒息させている」と結論付けた一部の人間の考えにより、人類の手ではもはや修繕不可能なまでに進んだ環境破壊で生命滅亡の淵にある地球を再生するため、全ての人間がマザーコンピュータとともに植民惑星へ退去した。

人類は出生から成長、死に至るまですべてコンピュータによって完全に管理されていた。無作為に選び出された精子と卵子を受精させ、人工子宮により『赤ん坊』として生きられるようになると、無作為に選ばれた養親によって『目覚めの日』(=14歳の誕生日)まで安心かつ健全、しかも画一化された教育惑星で育てられる。『目覚めの日』前後になると、星のマザーコンピュータによって《成人検査》が行われ、今までの記憶の消去と地球人として生きるための知識の注入を受け、“大人”としての教育を受けるべく、さらに高度な教育が受けられる“エデュケーショナル・ステーション”に送られる。

しかし、成人検査をパスできない人もいる。また、この成人検査の過程で誕生するのは“大人”とみなされた人間だけではない。超能力保持者“ミュウ”も誕生させていたのだ。ほとんどのミュウは、感情過多などの兆候からESP(エスパー)チェックにより深層心理まで分析され、排除されてきた。だが、管理体制の実態を見抜き脱出に成功したミュウ達は集団を作り、人類にミュウの存在を認めるよう働きかけてきた。しかし、その願いは未だ通じていなかった……。

地球から遠く離れた植民惑星アタラクシアで育った少年ジョミー・マーキス・シンは、『目覚めの日』の数日前から不思議な夢を見ていた。1人の盲目の美少女と青い髪の若者が会話している場面である。ジョミーの正体はミュウであったが、その強靭な精神力でESP検査や深層心理分析といった検査をことごとくクリアしてきた。

しかし、『目覚めの日』に成人検査を受けている最中、夢に出て来た青い髪の若者―ソルジャー(ミュウの長の称号)・ブルーに助けられ、成人検査が施す洗脳から逃れることができた。“不適格者”(=ミュウ)と診断されたジョミーは抹殺されそうになるが、そこへミュウの手助けが入り、ジョミーは混乱の中ミュウの船へ迎えられることとなる。

最初は戸惑い、抵抗心剥き出しだったジョミーだが、障害の補完として超能力を持つ他のミュウとは違って”健常者かつミュウ”であった事から、新しいソルジャーとなるようブルーに請われ、彼の記憶と精神を受け継ぎ“ソルジャー・シン”となる。

一方、統治者候補で“無垢な者”としての養育を受け、執行機関「メンバーズ・エリート」の一員となった同い年の青年がいた。彼の名はキース・アニアン。親友サム達とは違い、成人検査を受けた記憶も幼い頃の記憶も一切持たない彼は、様々な出来事の中で、徐々に自身の正体とミュウの廃絶の可能性の有無を見出しながら出世コースをひた走る。

この二人の接触は、十数年にもわたるミュウと人間の戦いと、地球の新時代の幕開けに繋がる様々な事件が起こすこととなる。ミュウも人間も葛藤し、悩み、苦しみ、悲しみを味わいながら、戦いに身を投じていく。

果たして、ジョミー達ミュウは地球(テラ)へたどり着くことができるのか……?

登場人物

※括弧内は登場した後の、最年少時から最期までの年齢である(原作のみ)。年齢が不詳な人物については記載しない。

原作

ジョミー・マーキス・シン(13歳→45歳)
本編のミュウサイドの主人公。育英都市アタラクシアの出身。潜在的なミュウとして14歳まで生きてきた。感情過多であるため、幾度かESPチェックを受けてきたが、“無い”とまで自嘲する太い神経、タフな精神と潜在的な強い思念波のお陰で潜り抜けてきた。他のミュウとは違い、欠けている部分のない健常者であり、人類の太く短い生命力とミュウの細く長い能力を兼ね備えた存在であることからソルジャー・ブルーに見出され、余命わずかの彼の後を継ぎ、ミュウの新しい長『ソルジャー・シン』となる。そしてブルーの意思を継いで、ミュウが長年目指してきた地球(テラ)へ向かうこととなる。
最初はその乱暴な性分から他のミュウ達に疎まれてきたが、様々な訓練や勉強を経てカリスマ性の高いリーダーになってゆく。その卓越した行動力と強大なESP能力で、仲間の危機を救うために飛び出すこともしばしば。また、様々な経験を経て策士としての冷静さも兼ね備えるようになっていき、当初は反発されていたハーレイからも「戦士(ソルジャー)だ」と高く評価されるようになる。感受性が豊かなために感情を表に出しやすいミュウ達を懸命にリードし、まとめあげた。
14歳以降外見は変わっていない。途中、ナスカでの地球軍との衝突がきっかけで全失明・失語・失聴となり、それからはテレパシーでコミュニケーションをとっている。
TVアニメ版ではそれらの喪失は免れている。
その強靭な肉体と精神力で、惑星ナスカの希薄な大気や地球のS.D.体制の敷かれた特別個室にも適応した(ナスカの希薄な大気に適応するには、長老達はESP能力でバリアを張らなければならない。また、地球の特別個室では、室内の強烈なエネルギーに、長老達ばかりかトォニィすらも悲鳴を上げた)。
ナスカで安穏と生きる道を絶たれ、多くの同胞を助けられなかった悲劇は、遠回りしながらも、彼に『地球へ帰ること』の重要性を改めて認識させた。
破壊寸前のグランドマザーに精神を支配されたキースによって射殺される。最後の言葉は「キース、地球を頼む」。しかし、直前で精神が肉体から分離し、コンピュータ・テラを停止させたキースの「そこにいるんだろう?今度こそ俺を殺せ」という言葉を受け、苦痛を伴わないように殺す。
映画では、キースに致命傷を負わされるものの辛うじて生きており、二人でコンピュータ・テラの前に落ちる。最後の言葉は、「キース、逃げろ」。
TVアニメ版ではグランドマザーを破壊したものの隙を突かれてグランドマザーの最後の攻撃で致命傷を負い、助けに来たトォニィを次期ソルジャーに任命した後果てた。最後の言葉は「箱の最後には希望が残ったんだ」。
名前の由来は原作者が読んでいたSF小説『スラン』(A・E・ヴァン・ヴォークト作)の主人公にちなむ。2007年イベント「テラfes2007」での発言・公式HPより
キース・アニアン(15歳→45歳)
本編の人類サイドの主人公。機械(マザー)の申し子・鉄面皮などと評されるエリートだが、喜怒哀楽の内“怒”と“哀”の感情は誰よりも強い男である。ジョミーの最大のライバル。地球のどこにいても一目置かれ、一線を画される存在である。
育英都市トロイナスの出身となっているが、幼少時代の記憶及び受けたはずの成人検査に関する記憶を一切持っていない。エデュケーショナル・ステーションでの教育を終えた後は「メンバーズ・エリート」に選出され、その頭角を現して目を見張るスピードでエリートコースを昇進していく。ステーションでの教育過程からミュウと遭遇し、幾度も対決していくことになる。さらに、様々な事件のなかで幾度も葛藤を繰り返しながら、マザーが期待していた通りの成長を続ける。そして、最終的には地球の総帥となり、ジョミー達ミュウの前に立ち塞がる。
20年近くにわたるミュウとの対決の中で、自身の出生の秘密やミュウの遺伝的要因の排除の可否、さらには地球そのものの秘密を知ってゆくこととなる。その中で、ミュウの女性フィシスに不思議な縁を感じるようになっていく。
ゴルゴ13のように、背後に立った者を反射的に撃つよう訓練されている。
実は、フィシスの卵子を元に生み出された、遺伝子上の“フィシスの実子”。15歳まで人工子宮で育ち、知識は脳に直接刷り込まれていた。統治者候補たる「無垢なる者」の1人である故に養親はおらず成人検査も受けていなかった。
1人の人間としても、1人の統治者としても、ジョミーとは対照的な存在である。マツカとサム以外に心を許せる存在がおらず、表面上は“地球国家元首”という究極の要職に就いても、2人のいない場所では常に孤独であった。
最後までジョミーをライバル視しており、ミュウの存在を認めながらも、受け入れようとはしなかった。ジョミーがグランドマザーと戦っている時、彼の心も一緒に戦っていたというが、後もう一歩というところで、グランドマザーの思念波に操られジョミーを殺してしまう。正気に戻った直後、それまで心に燻っていた機械への懸念が爆発し、これまで従ってきたコンピュータが自分の意思に介入することを拒絶する。グランドマザーが破壊された後、コンピュータ・テラを停止させ、地球を自然のままにし、機械の管理から離脱することを選択する。その後、精神体として《生きていた》ジョミーの手で殺されることを望んだ。
映画版ではジョミーを大切な同胞として受け入れる。しかし、原作同様グランドマザーに操られ光線銃でジョミーに致命傷を負わせてしまう。正気に返ってジョミーを抱えて逃げようとするが、2人一緒にコンピュータ・テラのもとへ落下。ジョミーの「逃げろ」という言葉を無視、最期はコンピュータの束縛を拒否し、キース・アニアンという1人の《人間》として、自分の意思で死を選んだ。
TVアニメ版ではグランドマザーの攻撃で致命傷を負い、死に間際にセルジュに地球軍の指揮権を託した後ジョミーと共に果てる。最後の言葉は「最後まで私は独りか……」ではあるが、セルジュやマツカなどのキースを慕っている部下の存在を考えると、決して前二作の様に独りではなかったようである。
2007年7月に行われた「テラFes2007」での質問コーナーによれば、名前の由来は“キム・ボール・キースン”という俳優の名から取ったと竹宮は語っている(このような名の俳優はいないので、『レンズマン』のキムボール・キニスンと取り違えている可能性がある)。
ソルジャー・ブルー(14歳→約300歳)
ミュウの中で最も長く生き、長としてミュウ達を束ねてきた。虚弱体質で聴覚に障害があり、耳にはヘッドフォン型の補聴器を付けている。TVアニメでは、さらに銀髪に赤い瞳というアルビノの特徴が加わっている。ただし、第1期オープニングの1部では目が青色である。これについては、原作者も正しい決まりはないと言っている。補聴器は彼の記憶が記録されており、後にジョミーに託された。3世紀もミュウとして生きたといわれるが、青年としか思えない外見を保っている。若く見せたがるのはミュウ全体に見られる傾向だと称する。
ジョミーに、ミュウが発生する原因が成人検査にあることを告げ、自身が実験体として悲惨な日々を送り続けてきたことを告白している。寿命が潰える直前にその意思をジョミーに託し、ジョミーの能力を開花させる。地球への強い思いを残したままアタラクシアで逝くが、死んでもなおジョミーの中で生き続けている(ジョミーが意識し続けている)。
50年前、フィシスと邂逅し、ミュウの船に連れてきた。以降、彼女を『女神』と称え、彼女の手を通して地球を見るようになる。
時折束縛された姿でジョミーの心に登場するのは、実験体としての彼の姿である。
フィシスと実際に邂逅したのは、彼女が人工子宮の中で眠っている頃で、名前すらなかった彼女に一縷(いちる)の可能性を見出した彼は能力を与え、『女神』と心から称えた。
アニメ版ではミュウ達を一人でも多くナスカから脱出させるため、惑星破壊システム・メギドに潜入。命と引き換えにこれを破壊した。なお、このとき残されたヘッドフォン型の補聴器が唯一の遺品となり、“ソルジャーの証”としてジョミーに受け継がれる事となる。
名前の由来は「テラFes2007」での原作者のコメントによれば「ソルジャー・ブルーを撃った男」これは原作者による『ソルジャー・ブルー』と『リバティ・バランスを射った男』という2本のアメリカ映画の混同と類推される。という映画からとのこと。
フィシス(15歳→96歳)
ミュウの美少女占い師。生まれつきの盲目で予知能力に秀でている。常に歴代のソルジャー(ブルー、ジョミー)に仕え、提言を与えている。占いは占い用のターフル(オランダ語でテーブルの意)で行われ、占いの結果は概ね当たる。
また、なぜか銀河系や地球の外観を知っている。謎の多い女性で、物語上、重要な意味を担う存在である。キースとは敵同士であるにも関わらず何故か情報を与えてしまい、トォニィを目覚めさせようとして却って逃げられ、能力や知識を吸収され、正体すら暴かれてしまう。しかし、その正体を最初から知っていたソルジャー・ブルーにとって彼女は『女神』であった。
ジョミーの願いから、唯一ジョミーを本名で呼ぶ。
キースの遺伝子上の母親。『息子』キースと直接接触した時には、本人の意志に関係なく心を読まれてしまった。実は、『無垢なる者』の候補者として15歳まで人工子宮で育てられ、知識は脳に直接刷り込まれていた。銀河系や地球のイメージも刷り込まれた物である。地球のイメージは『無垢なる者』の候補者が地球に忠誠を誓うために刷り込まれており、『無垢なる者』の候補者の特徴でもある。
たとえトォニィに嫌われても、彼を始めとする『ナスカの子』達を我が子のように心配した。それは休む時間もろくに与えず、ひたすら彼らを戦場に送り込むジョミーに自ら忠告を行なったほど。
ESP能力はすべてソルジャー・ブルーから極秘に与えられたものである。人類とミュウをつなぐ『女神』であってほしいというブルーの願いは、皮肉にも地殻変動で滅びつつあった地球でかなえられることになる。
なお、映画版では彼女がキースと遺伝学上の親子であっても、あくまで《ミュウのフィシス》として紹介されている。
トォニィ(0歳→22歳)
惑星ナスカで、母体によって生まれた初めての子であり、後に「ナスカチルドレン」と呼ばれる者達の中心人物。オレンジ色の瞳と髪の毛を持つ(普通の人間の体毛と瞳孔ではありえない色であるため、キースに気味悪がられた)。3歳の時、ある事件で昏睡状態に陥るが、12歳前後の肉体に成長して覚醒する。それ以後も急激な肉体成長を続け、最終的に成人する。本人曰く『(ジョミーと同じ)完全なミュウ』
彼を覚醒させようとしていたフィシスから、《彼女から逃れるために》知識と予知能力を習得し、彼女の正体すら見抜いてしまう。しかし、精神の成長が肉体にともなっておらず、精神年齢は生きてきた時間とほぼ同じでしかない。ナスカで生まれた子供特有の強い思念波を持つ。
彼にとってジョミーは『グラン・パ』(おじいさん)であり、両親以上に尊敬すべき『親』であり、目指すべきベクトルである。だが、自分を放ってリオやハーレイと行動するジョミーに怒りを感じ、リオとハーレイに嫉妬したりしている。ジョミーと別れたりジョミーに嫌われたりすることを最も恐れている。TVアニメ版では更に、ジョミーを「へなちょこ」呼ばわりしてトォニィをリーダーにしようとけしかける他のナスカチルドレンに対し、怒りを露わにして一喝する場面もあった。
キース・アニアンを2度も死の淵まで追い込んだ唯一の人物である。
最初は3歳の時。幼くしてキースを無理やり自供させるほどの類稀なESP能力と高度な知能を現しており、《殺意》というものもこの時すでに知っていた彼は、キースを殺害しようとした。それが後に実母カリナを死なせてしまうきっかけとなるが、本人はそれをキースとフィシスのせいだと考えている。ゆえにキースはもちろん、キースと通じ、ソルジャー・ブルーに能力を与えられただけの人間に過ぎなかったフィシスも激しく憎悪している。
2回目はジョミーとともに地球へ降りた時。S.D.体制の敷かれた個室でひとり眠りにおちることができなかった彼は、キースを探し出し寝室で彼を心停止状態にまで追い込む。最後には、ジョミーへの思いを残しながら宇宙の果てへ飛んでゆく。
TVアニメ版では、ジョミーによって後継者に指名され、三代目のソルジャーに就任。両親、恋人、そして自分を導く者…人の絆の深さと大切さを知った彼が、その後ミュウと人類を正しく導いた様子が暗示されている。
ジョナ・マツカ(17歳→39歳)
ミュウであることを隠し、人間社会に溶け込んでいたミュウ。控えめで大人しい性格。キースを殺そうとするが、反撃されてしまう。その後、助命される代わりに無理矢理キースの副官にされ、彼の片腕として共に人生を歩むことになる。ジョミーやブルーらと同様に、外見年齢は変わらない。
だが、己の能力を恐れ、己を殺しながらエリートコースに在籍していたため、ミュウのESPによる殺傷能力の強さや通常の人間の3倍もあるといわれる寿命のことも知らない。
最初は嫌々ながらキースに従っていたが、やがてその関係は徐々に変わってゆくことになる。地球政府では少尉の階級を与えられる。名前の由来は、原作者によれば、女の子っぽい名前として「ジョナ」、変わった音にしたいから「マツカ」とのこと。(「テラFes2007」より)
彼がキースに仕えて良かったと本気で思えるようになったのは、ミュウとの対談を翌日に控えた夜のこと。サムの死や実母フィシスへの想いから流した涙に満たされたキースの心を見た瞬間だった。
それから数時間後、キースを襲撃したトォニィを辛うじて撃退するも、右半身を引き裂かれてしまう。そして、心停止状態だったキースを最後の力を振り絞り蘇生させた。殉職したため大尉に二階級特進した。
映画版ではミュウとして基地内を追われ、隠れていたところをキースに発見される。幸運にもキースが面倒を見てくれることになったため、キースに心底感謝し、彼に尽くす。なお、ミュウとしての知識や自覚がない設定は原作通りである。
セキ・レイ・シロエ(15歳)
キースと同じステーションに在住していた、エリートでありながら機械によって制御された社会を強く拒み、憎んでいた少年。育英都市エネルゲイア出身のジュライ・グレード(7月生)。自分を慈しんでくれた「母」に関する記憶を成人検査で奪われた事をひどく悲しみ、テラズ・ナンバーやマザー・イライザなどの管理コンピュータを憎んでいる。
キースやサムを蔑むような態度を常にとる小生意気な子供でありながら、勉強に精を出してエリートとしての道を歩むという、一見矛盾しているが筋の通った行動をとっている。
やがて、キースが幼少時代の記憶が全くないことを知った彼は、キースを陥れるため、その素性を探るべく行動を開始する。そして、キースの出生にまつわる真実を告白することになる。出番は少なかったが、物語の位置づけとしては比較的大きな存在である。
当初から《要注意人物》に挙げられていた。やがて、キースの行動を調べていく内に監視は強化され、成人検査後にESP検査を受けるという前代未聞の事態に陥る。精神的・肉体的に負担を負った彼は、禁止事項を言葉に出すと心臓周辺を圧迫するベルトにより束縛を受けていたが、キースの前で彼の正体を暴露する。
その後逮捕され、ステーションから逃亡を図るが、キースに撃墜される。この時、キースは涙を流した。ラストでのミーシャの記憶の画に彼も入っている。
サム・ヒューストン(15歳→45歳)
幼少時代はジョミーの幼馴染で、ステーションではキースの唯一の親友となる。ガキ大将タイプで、面倒見が良い優しい男。
その人間関係が災いして、ミュウと人類の運命に翻弄されることになる。
宇宙からナスカを警備していた時、ジョミー達ミュウに遭遇。人類の敵ミュウの長となり、14歳の頃と見かけが全然変わっていないジョミーを「化け物」呼ばわりしてしまい、挙げ句に殺害しようとしてしまう。
しかし、長老達によってナスカでの記憶が消された彼は地球政府によって発見される。記憶を消されたショックで精神破綻を起こした彼は幼児退行を起こし、成人検査以前の記憶しか残っていなかった。これ以後、親友キースとは付き合い方が変わるものの、亡くなるまでキースの心の拠り所となった。
ジョミーとキースとの会談を翌日に控えたS.D.599年12月、長年入院していた病院にて死去。死因は急性肺炎。皮肉にも、亡くなるまでの間、ナスカでジョミーと接触した23歳のままの姿で生き続けた。これは「心が若かったため」とされる。
TVアニメ版では幼児退行後のシーンにて映画版のOPを口ずさんでいる。
スウェナ(15歳)
キースの同級生で、教育ステーションE-1077でエリートコースに所属する少女。TVアニメ版ではスウェナ・ダールトンという名で登場し、原作以上に活躍する。
誰もがメンバーズ・エリートになると思っていたが、宙港の技師と恋に落ちて結婚する。このため、エリートコースから一般人コースに所属を切り替え、E-1077から去ることになる。
TVアニメ版では、サムと共にアタラクシアの学校でのジョミーの同級生であり、同時にステーションでのキースの友人でもあった。キースに惹かれていたが恋に破れ、原作と同じく結婚のためステーションを去る。のちにレティシアという女の子の養親になるが、離婚により自動的に親権を失ってしまう。その後はジャーナリストとして、地球政府やS.D.体制の裏の部分を解明しようと走り回るようになる。サムが入院している病院で何度もキースと接触している。
TVアニメ版では、メールを通じてキースからあるデータを受け取る。それはミュウとS.D.体制に関するキースの演説の映像だった。彼女はそれを全世界に放送し、S.D.体制崩壊のきっかけを作った。
リオ
ミュウの1人。先天性の言語障害を持ち、テレパシーで会話する。ジョミーの左腕。
ジョミーが初めて肉体的に接触したミュウであり、彼の優しさを心から理解している、初めての良き理解者であり、味方でもある。
キャプテン・ハーレイ
ミュウの長老の1人。宇宙船の船長なので“キャプテン”の肩書き付きで呼ばれる。ブルー亡き後、ジョミーの補佐を務め、ジョミーの右腕として辣腕をふるう。時に暴走するジョミーを諌める一方で、彼の実力と才能を認めている。
外見は壮年でソルジャー・ブルーより遥かに年上だが、ブルーと同じ時代を生き、地球へ向かうための準備を一から整えてきた。
ゼル機関長
ミュウの長老の1人。宇宙船の機関長であるため、ハーレイ同様“機関長”の肩書き付き。最初はその素行から、ジョミーを次期ソルジャーに推すことに懸念を示していた。
外見は『長老』と呼ぶに相応しい老人で、ブルーと同じ時代を生きて来た者の1人。TVアニメ版では若き日の彼が登場する。300年前の彼は長髪で、いまの姿からは考えられないほどの美男子。弟を『アルタミラの惨劇』で亡くしたという設定が追加されている。
エラ女史
ミュウの長老の1人。ジョミーに関するソルジャー・ブルーの提案に、最初は難色を示していた。
外見はハーレイと同年齢に見えるが、ブルーと同じ時代を生きてきた長老達の紅一点である。
ヒルマン教授
原作では名前が紹介されていないが、アニメではこの名前がつけられている。ミュウの子供達を指導している、古参のミュウ。ミュウの子供達にジョミーの成人検査の様子を見せた。ジョミーにミュウの歴史を教えたのを始め、政治や帝王学など様々なことを教えてきた。
外見は50代前半から60代前半だと思われるが、実際はその3倍以上は生きていると思われる。ちなみに右腕は義手。
アルフレート
フィシスに仕えている。
何かと感情を露わにし、フィシスに逢いたがるジョミーを敬遠している。
カリナ(7歳→19歳)
トォニィの母。S.D.577年、赤い惑星ナスカにて、ミュウで初めての母体での妊娠・出産を行った女性。普段は保育部で看護師をしている。
初めて会ったジョミーから『お母さん』という者の存在を読み取って以来、ずっと母親になりたいと切に願っていた。
トォニィがキースに攻撃され、自ら仮死状態になったのを「死んだ」ものと感じ取り、ショックのあまり思念波を暴走させて死んでしまう。
キム
シャングリラ(原作ではミュウの船内)にいた子供の一人。黒髪と団子鼻、そばかすが印象的な少年。ナスカチルドレン以前の若い世代のなかでは年齢が上の方で、ジョミーとほぼ同じ年齢だと思われる。
原作での設定では腕は義手になっており、ジョミーを大怪我をさせたことがある。
好戦的で血の気が多く、ジョミーが初めてシャングリラにやってきた時など、彼に殴りかかって喧嘩になった程。成長してからは、シャングリラの主任戦闘班長としてジョミー達の支援に回る。
TVアニメ版ではハロルドら他の若い世代の仲間とナスカへ残る事を決めるが、地球へ向かおうとするゼル達と対立してしまう。キースがナスカに攻撃を仕掛けたとき、地下シェルターに隠れて攻撃をしのごうとしたが……。
アルテラ
トォニィと同じく、惑星ナスカで母体から誕生した9人のミュウの内の1人で、ナスカ生まれのミュウ特有の強力な思念波を持つ。トォニィに特別な思いを抱いている。
TVアニメ版では薄い褐色の肌と淡いすみれ色の瞳を持つ。トォニィとの関係は原作より幼く、彼を慕う一方で、ジョミーを追い続け、自分の事をあまり見てくれない事を寂しく思っている。
原作・アニメともに人類側との交戦により死亡。
タキオン
トォニィと同じく、惑星ナスカで自然分娩により誕生した9人のミュウの1人。ナスカ生まれ特有の並外れた知能と強力な思念波を持つ。
原作では人類側との交戦により死亡しているが、アニメ版では生存したまま最終回を迎えた。
タージオン
原作では名前が紹介されていないが、アニメではこの名前がつけられている。ナスカ生まれのミュウ“ナスカチルドレン”のひとりで、アニメではタキオンの弟という設定。黒髪の少年。精神的に幼いせいか、他のミュウに対し小ばかにしたような言動が多い。
TVアニメ版では人類側との戦闘中に死亡した。
ツェーレン
トォニィと同じく、惑星ナスカで自然出産により産まれた9人のミュウの1人。ナスカ生まれのミュウが持つ強力なESP能力を持つ少女。
原作ではジョミーから重大な使命を任されることになる(TVアニメ版では、その使命はシド・ヨーハンに託された)。金髪で褐色の肌。父親はハロルド・ベイ。
コブ
トォニィと同じく、惑星ナスカで自然出産により誕生した9人のミュウのひとり。ナスカ生まれのミュウ独特の強い潜在能力を持って生まれた少年。原作ではミュウとの戦いに対抗するための戦闘訓練を積んだエキスパートに傷を負わされるものの生き延びたが、TVアニメでは死亡している。
ペスタチオ
トォニィと同じく、惑星ナスカで自然出産により産まれた9人のミュウの1人。ナスカ生まれのミュウが持つ強力なESP能力を持つ。
アニメ版ではお団子にした黒髪のオレンジ色の瞳の少女で、原作とは大きく異なった外見をしている。原作では人類側との戦闘中に負傷しているが、アニメ版では無傷である。
グランドマザー
地球で人類全体を統治する強大なコンピュータ。ミュウを人間社会から拒絶しながらも、設計者によって、“その因子を断ってはならない”という矛盾したプログラム「永久絶対指令」を組み込まれている。これは“人類とミュウのいずれか、再生させ得た側に地球の運命を任せる”という、当時の地球指導部による一種の賭けの為であった。
コンピュータ・テラ
地球に最も深く直結し、マグマの流れを変えることすら出来るコンピュータ。グランドマザーが破壊された時のみ現れる。S.D.時代に入る10年前に設置されたコンピュータで、地球の運命は人類よりもミュウが握る確率が高いことを計算していた。しかし、当時の政治家達がこの計算結果に難色を示したためにグランドマザーが創られ、真っ先に到着する者がどちらになるか、地底で長い間待っていた。人類であるキースが先に到着することになるが、グランドマザーとの戦いを経た彼によって永遠に停止させられることになる。
テラズ・ナンバー5
世界に9機ある『テラズ・ナンバー』の1つ。グランドマザーと直結し、育英都市アタラクシアの「目覚めの日」を担うコンピュータ。成人検査を担当する。
マザー・イライザ
キースが在住していたE-1077ステーションのマザーコンピュータ。ステーションでは、エリート達が彼女とコミュニケーションをとり、時には精神分析やヒーリングなども行う。
人の形を映し出して現れることがあるが、それは身近な女性(母親や恋人)に似るとされる。
マザーコンピュータと直結しており、E-1077エデュケーショナル・ステーションで《無垢なる者》となる実験体を創造していた。キースやフィシスもここで創られた。
ミーシャ
最後に登場する少女。ジョミーやキース、ミュウと人類の戦いの記憶を持つ。

テレビアニメ版オリジナルキャラクタ-

ミュウ側

ブラウ航海長
ブルーと同じ時代を生きる長老のひとり。右目が暗いセピア色、左目が明るい茶色のオッドアイ。
外見は初老の女性で、両耳に金の大きなリング型のピアスをしている。
大変さばさばした性格で、目上の者にも遠慮しない姉御肌。物言いは厳しいが、さっぱりしているので嫌味がない。後に国家騎士団から奪った宇宙船の1隻の船長を務める。
Dr.ノルディ
医師。わし鼻と太い眉を持つ男性。辛辣な物言いをするが医師としての腕前は抜群で、ブルーの体調管理やミュウの怪我の手当てなど、彼がかかわる医療活動は多岐に渡っている。惑星ナスカではカリナの分娩に立会いトォニィをとりあげた。
ユウイ
シャングリラにいた子供のひとり。ブロンドの髪を坊ちゃん刈りにしている若者。
ジョミーと最初に逢った頃は10歳以下の男の子だった。成長してからはカリナと恋に落ち、惑星ナスカで結ばれる。ナスカにおける初めての子であるトォニィの父親となるなど、子宝にも恵まれ、ナスカで平穏な日々を送っていたが……。
竹宮作品の“オルフェシリーズ”(『集まる日』『そして、集まる日。』など)に登場する超能力者・水凪結惟(みずなぎ・ゆうい)(みなぎ・ゆうい)とルビをふっている作品もある。からキャラを拝借している。
ルリ
シャングリラにいた子供のひとり。幼い頃から美少女だったが、その美しさが損なわれることがないまま成長した。腰まで伸びた黒髪にアクセサリをしている(幼少時は赤いリボン、成長してからは青のカチューシャ)。
成長してからは、シャングリラのブリッジクルーとして活躍するようになる。レーダーの管制官としてシャングリラの航行の管理を行っている。
竹宮作品の『オルフェの遺言』『そして、集まる日。』などに登場するお嬢様・流離(るり)からキャラを拝借している。
ニナ
シャングリラにいた子供のひとり。幼い頃から明るくやんちゃで、ジョミーに憧れを抱いている。くせのあるブロンドの巻き毛をおかっぱ風にしている女の子。
惑星ナスカでは、ハロルド・ベイやカリナら若者同士で徒党を組み、ナスカへの定住を望んだ。キース率いる国家騎士団のナスカ襲撃の際も最後までナスカに残ったが、ジョミーに助けられ脱出する。以後はシャングリラのクルーとして戦闘に加わる。
竹宮作品の『私を月まで連れてって!』のヒロイン=ニナ・フレキシブルからキャラを拝借している。
ショオン
シャングリラにいた子供のひとり。赤みがかった茶色い髪とそばかすがトレードマーク。子供っぽいところがある。影が薄い。
ニナやユウイと一緒にナスカへの定住を希望するが、ナスカが惨劇に見舞われたことで諦めざるをえなくなる。惨劇を生き残ってからはシャングリラの戦闘要員になった模様。
竹宮作品の『そして、集まる日。』に登場する笙園(しょおん)からキャラを拝借している。
マヒル
シャングリラにいた子供のひとり。栗色のおかっぱ頭にカーキ色のヘアバンドをしている少女。カリナやニナよりも年下で、頭ひとつ分背が低い。
いつも双子の兄・ヨギと一緒にいる。ヨギの言葉を反復する不思議な癖があり、見た目は似てないとはいえ精神的につながっている双子であるといえよう。ナスカ滅亡後も生き延びた、ナスカチルドレン以前の若い世代のひとり。
竹宮作品の『そして、集まる日。』に登場する真昼(まひる)からキャラを拝借している。
ヨギ
シャングリラにいた子供のひとり。淡い茶色の髪を後ろでひとつにくくっている。前髪があごまで伸びている。
カリナやニナより年齢が下で、見た目は10代中盤の少年に見える。
いつも双子の妹・マヒルと一緒におり、マヒルと手をつないでいる。誰かの発言を反復する癖がある。
ニナ、ショオン、マヒルらとともにナスカ滅亡の悲劇を乗り越えた、ナスカチルドレン以前の若い世代のひとり。
竹宮作品の『そして、集まる日。』に登場する過(よぎ)からキャラを拝借している。
ハロルド・ベイ
キムと同年代の若者。浅黒い肌で、髪は天然パーマ。ナスカチルドレン以前の若い世代のなかでは最年長のほうで、外見からジョミーより年上だと思われる。
シャングリラの防御セクションのクルー。行動的なリーダータイプで、若い世代を引っ張っていくようになる。ボイコットやナスカ定住の推進など、彼が行動を進めていけばいくほどゼルたち長老との溝が深くなっていく。長老たちとの溝が修復不可能になりかけたその時、惑星破壊システム・メギドを従えたキースがナスカを襲撃。キムら若い世代とともに地下シェルターへ避難するが……。ナスカで褐色の肌の女性と結婚し、娘ツェーレンをもうける。
竹宮作品の『エデン2185』に登場する同姓同名の人物からキャラを拝借している。
シド・ヨーハン
キムやハロルドと同年代の銀髪の青年。ミュウ専用の制服の上に白いジャケットを羽織っている。ハロルド同様ナスカチルドレン以前の若い世代のなかでは最年長の部類に入る。外見からジョミーより年上かと思われる。
シャングリラのブリッジクルーで、操舵を担当。ハーレイ直属の部下。それゆえか、ナスカ定住を呼びかける若者たちの輪に入ることはなかった。最終回では、原作でツェーレンが受けた任務を果たすことになる。
竹宮作品の『エデン2185』に登場する同姓同名の人物からキャラを拝借している。
おヤエさん
シャングリラのクルーの一人で、レンズの大きな眼鏡がチャームポイントの女性。グラマーな体型をしており、タイツにブーツをはくのが基本の女性クルーのなかで、唯一素足にパンプスといういでたちをしている。21話での発言から、実年齢は82歳である事が判明している。
科学解析主任として敵の戦力の分析を行う他、兵器の開発も行っている。ナスカチルドレンの戦闘機は彼女が開発したもの。
彼らが登場してからは、コミカルな表情や仕草を見せている。
竹宮作品の『私を月まで連れてって!』シリーズなどで登場する日本人ハウスキーパー・温泉八重(おんぜい・やえ)からキャラを拝借している。
トキ
シャングリラにいた子供の一人。長身で、リーゼントを彷彿とさせる髪型と眼鏡が目立つ若者。カリナやユウイと同年代で、ユウイとは大変仲が良い。
成長してからはシャングリラの通信士となる。惑星ナスカに移住してからはナスカに定住しようとする若者たちの輪に入り、地球へ行こうとする長老やジョミーと対立する。後に彼が下した判断がミュウに危機を呼ぶ事となる。
竹宮作品の『集まる日、』などに登場する朱鷺(とき)からキャラを拝借している。

人間側

セルジュ・スタージョン
ナスカ襲撃からキースの配下に加わった青年将校の一人。戦闘機のパイロット。マツカより年下だが地位は彼より高い。21話ではアルテラと死闘を繰り広げる。最後までキースの側近として活躍した。彼のいれるコーヒーは、マツカいわく「あまり旨くない」との事。キースとジョミーがグランドマザーに謁見するため地下に降りていく最中、ブリーフィングルームでキースの身の心配をしている様子だった。キースの最期の言葉からグランドマザーに反旗を翻すことを決意する。
竹宮作品の『風と木の詩』の登場人物セルジュ・バトゥールからキャラを拝借している。
グレイブ・マードック
教育(エデュケーショナル)ステーション時代のキースの先輩で、元上官。他人を見下しているところがあり、マツカを散々けなしていたが、キースの度を越したやり方を批判するなど誠実な一面も持つ。最初の頃は時折キースをからかっていたものの、逆に理論で論破され、度々苦汁を舐めさせられていた。更に、ナスカ襲撃の時点で、出世スピードが人の何倍も速いキースが上官になってしまう。それ故、表面上はキースに従っているものの、実は折り合いが悪い。
メンバーズエリート候補だったが結局選ばれず、軍人となる。その後はソレイド軍事基地に勤務し、やがて指揮官として艦隊を率いるようになる。最終的には部下のミシェルと共にキースの側近の1人となり軍事作戦で活躍。最終話でグランドマザーが操る発射寸前のメギドに特攻し壮絶な最期を遂げた。
ミシェル・パイパー
グレイブ直属の部下。有能な軍人にして彼の秘書でもあり、常にグレイブの傍にいる。常に冷静沈着で上官の命令に従うが、最終話で初めて上官命令を無視した。
長い間グレイブと同じ時間を過ごすうちに彼を愛するようになり、最終話でようやく本懐を遂げ、グレイブと運命を共にした。
パスカル・ウォグ
セルジュの同僚。背が高く、眼鏡をかけている。心停止したキースを助けようとするセルジュに「諦めろ」と言ったり、半身を引き裂かれたマツカを冷めた目で見下ろすなど冷たい一面を持つ反面、同僚がミュウの可能性ありとして更迭された際には、ミュウであればたとえその忠誠心に疑念の余地がなくとも排斥対象にしかならないのかという疑問をキースにぶつけた。
竹宮作品の『風と木の詩』の登場人物パスカル・ビケからキャラを拝借している。
レティシア
アタラクシアに住む少女。本名レティシア・シン。生まれた当初はスウェナが養育していたが、離婚によりジョミーの両親が新たな養親となる。スウェナが養育していた頃の記憶はすべて消されているため、両親の計らいでスウェナと再会することはあっても彼女を“母の友達”としか思っていなかった。
ジョミーがテラズ・ナンバー5を破壊してからは、穏やかだった日々が一変。過酷な運命に巻き込まれることとなる。
ミュウを恐れる両親に連れられてアタラクシアを脱出するが、途中で自分がミュウであることが判明してしまう。自分をかばった両親と一緒に木星にあるミュウ収容ステーション・コルディッツに収容されるが、ナスカチルドレンに救助された。それからはシャングリラにいるものと思われる。
自身がミュウだと分かってからはサイオンにめざめてゆき、他人の心の声が聞こえたりテレパシーを送ったりすることができるようになる。消された記憶は最終的には復活した様子で、最終話においてはスウェナを母と認識していた。

用語

S.D.(Superior Dominance―特殊統治体制)
機械により、完全な生命管理を行う体制。人類の叡智をもってしても解決できない地球の環境汚染を、人類が出て行くことで解決するために創られた。
人間は無限大の精子と卵子の組み合わせから、試験管で人工受精させられて誕生し、人工子宮で成長して『赤ん坊』としてこの世に生を受ける。各惑星で『純粋な子供』に育つべく養父母に養育されて幼少期を過ごした後、先述の「目覚めの日」に「成人検査」を通過したのち、宇宙ステーション「エデュケーショナル・ステーション」にて教育を受け、それぞれの能力に適した職業に就く。よって、地球に降り立たぬまま一生を終えることもある。
植民惑星
環境汚染が止まらない地球を保護するために、人類が移住した惑星。ジョミーが14歳まで過ごした育英都市アタラクシアも植民惑星にあたり、マザーコンピュータの管理体制の下で人類が暮らしている。住民は普通人(=コモン)が主で、エリートが住民の管理にあたっている。
植民に成功している惑星がある一方、開拓に失敗し放棄されたナスカのような惑星も数多く存在する。
育英都市
「目覚めの日」を迎えるまで子供達を《純粋に》育てる都市。14歳までの子供達と彼らの養親が住む。アタラクシア(ギリシャ語:ataraxia エピクロス派が唱えた“魂の平安”の意)はこの一つで、他にトロイナス、エネルゲイア(同:energeia アリストテレス学派における概念の一つで「現実態」「現実性」)、サースリアなど計8つの都市が存在する。それぞれに『テラズ・ナンバー』と呼ばれるマザーコンピュータが存在している。
アタラクシアにあったマザーコンピュータは『テラズ・ナンバー5』、エネルゲイアにあったマザーコンピュータは『テラズ・ナンバー3』。
成人検査
マザーコンピュータ『テラズ・ナンバー』が「目覚めの日」の前後1年以内に行う検査。特定された場所にテラズ・ナンバーが現れ、思念波による過去の記憶の抹消と「16歳の大人の地球人」として生きていくための基本的な知恵の享受を行う。
成人検査は1人につき最大3回まで実施され、97パーセントは合格する。残りの3パーセントは知的障害や、検査の過程でコンタクトに失敗した者、検査の過程で精神障害を患ったりする者達である。
ESP検査
感情過多の子供、S.D.体制への批判といった反抗的な思想をもつ子供、ミュウと思しき能力を持つ子供に行われる検査。コンピュータから送られる思念波で深層心理をくまなく調べられ、ミュウかどうか判断する。
ミュウの場合は、精神が繊細なため、この検査に耐えられない。
ミュウ
現生人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)とは異なった新人類。虚弱体質で、身体障害を持つ事が多い。しかし、その分非常に長寿で、思念波エネルギーを操る(障害の補完として超能力が発現するらしい)。普通は意思伝達や読心程度だが、協力し合ったり、また力の強いミュウであれば、念動力(サイコキネシス)や幻覚を見せることが出来る。
ミュウだと判明した者は即座に抹殺されるが、かろうじて生き延びた者達はソルジャー・ブルーのもとに集結し、コミュニティを作って生活している。成人検査の後に覚醒する者も多く、ソルジャー・ブルーや彼と同じ時代を生きてきたミュウはこれに該当する。マザーの思念波エネルギーに呼応した結果、彼らはESPに目覚め、迫害を受けたりモルモット同然の扱いを受けたり、悲惨な扱いを受けてきた。
現在では『人類と敵対する存在』として、脅威とされている。
しかし、実は、再びテラへの移住が始まる際にS.D.体制が不可避的に生み出す存在として確認され、政治的には脅威とされ抹殺されるべきものとみなされつつも、科学者の間ではむしろ移住後に主導的な役割を果たすことが予測され、極秘裏にその存在が黙認された新人類である。ただし、科学者の間でもミュウではなく現人類が引き続き主導権を握る可能性も認識されていた。ある意味では、S.D.体制には、それが倒される過程で明らかになるテラ移住後の人類の主導権をどちらが握るかを選別するという役割もあった。
ソルジャー
宇宙船シャングリラを中心としたミュウ達のコミュニティの長の尊称。初代のブルー、二代目のジョミーがいる。TVアニメ版では三代目にトォニィが就任。
ナキネズミ
火星で発見された新種の生物。リスとネズミの中間のような姿をしており、大きさはリス位。微弱な思念波を持つ。
実はミュウが人工的に作り出した生物である。テレパシーの中継能力を持つ。
教育(エデュケーショナル)・ステーション
成人検査をパスした「16歳の大人の地球人」を教育する機関。それぞれの植民惑星から連れてこられた、精神的に不安定な少年少女達の集団に基本的なS.D.の教育を施した後、集団を性別・生まれ月ごとに振り分けて教育する。
「エリートコース」と「一般(ユニバーサル)コース」の二つの種類のステーションが存在し、教育期間はそれぞれ2年。少年少女達はステーションのマザー・コンピュータの管理下で生活を送る。一般コースからエリートコースへの変更は不可能だが、エリートコースから一般コースへの変更は特例として許されることがある(主な特例には恋愛が挙げられる。コース変更が認められると、一般コースで最初から2年間、普通人としての教育を受けることになる)。
無垢なる者
感情や思想に左右されず、グランドマザーの完全なる《支配》のもとでの自己決定により地球を完全に統治できる者のこと。グランドマザーに直結した各「ステーション」では、候補者となる実験体を創造している。タンパク質と遺伝子体から創られた彼らは、15歳まで人工子宮のなかで育てられ、脳に直接知識を刷り込まれる。実験体に共通しているのは、地球の外観と太陽系、銀河系のビジョンである。
しかし、普通人(コモン)や肉体及び精神に障害をきたす者ばかりが生まれており、そういった存在は処分されている。
メンバーズ・エリート
各「ステーション」で行なわれる定員1000人の「エリートコース」教育の結果に基づき選ばれる、6人の上位者。政治の中枢に行くか軍部で参謀となるかを選択出来る他、地球へ行き、定住するという特権を得られる。
エリート
成人検査後、「エリートコース」に振り分けられ、エリートとしての教育を受けた者。メンバーズ・エリートに選ばれなかった994人がこれに該当する。
地球及びその配下にある組織に所属し、上層部の指示のもと、軍人や医師や学者などの要職に就く。だが、メンバーズ・エリートを上回るレベルへの昇進は絶望的に不可能である。
普通人(コモン)
成人検査後、「一般コース」に振り分けられ、普通人としての学習を受けた者。地球もしくは植民惑星で一般人として暮らし、結婚した者は育英都市で養親となって、人工受精で誕生した子供を成人検査の日まで育てる。
エリートがマザーや地球政府の上層部の指示で動くのに対し、コモンはマザーの直轄下にある「ユニバーサル・コントロール」と呼ばれる組織の指示で行動する。
惑星ナスカ
人間が移民に失敗し、打ち捨てられた惑星。二重太陽系にあり、空の色は赤い。第2部ではジョミーの指揮のもと、ミュウ達がひっそりと暮らしていた。ミュウたちはそこで農作業に勤しみ、迫害に明け暮れ暗い地下に潜んでいた日々を忘れて平和な生活を送っていた。
母胎によるミュウの出産が行われた惑星で、トォニィの生まれ故郷でもあったが、キース率いる国家騎士団の攻撃で滅亡。この星で産まれた子供たちは9人いるが、全員、突出したESP能力の持ち主であり、旧世代のミュウに対し「ナスカの子」と呼ばれる。
VIP
地球の地下都市の各首都からひとりずつ集められた首脳たちの集合体。地球に関する重要な決定を下す重要機関だが、活動形態は内勤の者でも具体的に判らない最高機密機関。メンバーズ・エリートは最年少にしてVIPに近づける重要な立場であり、昇進次第ではその輪の中に入っていくことができる。
地球国家元首
地球およびそれに追随する惑星国家の最高統治者。200年間の間、その座に就いた者はいなかった。

ラジオドラマ版

第1部のみラジオドラマ化された。1979年7月23日から7月28日まで、NHK-FM放送にて『NHK-FM夏期特集・ステレオ劇画』と題して放送された。全6回。 {| |style="vertical-align:top"|

スタッフ
  • 脚色 - 仲倉重郎
  • 演出 - 郡司雄彦
  • 効果 - 大八木健治・原口哲・菅野秀典
  • 技術 - 太田時雄・星野雄一

|style="vertical-align:top"|

声の出演
  • ジョミー・マーキス・シン - 富山敬
  • ソルジャー・ブルー、ナレーション - 石原良
  • フィシス、ジョミーの母、マザーコンピュータ - 池田昌子
  • ナキネズミ(7月25日放送分) - 竹宮恵子

|}

アニメ映画版

1980年4月26日に東映によりアニメ映画化された。前年に大ヒットした「銀河鉄道999」に続く人気コミックの映画化作品として期待されたが、アニメを制作した経験のない恩地日出夫が監督に就任したことで、アニメとしては異色の作品となったこともあり、作品内容は賛否が分かれた。しかし原作者自ら「私の作品で『地球へ…』が最も有名になったのはアニメ化された為かもしれない」と語っているように最初の映像化作品であり、原作との違いも含めて「地球へ…」を語る上で欠かせない作品である。

映画版は、オリジナルにはないラブストーリーや戦闘シーンが追加され、原作とは違った雰囲気のものとなっている。このことを質問された作者は、「映画化を許諾した時点で全く別の作品と思っているので、全く気にしていない」という趣旨のコメントをしている。特に目立った相違点としては、

  • 地球(テラ)の運命。物語のクライマックスから結末にかけての展開で、原作と大きく異なっている。
    • 原作 -“コンピュータに左右されるのはもう御免だ”とキースがコンピュータ・テラを止めた為、地球内部は崩壊、パニックになる。人間もミュウもマグマと溶岩が噴出する地上で死に、フィシス他ごく少数だけが生き残る。
    • 映画 -