HOME > コミック > 多重人格探偵サイチョコ

多重人格探偵サイチョコ/田島昭宇 ひらりん

共有

著者: 田島昭宇 ひらりん
巻数: 14巻

田島昭宇の新刊
ひらりんの新刊
多重人格探偵サイチョコの新刊

最新刊『多重人格探偵サイチョコ 14



twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

mugensekai 多重人格探偵サイチョコに★をつけました! http://bit.ly/eSKdl0 #ureeyyy #comic #manga

多重人格探偵サイコ MPD PSYCHO』(たじゅうじんかくたんてい サイコ)は、原作:大塚英志、作画:田島昭宇によるショッキング・サスペンス漫画。及び、それを原作とした小説、テレビドラマ、新劇作品。 

概要

恋人が猟奇殺人犯の被害に遭い、そのショックから多重人格者であったことが判明していく元刑事が、次々と起こる猟奇殺人事件の謎を追う」という設定でスタートしたショッキング・サスペンス漫画。

連載開始は『月刊少年エース』(角川書店)1997年2月号であるが、長期の中断を経て2007年8月より同社の青年誌『コミックチャージ』に移籍。2009年1月の同誌休刊後は同年7月に発刊した後継誌『ヤングエース』で連載されている。

この作品の特徴は、漫画で描かれていない部分を小説で描くなどしている点である。また、意図的に設定に矛盾や食い違いが生じるようにしてある『キャラクター小説の作り方』(角川文庫)221ページ。

第一話で主人公の恋人が、両手両足を切断された状態で宅配便で箱詰めして届けられるという描写がある。これを見た角川書店の役員が印刷機を止め、当初1997年1月号から連載が始まる予定が2月号からになるという事故で始まった。また、猟奇殺人を描き、リアルな死体描写、グロテスクで残酷な描写が特徴。その描写ゆえ2006年に茨城県茨城県告示第241号」『茨城県報』第1753号、2006年3月6日、1-2頁。、2007年に香川県香川県「平成19年6月25指定・岩手県岩手県告示第720号」『岩手県報』第10700号、2007年10月16日。で、2008年に福島県福島県告示第424号」『福島県報』第1983号、2008年5月30日、348-349頁。・大分県大分県告示第542号」『大分県報』第1987号、2008年8月1日、3頁。・長崎県長崎県「長崎県告示第752号で青少年保護育成条例に基づく有害図書に指定されている。

あらすじ

刑事小林洋介が恋人の復讐のために猟奇殺人犯を射殺したのがきっかけで現れた人格雨宮一彦は探偵になった。その後雨宮は何人もの猟奇殺人犯を捕まえることになるが、殺人犯たちの左眼には一様にバーコードの痣があり、しかも雨宮自身の左眼にも同じものがあった。そして雨宮は事件の背後にある陰謀と自身の正体を知ることになる。

登場人物

小林洋介(こばやし ようすけ)
雨宮一彦になる前の主人格。警視庁捜査一課11係の刑事。恋人が猟奇殺人犯の島津寿によって両手両足を切断されたショックで人格が消滅し、雨宮一彦の人格が現れる。
雨宮一彦(あまみや かずひこ)
主人公。戸籍名・小林洋介として警視庁で猟奇殺人犯のプロファイリングに従事。連続バラバラ殺人事件の捜査過程で犯人・島津寿に恋人の千鶴子を惨たらしい姿にされたショックで小林の人格が消滅したことにより現れた。理知的・理性的で冷静な性格。西園伸二による島津寿殺害の罪を被って服役。出所後はそのプロファイリング能力に目をつけた伊園磨知に保護され「伊園犯罪研究所」に勤めることになる。
その正体は、20年前の雨宮診療所での実験で学窓により作られたプログラム人格。後に伊園美和に転移し、最終的に西園弖虎に転移した。
西園伸二(にしぞの しんじ)
小林洋介に内在する別人格の一人。小林洋介の恋人・千鶴子を襲った猟奇殺人犯・島津寿と対峙した時に現れた。凶悪な性格。頻繁に雨宮一彦の人格と入れ替わる。伊園美和に奪われた、自分が生きるために必要な人格である雨宮一彦の人格を取り戻すため、西園弖虎と決闘。その最中、学窓の工作員に撃たれて小林洋介の肉体とともに死亡。
西園弖虎(にしぞの てとら)
本編後半の主人公。学窓の実験のサンプル。凶悪な西園伸二の人格を有する殺人マシンであり、人格転移などの特殊な能力を持つ。学窓に操られていた時期もあったが、自らの意思で行動するようになり、学窓に造反。雨宮一彦の人格を美和から預かり各方面から狙われるが、「雨宮一彦を守る」という美和との約束を頑なに守っている。正体はルーシー・モノストーンのスペア。
伊園磨知(いその まち)
精神科医。自分が雨宮一彦であると主張する小林洋介の治療を担当しており、彼を庇護していた。
学窓のメンバーである主人格“伊園若女”を取り戻した後、雨宮一彦の人格を巡り西園弖虎と対立する事になる。
伊園若女(いその わかな)
伊園磨知の主人格。ルーシー・モノストーンの娘。学窓のメンバー。
笹山徹(ささやま とおる)
警視庁捜査一課11係の係長の刑事で雨宮一彦(小林洋介)の元上司。階級は警部補。雨宮一彦の服役後も、雨宮のことを心配して何かと「伊園犯罪研究所」に顔を出していた。最初はとぼけた脇役だったが、事件の真相を突きとめる大きな役割を担うことになる。
犬彦(いぬひこ)
新宿署の刑事。儀式殺人事件において所轄の担当刑事として笹山と知り合う。以前から独自に、肩甲骨の奇形=“羽根”をもつ殺人者を追跡。一見関連性のない殺人事件に見えても、“羽根”をもつ殺人者の背後に何かがあると考えていた。
鬼干潟龍夫(おにひがた たつお)
首相。鬼頭に瀕死の重傷を負わされるが、スペアである鬼頭の内臓を移植することで一命を取り留める。しかしその臓器は放射能を浴びていた。
鬼頭日明(きとう あきら)
警視庁公安四課の刑事。鬼干潟のスペア。
鬼干潟を襲撃し、死亡。襲撃前に原子力発電所の放射能を浴び、計画が失敗しても鬼干潟を殺せる二重の作戦を強いていた。
全一(ぜんいつ)
学窓の工作員。学窓のプロジェクトの後始末をしている。肉体の再生能力を持つ。
ルーシー・モノストーン
この物語の全編を通して神秘的に描かれるキーパーソンであり、プログラム人格・雨宮一彦の元となっている人物。1960年代からアーティストとして、またテロリストとして活動。カリスマ的な存在になるが、1972年に南米のとある教会で信者とともに集団自殺した。学窓がバーコード所持者によるプロジェクトなどを通して研究しているのは、死の衝動を増幅させ他人への感応までも試みることのようだが、研究の第一ステップがこの集団自殺だった。

用語

バーコード
バーコードの数字の上六桁は管理ナンバー、下四桁はサンプルのデータを示す。上六桁のうち真ん中の二桁が、サンプルとなった肉体にバーコードが処置された年度を示し、A.L.(ルーシー暦)という特殊な暦が使われている。A.L.とはAfter Lucyの略でルーシー・モノストーンの死んだ年を基準にする。ルーシーが死亡した年には諸説あり、学窓がどの説を採用しているのかは不明。
バーコード付きの目玉はビデオカメラのように見たものを記録する。目玉の持ち主の水晶体のレンズが捉えた視覚情報は、脳幹へとつながる視神経の途中に人為的に作られた腫瘍に記録される。特徴として、記録される映像は人間の認知や記憶と結びついた形での視覚情報の蓄積のため、目玉の持ち主が見た錯覚や幻覚もそのままに記録される。サンプルが死亡した後には学窓が回収し研究される。
学窓(ガクソ)
世界的な科学者たちのグループであり、国際的な研究者たちのネットワーク。活動理念は唯一、研究者としての「知的好奇心」のみ。
捜査一課11係
正式名称は「警視庁刑事部捜査第一課強力犯捜査班11係」。
何代か前の警視総監がマスコミ受けを狙って設立した部署で、近年増加しているとされる猟奇殺人事件を専門に扱い、捜査方法にプロファイリングを導入したことが対マスコミ用の「売り」であった。だが実のところ猟奇事件が増加しているという統計的根拠は無く、しかもチームの大半が現場経験の無い科捜研の出向で聞き込みも満足にできず、また猟奇事件とそうでない事件の明確な定義が無い、統計的な手法を使うプロファイリングは人口の多いアメリカのような国でやるから意味があるのであって日本でやっても信頼の置けるデータが得られない、等の理由から11係は何の役にも立たずに捜査一課の足を引っ張り続けた。その上捜査員の一人の小林洋介が犯人を私怨で射殺してしまったため一時は廃止させられそうになったが、小林が裁判中に多重人格を主張した結果、世間の関心がそちらに向いたため、なし崩し的に存続されている。現在のメンバーは係長の笹山徹のみ。
ルーシー7(ルーシーセブン)
ショウコ達が名乗ったグループ名。元ネタはアメリカの都市伝説で、アメリカでは50年代にルーシーと呼ばれる7人の殺人鬼の、マザーグース風の童謡の噂が囁かれ、60年代には戯れにルーシー7を名乗る学生運動グループやロックバンドが幾つか存在したらしい。ただしルーシー7を名乗るグループが実際に7人であったことは少なく、7人の殺人鬼の童謡も実は6番までしかない。この童謡は三木・モトユキ・エリクソンの『多重人格探偵サイコ ルーシー・モノストーンの真実』(角川書店)に収録されている
プログラム人格
ルーシー現象
スペア

作品リスト

漫画

  • 多重人格探偵サイコ No.1~14(以下、続刊)
  • 多重人格探偵サイコ 'No.1 - 上記、No.1と同一の内容。原作者名が大江公彦名義の限定版。
  • 多重人格探偵サイコ No.6 限定先行無修正版 - DVDの付録。
  • サイコエース Vol.1~2 - 総集編。
  • 多重人格探偵サイコ 特別総集編 - 総集編。
  • 多重人格探偵サイコ コミックお試し版小冊子 - 多重人格探偵サイコフェアプレゼント品。非売品。

小説

原作とは一部設定が異なる。
  • 多重人格探偵サイコ No.1 ~情緒的な死と再生~
  • 多重人格探偵サイコ No.2 ~阿呆船~
  • 多重人格探偵サイコ ~小林洋介の最後の事件~(『情緒的な死と再生』を改題したもの。ノベルスと文庫が存在)
  • 多重人格探偵サイコ ~西園伸二の憂鬱~(『阿呆船』を改題したもの。ノベルスと文庫が存在)
  • 多重人格探偵サイコ ~雨宮一彦の帰還~(同名のテレビドラマのノベライズではなく内容は別物。ノベルスと文庫が存在) 
    • 文庫版には特典として『渡久地菊夫の失敗 そのような題名の単行本には収録されないプロローグ』が収録
  • ロリータ℃の素敵な冒険
  • 多重人格探偵サイコ REAL(テレビドラマ版の脚本)
  • 多重人格探偵サイコ FAKE 1~3(テレビドラマ版の脚本を「物語環境開発(大塚英志事務所)」のスタッフの許月珍がノベライズしたもの)
  • 多重人格探偵サイコ/新劇 ~雨宮一彦の消滅~(戯曲版の脚本)
  • 試作品神話(『多重人格探偵サイコ FAKE』の続編で月刊ニュータイプに連載された。同名の絵本とは内容は別物。1stシーズンは2000年9月号~2001年12月号、2ndシーズンは2002年8月号~2003年4月号に連載。未単行本化だが、1stシーズン第一話が『多重人格探偵サイコ FAKE』3巻(角川スニーカー文庫)、1stシーズン第十五話と2ndシーズン第九話が 『サブカルチャー反戦論』(角川文庫)に収録されている。)

ドラマCD

  • MPD-PSYCHO サイコ サウンド・ストーリー
    • 1998年5月30日発売。規格品番はSVWC-7001。

キャスト

  • 伊園摩知・雨宮一彦・西園伸二(岩男潤子)
  • 紘永彩子(中川亜紀子)
  • 磋碕アユキサ(川上とも子)
  • 天野琴美(堀江由衣)
  • 堵維実果穂(金月真美)
  • 大井甫尭(飯塚雅弓)
  • 和音符カリン(小西寛子)
  • ロリータ℃(成田紗矢香)
  • 三島柚木(桂川千絵)

映像作品

  • 多重人格探偵サイコ/雨宮一彦の帰還
    • WOWOWで2000年5月に放送されたテレビドラマ。監督は三池崇史。DVD化されている。漫画版とはキャラクターの名称や設定をある程度共有しているが、ストーリーは全く異なっている。大塚英志自身が脚本とキャスティングに参加している。
  • MPD-PSYCHO/FAKE MOVIE REMIX EDITION - 上記のテレビドラマを「物語環境開発(大塚英志事務所)」のスタッフの菊崎亮が再編集した劇場公開作品。

キャスト

  • 雨宮一彦(保坂尚輝)
  • 伊園磨知(中嶋朋子)
  • 笹山徹(大杉漣)
  • 渡久地菊夫(あなん吉成)
  • ロリータ℃(平野綾)
  • マナベ(塩田貞治)
  • 上野達也(松田悟志)
  • 田辺友代(裕木奈江)
  • 村田清(大塚ギチ)
  • ギー(堀部寛十)
  • 大江朔(佐藤俊)
  • 島津寿(一条俊)
  • 伊園・アリワン・美和(後藤若菜)
  • 山本洋子(りりィ)
  • ルーシー・モノストーン(田口トモロヲ)

舞台化作品

  • 多重人格探偵サイコ/新劇 ~雨宮一彦の消滅~ - 劇団夜想会により2005年3月30日~4月4日 紀伊國屋サザンシアターにて上演。

キャスト

  • 雨宮一彦/大江公彦:唐橋充
  • ロリータ℃/伊園美和:松本まりか
  • 笹山徹:原田大二郎
  • マナベ:正木蒼二
  • 伊園磨知:山前麻緒
  • 島津寿(Wキャスト):大石竜一・加藤隼人
  • 妹:佐藤亜紀

グッズ

  • トレーディングカード
  • カレンダー
  • ガレージキット

== 関連作品 ==

  • 『多重人格探偵サイチョコ』
    • 「物語環境開発(大塚英志事務所)」のスタッフのひらりん作画のパロディ4コマギャグ漫画。
  • 『多重人格探偵サイコ ルーシー・モノストーンの真実』
    • 原作者大塚英志の友人の三木・モトユキ・エリクソンによるルーシー・モノストーンの評伝。
  • 『木島日記』(森美夏画)
    • 『サイコ』と世界観が繋がっており、若き日の清水義秋や「学窓」の前身となった組織が登場する。またナオミ・アーヴィング御恵てうと同一人物である。
  • 笹山徹は『探偵儀式』(箸井地図画)に「警視庁捜査一課12係 係長」、『黒鷺死体宅配便』(山崎峰水画)に「新宿区役所福祉課 第一係長」、『とでんか』(樹生ナト画)に「東京都知事」として登場している。
  • 大江公彦(小説版では語り手、ドラマ版と舞台版では『サイコ』の原作者、漫画版ではキャラクターの一人として登場)は漫画『懐かしい年への手紙』(白倉由美のオリジナル作品)、『東京ミカエル』(堤芳貞画)、小説『冬の教室』、『ロリータ℃の素敵な冒険』、『きみを守るためにぼくは夢をみる』(白倉由美のオリジナル作品)にも登場している。
  • 犬彦は漫画『摩陀羅 転生編』(田島昭宇画)、『リヴァイアサン』(衣谷遊画)、小説『摩陀羅 天使篇』、『僕は天使の羽根を踏まない』、『ロリータ℃の素敵な冒険』にも登場している。
  • ドラマ版の『サイコ』に登場する山本洋子は漫画『アンラッキーヤングメン』(藤原カムイ画)にも登場している。
  • ドラマ版と戯曲版の『サイコ』に登場するマナベは漫画『探偵儀式』、『黒鷺死体宅配便』にも登場している。
  • 小説『小林洋介の最後の事件』に登場する中井石丸弁護士は漫画『黒鷺死体宅配便』にも登場している。
  • 小説『渡久地菊夫の失敗 そのような題名の単行本には収録されないプロローグ』に登場する黒架オラクルは大塚英志の小説『海辺の教室』や白倉由美の小説『ミルナの禁忌』にも登場している。

その他

  • タイトルはヒッチコックの同名の映画からの引用『多重人格探偵サイコ No.1 ~情緒的な死と再生~』(角川スニーカー文庫)186ページ
  • 雨宮一彦 の顔のモデルは荒木浩であり『戦争と平和』(徳間書店。大塚英志、富野由悠季、上野俊哉、ササキバラ・ゴウの共著)86ページの「麻原彰晃」についての大塚英志による注釈より引用「(前略)…でもオウムの幹部でいったら個人的に興味深いのは荒木広報副部長で、実は「サイコ」の雨宮一彦のモデルなのである。オウムが何であったのかについては森達也のドキュメンタリー『A』『A2』が最も信頼でき、これも荒木にスポットを当てている。どっかでやってると思うから自力で探して見るように。」 、「七つの人格を持つ探偵」という設定は「七つの顔を持つ変装の名人の探偵」の『多羅尾伴内』『キャラクター小説の作り方』(角川文庫)43ページ、「左目にバーコードがある」という設定は柳田國男の論文『一目小僧その他』が元ネタ『キャラクター・メーカー』(アスキー新書)142ページ
  • ドラマ版『サイコ』の「昭和天皇が病床にある状況で物語が進行していく」という展開は大塚の師匠のみなもと太郎(大塚は高校生の時にみなもとのアシスタントをしていた)がギャグ漫画『ホモホモ7』(昭和45年~昭和46年に少年マガジンにて連載)で作中に、当時仁侠映画の冒頭に必ず「昭和初期」というテロップが入れられていた事のパロディで「昭和末期」というテロップを入れて、「昭和天皇が今まさに死にかけている」というギャグをやった事へのオマージュである『Comic新現実 vol.1』(角川書店)収録の326ページの大塚英志とみなもと太郎の対談に付された大塚による注釈より(ちなみに大塚いわく「誰にも元ネタはわからなかった」そうである)
  • 『ルーシー・モノストーンの真実』の著者三木・モトユキ・エリクソンは「熊の着ぐるみを着た精神科医」という設定のキャラクターとして大塚英志の小説『ロリータ℃の素敵な冒険』、白倉由美の小説『おおきくなりません』、『きみを守るためにぼくは夢をみる』にも登場している。

脚註

外部リンク