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彼女を守る51の方法 3
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彼女を守る51の方法の既刊
名前 | 発売年月 |
---|---|
彼女を守る51の方法 1 | 2006-09 |
彼女を守る51の方法 2 | 2006-12 |
彼女を守る51の方法 3 | 2007-03 |
彼女を守る51の方法 4 | 2007-06 |
彼女を守る51の方法 5 | 2007-09 |
『彼女を守る51の方法』(かのじょをまもるごじゅういちのほうほう)は、古屋兎丸による日本の漫画作品。『週刊コミックバンチ』(新潮社)にて2006年24号から2007年36号まで連載されていた。各巻末の解説は防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実が行っている。
概要
外出先の都市部で都市直下型地震に遭遇した帰宅困難者が遭遇するトラブルと解決法を主題とした漫画作品。
東京近郊を舞台としており、現実の地域で起きるであろうトラブルを具体的に描いている(埋め立て地であるお台場で液状化現象が発生する等)。
そのために、作者自身が舞台となる場所を実際に移動し、その場その場で執筆するというフィールドワーク的手法が取られている(5巻あとがきより)。
各巻末でも震災に関する知識が解説され、作中の描写と併せて読める形となっており、初歩的な防災マニュアルとしての側面も持つ。
ストーリー
2月23日、首都圏にマグニチュード8の巨大地震発生。お台場で地震に巻き込まれた三島ジンと、元同級生岡野なな子。
崩壊した都市をくぐり抜け、災害の中助け合う二人だが…。
登場人物
- 三島ジン
- 主人公。慶凰大学3年生の21歳。就活でやってきたお台場で地震に遭う。偶然再会したなな子と一緒に自宅のある早稲田へ向かう。中学生時代なな子が好きだった。卒業してから何もなかったがお台場で再会したことをきっかけに彼女を好きになる。
- 岡野なな子
- ヒロイン。喫茶店アルバイト。21歳。ビジュアル系バンドのサリン・ヘルヴァインの追っかけで、解散ライブのためにやってきた。「ロルコ」を名乗り、格好はゴスロリ。ジンの中学のときの同級生で、中学のときに酷いいじめに遭っていた。ジンと同じくお台場で地震被災に巻き込まれる。彼女も中学時代ジンのことが好き(彼女いわくリアルな恋)だったが結局気持ちを伝えぬまま終わるが再会をきっかけに、彼に惹かれていく。
- カズオ
- サリ・ヘルのギター。芸名は「カオス」。地震で死んだ彼女・ヨーコを抱えながらお台場を脱出しようとするが、余震で橋から落ちた彼女を追いかけて飛び降りる。
- 澤田リカ
- 典型的なギャル。19歳。自分が可愛いことを知っていてそれを利用する性格。横浜に帰る途中に品川で電車が脱線。一人で夜は怖いからと隠れていたところにジンたちを見かけて合流する。
- 途中食料をもらおうと知り合いの外人についていくがおそわれてしまう
- フリーダム
- 六本木で会った黒人。見た目は怖いが人格者。
- まりん
- 渋谷で会った幼女。被災で母親が死んでしまい、迷子になっていた。羽のついた服を着たなな子に近づき、一緒に早稲田へ向かう。
- 飯森福郎
- カルト信者。地震で心の弱ってきたジンに近づき洗脳して宗教団体に入れようとする。
- 鹿野久美子
- 妊婦。他の女性と一緒に渋谷の109に立て篭もっていた。暴動で男たちが109を襲撃してきた時に陣痛が来て、出産する。
- 稲本康夫
- 渋谷の暴動になんとなくで参加した男性。久美子の出産を助ける。
舞台
作中の舞台は現実の東京となっている。記載は物語で登場する順となっている。
- お台場
- ジンと岡野が出会い、地震に遭遇する物語始まりの場所。
- 液状化現象や建物倒壊、閉じ込めといったトラブルが取り上げられている。
- そのためお台場の観覧車の傾斜などが発生する。
- レインボーブリッジ
- 帰宅のためレインボーブリッジを他の多数の帰宅者と徒歩で渡る。
- 橋上での特殊な揺れと、それによるパニック・群集心理等が描かれる。
- 品川周辺及び東京タワー
- 橋を渡りきったところで、二人は澤田リカ出会う。
- ここでは服装、所持品と火災旋風が問題となる。
- 大使館周辺
- 大勢の警官が大使館警護に動員され、救助や治安維持が行われない様子が描かれる。
- 六本木
- 大勢の被災者が避難しており、外国人、集団組織など複雑な状況になっている。
- そのため、PTSD・不法占拠、略奪、レイプ、外国人排斥など多数の問題が発生する。
- 災害拠点病院
- 暴行を受けたリカのため病院に向かうが、大量の傷病者が発生する極限状況を目の当たりにする。
- ここでトリアージと災害時の病院の状況が紹介される。
- 渋谷
- 病院から移動してきたところで、迷子のまりんを保護する。
- KARASUと自称する不良集団による組織的暴行やそれを止める自警団、終末思想をうたう悪徳宗教団体などが問題となる。(対比として良い行いをした宗教団体も紹介された)
- ここでジンは倒れ宗教団体に、岡野とリカは不良集団から逃れ009へとはぐれてしまう。
- 21世紀箱船学会
- 倒れたジンが保護された場所。しかし、その実態は弱みにつけ込んで洗脳し信者を増やす悪徳宗教だった。
- ここではジンの体験を通じて、悪徳宗教団体の手口が紹介される。
- 009(マルキュー:モデル109)
- KARASUによる暴行から逃れた岡野達が身を寄せる、女性の籠城場所。
- 内部は秩序が保たれていたが、渋谷全体が疑心暗鬼や避難生活苦によるモラルハザード、デマなどで混乱する。
- そこに警察による退去指示が行われたことを引き金に大暴動が発生し、一部の暴徒が009に殺到する。
- 新宿
- 暴動を切り抜けたジン達がたどり着いた新宿では暴力団などが取り仕切った祭り的な復興イベントを行っていた。
- 秩序が保たれ、誰もが笑顔でいる光景をみたジン達は復興への想いを強くした。
- ここでは暴力団が「組の人たち」と示され、前述の宗教団体の様な良い場合、悪い場合の併記がされない等の好意的な描かれ方をしている。
用語
- サリン・ヘルヴァイン
- ビジュアル系バンドで通称サリヘル。物語の始まりの日にお台場で解散ライブ「聖デストピア」を行った。それを見に来たため、岡野は三島と出会い、地震に巻き込まれることとなる。
- その音楽は中学生時代にいじめられていた岡野の精神的な救いとなる。
- 渋谷青年団
- 渋谷を定期的にパトロールしていた自警団組織。団長の野山甚平田を中心に主に老人で組織されている。
- 暴行や略奪を未然に防ぐべく行動し、必要であれば実力行使も行い、KARASUと何度も衝突している。
- 暴動時にはジンを団員に加え、009の女性を守るべく奮戦した。
- KARASU
- 渋谷を根城にする不良集団。森田と呼ばれる男をリーダーとして渋谷センター街で集団暴行を繰り返していた。ことあるごとに自警団と衝突しつつも、犯罪行為を行う非常に悪質な集団。悪質な終末思想を真に受けて、暴動のきっかけを作り暴動時には009にも侵入した。
- 21世紀箱船学会
- 終末思想をうたう宗教団体。災害時などにデマや嘘の予言で信者を増やし、多額の金銭を集める悪徳団体。弱っているジンを保護し、集団で精神的に責めて洗脳し一時信者化させた。
- また食料の配給時に機関誌を渡し、デマや終末思想を広め信者を獲得しようとした。このデマや終末思想により潜在的な不安感を高め、暴動の一因となった。
書籍情報
単行本
すべて発行は新潮社、著者は古屋兎丸。
- ISBN 9784107712899
- ISBN 9784107713056
- ISBN 9784107713216
- ISBN 9784107713384
- ISBN 9784107713544
=== マニュアル版===
- 『彼女を守る51の方法 都会で地震が起こった日』として出版。発行はマイクロマガジン社、著者は「彼女を守るプロジェクト」と渡辺実。ISBN 9784896371901
関連項目
- 東京大震災
- 関東大震災
- 阪神・淡路大震災
- 震災復興再開発事業
- 古屋兎丸
- 東京マグニチュード8.0 - 本作を参考文献にしたアニメ作品。