息子がかわいくて仕方がない魔族の母親 9

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息子がかわいくて仕方がない魔族の母親』(むすこがかわいくてしかたがないまぞくのははおや)は、十五夜による日本の漫画作品。もともとはTwitter上で作者の十五夜によって掲載されていたが、2016年5月25日からウェブコミック配信サイトの 『となりのヤングジャンプ』に連載され、2017年2月17日に単行本第1巻が発売。その後重版が決定し、ニコニコ漫画で配信開始されてから約2か月で上半期7位にランクインする人気作品となっている。

あらすじ

絶滅寸前の魔族に生まれた女性、ローレムが妹のメリーや人間の友達の千春に助けてもらいながら息子のゴスペルを育てる話。

登場人物

ローレム
本作の主人公。赤い角が生えた長い白髪と腰に生えた白い尻尾と翼が特徴的な魔族の女性。熱を操る能力を持つ。昔は妹のメリー以外は信用せず、人間や魔族から食料や水を奪ったり自分を危険視して襲ってくる魔族を圧倒しているうちに「殲滅の狂炎(きょうえん)」とあだ名が付くほど恐れられていたが、息子のゴスペルを生み、魔族に偏見を持たない千春やメリーとの日常生活を過ごしているうちに性格はだいぶ丸くなった。息子のゴスペルを溺愛している。
ゴスペル
ローレムの息子で、竜のような翼と尻尾を生やした魔族の赤ちゃん。まだ自由に扱えていないが、ローレムと同じように熱を操る能力を持っている。
メリー
ローレムの妹。赤い角が生えた黒い長髪と、腰に生えた黒い尻尾と翼が特徴的な女性で、眼鏡をかけている。万能細胞を作る触手を操る能力を持つ魔族。その触手はいつも、普段着に擬態させている。親しい人物にあだ名をつける癖がある。「〜だねぇ」のように、会話中に小さい語尾が入ることがある。穏やかで包容力があり、よほどのことがない限り怒らない。明るい言動が多いが、千春以外の人間に対して不信感を抱いている。初めて自分の友達となった千春を大切に思っている。
千春
アルバイトで生計を立てている19歳の少女で、ローレムの友達。ゴスペルは彼女の家で取り上げた。メリーからは「ちーちゃん」と呼ばれている。魔族に対して偏見を持たずローレム達のことを大切に思っており、その気持ちは鬼病の一件でさらに強まっている。現在は、人魔共生学科がある大学に入るために勉強している。
フーガ
氷を操る能力を持つ魚人型魔族の少年。メリーからは「ふが君」と呼ばれている。小さい頃、能力を制御できずに死にかけていたところをローレムに助けてもらったことがあるため、彼女に恩返しをしたいと思い、彼女の家に訪れる。ローレムと再会するまで一人で魚を捕って生活していたこともあり、人間世界のルールにあまり詳しくないため、メリーに生活の仕方などを教えてもらっている。
テレサ
魔族の生活必需品を販売している『アリスショップ』の看板娘。右目を隠した白髪と、青い肌が特徴的な18歳の魔族。メリーに「育ちが良さそう」と言われるほど礼儀正しい。メリーから「てれさん」と呼ばれるたびに訂正している。特性を持たず「劣等種」「役立たず」と実の家族からも卑下された上に人間に捕まるが、12歳の時に密輸野郎(アリス談)からアリスが買い取る。
アリス
『アリスショップ』の店長。前方向に伸びた角と、ピンクの長髪が特徴的な魔族。元々人間が使っていた道具を魔族用品に作り替えて販売している。商売上手で金勘定に厳しい。超音波を利用して周囲を探索したり、物を破壊したりできるが、超音波の使用中に目を使うと酔ってしまうので、常にアイマスクを付けている。まだアリスショップを開店する前の下請け時代の頃にテレサを買い取る。最初「なんで買ったんだ…わかんねぇ…」と自分でもテレサを買ったことに困惑していたが、テレサの人柄がよく才色兼備な長所が店員に向いていると気に入る。
小荒井美波/ミナミ
魔族管理局審査指導官の女性。人間と魔族の共生を目指している。ローレムが子育てをしやすくするために、彼女に特殊保護観察区域で暮らすことを勧める。
ガロン
老人のような姿をした魔族の男性。「人間と魔族は共生できる」と本気で信じているミナミのような人間を守るために、魔族管理局で警備指導官として働いている。
ベロニカ
特殊保護観察区域の病院で働く魔族の看護師。腕が4本生えており眼鏡をかけている。触れたものを操作する能力を持っているが、質量が大きいものを操作するのは苦手。
リゼット
ローレムの隣の部屋に住んでいる魔族の女の子。頭から小さな羽が生えている。日光が苦手で、夜にならないと外に出られない。食料は人間のB型の血液。誤ってゴスペルを起こして泣かせてしまっただけで泣いてしまうほど繊細。
セーラ
魚人型魔族の少女。フーガと出会うまで、電気を操る能力を使って洞窟の中で暮らしていた。頭に髪のような鰭が生えている。ゴスペルを抱いている時に、フーガと家庭を築いている自分を想像するほどフーガのことが好き。
ジーク
CATTのα班に所属している魔族の男。人間の部下を使ってローレムを監視している。
バレンタイン
アイドル活動をしている少女で、声を使って変身する能力を持つ魔族。
エリザ
特殊保護観察区域のE棟に住んでいる魔族の女性。関西弁で話す。常に小声で話していたり、笑っている時にいきなり無表情に戻るため、ローレムからは変なヤツだと思われている。公園の砂場でローレムに話しかけられたことをきっかけに、彼女と友達になった。特性を使えないために、他の魔族に「劣等種」と馬鹿にされたり食料を取られたりしていた過去があり、その頃に一度だけローレムと会っている。
ヘルガ
魔族の赤ちゃんで、エリザの娘。歩行はまだ掴まり立ちの段階で、言葉は自己紹介ができる段階。

用語

魔族
姿は人間とよく似ているが、角や羽を生やしているものが多い。また、どの魔族も歯が全て人間の犬歯のように尖っている。人間と敵対していた時期もあったため、数もかなり減少しているが、現在はほとんどの魔族が人間と共存している。ほとんどの魔族は、熱を操ったり万能細胞を作り出す、といったような特別な能力を持っており、そういった能力は特性と呼ばれている。子供の頃に特性を発現してからうまく扱えるようになるまでに時間が掛かるため、自分の特性が原因で死んでしまう魔族もいる。
鬼病(きびょう)
魔族の体内で変異したウイルスにより引き起こされる病。この病気にかかった生物の血管が浮き出る。魔族にとっては風邪のような症状しか起きないが、人間の体はこのウイルスの攻撃性に耐えることができないので、感染すると体が壊死し、最悪の場合死に至る。千春は、ローレムが鬼病になった時に看病したのが原因でウイルスに感染し、死にかけたことがある。最近は研究が進んで鬼病予防の薬が開発されている。
特殊保護観察区域
魔族管理局に管理対象として定められた魔族である『特殊保護観察対象魔族』が暮らす区域。元々宿泊棟の数はAからDの4つだったが、多くの魔族を受け入れて満員になったために旧隔離棟を改装してE棟を作った。ローレムは現在この区域のB棟の302号室に住んでいる。
公安機動捜査隊対魔班
魔族のテロ行為に対抗して作られた対魔族班のチームで、通称CATT(キャット)。かつて魔獣化無効ガスを開発し人間と魔族の抗争に終止符を打った。

書誌情報

  • 十五夜 『息子がかわいくて仕方がない魔族の母親』 集英社〈ヤングジャンプ・コミックス〉、既刊3巻(2017年12月19日現在)
    1. 2017年2月17日発売、ISBN 978-4-08-890656-0
    2. 2017年6月19日発売、ISBN 978-4-08-890698-0
    3. 2017年12月19日発売、ISBN 978-4-08-890828-1

出典

外部リンク