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東方儚月抄 2

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東方儚月抄の既刊

名前発売年月
東方儚月抄 1 2008-05
東方儚月抄 2 2008-12

東方儚月抄』(とうほうぼうげつしょう『漫画版』単行本表紙による 。「つ」は清音表記。)は、一迅社刊『Comic REX』・『キャラ☆メル』・『まんが4コマKINGSぱれっと』の3誌にて連載された、東方Projectを題材にした漫画作品のメディアミックスの総称である。以降、本項目では『儚月抄』と称することとする。

概要

本作は『東方永夜抄 〜 Imperishable Night.』の続きのストーリーを題材にした作品で、漫画・小説・4コマ漫画の3つの作品から構成され、3作品とも形は違うがZUNが関わっている。メインタイトルはいずれの作品も『東方儚月抄』だが、サブタイトルは作品ごとに異なっており、漫画は "Silent Sinner in Blue."、小説は "Cage in Lunatic Runagate."、4コマ漫画は「月のイナバと地上の因幡」となっている。

作品

東方儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue.

東方儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue.』(とうほうぼうげつしょう サイレント・シナー・イン・ブルー)は、一迅社刊『Comic REX』2007年7月号から2009年5月号まで連載されていた漫画作品である。全21話。作画は秋★枝、ZUNは原作を担当している。本作品は東方Project初の本格ストーリーコミックとなっており、3作品のメインにあたるものである。以降は必要に応じて「漫画版」と称す。

なお、秋★枝は、『Comic REX』2006年12月号に同じく東方Projectの漫画作品『東方求聞史紀 〜記憶する幻想郷〜』(単行本未収録)という読切作品を執筆しており、こちらも原作はZUNが担当した。

東方儚月抄 -体験(?)版-
2007年5月20日に行われた第4回博麗神社例大祭で、秋★枝の同人誌『東方儚月抄 Silent Sinner in Blue. -PROLOGUE-』(「東方儚月抄 -体験(?)版-」)が頒布された。あとがきによると、東方儚月抄の打ち合わせの際に「漫画の『体験版』的な物を出したら面白いんじゃないか」という話が出たため描いたとのこと。同日の24時から作画者の公式サイトでも公開されたが、第1話が掲載されたREXの発売後に公開終了となった。この作品は本編とは直接との関係は存在せず、あくまで本編で起こる異変を暗示する程度の内容に終始している。

東方儚月抄 〜 Cage in Lunatic Runagate.

東方儚月抄 〜 Cage in Lunatic Runagate.』(とうほうぼうげつしょう ケイジ・イン・ルナティック・ラナゲイト)は、『キャラ☆メル』創刊号からVol.9まで連載された、ZUNが執筆する小説作品である。全8話最終話のみ、『キャラ☆メル』Vol.8からVol.9にかけて掲載された。。挿絵はTOKIAMEが担当。以降は必要に応じて「小説版」と称す。

同じ出来事を漫画版とは別の側面から描いた作品となっており、漫画版のストーリーと密接に繋がった内容になっている。輝夜や永琳、綿月姉妹、妹紅の過去に関する詳細や月の都と月人に関する設定についても語られている。本文は各話ごとに異なる人物の一人称形式で書かれているが、最終話のみ三人称形式になっている。

東方儚月抄 〜 月のイナバと地上の因幡

東方儚月抄 〜 月のイナバと地上の因幡』(とうほうぼうげつしょう つきのイナバとちじょうのいなば)は、『まんが4コマKINGSぱれっと』2007年8月号から2010年2月号まで連載された4コマ漫画作品。全30回。作画はあらたとしひら。なお、本作ではZUNは「原作」ではなく「原案」として関わっており、ネタ出しも作画者に任せている「博麗幻想書譜」2007年05月14日の記事より、「割とフリーダムな感じでネタも作家さんにお願いしてあります。」との発言。。以降は必要に応じて「4コマ版」と称す。

鈴仙・優曇華院・イナバと因幡てゐがメインキャラクターで、永遠亭を中心に据えた4コマギャグ漫画となっている。3作品の中では軽いノリの作品となっており、他の2作品よりもストーリーへの関わりは少ない。キャラクターには原作のキャラクターにはなかったオプションが付けられる等、コミカルなアレンジがなされている。

ストーリー

幻想郷の竹林にある「永遠亭」には、月から逃げてきた輝夜、永琳、鈴仙ら月の民(=宇宙人)が、地上の兎達と共に住んでいた。輝夜達はかつて強大な力を持つ月の使者から逃れるべく、真実の満月を隠した事がある。その結果、月を取り戻そうとした地上の妖怪が『夜を止める術』を使って「永夜異変」(『東方永夜抄』の異変)を引き起こす原因となる。その果てに輝夜らは地上の人間と妖怪のチームによって退治されるが、その際、輝夜は協力しあう事もある現在の人間と妖怪の関係を羨ましく思い、永遠亭に引き篭もるのを止める。それ以後、輝夜達は幻想郷で平穏に暮らしていた。

しかし『永夜異変』から数年後、月では不穏な動きが広がっていた。地上からの侵入者の痕跡に混乱する月の都。輝夜・永琳・鈴仙たちの存在を利用しようとする何者かの存在。妖怪たちに手を回し「第二次月面戦争」を始めようとする紫。そして霊夢は紫に焚き付けられて八百万の神の力を借りる修行を始める。そんな中、博麗霊夢の元に一匹の傷ついた月の兎が現れるのだった。また紫の式神である八雲藍は、幻想郷の妖怪達に月面戦争を起こすための協力を要請する。それを聞いた紅魔館のレミリア・スカーレットは紫を出し抜いて先に月を侵略しようと企み、それを受けてパチュリー・ノーレッジと十六夜咲夜は住吉三神を燃料としたロケットの制作を開始する。

一方、霊夢に助けられた月の兎は永琳と接触し、彼女から預かった手紙を綿月豊姫と綿月依姫に渡す。永琳の元弟子であり月の使者である綿月姉妹に宛てて描かれた手紙には、月を侵略する地上の者に対する対策が綴られていた。そんな中、紅魔館のロケットが完成。霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア達を乗せて月へ飛び立つ。だが月へ到着したと同時にロケットは壊れてしまう。そこで霊夢達は迎撃に来た依姫と対峙する。一触即発の中、魔理沙は機転を利かせて依姫に『スペルカード』による勝負を申し出るのだった。

登場キャラクター

博麗霊夢
博麗神社の巫女。人間。努力は嫌いだが、紫によって稽古をつけられて神様を使役する程度の能力を身につける、4コマ版では一日はお茶を飲んで境内を掃除しての繰り返しらしい。
霧雨魔理沙
霊夢の親友。普通の魔法使い。人間。依姫から真正面から戦っても勝てそうにない力量差を見抜き、スペルカードでの疑似戦闘へ持ち込む、4コマ版では射命丸文のイメージに登場。
綿月豊姫
月の使者、姉。玉兎達にも好かれる天真爛漫な性格。一方で瑞江浦島子の悲劇を招いた過去もあってか地上の生き物に対しては厳しい態度を取る。
綿月依姫
月の使者、妹。生真面目な性格。ロケットで月へやって来た霊夢やレミリア達とスペルカードで勝負をする。
八雲紫
境界の妖怪。妖怪の賢者。幻想郷を誰よりも愛しており、理由は不明だが「第二次月面戦争」を始めようと目論む。かつて妖怪を煽動して「月面戦争」を引き起こしたが、撃退されている。
八雲藍
紫の式神。九尾の妖狐。紫をサポートし、幻想郷の妖怪達に協力を要請する。
前鬼・後鬼
紫の式神。カラスに憑いて偵察を行っている。
蓬莱山輝夜
月の姫=宇宙人。竹林にある永遠亭の主。小説版第2話の主人公である。遠い昔、不老不死になる薬「蓬莱の薬」を永琳に作らせて飲んだ為、地上に落とされた。その後も永琳と共に逃亡を続ける。『永夜抄』においては月から身を隠すべく、永琳に月を隠させて幻想郷中の異変を起こしたが、幻想郷の人妖によって止められて現在に至る。現在は暢気な性格で、地上に馴染もうと少しずつ努力している、4コマ版ではグータラかつ気ままな性格で毎年正月は寝正月で過ごしているらしい描写がある。
八意永琳
輝夜に従う薬師で、輝夜に対しても対等に会話する。月の賢者。天才で元々は輝夜の教育係で、現在も彼女の参謀役。彼女も元月の民=宇宙人。小説版第1話の主人公である。月の兎からは「八意××」(地上人には発音できない名前)と呼ばれている、4コマ版では鈴仙に過激なおしおきをしている他怪しげな撒き餌で湖に巨大生物を大量に繁殖させてしまった。
鈴仙・優曇華院・イナバ
月の兎=宇宙人の一種。遠く離れた月の兎たちと交信可能。アポロ計画による人間と月の民の「月面戦争」の際に、戦いを嫌って地上へ逃れた。現在は永遠亭で暮らしている。4コマ版では主人公を務めるが、てゐや永琳、輝夜に振り回される事が多い。
因幡てゐ
永遠亭の妖怪兎。迷いの竹林の主。悪戯好きな性格で掴みどころが無い。兎達を実質的に統括しているが、鈴仙だけでなく永琳の言う事もあまり聞かない、4コマ版では兎達が変に知恵をつけられると面倒だと言っている。
レイセン(玉兎)
月の罪人・嫦娥に仕える玉兎(月の兎)の1人。薬を搗き続けて嫦娥の罪の贖いを肩代わりする生活に嫌気がさして逃げたところ、スペースデブリに衝突レイセンは月の羽衣を着用していた為、月から地球へ移動する間の意識がなかったのでスペースデブリ衝突は推測であり、実際に何があったかは不明。。気を失って倒れていた所を霊夢に拾われた。その後、永琳と接触して月の姫・綿月姉妹への親書を預かり、月へと帰った。帰還後は、綿月姉妹のペットとなり、以前飼っていたが逃げ出してしまった兎(=鈴仙)と同じレイセンの名を授けられる。
レミリア・スカーレット
紅魔館の主である吸血鬼。ロケットで月へ向かい、紫よりも先に月を侵略して出し抜こうと目論む、4コマ版では一コマのみの登場。
十六夜咲夜
紅魔館のメイドで、紅魔館に住む唯一の人間。レミリアに仕える、4コマ版では鈴仙に紅魔館の実質的支配者として警戒されていた。
パチュリー・ノーレッジ
紅魔館の魔女で、レミリアの親友。月へ飛ぶためのロケットを製作する、4コマ版ではレミリアと同じコマに登場しているほか射命丸の新聞にも解説者として登場しているが双方ともセリフはない。
魂魄妖夢
白玉楼の専属庭師と幽々子の護衛を勤める半人半幽の少女。幽々子が藍の話を断ったため、レミリアの動向を独自に観察していた。
西行寺幽々子
白玉楼の主。表向きには藍の要請を断ったが、その際、紫から藍や妖夢の気づかない「とある依頼」を受けていた、4コマ版では八意永琳の回想で1コマのみ登場。
射命丸文
新聞記者の天狗。その速報は幻想郷最速の自称に相応しいスピードで発行されている。月面旅行の記事を書くために、レミリアや霊夢への取材を試みようとしている、4コマ版では新聞の空いたところは適当に書いて埋めていることが発覚している。
藤原妹紅
輝夜が置いていった「蓬莱の薬」を飲んで不老不死になった人間。その経緯においての理由により、輝夜を敵視している。小説版第4話の主人公で、彼女が不老不死になった経緯が明らかになる。
上白沢慧音
人里に住むワーハクタク(半獣人)の知識人で、妹紅の数少ない理解者。小説版第4話の妹紅の回想内で登場し、妖怪の山について妹紅に教える。また4コマ版では寺子屋の先生としても描かれており、どうやら教え下手であるらしい。
森近霖之助
道具屋・香霖堂の店主。店には外の世界の古雑誌や奇怪な道具まで揃っている、4コマ版では店に雨傘型マシンガンやブルマなどがおかれている。

この他にも、漫画版の第3話以降には『東方風神録』のキャラクターが回想シーンに数コマ登場している。また、漫画版の第9話では紅魔館にてパーティーが開催され、数コマではあるものの多数のキャラクターが登場している。

4コマ版にのみ登場

稗田阿求
人里に住む歴史家。家には多数の史料などを保管しており、歴史の先生である慧音とは親交が深い。
紅美鈴
紅魔館の門番、招待状を見せないと通さないといいながら、永琳や鈴仙には軽く流されるなど可愛そうな扱い。
フランドール・スカーレット
紅魔館に住んでいる吸血鬼。レミリアの妹、ただしシルエットのみの登場。
リグル・ナイトバグ
蛍の妖怪。蟲を操る能力を持ち、本人も虫の性質を持ち合わせている、昨日のことはすぐ忘れてしまう。
洩矢諏訪子
最近になって幻想郷にやってきた神様。
アリス・マーガトロイド
魔法の森に住んでいる、人形を使う魔法使い。

各話タイトル

漫画版

話数 タイトル
1 賢者の計画
2 玉兎の手紙
3 紅いロケット
4 旧友の雨月
5 住吉計画
6 三神式月ロケット
7 月のお姫様
8 賢者の封書
9 住吉・イン・ブルー
10 幻想ケープカナベラル
11 青い宙を行く
12 豊かの海
13 月面の美しさ
14 金属の戦い
15 星屑の人間
16 旧友の地図
17 二十七と三分の一の罠
18 月の頭脳
19 縛られた大地の神
20 最後にして幽かな穢れ
最終話 青の宴

小説版

話数 タイトル 主人公
1 賢者の追憶 八意永琳
2 三千年の玉 蓬莱山輝夜
3 浄土の竜宮城 綿月豊姫
4 不尽の火 藤原妹紅
5 果てしなく低い地上から 八雲紫
6 愚者の封書 レイセン
7 半身半義 魂魄妖夢
最終話 二つの望郷 前編 (三人称形式)
二つの望郷 後編

既刊一覧

漫画版はREXコミックス、4コマ版は4コマKINGSぱれっとコミックスとして発売されている。

東方儚月抄 Silent Sinner in Blue. 上
2008年4月9日発売、一迅社 ISBN 978-4-7580-6089-9
漫画版における第1話から第7話までの内容が収録されている。
巻末には小説版の挿絵担当のTOKIAMEと、4コマ版の作画担当のあらたとしひらのイラストが掲載されている。また、ZUNによる音楽CDも付属している。
東方儚月抄 Silent Sinner in Blue. 中
2008年12月9日発売、一迅社 ISBN 978-4-7580-6124-7
漫画版における第8話から第14話までの内容が収録されている。付録はなし。
東方儚月抄 Silent Sinner in Blue. 底
2009年10月9日発売、一迅社 ISBN 978-4-7580-6169-8
漫画版における第15話から最終話(第21話)までの内容が収録されている。付録はなし。
東方儚月抄 月のイナバと地上の因幡 上
2009年8月22日発売、一迅社 ISBN 978-4-7580-8035-4(通常版) ISBN 978-4-7580-8036-1(限定版)
4コマ版における第1回連載分から第15回までの内容に加え、書き下ろしのおまけ漫画が収録されている。
鈴仙・優曇華院・イナバ彩色済みフィギュア特典の限定版も同時発売された。
東方儚月抄 月のイナバと地上の因幡 下
2010年7月22日発売、一迅社 ISBN 978-4-7580-8074-3(通常版) ISBN 978-4-7580-8075-0(限定版)
4コマ版における第16回連載分から第30回(最終回)までの内容に加え、書き下ろしのおまけ漫画が収録されている。
因幡てゐ彩色済みフィギュア特典の限定版も同時発売された。
東方儚月抄 〜 Cage in Lunatic Runagate.
2009年12月25日発売、一迅社 ISBN 978-4-7580-1160-0
小説版における全8話が収録されている。付録はなし。

脚注

外部リンク

ko:동방맹월초