男組 13
『男組』(おとこぐみ)は原作・雁屋哲、作画・池上遼一による漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)において1974年から1979年まで連載された(1977年に休載期間あり)。後に劇場映画化されている。
概要
戦後30年頃の日本を舞台に、己の信念を賭けて闘う男達を描いた少年漫画。
高校生ながら、強大な権力を使い悪の限りを尽くす神竜剛次と、その勢力を倒すために立ち上がった父親殺しの罪を持つ男・流全次郎の対決を中心に、戦争とも言える大掛かりな抗争劇が繰り広げられる。また「男の生き様とは」をテーマに読者に強いメッセージを投げかけている場面も見られる。
1970年代の日本では漫画界においても空手やカンフーなどの格闘技ブームがあり、本作はそのなかでも中国武術を本格的に取り上げた作品として評価されている。後のさまざまな学園漫画に影響を与えた。
アメフトと実在する中国武術をアクションに多く取り入れており、中国武術の一部は松田隆智に取材したものである本作品に続く『男大空』等では実在する武術ではなく架空の武術が登場する。。
あらすじ
関東にある私立青雲学園は、神竜剛次という生徒によって無法地帯と化し凄惨たる状況下にあった。この現状に耐えかねた校長は、関東少年刑務所から一人の囚人を特待生として招き入れ、神竜を打ち倒すよう要求する。父親殺しの罪状を持つ男・流全次郎は、これに承諾するものの、神竜の圧倒的に強大な勢力に打ち勝つためには青雲学園の生徒一人一人が戦う気持ちを持たなければならないことを諭す。また、流も少年刑務所内の仲間「五家宝連」の力を借りて、様々な作戦を図り正義のために戦い続ける。物語はやがて、二人の対決に止まらず、「影の総理」と呼ばれる日本社会に潜む大きな闇に迫ることになっていく。
登場人物
流一派
- 流全次郎(ながれ ぜんじろう)
- 主人公。父親殺しの罪状で関東少年刑務所に収監される。陳家太極拳の使い手。権力に踏み潰された者たちへの誓いとして、己に掛けられた手錠を外さないまま強敵と戦う。軍艦島から脱出する際に失明した。
五家宝連
五家宝連(ごかぼうれん)とは流を兄貴と慕う五人の部下。元々、流が関東少年刑務所へ収監される前、それぞれが各舎のボスとして名を馳せていた。皆、血の繋がりは無いが、家族以上に絆は強い。
- 高柳秀次郎(たかやなぎ ひでじろう)
- 五家宝連の一人。武術に長ける。
- 大杉五郎(おおすぎ ごろう)
- 五家宝連の一人。窃盗学、情報収集の大家。
- 岩瀬大介(いわせ だいすけ)
- 五家宝連の一人。格闘の名人。超タフ。
- 長浜昇一(ながはま しょういち)
- 五家宝連の一人。動物と意思の疎通を図ることができる。少刑最年少。
- 伊庭彦造(いば ひこぞう)
- 五家宝連の一人。IQ180の元天才詐欺師。流一派の軍師として活躍する。
その他
- 山際涼子(やまぎわ りょうこ)
- 本作のヒロインで青雲学園の生徒。神竜剛次の許婚だが、神竜のやり方を快く思っておらず、流たちに味方する。
- 流統太郎(ながれ とうたろう)
- 全次郎の父親。弁護士。
- 陳泰明(ちん たいめい)
- 全次郎の武術の師匠。統太郎とは親友。
- 南条五郎(なんじょう ごろう)
- 統太郎の親友。軍艦島にて流と出会う。陳家太極拳と八極拳の使い手。
神竜組
- 神竜剛次(じんりゅう ごうじ)
- 流のライバルで青雲学園の生徒。「大衆は豚だ」という信念から、優秀かつ高貴な人間による支配体制を打ち立てるべく「神竜組」を組織し暴虐の限りを尽くす。剣の達人で流とは何度も対決する。
(少年サンデーの学園漫画『うる星やつら』に登場する面堂終太郎や、学園格闘漫画『魁!!男塾』に登場する藤堂豪毅のモデルであると言われている。) - 大田原源蔵(おおたわら げんぞう)
- 元「神竜組」四天王の一人。木崎秀男、田丸栄吉、熊沢重吾と共に神竜の配下であったが、流の体を張った説得により改心し、五家宝連と共に闘う。
- 朽木威作(くちき いさく)
- 朽木組四代目。関東少年刑務所の脱獄囚だが、刑務所に入れられる前に脱走したため、刑務所時代に流との面識はない。神竜の右腕。
その他勢力
- 堀田英盛(ほった ひでもり)
- 関東番長連合の総長。
- 倉本信二(くらもと しんじ)
- 乞食横町を治める通称「乞食番長」。
- 大館要造(おおだて ようぞう)
- 北海番長連合の総長。
映画
第1作
1975年製作。同年9月20日公開。
スタッフ
- 製作:東映
- 監督:内藤誠
- 原作:雁屋哲、池上遼一
- 脚本:波多雅史、田口勝彦
- 企画:安斉昭夫
- 撮影:出先哲也
- 音楽:戸塚昌三
- 美術:中村修一郎
- 編集:戸田健夫
- 録音:小松忠之
- スチル:加藤光男
- 助監督:橋本新一
- 照明:川崎保之丞
キャスト
- 流全次郎 - 星正人
- 山際涼子 - 山口智子
- 高柳芳次郎 - 津森正夫
- 大杉五郎 - 高月忠
- 岩瀬大介 - 千田孝之
- 長浜昇一 - 藤江喜幸
- 伊庭彦造 - 白石譲
- 大田原源蔵 - 日の下金太郎
- 由丸栄吉 - 大谷朗
- 熊沢重吾 - 横山繁
- 木崎秀男 - 光本大介
- 阿部 - 岡崎徹
- 井口 - 大泉公孝
- 北野 - 永瀬光
- 安田 - 結城大
- 中山 - 幸英二
- 小谷雪江 - 関谷増美
- 山本冬子 - 木島あかね
- 白川弓江 - 浅村厚子
- 高山知子 - 岡真由美
- 生徒 - 城春樹
- 白井隆二校長 - 室田日出男
- 滝沢教頭 - 河合絃司
- 水谷補導主任 - 相馬剛三
- 大谷先生 - 南条竜也
- 少年刑務所所長 - 近藤宏
- 看守 - 野口圭介
- チョウ - 斎藤一之
- 神竜壮一郎 - 内田朝雄
- 中条浩介 - にしきのあきら
- 神竜剛次 - 南条弘二
男組 少年刑務所
1976年製作。同年9月15日公開。DVDが2010年2月21日発売。
スタッフ
- 製作:東映
- 監督:岡本明久
- 脚本:中島信昭、雁屋哲
- 企画:安斉昭夫
- 音楽:鏑木創
キャスト
- 流全次郎 - 舘ひろし
- 山際涼子 - 竹井みどり
- 伊庭彦造 - 村山一海
- 神竜剛次 - 神有介
- 桜魔子 - 大関優子
- 岩瀬大介 - 玉川雅己
- 大杉五郎 - 飯田和男
- 高柳秀次郎 - 佐藤秀光
- 長浜昇一 - 渡部和裕
- 大田原源蔵 - 日の下金太郎
- 熊沢重吾 - 横山繁
- 田丸栄吉 - 大谷朗
- 木崎秀男 - 光本大介
- 阿部誠一 - 清家栄一
- 久保田武 - 津森正夫
- 矢崎浩次 - 松本智正
- ゲジゲジの玄次 - 高月忠
- 神竜壮一郎 - 山本麟一
- 竹内明 - 大久保喜市
- 大塚清二 - 城春樹
- 磯村敏也 - 幸英二
- 平田敬作 - 大泉公孝
- 野添実 - 杉本隆
- 白井 - 河合絃司
- 滝沢 - 相馬剛三
- 水谷 - 山田光一
- 佐藤 - 畑中猛重
- 林 - 宮地謙吾
- 明子 - 鈴木たか子
- 雪江 - 野平ゆき
- 洋子 - 大森不二香
- 百合 - 蓮見里美
- 晃代 - 浅村厚子
- 久仁子 - 大城信子
- 絵美 - 遠藤妙子
- 理美 - 志野さおり
- 順子 - 立川志乃
- 鳥川 - 小池良一
- 大村 - 保坂郁夫
- 医師 - 山浦栄
- 看守 - 五野上力
- 堀田英盛 - 谷隼人
- 影の集団 - 井上誠吾
男組(リメイク版)
1998年12月、オリジナルビデオ作品として公開された。
スタッフ
- 製作:ギャガ・ピクチャーズ
- 監督:原田昌樹
- 脚本:橋場千晶
- 製作プロダクション:円谷映像
キャスト
- 川本淳一
- 金井茂
- 柳明日香
- 哀川翔
- 松田勝
- 錦城志朗
- 高良隆志
- 成瀬富久
- 横山尚之
- 竹原智明
- もてぎ弘二
- 町田政則
- 不破大志
- 諏訪太朗
その他
漫画版の最終話に「ワルシャワ労働歌」が引用されていることで知られる。
コミックス
- 小学館 少年サンデーコミックス(25巻)
- コンビニのリミックスコミックス
- コンビニのリミックスコミックス(ワイド版)
脚注