青い花/志村貴子
著者: 志村貴子
巻数: 6巻
最新刊『青い花 6』
『青い花』(あおいはな)とは志村貴子による日本の漫画作品である。『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)30号(2004年11月17日発売)から連載中。2009年7月よりテレビアニメが放送された。なお、アニメは平成21年度(第13回)文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品アニメーション部門/長編(劇場公開・テレビアニメ・OVA)に選ばれている文化庁メディア芸術プラザ2010年3月2日閲覧。
概要
江ノ電沿線など鎌倉とその周辺が舞台。それぞれ別の女子高に通う2人の主人公を軸に、女性同士の恋愛と友情が描かれている。タイトルは、ノヴァーリスの小説『青い花』に由来する「NO COMIC NO LIFE 第56回:志村貴子先生インタビュー」『とらだよ。』Vol.62。
本作ではふたりの主人公を取り巻く女性同士の人間関係や恋模様とともに、男女間の恋愛や恋心も描かれている。これについて作者は、「女の子同士の恋愛だけに特化すると、女の子同士の恋愛が単なるファンタジーになってしまいそうなので、男女の恋愛も含めて描いた」という旨のことを語っている『ロッキング・オン・ジャパン』2009年6月号。また作者は前作『どうにかなる日々』でレズビアンの話を描いていてとても楽しかったことが創作のきっかけになったと明かしており、『マリア様がみてる』に負けない百合作品にしたいとも語っている。ただし本作は『マリア様がみてる』とは異なり、女性間の性愛というテーマを正面から扱っている。一部に女性同士の肉体関係を示唆する描写があるが、『どうにかなる日々』にあったような直接的な性描写は避けられている。
志村の作品は作中での出来事を必ずしも明示せず”行間で読ませる”部分が大きく、本作をアニメ化する際のシナリオ会議でも台詞の解釈がたびたび問題となったアニメ公式サイト2010年3月2日閲覧。
あらすじ
江ノ電沿線の女子高「松岡女子高等学校」に入学した万城目ふみは、入学式の日に同じく江ノ電沿線のお嬢様学校「藤が谷女学院」に入学した幼なじみの奥平あきらと10年ぶりに再会し、2人は一緒に登校するようになる。その頃のふみは交際していた従姉の花城千津が結婚したため沈んでいたが、文芸部の部室で先輩の杉本恭己と出会い、付き合いはじめる。
登場人物
松岡女子高等学校
藤が谷駅のそばにある偏差値の高いハイレベルな進学校志村貴子と藤が谷女学院新聞部『青い花公式読本』大田出版、2009年9月22日発行(137-148頁)。
- 万城目 ふみ(まんじょうめ ふみ)
- 声 - 高部あい
- 本作の主人公。11月21日生、蠍座、身長171cm、血液型はA型。ニックネームはふみちゃん。
- 長身の美少女で、眼鏡をかけている。性格はおとなしく、泣き虫で悩みがちである。
- 高校入学を機にかつて住んでいた鎌倉に戻ってきたところ、幼馴染のあーちゃんと再会する。高校の先輩である杉本恭己と付き合い始めるも数ヶ月で破局。
- その際に自身の初恋の相手が幼馴染のあーちゃんであったことを思い出し、あーちゃんを好きという想いが募るようになる。
- 杉本 恭己(すぎもと やすこ)
- 声 - 石松千恵美
- 7月5日生、蟹座、身長173cm、血液型はA型。中学時代は藤が谷女学院中等部に在籍。ふみの2学年上の先輩。
- 高校2年になったとき、藤が谷から松岡に編入した。藤が谷に通っていた3人の姉がおり、恭己とあわせて杉本四姉妹と呼ばれる。
- 優等生でスポーツもでき、女子に人気がある。
- 本厚木 洋子(ほんあつぎ ようこ)
- 声 - 矢作紗友里
- 身長159cm。ニックネームはポンちゃん。ふみの同級生。演劇部所属。足は速いほうで、体育祭のリレーの選手に選ばれたこともある。
- 明るく物怖じしない性格志村貴子『青い花5』太田出版、2010年3月2日発行(2-3頁)。肩で切りそろえたボブヘアが特徴志村貴子と藤が谷女学院新聞部『青い花公式読本』大田出版、2009年9月22日発行(34-35頁)。同じ演劇部の美和、美沙子とよく一緒に行動しており、三人組のリーダー的存在。
- 茂木 美和(もてぎ みわ)
- 声 - 豊崎愛生
- 身長155cm。ニックネームはモギー。ふみの同級生。演劇部所属。ふみの繋がりであきらと知り合い、あきらの兄の忍を好きになって告白し交際を開始した。
- おっとりした性格で、ふわふわした髪が特徴。
- 安田 美沙子(やすだ みさこ)
- 声 - 井口裕香
- 身長157cm。ニックネームはやっさん。ふみの同級生。演劇部所属。
- さばさばした性格。太い眉毛にくせ毛のショートヘアが特徴。
- 上野 佳織(うえの かおり)
- 声 - 沖佳苗
- 恭己の同級生で友人。文芸部部長。
藤が谷女学院高等部
thumb|right|200px|藤が谷女学院の外観のモデルとなった鎌倉文学館志村貴子『青い花2』太田出版、2006年12月26日発行(182頁) thumb|right|200px|藤が谷女学院のモデルとなった駒場公園旧前田侯爵邸洋館 1879年(明治12年)に設立された志村貴子と藤が谷女学院新聞部『青い花公式読本』大田出版、2009年9月22日発行(34-35頁)、由緒正しいお嬢様学校。
- 奥平 あきら(おくだいら あきら)
- 声 - 儀武ゆう子
- 本作のもう1人の主人公。4月16日生、牡羊座、身長154cm、血液型はO型。ニックネームはあーちゃん。
- 藤が谷高等部には外部から入学した。ふみの幼馴染で親友。演劇部所属で、同じく演劇部所属の京子と親しい。ふみとは対照的に小柄。抜けているところもあるがわりとしっかり者で、落ち込みやすいふみの相談相手になっている。
- 井汲 京子(いくみ きょうこ)
- 声 - 堀江由衣
- 12月22日生、山羊座、身長158cm、血液型はAB型。あきらの同級生。演劇部所属。
- 高等部1年の時にあきらの隣の席であったことから友人となる。幼なじみの康が許嫁になっているが、中等部の頃から恭己が好きで、報われない恋に思い悩んでいる。
- 上田 良子(うえだ りょうこ)
- あきらと2年で同じクラスになった同級生。もの静かでおっとりしており、読書が趣味。ふみと同じくらい背が高く、長い髪をおさげにしている。図書部所属。
- 大野 春花(おおの はるか)
- あきらの1学年下の後輩で、あきらと同じく外部からの入学生。誰とでもすぐに打ち解ける人懐っこい性格で、いささか天然ボケ。あきらや京子たち藤が谷の先輩に憧れ、演劇部に入部。姉の織江が大好き。織江と親交が深い山科日向子のことを「ヒナちゃん」と呼んでいる。
- 川崎 文子(かわさき あやこ)
- 声 - 小野涼子
- 身長164cm。あきらの2学年上の先輩。
- 演劇部員で演劇祭の演目「嵐が丘」でキャサリンを演じる。
- 三浦 香織(みうら かおり)
- 声 - 中村知子
- 身長164cm。あきらの2学年上の先輩。演劇部部長。
- 各務 正則(かがみ まさのり)
- 声 - 浜田賢二
- 30歳、身長176cm。藤が谷女学院高等部の演劇部顧問。恭己を「図書館の君」と呼んだ人。杉本四姉妹の次女の和佐と結婚する。
- 山科 日向子(やましな ひなこ)
- あきらと良子の2年生のときの担任で、理科の先生。藤が谷女学院の出身で、高等部時代の同級生の織江と付き合っている。
杉本家
鎌倉で代々続く名家で運転手の荻野さん(声 - 金光宣明)、お手伝いのふみさん志村貴子『青い花2』大田出版、年日発行(106頁)、アニメ版では「お手伝いさん」と表記されている(声 - 小林美奈)などの使用人がいる。
- 父
- 声 - 斧アツシ
- 大学教授
- 杉本 千恵志村貴子『青い花5』太田出版、2010年3月2日発行(163-170頁)、アニメ版では「母」と表記されている(すぎもと ちえ)
- 声 - 津田匠子
- 杉本四姉妹の母
杉本四姉妹
杉本家の4人の娘は「杉本四姉妹」と呼ばれており、恭己が末っ子の四女。
- 杉本 姿子(すぎもと しなこ)
- 声 - 能登麻美子
- 32歳、身長172.5cm。杉本四姉妹の長女。冗談好きで恭己をよくからかう。
- 杉本 和佐(すぎもと かずさ)
- 声 - 福井裕佳梨
- 28歳、身長173cm。杉本四姉妹の次女。元藤が谷の美術の先生で、正則の婚約者。細かいことにはこだわらないざっくりした性格。
- 杉本 公理(すぎもと くり)
- 声 - 中原麻衣
- 23歳、身長170cm。杉本四姉妹の三女。恭己と同じように藤が谷時代は学院の女の子たちにモテていた。
万城目家
- 万城目 芳江(まんじょうめ よしえ)
- 声 - 藤村歩
- 身長160cm。ふみの母。奥平家とは家族ぐるみの付き合いで、鎌倉に戻った際にふみを連れて奥平家に挨拶に訪れた。
- 万城目 章夫(まんじょうめ あきお)
- 声 - 小形満
- ふみの父。鎌倉に住居を移すと同時期に、勤める会社(銀行)の本店に異動となった。
- ふみの祖母
- 声 - 宮沢きよこ
- 万城目家が鎌倉に戻る2年前に亡くなってる。
奥平家
- 奥平 忍(おくだいら しのぶ)
- 声 - 川田紳司
- 身長175cm。あきらの兄で大学2年生。何かと妹の世話を焼きたがり、朝の通学時に車であきらを送ろうとするが疎まれている。モギーに告白されて彼女と交際するようになった。
- 奥平 咲子(おくだいら さきこ)
- 声 - 北西純子
- 身長158cm。あきらと忍の母。妹の世話ばかりで自身の将来を全く考えていない忍を心配している。
- 奥平 義道(おくだいら よしみち)
- 声 - 伝坂勉
- 身長168cm。あきらと忍の父。IT企業に勤めるサラリーマン。
その他の登場人物
- 花城 千津(はなしろ ちづ)
- 声 - 大浦冬華
- ふみの従姉。ふみと肉体関係まで持っていたが、ふみの転居をきっかけに疎遠になり、裏切るような形で結婚。
- 澤乃井 康(さわのい こう)
- 声 - 浅沼晋太郎、田中晶子(幼少期)
- 身長178cm。ニックネームは康ちゃん。大学1年生で、京子の許嫁。面倒見がよく穏やかな性格。
- 花絵(はなえ)
- 声 - 小島幸子
- 康の叔母。
- 恵子おばさん(けいこおばさん)
- 横浜在住のあきらの叔母で藤が谷のOG。
- 井汲 加代子(いくみ かよこ)
- 京子の母。
単行本
2010年2月発売の5巻まで太田出版から刊行されている。
- 1巻:ISBN 9784778320058(2005年12月15日)
- 2巻:ISBN 9784778320324(2006年12月13日)
- 3巻:ISBN 9784778320539(2008年3月18日)
- 4巻:ISBN 9784778320843(2009年4月23日)
- 青い花公式読本:ISBN 9784778320973(2009年9月5日)
- 5巻:ISBN 9784778321086(2010年2月18日)
テレビアニメ
『青い花 Sweet Blue Flowers』
2009年7月から9月までフジテレビ『NOISE』にて放送された。全11話。
平成21年度(第13回)文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品アニメーション部門/長編(劇場公開・テレビアニメ・OVA)に選出され、2010年2月には国立新美術館で展示・上映された。
スタッフ
- 監督 - カサヰケンイチ志村貴と藤が谷女学院新聞部『青い花公式読本』大田出版、2009年9月22日発行(176頁)
- シリーズ構成 - 高山文彦
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 音地正行
- プロップデザイン - 冷水由紀絵
- 美術監督 - 小林七郎
- 色彩設計 - 石田美由紀
- 撮影監督 - 大河内喜夫
- 編集 - 後藤正浩
- 音響監督 - 明田川仁
- OPアニメーション絵コンテ・演出 - 幾原邦彦志村貴と藤が谷女学院新聞部『青い花公式読本』大田出版、2009年9月22日発行(56-57頁)
- 音楽 - 羽毛田丈史
- プロデューサー - 浅香敏明、松倉友二、山本幸治、斎藤彩
- アニメーション制作 - J.C.STAFF
- 制作 - 青い花製作委員会(メディアファクトリー、フジテレビジョン、読売広告社、J.C.STAFF、博報堂DYメディアパートナーズ)
主題歌
- オープニングテーマ「青い花」
- 作詞・作曲 - 山崎ゆかり / 編曲・歌 - 空気公団
- エンディングテーマ「センティフォリア」
- 作詞・歌 - Ceui / 作曲 - 小高光太郎、Ceui / 編曲 - 小高光太郎
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 花物語 | 高山文彦 | カサヰケンイチ | 木本茂樹 | |
2 | 春の嵐 | 長井龍雪 | 矢向宏志 | ||
3 | 朝目覚めては | カサヰケンイチ 高田耕一 | 橋本敏一 | 岩倉和憲 冨岡寛 | |
4 | 青春は美わし | 桜美かつし | 植田和幸 | ||
5 | 嵐が丘(前編) | 高山文彦 綾奈ゆにこ | 渦薪かい | 鈴木健太郎 | 野村芙沙子 萩原弘光 |
6 | 嵐が丘(後編) | 河村智之 | 木本茂樹 | ||
7 | 若葉のころ | 水上清資 | 青井小夜 | 松尾亜希子 熊田明子 矢向宏志 | |
8 | 恋は盲目 | 鈴木洋平 | 岩倉和憲 冨岡寛 | ||
9 | 夏の夜の夢 | よこた和 | 斉藤美香 小美戸幸代 | ||
10 | 幸福の王子 | 綾奈ゆにこ | 高田耕一 | 橋本敏一 | 野村芙沙子 植田和幸 |
11 | 冬の花火 | 高山文彦 | 渦薪かい カサヰケンイチ | 河村智之 | 木本茂樹 冨岡寛 |
放送局
放送地域 | 放送局 | 放送期間 | 放送日時 | 系列 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
関東広域圏 | フジテレビ | 2009年7月1日 - 9月9日 | 水曜 26時08分 - 26時38分 | フジテレビ系列 | 制作局 |
日本全域 | BSフジ | 2009年7月20日 - 10月5日 | 月曜 24時30分 - 24時55分 | BSデジタル放送 | |
フジテレビTWO | 2010年5月30日 - | 日曜 25時30分 - 26時20分 | CSチャンネル | 2話連続放送 |
地上波放送では、NOISE枠で初めての関東ローカルであった。なお、この作品をもってNOISE枠は休止され『恋時雨』を放送した後、フジテレビではアニメ枠が廃止、BSフジでは『空中ブランコ』からノイタミナに鞍替えすることとなった。
Webラジオ
テレビアニメに関連してWEBラジオ『青い花 〜Sweet Blue Radio〜』が配信された。全19回。
- 配信
- HiBiKi Radio Station:2009年6月26日 - 10月30日
- メディファクラジオ:2009年7月3日 - 11月6日
- パーソナリティ
- 高部あい(万城目ふみ役)
- 儀武ゆう子(奥平あきら役)
脚注
関連項目
- 放浪息子
- 百合 (ジャンル)
- レズビアン
外部リンク